84 / 159
異世界居住編
第82話 ピリカ
しおりを挟む
ムツキはエルフの長の家へと招かれて詳しい話を聞く事になった。
しかし、妖精にまとわりつかれたままでは話に集中できない為、妖精達の用事を先に済ませる事にした。
頭の上に居る銀妖精の時の様に、魔力を与えれば満足するだろうと予想したのだ。
それは正解だったらしく、ムツキが説明すると、妖精達は喜んで魔力を受け取った。
おばさんのバーゲンセールやカードに群がる転売ヤーの様だった妖精達は、なぜかリーダーシップを取り出した銀妖精の指示で一列に並んで、ムツキの右手の人差し指から魔力を貰うと、銀妖精もくれた玉をムツキの左手に渡して去っていく。
玉を受け取る度に妖精からスキルを取得しているのだが、どれも今まで手に入れたことのないスキルであった。
その中で《念話》と言うスキルを手に入れた。
ムツキは、妖精達への魔力のお渡し会が終わったので、銀妖精に、物は試しと念話のスキルを使ってお礼を言ってみる事にした。
『ありがとうございました。えっと、ピリカさんで良かったのでしたっけ?』
ムツキの念話にビクリと体を震わせた銀妖精は、不思議そうにムツキの顔の前まで飛んでくると、ペチペチとムツキの顔を触った。
『不思議だわ、この人が妖精の言葉を話した気がする』
『これが妖精の言葉なのですか?』
ムツキの返答に慌てた様子で飛び退いた銀妖精が恐る恐るといった様子で話しかけてくる。
『あなた、妖精の言葉を話せるのね、やっぱり面白いわ! でも、なんでピリカの名前を知っているの?』
『これは失礼しました、実は以前魔力のお礼を貰った時にですね』
ムツキは妖精は普通は人と話をできないと言う安心感からか、初めて自分のスキルの効果をピリカに話した。
それに伴い、なぜ念話ができる様になったのかも。
実は念話単体では妖精と話をする事などできず、複数取得した恩恵なのだが、それは置いておこう。
『無茶苦茶なスキルね。でも、他で言わない方が身のためだわ、ピリカ以外には言わない事ね』
『あ、はい』
気を抜いていた事を注意されたムツキは素直に頷いた。
『でも、やっぱりあなたは面白いわ。実際あなたはピリカのちゃんとした姿が見えているんでしょう?』
『ええ、とても可愛らしいお姿で』
『褒めても何も出ないわよ! でも、いいわ、あなたの側は魔力が綺麗だし、森の中も退屈だから、一緒にいてあげる』
『あ、ありがとうございます』
ムツキは別に頼んではいないのだが、ピリカに気に入られているようで、ピリカはムツキの肩に座ると、そこでくつろぎ始めた。
一旦話が終わったので、エルフ達との話をする事にする。
長に待たせた事をお詫びすると、長はとんでもないと慌てながらも、今回攻めて来る敵についての概要を説明するのであった。
しかし、妖精にまとわりつかれたままでは話に集中できない為、妖精達の用事を先に済ませる事にした。
頭の上に居る銀妖精の時の様に、魔力を与えれば満足するだろうと予想したのだ。
それは正解だったらしく、ムツキが説明すると、妖精達は喜んで魔力を受け取った。
おばさんのバーゲンセールやカードに群がる転売ヤーの様だった妖精達は、なぜかリーダーシップを取り出した銀妖精の指示で一列に並んで、ムツキの右手の人差し指から魔力を貰うと、銀妖精もくれた玉をムツキの左手に渡して去っていく。
玉を受け取る度に妖精からスキルを取得しているのだが、どれも今まで手に入れたことのないスキルであった。
その中で《念話》と言うスキルを手に入れた。
ムツキは、妖精達への魔力のお渡し会が終わったので、銀妖精に、物は試しと念話のスキルを使ってお礼を言ってみる事にした。
『ありがとうございました。えっと、ピリカさんで良かったのでしたっけ?』
ムツキの念話にビクリと体を震わせた銀妖精は、不思議そうにムツキの顔の前まで飛んでくると、ペチペチとムツキの顔を触った。
『不思議だわ、この人が妖精の言葉を話した気がする』
『これが妖精の言葉なのですか?』
ムツキの返答に慌てた様子で飛び退いた銀妖精が恐る恐るといった様子で話しかけてくる。
『あなた、妖精の言葉を話せるのね、やっぱり面白いわ! でも、なんでピリカの名前を知っているの?』
『これは失礼しました、実は以前魔力のお礼を貰った時にですね』
ムツキは妖精は普通は人と話をできないと言う安心感からか、初めて自分のスキルの効果をピリカに話した。
それに伴い、なぜ念話ができる様になったのかも。
実は念話単体では妖精と話をする事などできず、複数取得した恩恵なのだが、それは置いておこう。
『無茶苦茶なスキルね。でも、他で言わない方が身のためだわ、ピリカ以外には言わない事ね』
『あ、はい』
気を抜いていた事を注意されたムツキは素直に頷いた。
『でも、やっぱりあなたは面白いわ。実際あなたはピリカのちゃんとした姿が見えているんでしょう?』
『ええ、とても可愛らしいお姿で』
『褒めても何も出ないわよ! でも、いいわ、あなたの側は魔力が綺麗だし、森の中も退屈だから、一緒にいてあげる』
『あ、ありがとうございます』
ムツキは別に頼んではいないのだが、ピリカに気に入られているようで、ピリカはムツキの肩に座ると、そこでくつろぎ始めた。
一旦話が終わったので、エルフ達との話をする事にする。
長に待たせた事をお詫びすると、長はとんでもないと慌てながらも、今回攻めて来る敵についての概要を説明するのであった。
72
お気に入りに追加
256
あなたにおすすめの小説
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる