ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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キッカケは、いつも愛

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中に入るとガラガラ。今日は、月曜日だし、仕事終わりは、
お茶よりは飲みに行く人も多いだろうしね。

私も仕事終わりにお茶するなんて、早退した時依頼だなぁ・・・。
そんなに前のことじゃないのに、めっちゃ懐かしい感じがする。
思い返してみると、あれから、ずいぶん遠くまで来たような気がする。
もちろん、戻りたいなんて思わないし、スピードを緩めようとも
思ってないけどね。

アトランティーナには、帰りにレオンくんとお茶して帰るって
メールだけしておいた。心配するといけないから。

そしたら、<お茶なんて言わないで、ご飯も一緒に食べてくれば?>って
返信が来た(苦笑)だから、<ご飯はアトランティーナと一緒に食べたいの。
だから、あんまり遅くならないようにするから、食べないで待っててね>って
返してみた(笑)

どこでも好きなところに座って良いってなると、どこに座ったら良いのかが
分からなくなるっていうか、迷うよね。私が、どこに座ろうか迷ってると、
レオンくんが先に席に座ってくれた。
こういう時、レオンくんは迷わない人なんだねって、ちょっと感心しちゃった。

「ミウさん、勝手に座っちゃいましたけど、席、ここで良いですか?」

「うん。良いよ。なんかさ、選び放題だと逆に、どこに座ったら良いのか
迷っちゃうんだよね(苦笑)先に座ってくれて、助かった。ありがとう」

「いいえ。とりあえず、座らないと話が出来ないなと思ったので。
ミウさん、あんまり長く居られないと思うし」

「ありがとう。重ね重ね、お気遣いに感謝です(笑)」

私たちが席に着くと、すぐに注文を取りに来た。

「とんでもないです!ところで、ミウさん、何にしますか?僕はコーヒーで」

「私は・・・アイスラテ?アイスオレ?で」

「畏まりました」

とても静かなお店の雰囲気に合う、物静かで、丁寧なマスターだった。
無駄口はきかないタイプっぽいんだけど、人を拒絶する感じでもなく、
落ち着いた感じで、くつろげそうなお店だった。

これもシンクロニシティーなのかな?だって、ひと息吐きたくて
入ったお店だから、こういうお店が思い描いたお店だからね。

「ふぅ~。それにしても、少しでも話が前に進んで良かったね」

「本当にそうですね。あのクライアントって、どういう経緯で
獲得したんですか?」

「アトランティーナが部長だった頃にクライアント契約を結んだんだけど、
ほとんどすぐに部長が真田部長に変わっちゃったからね。
アトランティーナから引き継いで、真田部長がやりとりはしてたみたいだけど、
小さな案件を一つだけしか取れなくて、そのままになっちゃったの。

その後、レオンくんが来て、うちのチームが外資系っていうか、
海外担当みたいになったでしょ?
だから、今まで、ほとんど取引がなかったところも積極的に電話してたんだ。
せっかく、アトランティーナが取ってきたクライアントを
失くすワケにはいかないって思ったから。

でもね、何度、電話しても留守でね。一応、毎日、電話だけはしてたんだけど、
だんだんダメ元って感じで電話してたの。だから、今日、話せた時には、
マジでビックリした(笑)しかも、そのままアポまで取れちゃって、
ビックリを通り越しちゃって、夢見てるような感じだった。

だから、レオンくんに同行をお願いしたんだよね。他の人だと
私のエネルギーに影響されて、一緒に舞い上っちゃいそうだったから。
でも、こういう時こそ、しっかり地に足つけてないと、
まとまる話もまとまらなくなっちゃうでしょ?」

「なるほど。それで、僕に声をかけてくれたんですね。
『なんで、僕なんだろう?もっと他にベテランの人がいるのに』って
思ったんですけど、そういうことだったんですね。
僕のこと、信じてくれて、ありがとうございます」

「そこは、元守護天使だもん。信用するでしょ」

「ははは(笑)」

「実は、昨日と一昨日、アトランティーナにチャクラのことを
教えてもらってたのね。2日間だから、主要チャクラ7個全部は、
無理だったんだけど、第1~4チャクラまでをやったの。

