ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

文字の大きさ
上 下
98 / 297

魔法をかける!?

しおりを挟む
今日は、朝から盛りだくさんでビックリ!
チェリーは、毎日のことだけど、まさか、会社に行く途中で
レオンくんに会うなんて!しかも、また新しい発見ももらえたっていうか、
改めて、身体を持っているということに意識が向いたかな。
当たり前のようになってるけど、身体があるっていうことも
修行の一つなんだと実感した。

それにしても・・・。なんで、レオンくんは、そんなに恋愛に
こだわるんだろう?もちろん、最初が最初だから、
期待させちゃったのかもしれないけどね(苦笑)

だけど、一目惚れよりも一緒に居る中で、少しずつ気持ちが
高まっていくっていう方が安定感があるっていうのかなぁ、
良いと思うんだけどね。今、現在は、レオンくんに対して
恋愛感情はないけど、これから先もずっと恋愛感情を抱かないのかって
聞かれたら、私だって分かんないからね。

そうだ!アトランティーナが言ってた。蠍座は、ゼロか100なんだって。
オール・オア・ナッシングってやつ。
だから、恋愛感情があるか、ないかの二択なんだ!
私も月星座だけが蠍座だから、分からなくもないんだけど、
レオンくんは、極端すぎるって思う。

レオンくん、蠍座が多くなってしまったって言ってたけど、
いったい、幾つ蠍座を持って生まれて来たんだろう?
なんか、そこは、興味あるよね(笑)

「おはようございま~す!」

「あっ、おはようございます!今日も元気ですね」

「はい!今日も張り切って行きましょう!(笑)」

「チーフ、おはようございます。あれっ?レオンと一緒ですか?」

「駅から会社に向かってる時、偶然、会ったから一緒に来たの」

「え~っ、ホントに偶然なんですかぁ?」

「うん。ホントに偶然だよ」

「ま、そういうことならそれで良いです」

「何!?もし、私とレオンくんがつきあうことになった時には、
みんなに報告するから」

「ホントですか!?」

「うん。だって、別に悪いことじゃないでしょ?
そんなこと、秘密にしても仕方ないし。でも、今は、つきあってるとか、
そういうんじゃないから。それより、模擬プレゼンの準備は大丈夫なの?」

「もちろんです!バッチリですよ」

「そう。会議室は何時から取ってるの?」

「始業時間からです」

「分かった。じゃ、始業のチャイムが鳴ったら、会議室に行こうね」

さてさて、模擬プレゼン、どうなることやら・・・。
とりあえず、部長にも伝えておこうかな。

「おはようございます」

「おはようございます。今日の模擬プレゼンのことですよね?」

「はい。始業チャイムが鳴ったら、会議室に移動しますので、
よろしくお願いします」

「はい。分かりました」

また、誰がお茶出ししたとか、面倒だから、自分でお茶を持って
会議室に行くように話した。そんな小さなことで、
揉めるのもなんだからね(苦笑)

「キンコーン、カンコーン」

チャイムと同時に、みんな席を立って、会議室に向かった。
部長の方を見ると無言で、頷いて、部長も席を立ってくれた。

会議室にメンバーが集合した後に部長も会議室に到着。
部長が入ってきて、みんなビックリしてたみたい。

「私たちだけで模擬プレゼンをやるよりも部長にも見て頂いた方が
良いと思ったので、部長にお願いしました。
当日は、めっちゃ緊張するだろうから、模擬プレゼンでも緊張感を
感じて欲しかったからね。じゃ、スマホだけど、録画のセットするから、
後で、これも見て、確認しましょう」

「あの・・・チーフ、プレゼンは、チーフとレオンくんがするんですよね?」

「ううん。全員でやろうと思ってる」

「え~っ、マジですか!?」

「うん。だって、こんな大きなプレゼンなんて、滅多に経験できないから、
全員、経験した方が良いと思うよ。だから、パート別にプレゼンする人を
変えて、進めて行こうと思ってる」

「なるほど・・・。だから、模擬プレゼンをするんですね。
いやぁ~、チーフとレオンがプレゼンするんだと思ってたから、
どうして模擬プレゼンなのかなって思ってたんですよ。

それでも、チーフは、用意周到だから、念には念を入れてって
ことなんだと思ってました。でも、俺たち全員で、プレゼンをするなら、
絶対に模擬プレゼンは必要ですからね。
チャンスをくださって、ありがとうございます!」

「みんなで資料作ったし、みんなで勝ちたいじゃない?それだけのことだよ。
だって、このプレゼンは、うちのチームの作品だから」

「ヤベッ、泣きそう」

「こんなことくらいで何言ってんのよ!(笑)」

「だって、前にいたチームだったら、絶対にチーフが一人でプレゼンしてたと
思いますもん。久遠チーフのチームに来て、本当によかったです。
ありがとうございます!」

「何のためのチームなの?チーム全員で、分かち合いたいじゃない?
そうじゃなかったら、チームで仕事する意味ないでしょ!じゃ、始めるよ」

「は~い!」

部長が微笑ましそうに見ていて、「少しだけ口を挟んでも良いですか?」
って、プレゼンの手順を決めている時に声を掛けてくれた。
もちろん、経験豊富な部長の意見は、参考になるから、
アドバイスを頂いたよ。これは、うちのチームの仕事でもあるけど、
部としても、このプレゼンに勝てれば、大きな収益に繋がるからね。

こうやって、みんなで何かを創り上げて行くのって、本当に楽しい。
でも、前の私だったら、面倒臭がって、こんなにみんなを巻き込んで
一つの作業をしようとは思わなかったかもしれない。
これも、私にとっては、大きな変化であり、成長の一歩だと思ったんだ。

こうして、気がつかないうちに人は、色々なことに影響を受けて変わって
行けるんだね。もちろん、良い変化だけじゃなくて、時には、悪い変化も
あるんだろうけど。

でも、変化に良いとか、悪いって、もしかしたら無いのかもしれないよね。
どんな形でも変化はした方が良いって思うんだ。

現状維持っていう言葉があるけど、現状維持するためには、
少しずつでも前に進んでいないと出来ないんだよね。
だって、時間が止まることはなくて、ずっと前へ前へと進んでいくんだから。
じっと、その場所にい続けるってことは、時間に置いていかれちゃうって
ことでしょ?

現状維持にしても前に進んで行かなきゃいけないのなら、
もっと、グッと前に進んだ方が良いと思わない?

だって、その方が絶対に楽しいじゃん!自分で自分が変わったってことに
気がついた時、上手く言葉にならないけど、めっちゃ嬉しいんだよ。
それに、『もっと前に行くぞ!』って、テンションが上がるっていうか、
やる気が湧いてくるっていうか、そんな感じになるの。

だから、自分も周りもビックリするくらい、大きく一歩を
踏み出していたいって私は、思うんだよね。

変化するのって、自分に魔法をかけるみたいな感じなんだと思う。
想像してみて。魔法の杖をクルクルッて振ると自分が変化するの。
普通の女の子がプリンセスになっちゃうみたいなアレ(笑)
なんか、こう考えるとちょっと楽しくならない?

模擬プレゼンは、まぁ、なんとか終わらせることが出来たけど、
やっぱり、週の初めの方にやってみて良かった。だって、課題が
盛りだくさんだったんだもん(笑)でも、これも想定内のこと。
また、木曜日、だから明後日に修正して、模擬プレゼンをすることになったの。

もちろん、部長もまた同席してくれるって、約束してくれた。
みんなも自分もプレゼンをするんだってことで、気持ちの入り方が
変わったみたい。たぶん、ううん、きっと良いプレゼンになる!
そんな予感がしてる。もう、勝ち負けなんて、どうでも良いかも(笑)

もちろん、やるからには勝ちたいけど、それよりも、もっと大きなものを
このプレゼンを通して、掴んだ気がしてるんだよね。
こういうチャンスを頂けたことに感謝だね。

席に戻ってから、すぐに藤崎さんに電話した。
今日は、忘れずに電話するって、心に決めてたからね(苦笑)

「おはよございます。いつもお世話になっております。
シネムンドの久遠ですが、藤崎さんはいらっしゃいますか?」

たぶん、本人だろうなとは思ったけど、ここは一応ね。

「おはようございます。藤崎です」

「あっ、昨日は、電話をしなくて、申し訳ありませんでした」

「いいえ。プレゼンも来週に迫っていますからね。
お忙しいのだろうと思っていました」

「でも、毎日、午前中に電話するって約束しましたから」

「久遠さんは、真面目なんですね」

「いえ、一度約束したこと、それも自分から言い出した約束ですから、
破ってはいけないと思うのは、人として、当然のことだと思います」

「ほら、そういうところが真面目っていうんですよ(笑)」

「あっ、そうですね(笑)」

「プレゼンの準備は順調ですか?」

「はい、お陰さまで、先ほど模擬プレゼンを終えたところです」

「模擬プレゼンですか!?」

「ええ。悔いを残したくないので」

「そこまで、本気で取り組んで頂けているんですね。
なんか・・・感動しました」

「そんなっ!逆にプレッシャーですね(苦笑)」

「そんなにプレッシャーに感じないでください。でも、楽しみにしています。
それと、明日以降ですけど、電話はもうしなくて大丈夫ですよ。
プレゼンの方向性も決まっていると思いますし、何より忙しいと思うので、
この電話で終わりにしましょう。来週、月曜日のプレゼンでお会いできることを
楽しみにしています」

「あっ、分かりました。では、来週、プレゼンで。
お気遣い頂き、ありがとうございます。失礼いたします」

良かった。昨日、電話しなかったことで、印象が悪くなってなかったみたい。
何より、それが気になってたんだよね。私のミスで、今回のプレゼンが
悪い結果になったらイヤだなって。

あっ、そうだったんだ!なんで、たった1回の電話を忘れたくらいで、
あんなに気分が沈んだのかって、今の今まで分かんなかった!
自分のミスで、みんなで頑張って来たことが無駄になってしまうかもしれないって
思ってたんだ!

感情の出どころって、マジで分かんないもんなんだね。
でも、分かると当たり前かもしれないけど、スッキリする。
まだ、プレゼンが終わったワケじゃないけど、肩に入ってた力が少し抜けて、
ラストスパート掛けられそうな気がしてきた。

だから、何か感情が湧き起こってきたら、その出どころを探るのは
大事なことなのかもしれないね。ネガティブな感情の時は特に。
だって、そのまま放置してたら、ずっと気持ちが悪いままで、
たぶん、他のことにも影響を及ぼしそうじゃん。

今、この瞬間に意識を集中することも出来なくなるしね。
あ~、そういうことだ!全ては、【今、この瞬間】に意識を集中するため
なんだ!過去を引きづらないことも未来のことを思い悩まないことも
ネガティブな感情の出どころをハッキリさせることも、みんなそうなんだ!

それだけ、【今、この瞬間】を生きる、意識を集中させることは、
重要ってことだよね。なんかまた、一つ賢くなった気分。
こういった小さな積み重ねが、きっと、大きな一歩に繋がっていくんだなぁって
思ったら、一気に目の前が大きく拓けたような気分になった。


<次回へ続く>
しおりを挟む

処理中です...