1 / 1
恋バナ
しおりを挟む
「───でね、ほんと、どうしよう。」
よく晴れた5月のある休日のお昼時。美香子は雰囲気のいいカフェで友人の明美の恋愛相談を聞いていた。
「う~ん、でもその人も絶対恋をしたくないってわけじゃないんでしょ?」
「そうだけどさぁ~、なぁ~んか望み薄って感じ?」
なんでも、明美が好きになった人は今は仕事に集中したいらしく、恋愛はしばらくしない、と同僚に話していたのを聞いてしまったらしい。
もともと明美は惚れっぽいところがあり、ふたりが出会った高校生の頃から美香子はこうして度々明美の恋愛話に付き合わされている。
「ふふっ。でも良かったよ。前回の恋バナの時よりは仲良くなってそうじゃない?てっきり高校の時みたいに仲良くなれず、またストーカー紛いなこと、、」
「あーーー!!あーー!まーた人の黒歴史を堂々と!よくも思い出させてくれたわね!もう、あんなことしないわよ!
結局彼はただの女ったらしのヤリチンだったから諦めたの。」
「まぁ~お口が悪いこと。」
「はい、すいません慎みます。」
そう言ってケーキをひとくち食べる明美を見て、美香子はクスクス笑った。
「ねぇ、そういう美香子はいないの?
い・い・ひ・と♡高校の頃に私の後押しで告って振られて以来なんにもないじゃない。」
「あー、あれは酷かった。何度もヤダって言ったのに。結構トラウマなんだからね?」
「も~ごめんって!かなり脈アリって思ってたんだけどなー。美香子美人だし。」
「ありがと。でもあんたに相談することなんてなんにもないよ。」
「かぁー!この年でもう枯れちゃったの?!可愛そ~。人生まだまだこれからだよ!」
「そういうわけじゃないんだけどなぁ。」
・・・えぇ、そうね。あんたには言ってもいいかな。
「告白したのはあれが初めてだし、男の人を好きになったのはあれが2回目。恋はもっとしてるよ。」
「えっ、それって、、」
「・・・私ね、バイ・セクシャルってやつなのよ。」
「それって男とか女とか関係ないってこと?」
「そ。こんなの言えないでしょ?」
「私そういうの全然偏見ないよ!そんなので友情なくなったりしないから!安心して!」
「ふふっ。そう言ってくれると思ってた。うん、ありがとう。」
美香子は自分の一番の友人に認めてもらえて安堵しているような表情を浮かべた。
「それで?いい人!いないの?」
「まーだ諦めないの?いーいーまーせーん!」
「なんで!」
「あんたは自分の恋に専念しなさいよ。私は叶いそうにないからさ。」
「そんなことないよ!最初から諦めないで!」
「でも好きな人に引かれたくないのよ。」
「・・・私は引かないよ?」
「え?」
「私、美香子が好きな人、知ってるもん。」
「な、何を。そんなはずないわ。明美の知らない人だもの。」
「うそ。美香子、わかり易すぎるんだもん。さっきバイって聞いて確信がもてた。美香子の好きな人は、私。」
「ぁ、、う、ち、ちがっ」
「違くないでしょ?ねぇ、お互い、カモフラージュするの、やめよっか。
美香子、高校の頃から私の事好きでしょ?流石にあの時は気づかなかったけど、悪いことしたなぁ。あの人のこと、カモフラのために好きって言ってたでしょ?」
「ぁ、っそ、そんなこと、、なぃ。」
「私もね、あの同僚のこと、別に好きでもなんでもないの。・・・私が本当に好きな人はね。」
「ぇ、あっ、ぅ、」
「美香子だよ。」
fin.
よく晴れた5月のある休日のお昼時。美香子は雰囲気のいいカフェで友人の明美の恋愛相談を聞いていた。
「う~ん、でもその人も絶対恋をしたくないってわけじゃないんでしょ?」
「そうだけどさぁ~、なぁ~んか望み薄って感じ?」
なんでも、明美が好きになった人は今は仕事に集中したいらしく、恋愛はしばらくしない、と同僚に話していたのを聞いてしまったらしい。
もともと明美は惚れっぽいところがあり、ふたりが出会った高校生の頃から美香子はこうして度々明美の恋愛話に付き合わされている。
「ふふっ。でも良かったよ。前回の恋バナの時よりは仲良くなってそうじゃない?てっきり高校の時みたいに仲良くなれず、またストーカー紛いなこと、、」
「あーーー!!あーー!まーた人の黒歴史を堂々と!よくも思い出させてくれたわね!もう、あんなことしないわよ!
結局彼はただの女ったらしのヤリチンだったから諦めたの。」
「まぁ~お口が悪いこと。」
「はい、すいません慎みます。」
そう言ってケーキをひとくち食べる明美を見て、美香子はクスクス笑った。
「ねぇ、そういう美香子はいないの?
い・い・ひ・と♡高校の頃に私の後押しで告って振られて以来なんにもないじゃない。」
「あー、あれは酷かった。何度もヤダって言ったのに。結構トラウマなんだからね?」
「も~ごめんって!かなり脈アリって思ってたんだけどなー。美香子美人だし。」
「ありがと。でもあんたに相談することなんてなんにもないよ。」
「かぁー!この年でもう枯れちゃったの?!可愛そ~。人生まだまだこれからだよ!」
「そういうわけじゃないんだけどなぁ。」
・・・えぇ、そうね。あんたには言ってもいいかな。
「告白したのはあれが初めてだし、男の人を好きになったのはあれが2回目。恋はもっとしてるよ。」
「えっ、それって、、」
「・・・私ね、バイ・セクシャルってやつなのよ。」
「それって男とか女とか関係ないってこと?」
「そ。こんなの言えないでしょ?」
「私そういうの全然偏見ないよ!そんなので友情なくなったりしないから!安心して!」
「ふふっ。そう言ってくれると思ってた。うん、ありがとう。」
美香子は自分の一番の友人に認めてもらえて安堵しているような表情を浮かべた。
「それで?いい人!いないの?」
「まーだ諦めないの?いーいーまーせーん!」
「なんで!」
「あんたは自分の恋に専念しなさいよ。私は叶いそうにないからさ。」
「そんなことないよ!最初から諦めないで!」
「でも好きな人に引かれたくないのよ。」
「・・・私は引かないよ?」
「え?」
「私、美香子が好きな人、知ってるもん。」
「な、何を。そんなはずないわ。明美の知らない人だもの。」
「うそ。美香子、わかり易すぎるんだもん。さっきバイって聞いて確信がもてた。美香子の好きな人は、私。」
「ぁ、、う、ち、ちがっ」
「違くないでしょ?ねぇ、お互い、カモフラージュするの、やめよっか。
美香子、高校の頃から私の事好きでしょ?流石にあの時は気づかなかったけど、悪いことしたなぁ。あの人のこと、カモフラのために好きって言ってたでしょ?」
「ぁ、っそ、そんなこと、、なぃ。」
「私もね、あの同僚のこと、別に好きでもなんでもないの。・・・私が本当に好きな人はね。」
「ぇ、あっ、ぅ、」
「美香子だよ。」
fin.
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
最期の最後に贈る うた
植田伊織
現代文学
毒親である母さんは私に「殺して欲しい」と言った。私は母さんを殺せただろうか?
糖尿病とアルコール依存症を併発している母さんは、もうすぐ視力を失う。
画家である母さんに失明は致命的だ。でも、事情はそれだけじゃない。
母さんは、「私を殺して欲しい」と「アタシ」に頼む。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
夫の不倫で離婚することになったから、不倫相手の両親に告発してやった。
ほったげな
恋愛
夫から離婚したいと言われた。その後私は夫と若い伯爵令嬢が不倫していることを知ってしまう。離婚は承諾したけど、許せないので伯爵令嬢の家に不倫の事実を告発してやる……!
ショートドラマ劇場
小木田十(おぎたみつる)
現代文学
さまざまな人生の局面を描いた、ヒューマンドラマのショートショート集です。
/ 小木田十(おぎたみつる)フリーライター。映画ノベライズ『ALWAIS 続・三丁目の夕日 完全ノベライズ版』『小説 土竜の唄』『小説 土竜の唄 チャイニーズマフィア編』『闇金ウシジマくん』などを担当。2023年、掌編『限界集落の引きこもり』で第4回引きこもり文学大賞 三席入選。2024年、掌編『鳥もつ煮』で山梨日日新聞新春文芸 一席入選(元旦紙面に掲載)。
スカートの中、…見たいの?
サドラ
大衆娯楽
どうしてこうなったのかは、説明を省かせていただきます。文脈とかも適当です。官能の表現に身を委ねました。
「僕」と「彼女」が二人っきりでいる。僕の指は彼女をなぞり始め…
祭り心情
三文士
現代文学
地元の祭りを運営する若者、和也。町会長より運営する青年団の頭領をやれと指名されるが辞退を申し出る。代わりに兄貴分である礼次郎を推薦するのだが却下されてしまう。それでも和也が礼次郎を推すには複雑な理由があった。
夏祭りの町中で交差する、切ない人間の心情。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる