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異世界居住編
第103話 企み
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エクリア城のある一室で、貴族達が集まっていた。
シュナイゼル王やエリザベート王妃は、ドラゴニアの使者と一緒に、ムツキの新居に出向いている。
国王が居なくなった隙をついての集まりであった。
「本当にむかつきますわ! なんですの、みんなあんな平民の顔色ばかり伺って!」
「まあまあ落ち着いてくだされロザリィ様」
エレノアの義姉であるロザリィを嗜めたのは、バーバラ派閥の貴族の1人であった。
集まっているのは、今のエクリアの体制に不満がある貴族。と言う訳ではなく、バーバラ派閥の貴族。
それも、家督を譲った後の老人達の集まりであった。
その中に、第一王女であるロザリィが混ざっている。
現在のエクリアの貴族の現状は、特に派閥で扱いに差がある訳ではなく、どちらかと言うとムツキの傘下に入った事でドラゴニアと同じ位に格が上がった上に、ダスティブを吸収した事で国家間の貿易にかかる金が減り、隣接していた領は防衛にかかる費用も激減した。
どちらの派閥を贔屓するでもないシュナイゼル王の態度に、各派閥共に信頼をおいて使えているのだが、ここに集まった者達はこの現状に不安を抱いていたのだ。
引退した貴族達にとっては、昔の規律は絶対である。
ロザリィが向こうの派閥に嫁ぐ代わりにエレノアがこちらの派閥に嫁ぐ。
そうして派閥としてのバランスは保たれ、お互いに発言力を維持して国は成り立ってきたのだ。
だからこそ、エレノアがムツキに嫁ぎ、向こうの派閥から嫁が来ない事は、自分達の派閥の縮小、発言権が小さくなり、不遇を受けていると不満を持っているのだ。
そうして、その不満を危機と捉えて、こうして行動に移す為に密かに集まっていたのである。
それに、行動を急ぐのには理由があった。
バーバラが離宮へと謹慎して、最近はエリザベートが表に出る様になった。
病弱だったはずのエリザベートが体調を回復させた事で焦る貴族もいたと言う事である。
自分達の派閥の発言権をどうやって取り戻すか。
その為に都合がいいと選ばれたのがロザリィともう1人。
オスカール男爵家のロウゲスと言う30歳の男であった。
ロウゲスは元々エレノアが嫁ぐ予定であったバーバラ派閥の男爵である。
公爵家や伯爵家ばかりに嫁がせていては血が濃くなる為、世代によって嫁ぐ相手は変わる。
今回の世代はオスカール男爵家と言われて育ったものだから、ロウゲスはエレノアとの結婚に執着していた。
それに、王女と言う事もあってエレノアは美少女である。
その婚約が御破算になり、しかも、エレノアが平民に嫁ぐとなればその憤りは凄いものになった。
その欲望を利用して、この貴族達はとんでもない計画を立てたのである。
貴族の考え方として、未婚の女性を嫁に出すのであれば、生娘でなければ失礼にあたる。
目上の者に対しては尚の事である。
だからこそ、実力行使としてロウゲスにエレノアを襲わせる計画を立てたのである。
既成事実さえ作ってしまえば、エレノアはロウゲスに嫁ぐしかなくなり、替え玉としてムツキに嫁ぐのはロザリィになるだろう。
ロザリィとしては、平民のムツキよりも、今の婚約者の公爵家の方が位が高いと思ってはいるものの、皆がムツキにヘコヘコ頭を下げるのを見て、ムツキと結婚した方がいい生活ができると説得されたのである。
今と立場が逆転すれば、自分達の派閥だけが王女を嫁に娶る事になり、ムツキの側には自分達が御し易いロザリィを送る事ができる。
どのタイミングでエレノアを孤立させロウゲスに襲わせるか、その後のムツキへの婚約者のすり替えをどうやって進言するか、最終的な話し合いが、密かにおこなわれていくのであった。
シュナイゼル王やエリザベート王妃は、ドラゴニアの使者と一緒に、ムツキの新居に出向いている。
国王が居なくなった隙をついての集まりであった。
「本当にむかつきますわ! なんですの、みんなあんな平民の顔色ばかり伺って!」
「まあまあ落ち着いてくだされロザリィ様」
エレノアの義姉であるロザリィを嗜めたのは、バーバラ派閥の貴族の1人であった。
集まっているのは、今のエクリアの体制に不満がある貴族。と言う訳ではなく、バーバラ派閥の貴族。
それも、家督を譲った後の老人達の集まりであった。
その中に、第一王女であるロザリィが混ざっている。
現在のエクリアの貴族の現状は、特に派閥で扱いに差がある訳ではなく、どちらかと言うとムツキの傘下に入った事でドラゴニアと同じ位に格が上がった上に、ダスティブを吸収した事で国家間の貿易にかかる金が減り、隣接していた領は防衛にかかる費用も激減した。
どちらの派閥を贔屓するでもないシュナイゼル王の態度に、各派閥共に信頼をおいて使えているのだが、ここに集まった者達はこの現状に不安を抱いていたのだ。
引退した貴族達にとっては、昔の規律は絶対である。
ロザリィが向こうの派閥に嫁ぐ代わりにエレノアがこちらの派閥に嫁ぐ。
そうして派閥としてのバランスは保たれ、お互いに発言力を維持して国は成り立ってきたのだ。
だからこそ、エレノアがムツキに嫁ぎ、向こうの派閥から嫁が来ない事は、自分達の派閥の縮小、発言権が小さくなり、不遇を受けていると不満を持っているのだ。
そうして、その不満を危機と捉えて、こうして行動に移す為に密かに集まっていたのである。
それに、行動を急ぐのには理由があった。
バーバラが離宮へと謹慎して、最近はエリザベートが表に出る様になった。
病弱だったはずのエリザベートが体調を回復させた事で焦る貴族もいたと言う事である。
自分達の派閥の発言権をどうやって取り戻すか。
その為に都合がいいと選ばれたのがロザリィともう1人。
オスカール男爵家のロウゲスと言う30歳の男であった。
ロウゲスは元々エレノアが嫁ぐ予定であったバーバラ派閥の男爵である。
公爵家や伯爵家ばかりに嫁がせていては血が濃くなる為、世代によって嫁ぐ相手は変わる。
今回の世代はオスカール男爵家と言われて育ったものだから、ロウゲスはエレノアとの結婚に執着していた。
それに、王女と言う事もあってエレノアは美少女である。
その婚約が御破算になり、しかも、エレノアが平民に嫁ぐとなればその憤りは凄いものになった。
その欲望を利用して、この貴族達はとんでもない計画を立てたのである。
貴族の考え方として、未婚の女性を嫁に出すのであれば、生娘でなければ失礼にあたる。
目上の者に対しては尚の事である。
だからこそ、実力行使としてロウゲスにエレノアを襲わせる計画を立てたのである。
既成事実さえ作ってしまえば、エレノアはロウゲスに嫁ぐしかなくなり、替え玉としてムツキに嫁ぐのはロザリィになるだろう。
ロザリィとしては、平民のムツキよりも、今の婚約者の公爵家の方が位が高いと思ってはいるものの、皆がムツキにヘコヘコ頭を下げるのを見て、ムツキと結婚した方がいい生活ができると説得されたのである。
今と立場が逆転すれば、自分達の派閥だけが王女を嫁に娶る事になり、ムツキの側には自分達が御し易いロザリィを送る事ができる。
どのタイミングでエレノアを孤立させロウゲスに襲わせるか、その後のムツキへの婚約者のすり替えをどうやって進言するか、最終的な話し合いが、密かにおこなわれていくのであった。
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