31 / 159
異世界転移編
第31話 資金調達へ
しおりを挟む
ムツキはステータスが高くなったので馬車で酔う事はなかったのだが、3日間の旅で疲れていたのだろう。
宿を取った後ベットに寝転べば、特に寝心地のいいベットでもないのにいつの間にか朝になっていた。
「…一食逃した」
ムツキの懐事情はそこまで温かくはない。
大量の魔物を納品したが、初心者向けの魔物ばかりだったので買取額はそこまで高くは無く、乗り合い馬車代や1週間分の宿代などの出費。
それに、エレノアへのお土産を考えれば心許ないどころか圧倒的に足りないのである。
特にエレノアへのお土産の為にはこれから稼ぐ必要がある。
エレノアはいい子だ。この間のデートの時もムツキに気を遣って並んで歩いてもおかしくない様な服を選んで着てくれるような子だ。
ムツキからのお土産ならなんでも喜んでくれるかもしれない。
しかし、婚約して日が浅いとは言え曲がりなりにも婚約者なのだ。
ムツキも男。それも、いい歳の男である。
自分の婚約者に見栄くらい張りたいのである。
そして朝から街を散策したムツキは、軽く泣きそうになった。
見栄、張れないかもしれない。
流石商業の街と言われるだけあって、品揃えが良く、高級店が並ぶ区画の貴金属店や宝石店のショーウィンドウを覗けば向こうの世界では見たこともない大きな宝石や見事な一点物彫金もあった。
だが、どれもムツキの予算など雀の涙と言える様な額の代物であり、店の中に入るのも一般人では難しそうであった。
それに、物流の中心の街と言うだけあって平均して物価も高めだ。
だからこそここで暮らす人達は活気で溢れているのかもしれないが。
なんにせよ、今の現状では予算が足りないのは明らか。
なのでお金を稼ぐ必要がある。
この世界でムツキの収入源は傭兵ギルドでの魔物の買取な為、この街の傭兵ギルドを探す。
たどり着いた傭兵ギルドは、王都の2倍程のデカさがあった。
ただ、大きいだけで王都の傭兵ギルドと対応は変わらない。
見知った顔の受付嬢ではないだけで、笑顔で対応してくれる。
この辺りの魔物の出現ポイントなどを聞いて、早速ムツキは狩りへと出向くのだった。
色々と聞いた中で、ムツキが向かったのは西の森の方だった。
森の魔物は肉質が柔らかく食用にもされる為買取額が少し高いのだとか。
ただ、森を通り越して火山まで行くと魔物の強さはグッと上がるので行かない方がいいと注意された。
初めは森で大人しく魔物を狩っていたのだが、手応えは王都の初心者用魔物とさして変わらない。
「これ、火山の方まで行っても大丈夫なんじゃないかな」
怖いもの見たさ。無理ならすぐ帰ってこればいい。
悪魔の囁きに負けたムツキは、注意を無視して火山の方へと足を向けた。
火山の麓は、先程の森とあまり変わらない風景であったが、山を登るにつれて岩肌が見える荒野の様な風景に変わっていく。
火山の熱のせいで草木が生えないのだろう。
肺が焼かれる程ではないが、空気が熱く乾燥しているとムツキは感じる。
水のストックは大量にある為、ムツキは喉を潤しながら火山を登る。
トカゲ、向こうで言う所のラプターのような魔物が襲ってくるが、この辺りの魔物はまだ初心者用みたいで手応えがない。
ただムツキを獲物だと見て向かってくるので倒しては収納魔法に入れてを繰り返しながら、ムツキは頑張ってお金を稼ぐ為、強い魔物を求めて火山を登って行くのだった。
宿を取った後ベットに寝転べば、特に寝心地のいいベットでもないのにいつの間にか朝になっていた。
「…一食逃した」
ムツキの懐事情はそこまで温かくはない。
大量の魔物を納品したが、初心者向けの魔物ばかりだったので買取額はそこまで高くは無く、乗り合い馬車代や1週間分の宿代などの出費。
それに、エレノアへのお土産を考えれば心許ないどころか圧倒的に足りないのである。
特にエレノアへのお土産の為にはこれから稼ぐ必要がある。
エレノアはいい子だ。この間のデートの時もムツキに気を遣って並んで歩いてもおかしくない様な服を選んで着てくれるような子だ。
ムツキからのお土産ならなんでも喜んでくれるかもしれない。
しかし、婚約して日が浅いとは言え曲がりなりにも婚約者なのだ。
ムツキも男。それも、いい歳の男である。
自分の婚約者に見栄くらい張りたいのである。
そして朝から街を散策したムツキは、軽く泣きそうになった。
見栄、張れないかもしれない。
流石商業の街と言われるだけあって、品揃えが良く、高級店が並ぶ区画の貴金属店や宝石店のショーウィンドウを覗けば向こうの世界では見たこともない大きな宝石や見事な一点物彫金もあった。
だが、どれもムツキの予算など雀の涙と言える様な額の代物であり、店の中に入るのも一般人では難しそうであった。
それに、物流の中心の街と言うだけあって平均して物価も高めだ。
だからこそここで暮らす人達は活気で溢れているのかもしれないが。
なんにせよ、今の現状では予算が足りないのは明らか。
なのでお金を稼ぐ必要がある。
この世界でムツキの収入源は傭兵ギルドでの魔物の買取な為、この街の傭兵ギルドを探す。
たどり着いた傭兵ギルドは、王都の2倍程のデカさがあった。
ただ、大きいだけで王都の傭兵ギルドと対応は変わらない。
見知った顔の受付嬢ではないだけで、笑顔で対応してくれる。
この辺りの魔物の出現ポイントなどを聞いて、早速ムツキは狩りへと出向くのだった。
色々と聞いた中で、ムツキが向かったのは西の森の方だった。
森の魔物は肉質が柔らかく食用にもされる為買取額が少し高いのだとか。
ただ、森を通り越して火山まで行くと魔物の強さはグッと上がるので行かない方がいいと注意された。
初めは森で大人しく魔物を狩っていたのだが、手応えは王都の初心者用魔物とさして変わらない。
「これ、火山の方まで行っても大丈夫なんじゃないかな」
怖いもの見たさ。無理ならすぐ帰ってこればいい。
悪魔の囁きに負けたムツキは、注意を無視して火山の方へと足を向けた。
火山の麓は、先程の森とあまり変わらない風景であったが、山を登るにつれて岩肌が見える荒野の様な風景に変わっていく。
火山の熱のせいで草木が生えないのだろう。
肺が焼かれる程ではないが、空気が熱く乾燥しているとムツキは感じる。
水のストックは大量にある為、ムツキは喉を潤しながら火山を登る。
トカゲ、向こうで言う所のラプターのような魔物が襲ってくるが、この辺りの魔物はまだ初心者用みたいで手応えがない。
ただムツキを獲物だと見て向かってくるので倒しては収納魔法に入れてを繰り返しながら、ムツキは頑張ってお金を稼ぐ為、強い魔物を求めて火山を登って行くのだった。
73
お気に入りに追加
256
あなたにおすすめの小説
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話
白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。
世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。
その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。
裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。
だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。
そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!!
感想大歓迎です!
※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる