ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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出来なかったのではなく・・・

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こんなに時間を掛けて食事するのって、アトランティーナと
暮らし始めてから初めてかも!?ゆっくり時間を掛けて
食事しながらのお喋りもまた良いもんだなって思っちゃった(笑)

明日は、水曜日だから、お昼に英語研修だ。そういえば、先週、
これから毎日、映画を観て予習するって言ってたのに、
結局、1回か2回くらいしか観てないや(汗)
まぁ、そんなもんなのかもしれないね(苦笑)

いつも2~3倍くらいの時間を掛けて食事を済ませた後は、
いつも通りチャッチャと片付けを終えた。
やっぱり、アトランティーナと一緒だとテンポ良く物事が
進んで行くから気持ちが良い。

食事の時もお喋りしたけど、食事を済ませた後のコーヒーブレイクも
欠かせない。
もちろん、コーヒーブレイクもお喋りタイムになるんだけどね(笑)

「今夜は、いつもと違って食事に時間を掛けたけど、
食事に時間を掛けると落ち着いて良いかもしれないわね」

「うん。そうかもしれないね。アトランティーナと暮らし始めて、
初めてじゃない?あんなに時間を掛けて食事したの」

「そうかもしれないわね。明日からもミウが思わず、味わいながら
食べたくなるようなメニューを考えなくちゃだわね(笑)」

「そんなのいいよ、別に。アトランティーナが作るご飯は、
いつも美味しいもん。ただ、今夜のハンバーグは、
反則レベルで私の好みにマッチしただけのことだから(笑)」

「反則レベルって、どんなレベルなの?(笑)」

「子供の頃、パパがたまに連れて行ってくれた定食屋さんがあったの。
おじいちゃんとおばあちゃんがやってるお店でね。そこのハンバーグ定食が
大好きで、今夜のハンバーグは、そこのハンバーグに似てたんだよね。
それで、懐かしくなっちゃったっていうのもあるかな。

あとね、あのハンバーグをどうしても再現できなかったのに、
アトランティーナが再現しちゃってたっていうのも感動だったかも(笑)」

「そうだったのね。そのお店は、今でもあるの?」

「ううん。もう、なくなっちゃった(苦笑)おじいちゃんもおばあちゃんも
亡くなっちゃったと思うしね。厨房は、息子さんがやってたみたいなんだけど、
息子さんは、定食屋さんを続けることに反対してたみたいだったから」

「子供なのに事情通ね」

「パパが言ってたから。それで、パパに無くならないと良いねって
話してたのを覚えてるの」

「そうだったの。じゃあ、思い出の味だったってことね」

「そういうこと。だから、また、今夜のハンバーグ、作ってね」

「もちろんよ!ミウがこんなに喜んでくれたんだもの。
また、近いうちに作るわね」

「やったー!」

「ところで、明日は、テルの英語研修でしょ?」

「うん。先週から始まったから明日は2回目だね。
でも、いろんなことがあり過ぎて、あれからまだ1週間しか
経ってないなんて、ちょっと信じられない感じ(苦笑)

それと・・・毎日、映画観て、予習するとか言ってたのに、
結局、1回か2回しか観られなかったなぁって、さっき思ったの(汗)」

「あ~、そういえば、そんなこと言っていたわね。
でも、それは、予習なんてしなくても良いですよっていう、
宇宙からのメッセージだと思えば良いんじゃないかしら?」

「なるほど!そういうことね」

「そうよ。本当にミウに必要なことだったら、宇宙がミウの背中を突いて、
忘れないようにするから。でも、やった方が良いかもしれないけど、
やらなくても大勢に影響はないからやらなくても良いよ~とか、
それは、やらない方が良いんじゃない?ってことに関しては、
ミウに忘れさせたりするのよ」

「へぇ~、そうなんだ!」

「例えば、買い物もそう。出かける前に『あれを買おう!』と思っていても
家に帰って来てから、『買おうと思っていたのに、忘れちゃった』って
いうことがあるでしょ?

あれも同じ。どうしても、その時に買う必要がある物なら、忘れさせないけど、
今日じゃなくても良いでしょ?っていう物は、買うのを忘れさせたりするのよ」

「えっ、どうして?だって、いずれは必要になる物なんだから、
忘れさせないで欲しいけどなぁ」

「宇宙はね、天使もそうなんだけど、買い置きを良しとしないところがあるの。
必要なものは、必要な時に手に入るという感覚を身につけて欲しいし、
そう信じて欲しいのね。だから、本当に必要なものだけがあれば
安心する状態でいて欲しいのよ」

「う~ん、分かるような気もするけど・・・。
やっぱり・・・買い置きはしたいかな(苦笑)
だって、万が一ってことがあるじゃない?」

「備えあれば憂いなしっていうことね。確かにそうなんだけど、
じゃ、実際、買い置きを忘れて困ったことってあった?
例えば、大きな災害があって品薄になった時、ミウはどうしたの?」

「無理には買わなかったかな。買い溜めもしなかった」

「それは、どうして?」

「お米でも、トイレットペーパーでも、本当に無くなって、
必要になった時には、手に入ると思ったから。
だから、無理して高い物を買う必要はないって思ったからかな」

「それで、結局、どうなったの?」

「思ってた通り、本当に必要になった時に、適正価格で
手に入れることが出来たよ」

「ほらね。そういうものなのよ。そういう経験をしているのに、
まだ買い置きや買い溜めをしたいと思うの?」

「うん。なんかね(苦笑)平和な時ほど、したくなるかもしれない。
なんでだろう?」

「なんでなのかしらね(苦笑)でも、ミウの深い部分では、
買い置きや買い溜めは不要だって分かっているんだと思うわ。
だから、いざ、そういう場面に遭遇した時は、冷静に行動することが
出来るのね。普段から、信頼して、冷静に行動して欲しいところだけどね(笑)」

「は~い、気をつけま~す(笑)でも、大丈夫だよ。
ちゃんと宇宙が必要ないものは、忘れさせてくれるんでしょ?
だから、大丈夫!」

「そうやって、宇宙に押し付けて・・・。ちゃんと分かっているんだから、
自分でコントロールしてください!」

「は~い。でもさ、それって、物に限った話じゃないよね?」

「その通りよ。物だけじゃなくて、経験もそうだし、人もそう。
必要じゃないことは、何でも宇宙が遠ざけようとしてくれるわね」

「だよね?だって、『あれっ?いつもだったら、こうするのに、
なんで、今回は動こうとしないんだろ、私』って思ったことがあったの。
でもね、そのすぐ後に動かなかった理由が分かったんだよね。
動かなくて正解だったんだけど。

だからきっと、「今は動かない方が良いですよ」って、見えない力が
私を抑えてくれたんだなって、心の中で感謝したことがあるんだ。
ずっと忘れてたけど、今、思い出した(笑)」

「経験済みじゃない、ミウ。だからね、自分で考えることも大事だけど、
委ねてしまうことも、とても大事なの。ミウが決めるのは、目的地だけ。
あとは、委ねてしまえば、気がついた時には、ちゃんと目的地に
立っていることが出来るのよ」

「それって、スゴイよね!なんか、魔法みたいで、ワクワクしちゃう」

「そう?じゃ、その魔法を発動させるために必要なことは、
目的地を決めること。そして、一度決めた目的地から目と心を
離さないようにすることね。もちろん、目的地の変更も出来るわよ。
ただ、今の目的地がどこなのかをミウの中で明確にしておく必要があるわね」

「そうだね。自分が今、どこに向かっているのかが分かっていないと
宇宙も天使も導きようがないもんね(苦笑)」

「そう、そうなのよ!車のナビゲーションシステムと同じなのよ。
ただ、海に行きたいって言われても、どこの海なのかが分からないと
案内することが出来ないでしょ?具体的にどこの海に行きたいのかまで、
セットする必要があるのと同じように、人生の目的地も同じで、
具体的に、誰が聞いても分かるようにセットしないと案内にしようがないのよ」

「そうだよね。海って言っても北海道の海なのか、沖縄なのか、ハワイなのか、
それとも千葉なのかが分かんないと飛行機の手配をするのか、
電車なのかも分かんないもんね」

「そういうことよ。だから、目的地のセットは、具体的にお願いしたいわね」

「は~い。それも肝に銘じま~す」

「なんか、話が随分と飛躍してしまったけど、何かを決めたけど出来ない時は、
出来なかったではなくて、敢えてやらなかったって解釈した方が良いと
いうことよ。買うのを忘れたではなくて、敢えて買わなかったってね」

「うん。確かにその方が、心の負担は減るね」

「でしょ?出来るだけ、心に負担をかけるのは、やめた方が良いっていうことよ」

「うん。今日も上手くまとまったね、アトランティーナ」

「はい。じゃ、今夜は、これでお開きにしましょう」

「は~い。じゃ、今夜はもう寝るね」

「ええ。その方が良いと思うわよ。明日もやることがたくさんあるんでしょ?
それに英語研修もあるしね」

「そうそう。また木曜日に模擬プレゼンするしね」

「それで、決まると良いわね。一度、『決まった!』って思えると、
その思いを本番まで持って行けるから、本番も思った以上の手応えを
感じられると思うわよ」

「うん、そうだよね!自分たちで納得のいく形に仕上げて、
これが私たちのベストですって言えるものにしておきたいからね。
そう思えたら、胸張ってプレゼンにも臨めると思うし」

「ミウ、成長したわね。今のミウなら、きっと上手く行くと思うわよ。
応援してるわ」

「ありがとう、アトランティーナ!」


<次回へ続く>
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