ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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反面教師はNG!?

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どうしてこんなに年齢のことを気にするんだろう?でも、これって、
たぶん私だけじゃ無いような気がする。こんな色はもう似合わないとか、
こんなデザインの服なんて、もう着ちゃダメだとかって思って、
着たい服を我慢して、年相応の服を否応なしに選んでる人、
結構いるような気がするんだよね。

着る服だけじゃない。若い頃は、全く興味を持たなかったことでも、
歳を重ねてから興味を持ち出すこともあるでしょ?でも、歳のせいにして、
何もせずに諦めようとしちゃうとか。自分の心の声が聞こえてるのに、
聞こえないフリしちゃうとか・・・。

そういうことを繰り返しているうちに、だんだん心の声が聞こえなくなって、
何にも興味を示さないようになっていくんだと思う。ある意味、平和な毎日
なのかもしれないけど、そんなことをしてたら、どんどん歳をとっていく
だけなんだろうなって思うんだ。

歳を重ねることに恐れを抱いている。これは、私もずっと見て見ないフリを
してきたことなんだと思う。とはいえ、私は、比較的やりたいことをやって
きた方だとは思うけどね。仕事も好きなことだし。でも、だからこそ、
見落としてるところがあるような気がする。だから、ことあるごとに、
自分の歳が気になってるんじゃ無いのかな。

歳を重ねれば、確かに若い頃のようにはいかないこともたくさんある。
肌も髪も変わっていくし、もっと歳をとれば、特に女性の場合、ホルモンの
バランスが崩れるってこともあって、体型だって若い頃のままというワケには
いかないでしょ?

でも、だからといって、年齢を理由にやりたいことを諦めたり、我慢したり、
なかったことにしちゃうのは、ちょっと違うような気がするんだ。
って、これ全部、自分に言い聞かせてるみたいだよね(苦笑)

年齢を重ねても輝いている人はたくさんいる。頭では分かってるのに、
どうして、私の心は、年齢に縛られ続けてるんだろう?そんなのダメだって、
分かってるのに、どうしてもやめられないのには、何かしらの理由が
あるんだよね、きっと。ここもキチンと掘り下げてみる必要があるんだろうな。
今度、アトランティーナに相談してみよう!

私は食べるのが早いから、サッサと食べ終わっちゃったけど、弦ちゃんは
マイペースでゆっくりさんだったの(笑)まぁ、私が早いからって、
早く食べなきゃいけないってことでもないから良いんだけどね。

とはいえ、弦ちゃんが食べ終わるまで、後片付けも出来ないから、
ちょっとだけ急いでくれると嬉しいなって思っちゃった(苦笑)
もちろん、アトランティーナは、そんな私の思いもお見通しだから、
苦笑いしてたけどね。

「ミウ、イライラしないの(苦笑)」

「えっ、別にイライラはしてないよ」

「もしかして、僕のせい?」

「そうなんじゃない?ね、ミウ?」

「だから、イライラなんてしてないよ。大丈夫、弦ちゃんは、
自分のペースで食べてくれれば良いから」

「ごめんね、ミウさん。もし、何か急いでいるようなら、先に後片付けを
始めちゃっても問題ないからね」

「いやいや、食べているそばで、片付けが始まっちゃったら、落ち着いて
食べてられないでしょ?大丈夫、ちゃんと弦ちゃんが食べ終わるまで
待ってるから」

「ミウはね、私とお喋りがしたいのよ。ほら、さっき話していたでしょ?
真面目過ぎるっていう話。ミウ、そうなんでしょ?」

「う、うん、まあ(汗)自分でも真面目過ぎるのかなって、最近だけど、
思うことがあるからね。その加減っていうか、心持ちの変え方っていうか、
そういうのをアトランティーナに教えてもらえたらなとは思ってるかな」

「アトランティーナ、さすがですね。ミウさんのことは、本当に何でも
お見通しなんだ!」

「まあまあ、それは良いから、喋ってないで、弦夜は、早く食べちゃいなさい」

「あ、すみません。そうでした」

弦ちゃんって、本当にマイペースなんだなぁ。周りを気にしないっていうか、
しっかり自分を持ってるっていうか、その点については、尊敬しちゃうかも(笑)
私だったら、足並み揃えなきゃとかって思っちゃうもんね。

あっ、足並み揃えなきゃって思うんだったら、もう少し、ゆっくり食べてたか!
私も大概マイペースってことだね(笑)ってことは、弦ちゃんと私は似た者同士
ってことなんだ。自分のことだと分かんないけど、こうして人に例えて見ると
分かるもんなんだね。これもまた、新しい発見だ!弦ちゃんに感謝しないとだね。

そんなことを考えてたら、弦ちゃんも食べ終わって、やっと片付けが始められる。
こういう時って、いつもにも増して俊敏になるんだよね、私(笑)ササッと食器を
下げて、洗って、あっという間に片付けを終わらせて、今はコーヒーを淹れてる。
アトランティーナは、私のあまりにも俊敏な動きに笑いが止まらないって感じ
だったけどね(笑)

良いの、笑われても。私は聞きたい話があるんだから!別に急ぎではないのかも
しれないけど、気になっちゃったから、今夜中に聞きたいの。ただ、それだけ。
私も弦ちゃんのこと、言えないくらいマイペースだよね(苦笑)

「ミウ、食事の後片付け、早かったわね。私、何も出来なかったわ!(笑)」

「僕も同じ。ミウさん、ごめんね。食べるのが遅いだけじゃなくて、片付けも
何も出来なくて・・・」

「ううん、気にしないで。私が早くアトランティーナの話を聞きたかっただけ
だから(笑)逆に、弦ちゃんに気を遣わせちゃったのなら、ごめんね」

「弦夜、気にしなくて大丈夫よ。ミウは、ちゃんと分かっているから。
早く片付けたいのは、自分の都合だということを理解しているし、弦夜が
食べるのが遅いのは、弦夜の自由だということもちゃ~んと分かっているから」

「そういうところは、普通のって言ったら変だけど、多くの女性たちとは
違うんですね」

「でもね、それは私が教えたからというわけではないのよ。ミウの中にあった、
元々のものなの」

「へぇ~っ、そうなんだ!ミウさんは、やっぱり他の女の子とは違うんですね」

「何、弦夜、今まで何か、食べるのが遅いことで文句を言われたことでも
あるの?」

「食べるのが遅いということに限らず、自分の都合を押しつけてくる人、女性に
限らず、男性でもいるじゃないですか!?『それって、あなたの都合ですよね?』
って言いたくなることってないですか?」

「あ~、なるほどね(苦笑)」

「あるある!たぶん、そういう場面に何度も出くわしたお陰で、そういう人たちが
私にとっての反面教師になったんだと思う。私は、ああいう人にはなりたくない
って、心に誓ったんじゃないかな(笑)」

「ミウ、反面教師は、もうやめた方が良いわね」

「えっ、なんで?」

「『あんなふうにはなりたくない!』って思っていると、なりたくないと
思っていた人のようになってしまうからよ」

「え~っ、そうなの!?」

「そうよ。だから、『あんなふうにはなりたくない』ではなくて、
『あんなふうになりたい』って思う人を探した方が良いの。思いはエネルギー
だという話は覚えているでしょ?そして、宇宙は善悪の判断をしないという
話もしたわよね?つ・ま・り、どういう思いであれ、ミウが意識を向けた
ようになるということよ」

「な~るほど!でもね、今は大丈夫。だって、今の私には反面教師ではなくて、
目標にしている人がいるから。それなら大丈夫なんだよね?それと、目標にして
たら、そういう人になれるってことなんだよね?」

「ま、そういうことね」

「アトランティーナ、誰を目標にしてるのか、聞かないの?」

「ええ。でも、ミウが、どうしても話したいって言うのなら、聞いてあげても
良いけど(笑)」

「じゃ、いい。言わない」

「ミウさん、アトランティーナは、ミウさんが誰を目標にしているのか、
分かっているから、敢えて聞くのは、きっと照れ臭いんだよ」

「えっ、アトランティーナ、そうなの?」

「そんなことより、ミウ、コーヒーは?もうそろそろ入る頃かしら?」

「ね、アトランティーナ、ああ見えて、実は照れ屋さんなんだよ」

「うふっ、そうみたいだね」

「な~に、二人でコソコソ言っているのかしら?」

「ううん、なんでもないよ!コーヒー、入ったから、今、持ってくね」

あのアトランティーナが照れるなんて・・・。ちょっと意外!でも、そんな
アトランティーナのこと、可愛く見えちゃった。あっ、こういうことかっ!
可愛いっていう言葉は一つだけど、色々な意味があるんだね。

赤ちゃんを見て可愛いって思うのと、動物を見て可愛いって思うのと、
人の言動に対して可愛いって思うのと、全部意味が違うんだ!ううん、
それだけじゃない。可愛いっていう言葉の中には、他にも色々な意味が
含まれてる!だから、可愛いと年齢は関係ないんだね。よく日本語は難しいって
聞くけど、こういうところも外国の人からしたら、難しいって感じるんだろうね。
だって、日本で生まれて、日本で育った私が難しいって思うんだから(笑)


<次回へ続く>
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