ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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初々しくて、微笑ましい!?

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今日は、寄り道しないで、真っ直ぐ家に帰った。家に着くと、
アトランティーナがご飯の用意をしてくれてたんだけど・・・。
な、なんと、ハンバーグだったの!私、ハンバーグ・ビームでも
送ってたのかなぁ(苦笑)

「ただいま、アトランティーナ!今夜は、ハンバーグなんだ(苦笑)」

「あ、おかえり、ミウ。そうよ、ハンバーグ。ミウ、好きでしょ?」

「まぁ、好きだけど・・・」

「なに?その微妙な反応は。あっ、もしかして、お昼もハンバーグだった?」

「うん。お昼もハンバーグだった。でも、それは、良いんだ。
お昼も夜もハンバーグだって、何の問題もないよ。だって、アトランティーナが
作るハンバーグは、特別だし、めっちゃ美味しいもん」

「ミウが恋焦がれたハンバーグだものね。じゃ、その微妙な反応は?」

「はぁ~、今日ね、色々あったんだ」

「分かった。じゃあ、ご飯食べてから、ゆっくり聞くわね」

「うん、ありがとう」

いつものことながら、サクッサクッとご飯を食べ終わって、
今は、コーヒータイム。今日は、報告したいことや聞きたいことが、
たくさんある。心なしか、アトランティーナは、私が話したがってることを
察知してるのか、ちょっとワクワクしてるように見えるんだけど、
これって、私の気のせい?

「さあ、ミウ、話、聞くわよ!」

「ね、アトランティーナ、今、ちょっとだけワクワクしてるでしょ?」

「ええ、ちょっとだけじゃなくて、かなりワクワクしてるわ(笑)」

「そうなんだ(苦笑)あまり、あとをワクワクさせられる話じゃなかったら
ごめんね」

「ミウが謝ることではないと思うわよ。ほら、前置きは良いから」

「今日ね、会社に行って、みんなに状況を聞いたの。そしたら、現場を見てみたい
って話が出て、確かにそうだなって思ったから、みんなで行ってきた。

でも、事前に何の連絡もしてないことに会社を出てから気がついて、
シネコンに到着してすぐ、スタッフさんにイベントのことと、その下見に
来たことを伝えて、ロビー周りを見て回ることと簡単な写真撮影の許可を
もらったの」

「それは午前中の話?シネコンの人は、許可をしてくれたの?」

「一応ね。もちろん、イヤな顔はされたし、直接やりとりをしてるのは、
プロダクションさんだから、そちらへも連絡をして欲しいって言われた。
あと、今回は仕方ないけど、次回からは、必ず事前に連絡をくださいって
何度も念押しされた(苦笑)」

「でしょうね。それで、プロダクションの方にも連絡入れたの?」

「うん。と言っても会社に戻ってからだけどね(笑)」

「それで、何か言われた?」

「当然、シネコンから連絡が入ってて、ちょっと呆れられた感じでは
あったけどね。でも、私のことをよく知ってるから、朝、急に
思い立っちゃったんでしょ?って言われたよ。あと、事後でも連絡を
くれただけ成長したねとも言われた(汗)」

「どんだけ、無茶してきたんだか(笑)でも、ミウは、それなりに結果を出して
きたから許されているのよ。本来だったら、物すご~く怒られるところだもの。
それに甘えないで、これからは気をつけなさい。チーフなんだから、みんなも
見ているからね」

「うん。それは、今日、深~く反省しました」

「それで?話したいことは、他にあるんでしょ?」

「うん。それでね、本当に偶然なんだけど、現場で、藤崎さんに会ったの。
サンプル配布の提案をしてたんだけど、それが通って、サンプル配布のブースを
置くことになったらしくて、どこに置いたら良いのかを見に来たって言ってた」

「それで?」

「色々話したよ。あと、メンバーのみんなと藤崎さんと一緒にランチした」

「そこで食べたのがハンバーグだったのね」

「そう。そうなんだけど、そのお店ね、ランチメニューの種類が少なかったの。
それで、メニューを見て、藤崎さんが私に<久遠さんは、ハンバーグですか?>
って聞いてきたの。それで、藤崎さんが、なんで、私がハンバーグ好きだって
知ってるのかって話になって、ちょっとした騒ぎになったの」

