恋バナ

にわとりの子

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恋バナ

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「───でね、ほんと、どうしよう。」

 よく晴れた5月のある休日のお昼時。美香子は雰囲気のいいカフェで友人の明美の恋愛相談を聞いていた。

「う~ん、でもその人も絶対恋をしたくないってわけじゃないんでしょ?」

「そうだけどさぁ~、なぁ~んか望み薄って感じ?」

 なんでも、明美が好きになった人は今は仕事に集中したいらしく、恋愛はしばらくしない、と同僚に話していたのを聞いてしまったらしい。

 もともと明美は惚れっぽいところがあり、ふたりが出会った高校生の頃から美香子はこうして度々明美の恋愛話に付き合わされている。

「ふふっ。でも良かったよ。前回の恋バナの時よりは仲良くなってそうじゃない?てっきり高校の時みたいに仲良くなれず、またストーカー紛いなこと、、」

「あーーー!!あーー!まーた人の黒歴史を堂々と!よくも思い出させてくれたわね!もう、あんなことしないわよ!
結局彼はただの女ったらしのヤリチンだったから諦めたの。」

「まぁ~お口が悪いこと。」

「はい、すいません慎みます。」

 そう言ってケーキをひとくち食べる明美を見て、美香子はクスクス笑った。

「ねぇ、そういう美香子はいないの?
い・い・ひ・と♡高校の頃に私の後押しで告って振られて以来なんにもないじゃない。」

「あー、あれは酷かった。何度もヤダって言ったのに。結構トラウマなんだからね?」

「も~ごめんって!かなり脈アリって思ってたんだけどなー。美香子美人だし。」

「ありがと。でもあんたに相談することなんてなんにもないよ。」

「かぁー!この年でもう枯れちゃったの?!可愛そ~。人生まだまだこれからだよ!」

「そういうわけじゃないんだけどなぁ。」

 ・・・えぇ、そうね。あんたには言ってもいいかな。

「告白したのはあれが初めてだし、男の人を好きになったのはあれが2回目。恋はもっとしてるよ。」

「えっ、それって、、」

「・・・私ね、バイ・セクシャルってやつなのよ。」

「それって男とか女とか関係ないってこと?」

「そ。こんなの言えないでしょ?」

「私そういうの全然偏見ないよ!そんなので友情なくなったりしないから!安心して!」

「ふふっ。そう言ってくれると思ってた。うん、ありがとう。」

美香子は自分の一番の友人に認めてもらえて安堵しているような表情を浮かべた。

「それで?いい人!いないの?」

「まーだ諦めないの?いーいーまーせーん!」

「なんで!」

「あんたは自分の恋に専念しなさいよ。私は叶いそうにないからさ。」

「そんなことないよ!最初から諦めないで!」

「でも好きな人に引かれたくないのよ。」

「・・・私は引かないよ?」

「え?」

「私、美香子が好きな人、知ってるもん。」

「な、何を。そんなはずないわ。明美の知らない人だもの。」

「うそ。美香子、わかり易すぎるんだもん。さっきバイって聞いて確信がもてた。美香子の好きな人は、私。」

「ぁ、、う、ち、ちがっ」

「違くないでしょ?ねぇ、お互い、カモフラージュするの、やめよっか。
 美香子、高校の頃から私の事好きでしょ?流石にあの時は気づかなかったけど、悪いことしたなぁ。あの人のこと、カモフラのために好きって言ってたでしょ?」

「ぁ、っそ、そんなこと、、なぃ。」

「私もね、あの同僚のこと、別に好きでもなんでもないの。・・・私が本当に好きな人はね。」

「ぇ、あっ、ぅ、」





















「美香子だよ。」




fin.
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