上 下
111 / 159
異世界居住編

第109話 反撃

しおりを挟む
 ムツキは朝から1人で街へ出かけた。

 エレノア達は、昨日買い出しを済ませたので3人でムツキのためにご飯を作ってくれるそうだ。

 だから早く帰ってきてくださいね。

 と言われてしまったからには早く厄介ごとを終わらせてしまおう。

 厄介ごとと言うのも昨日侵入者があったのだ。

 サイレンを聞いて逃げたようだが、セキュリティに引っ掛かった時点でどこまで逃げてもムツキの索敵に引っかかるようになっている。

 サイレンは外に向けてはけたたましく鳴り響くのだが、家の中には一切聞こえないようになっているのでエレノア達は気づいていない。

 怖い思いなど知らない方がいい。

 朝に確認した所、見張りの兵士が1人やられたようだが気絶しただけで済んだようで、サイレンのおかげで他の兵士がすぐに駆け付けて朝にはケロリとしていたようだ。

 そういう事で、被害は少なかったのだが、手を出してきた以上、黙っているわけにはいかない。

 安心できる生活に不確定要素は取り除いておきたい。

 ムツキは索敵を使って侵入してきた3人の賊の元へと向かった。

 賊はまだ宿にいるようである。

 ちょうど家ができるまでの間、エレノア達が泊まっていた宿であり、ムツキの事を知っている店主の宿であった。

 ムツキは店主に事情を説明してお金を渡すと、快く宿を貸切にしてくれた。

 勿論、破損した場合は宿の修理代も追加で払う約束もしている。

 宿の店主も女将さんもエレノア達と仲良くしてくれていたようで「コテンパンにやっちまってくれよ」と送り出してくれた。

 ムツキが扉を蹴破って部屋の中に入ると、3人の男がテーブルを囲んでいた。

「なんだ、てめえは!」

「誰の部屋か分かって入ってきてんのか?」

 1人の男は固まってポカンとしているが、残り2人の男は急な侵入者に威嚇をしてきた。

「わかってますよ。昨日うちに侵入しようとした賊の部屋ですよね?」

 威嚇してきた族はムツキの事を誰だか理解したのかニヤリと笑ってムツキに向かって飛びかかる様に攻撃してきた。

「そっちからきてくれりゃ、楽でいいぜ!」

「冒険者を舐めたのが悪かったな!」

 冒険者がどれほどのものかは知らないが、確か資格がないとなれない専門職のはずだ。

 以前にムツキは資格が無かったので登録を断られた過去がある。

 さぞ素晴らしい職業なのだろうと思っていただけに、この様な人物であった事にがっかりである。

 それに、資格を持っているはずなのに動きも遅い。

 ムツキのステータスに比べたら誰もがそうなるのだろうが、期待していたムツキとしては溜息が出るほどであった。

 冒険者の賊2人を一撃で気絶させて最後の1人の方を見る。

 ポカンとしていた男はハッと動き出すと、ムツキに向かって話をしだした。

「き、きさま、俺はエクリア帝国の貴族だぞ!平民の貴様が触れていい存在ではない!そもそも貴様____」

 ペラペラと話し出した男の素性が分かってムツキは溜息が出そうになるのを堪えた。

 これはシュナイゼルに苦情を言わなければいけない案件であろう。

 男の話をこれ以上聞いてもなんの得にもならない為、さっさと気絶させる事にする。

「貴様、それ以上近づいてみろ、貴様に罰を____」

 男をさっさと気絶させると、ムツキはこの後の事を考える。

 本来ならこのままシュナイゼルに苦情を言いに行った方がいいのだろうが、この後はエレノア達の作ってくれた食事を食べる約束をしている。

 ムツキは約束を優先させる為、3人に猿轡を噛ませると、錬金術を使って手足を金属で拘束してその辺に転がした。

 これで舌を噛む事もできないし動く事もできないだろう。

 人間1日くらい食事を食べなくても死なないだろう。

 ムツキは宿の主人に事情を説明すると、賊を突き出すのは明日にしてエレノア達の待つ家へと帰るのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします! 感想待ってます! まずは一読だけでも!! ───────  なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。    しかし、そんなオレの平凡もここまで。  ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。  そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。  使えるものは全て使う。  こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。  そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。  そしていつの日か、彼は……。  カクヨムにも連載中  小説家になろうにも連載中

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※毎週、月、水、金曜日更新 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。 ※追放要素、ざまあ要素は第二章からです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

見よう見まねで生産チート

立風人(りふと)
ファンタジー
(※サムネの武器が登場します) ある日、死神のミスにより死んでしまった青年。 神からのお詫びと救済を兼ねて剣と魔法の世界へ行けることに。 もの作りが好きな彼は生産チートをもらい異世界へ 楽しくも忙しく過ごす冒険者 兼 職人 兼 〇〇な主人公とその愉快な仲間たちのお話。 ※基本的に主人公視点で進んでいきます。 ※趣味作品ですので不定期投稿となります。 コメント、評価、誤字報告の方をよろしくお願いします。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

処理中です...