「へぇ~、それで、どうなったの?」

「藤崎さんから、ランチに行く前、二人で話してる時に、なんで連絡くれないのか
って言われたから、イベントが終わるまでは、メンバーに藤崎さんと個人的に
連絡を取り合ってることを知られたくないから、連絡は控えたいし、
自分から用もないのに連絡するのは苦手だって話をしてたの。

それなのに、<久遠さんは、ハンバーグですか?>って聞いてくるなんて、
何、考えてるの!?って思った」

「それで、質問に弦夜は何って答えたの?」

「私が夢の中に出て来て言ってたような気がするって。この答えも
ワケ分かんないと思わない?まだ、前に、ハンバーグが好きっていう話を
聞いたくらいにした方が自然でしょ?もう、意味分かんない!」

「それで、みんなは納得したの?」

「藤崎さんの夢に私が出て来たってことで、騒がれそうになった時、
レオンくんが、ほぼ毎晩、私が夢に出て来るって言ったの。

でも、変な意味ではなくて、いつも私が無茶するから、見張ってないと
行けなくて、だから、夢の中までも出て来るみたいな話をして、そこから、私が、
いつも勢いで突っ走っちゃうとか、無茶するとかっていう話になって、
レオンくんは、私のお守り係みたいな感じだって話になったんだ。
それで、なんとなく話がまとまったって感じかな。

ねぇ、アトランティーナ、藤崎さんは、なんで、あんなこと言ったんだろう?
ハンバーグのこともそうだし、夢に出て来るとか、そんなこと言ったら、
みんなに怪しまれるじゃない?それは、避けたいって言ってたのに・・・。
どう思う?」

「弦夜は、ミウの夢を見ることについて、何か言ってた?」

「なんかね、一緒に仕事をしているチームだし、プレゼンすることが
決まってから、プレゼンで勝利するまで、ずっと私のことをを見てきた中で、
『スゴイ人だな』って感心したって言ってた。それで、それが、いつしか
リスペクトに変わって、私のファンになったんだってさ。ホントかねって
感じだよね(苦笑)

それで、レオンくんも私の夢を見るって言ったら、レオンくんも私のファンなのか
って聞いたのね。そしたら、レオンくんがさっき言ったようなことを言ったの」

「そっかぁ・・・。それで、ミウの頭の中でクエスチョンマークが
グルグルしているのね」

「そういうことです。あとね、うちのチームの五十嵐智美だけど、
藤崎さんのこと、狙ってるような気がする」

「なるほどね。それで、ミウの中では、クエスチョンマークのグルグルに、
五十嵐智美に関するモヤモヤも加わっているということね。はぁ~、なんか、
10代の女の子の恋愛相談に乗っているような気がしてきたわ(笑)」

「笑い事じゃないんだってばっ!私にとっては切実なの」

「まあまあ、落ち着いて、ミウ。そういうことって、大人も子供もないのよ。
経験の量に関係するだけ。10代でも経験豊富な人もいれば、30代、40代でも、
あまり経験のない人もいるし。だから、大人でも慣れていなければ、分からない
こともあるし、悩むこともあるわ。ただ、神さまは、人間を悩ませるつもりは
ないのよ。ただ、目の前にある課題に取り組むことだけを求めているの。

とは言っても、理屈では分かっていても悩んじゃうこともあるわよね。それに、
<10代の女の子の恋愛相談に乗っているような気がしてきたわ>っていう、
私の言い方が悪かったわね。ただ、初々しいなって思っただけなの。微笑ましくて、
ちょっと嬉しくなっちゃって、からかいたくなっただけなのよ。ごめんなさいね。

私も人間っぽくなってきちゃったわね(苦笑)これじゃ、弦夜やレオンのこと、
言えないわね(汗)あらあら、もうコーヒーがなくなっちゃったわ。
じゃ、ミルクティーでも淹れるわね」


<次回へ続く>
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