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異世界居住編

第91話 土地

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 エレノアから直談判を食らったシュナイゼルは頭を悩ませていた。

 なんの話かといえば、ムツキの新居の話であった。

 ムツキはエレノア、シャーリー。そして今回、エルフのアインを新しく妻に迎えた。

 ムツキほどの人間ならもっと妻が増えてもおかしくはないとシュナイゼルは思っている。

 それ故にムツキの新居はそれなりの大きさが求められる。

 それに、ムツキの地位としても、新居を決めきれない大きな原因の一つである。

 ムツキは平民でありながらエクリアやドラゴニア、更にはエルフの里を傘下に加えた言うなれば王である。

 しかし、ムツキとしては国の運営に興味がなく、静かにゆっくりと暮らし、自分の好きな様にこの世界を旅行してみたいと考えている。

 話は少しされてしまったが、シュナイゼルよりも立場が上な為に、エクリアの城下町に普通の家を建てるのは難しいし、ドラゴニアでもまた同じである。

 ムツキが人でなくペトレやボロネの様なドラゴンなら寝ぐらなら側に国を作るだけで良かったのかもしれないが、あいにくそうではない。

「やはり、あそこしかないな」

 広い土地に大きな家を新しく建てると言っても、不便であっては本末転倒。

 そして、ムツキにとって相応しい立地。

 それは、ボロネの住む山の下に広がる森であった。

 ムツキがはじめて降して傘下に入れたボロネが近くに住み、商業都市である《バンヤンハイ》が近くに存在する。

 森を切り開き、ムツキの新居を新しく建てるには絶好の場所だと言える。

 問題は、どの程度の期間で森を切り開くことができるのか、森に住む魔物や山に住む魔物はどうするのかという事だが、その辺りは、シュナイゼルは考える事をやめた。

 初めは娘の嫁入りなのだし、立派な家を作って新居をプレゼントしよう。

 などと張り切っていたのだが、考えれば考うおるほどに無理難題が湧いてくる。

 最終的には土地をムツキに譲渡し、好きにしてもらうのが1番良いのではないかという所に落ち着いた。

 シュナイゼルの想像する物よりも、異世界から来たムツキの方が立派な物を作りそうだし、森の開拓も、ムツキ1人の力で何かとやってしまうだろう。

 エレノアにまだ待たせるのかと急かされ、追い詰められたシュナイゼルは、王として、そして父としてのプライドを投げ捨てて、ムツキにお願いするのであった。
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