それでね、第4チャクラで、シンクロニシティーのことを
教えてもらったの。今日のこと、正に、シンクロニシティーだよね?」

「ミウさんは、どうして、今日のクライアントと
仕事がしたかったんですか?さっき話していましたけど、
あの理由が全てですか?」

「う~ん・・・。アトランティーナが取ってきてくれた
クライアントだから、何もしないまま失くしちゃうのはイヤってことも
あったけど、映画が好きで、映画や映画館を使ったプロモーションを
積極的にやってる会社だから、今までやったことがない、
何か新しいことが出来るんじゃないかなって思ったこともあるかな。
なんか、面白いことが出来そうな予感っていうの?
だから、どうしても話をしたかったのかもしれない」

「そうですか・・・。だったら、今日のことはシンクロニシティーですね」

「えっ、どういうこと?」

「シンクロニシティーっていうのは、愛のある考えから、
愛のある行動をした時に起こることなんですね。ミウさんが、今、話してくれた、
今までやったことがない、何か新しいことが出来るんじゃないか、
面白いことが出来そうな予感がした、というのは、どれも愛なんですよ。
だから、シンクロニシティーが起こる条件を満たしていたんですね」

「あっ、そっか!あ~、こういうことなんだ!」

「えっ、何がですか?」

「アトランティーナからね、よく言われるの。行動の動機は、いつも愛だって。
それ以外の動機で行動しない方が良いって。今日の私は、愛が動機で
行動することが出来たから、望む結果を引き寄せることが出来たんだなって。

あっ、分かった気がする。行動の動機は愛っていう言い方をするから
難しくなっちゃうんだ。【キッカケは、いつも愛】って言った方が
分かりやすいかも。まぁ、どっちでも良いんだろうけど(苦笑)

そっかぁ、だから、身体は、少し疲れてるけど、めっちゃ気持ちが良いって
いうか、まだ、何も具体的には決まってないのに、なんか達成感まで
感じちゃってるんだよね(笑)」

「そうですか。確かにミウさん、キラキラしていますもんね。
僕は、ミウさんの役に立てましたか?」

「うん。とっても!」

「それは、良かったです。少しでもミウさんのお役に立てなければ、
僕が生まれて来た意味がないですからね」

「えっ、そんなことないでしょ!誰でも意味なく生まれることなんて
ないんでしょ?レオンくんは、私の役に立つためだけに生まれて来たワケでは
ないと思う。他にもちゃんと意味があって、今、ここにいるんだよ。違う?」

「なんかミウさん、天使みたいですね(笑)その発想は、天使ですよ」

「えっ、ホント!?なんか、嬉しい♪ありがとう!」

「ま、ミウさんも元々は、天使だったかもしれないですからね」

「えっ?アトランティーナにも言われたんだけど、どうなのかなぁ?」

「アトランティーナから聞いているかもしれませんけど、僕たち守護天使は、
天使の階級では、下の方なので、詳しいことは、何も分からないんですよ。
でも、ミウさんは、天使っぽい気がします。天使じゃなかったとしても、
スピリットの始まりは、人間ではなかったと思いますよ」

「そうなのかなぁ?自分では、よく分かんないけど・・・。
どっちでも良いかな(笑)」

「ま、そうですね。ミウさんがミウさんであることは間違いないですからね。
あと、さっき、これから直接やりとりをすることになった藤崎っていう人、
彼は、おそらく、僕たちと同じ、ミウさんの元守護天使だと思いますよ」

「え~っ、そうなの!?」

「はい。彼の名前、藤崎 弦夜っていう名前を見て、ピンと来たんです。
もし、その彼なら、大天使ハニエルっていう、月の女神のような大天使が
いるんですけど、その大天使ハニエルの下にいた天使なんですよ。
だから、月をこよなく愛していて、彼は、上弦か下弦の月の夜に
生まれてきたはずです」

「だから、弦夜。なんか、そう考えるとキレイな名前だね」

「もう少し話せるようになったら、名前の由来を聞いてみると良いですよ。
それで、もし、上弦か下弦の月の夜に生まれたのなら、
ミウさんの元守護天使だし、新しい提案は、新月を迎えた直後に出すと
良いと思います」

「なるほど。始まりの新月だね。ところで、今度の新月っていつだっけ?」

「2、3日前に満月を迎えたから、2週間後くらいだと思いますよ。
調べれば、すぐに分かります。ちょっと待ってください。
・・・あ、やっぱり!満月は土曜日だったんですね。
だから、13日後に新月を迎えます」

「ってことは、13日後に企画を送るには、10日後くらいまでには、
企画を仕上げる必要があるってことだよね?うわっ、ちょっと大変かも。
でも、やるしかないよね!まだ、私の元守護天使かどうかは分かんないけど、
そうだと仮定して、その日までに準備しておいた方が良いもんね。
でも、10日後かぁ・・・。ちょっとシンドイね(汗)」

「僕も協力しますし、明日、みんなに今日のことを話して、
みんなにも協力してもらいましょう!」

「うん!そうだね!新規案件、成功させたいもんね」

「はい!成功させましょう!
ところで、あの後、ハヤトには会ったんですか?」

「先週の金曜日に<週末、デートしよう>ってメールが来たけど、
アトランティーナにチャクラのことを教えてもらう約束してたから断ったけど、
なんで?」

「いや、特に理由はありませんけど・・・。
ハヤトと会ってるのかなぁ、と思ったので」

「ううん。会ってないよ。今週末もチャクラの続きを教えてもらう予定だから、
もし、またメール来ても断るしね」

「そうですか・・・」

「ねぇ、レオンくん。悪いんだけど、そろそろ、帰っても良いかな?(苦笑)」

「はい、大丈夫です。家でアトランティーナが待ってますもんね」

「うん。さっき、ご飯、食べないで待っててってメールしたから」

「じゃ、お腹が空き過ぎて、アトランティーナが暴れる前に帰った方が
良いですね(笑)」

「ははは(笑)ありがとう、レオンくん。じゃ、また明日ね」

「はい、また明日。お疲れさまでした」

思いがけず、実り多い週の始まりになったな。
チャクラって、マジでスゴイ!って思った。チャクラを整えることで、
心と身体、そして、運まで整えることが出来るなんて!
やっぱり、アトランティーナにおねだりして良かったな。

藤崎弦夜くんのこと、アトランティーナに聞いてみよう!
もし、レオンくんが言うように、私の元守護天使だったのだとしたら、
あの芳村部長も元々は人間じゃないのかも?ってことになるよね?
そもそもアトランティーナが取ってきたクライアントだし、
大いにその可能性はある!そこのところも聞いてみよう♪

「ただいま~!遅くなってごめんね」

「おかえり、ミウ!本当にお茶だけなの?ご飯食べてくれば良かったのに」

「私は、アトランティーナと一緒にご飯を食べたいの!」

「それは、嬉しいんだけど、レオンは、大丈夫だった?」

「えっ、何が?」

「ミウと一緒にご飯が食べた~い!って、ダダこねなかった?(笑)」

「レオンくんは、大人だから、そんなダダはこねません(笑)」

「あら、そう(笑)ご飯の用意、出来てるから、すぐに食べられるわよ」

「ありがとう、アトランティーナ!じゃ、手洗って、着替えてくるね。
あっ、あとね、ご飯食べ終わってから、報告したいことがあるんだ♪」

「えっ、なになに?」

「ご飯食べ終わってからね」

「じゃ、早く食べましょう!ミウ、急いで!」

「は~い」

ご飯食べる前にヘンなこと言っちゃったかな?(汗)
今夜のアトランティーナ、いつにも増して、食べるのが早い気がする。
食べ終わってから言えば良かったかもしれないって、ちょっと後悔。
アトランティーナの好奇心も私に負けず劣らず、スゴイよね(笑)

ご飯を食べ終わって、いつものようにコーヒーを丁寧に淹れる。
コーヒーの香りって、ホント、めっちゃ癒されるんだよね。
コーヒーって飲むのも好きだけど、飲む前の、この淹れてる時が
一番好きかもって思っちゃう。

淹れたてのコーヒーを置くと、
早速、アトランティーナが身を乗り出してきた。

「で、報告って?」

「アトランティーナ、最近、私に似てきちゃったね。
せっかち過ぎだから(笑)」

「え~、だって、気になるじゃない?(笑)」

「あのね、第4チャクラの効果が出たの!」

「えっ、どういうこと?」

「アトランティーナが取ってきた新規クライアントがあったでしょ?
ほら、外資系の飲料メーカー」

「あ~、ブルータイガーのこと?」

「そう!でも、取ってきてすぐに部長が交代しちゃって、
あの後、真田部長が小さい案件を一つ発注もらっただけで、
その後、何もなかったのね。

それで、うちのチームが海外担当みたくなったじゃない?
だから、なんとか大きな案件も取りたいと思って、毎日、電話してたんだけど、
いつも留守で、全然ダメだったの。

それが、今日、午後イチくらいに電話したら、捕まって、ちょうど今、
出かけるところだったって言うの。それで、今日の夕方なら時間が取れる
っていうから、そのままアポ取って、レオンくんを連れて行って来たの。
そしたら、こちらの提案に興味を持ってくれて、具体案を出すことに
なったの!スゴくない!?

これって、シンクロニシティーだよね?第4チャクラのバランスが整ってると
シンクロニシティーが起こるって。

今日、早速、シンクロニシティーが起こったんだよ!一応、レオンくんにも
<これってシンクロニシティーだよね?>って確認したの。

そしたら、

<ミウさんは、どうして、今日のクライアントと仕事がしたかったんですか?>

って聞かれたから、アトランティーナが取ってきてくれたクライアントだから、
何もしないまま失くしちゃうのはイヤだったっていうのもあるけど、映画好きで、
映画や映画館を使ったプロモーションを積極的にやってる会社だから、
今までやったことがない、何か新しいことが出来るんじゃないかなって思ったし、
なんか、面白いことが出来そうな予感があったから、
どうしても話をしたかったって言ったら、

<だったら、今日のことはシンクロニシティーですね>って。
どういうことかなと思って聞いたら、

<シンクロニシティーっていうのは、愛のある考えから、愛のある行動をした時に
起こることなんですね。ミウさんが、今、話してくれた、今までやったことが
ない、何か新しいことが出来るんじゃないか、面白いことが出来そうな予感が
した、というのは、どれも愛なんですよ。
だから、シンクロニシティーが起こる条件を満たしていたんですね>

って、レオンくんが教えてくれた。アトランティーナが言ってた、
<行動の動機はいつも愛>っていうのは、こういうことなんだって、
やっと実感レベルで分かったの!

それとね、【行動の動機はいつも愛】っていう言葉が、
ちょっと難しかったみたい(汗)それで、【キッカケは、いつも愛】って
覚えるようにしたの。こっちの方がスムーズに入ってくるんだよね。
ちゃんと落とし込めたって感じもするの。ね、スゴイでしょ!?
だって、昨日の今日だよ!もう感動しちゃった!」

「そう、そんなことがあったの!スゴイじゃない、ミウ!
【キッカケは、いつも愛】っていうのもミウらしくて良いと思う。
自分の言葉にして覚えるのが一番なのよ。よく、自分の言葉を見つけられたわね。

それと、レオンを連れて行って良かったわね。仕事の面だけじゃなくて、
ミウの個人的な部分にも良い影響を与えてくれたみたいだし・・・。
さすが、元守護天使って感じね」

「うん。初めて行くクライアントだし、外資系だったし、アポが取れた経緯が
経緯だったじゃない?ダメだって分かってても、私、舞い上っちゃいそうだったから、
他の人だと私のエネルギーに影響されて、一緒に舞い上っちゃうじゃん。
その点、レオンくんなら冷静に対処してくれるかなぁと思って(苦笑)

でも、まさか、私個人の成長に関わるところまで、良い影響を与えてくれるなんて
思ってもみなかった。でも、ホント、レオンくんに声かけて、良かったなって思ってる。
アトランティーナが言うように、さすが、元守護天使って感じだよね(笑)」

「確かな人選もチーフの仕事の一つだものね。今日は、レオンが適役だったと
思うわ。レオンなら、ミウがどんなに舞い上がったとしても、その状況を
見極めて、多少、強引な手を使ったとしても、ミウを地上に降ろして、しっかりと
地に足をつけさせてくれるものね(笑)」

「でしょ?(笑)あっ、あとね。先方の芳村部長と会ったんだけど、
芳村部長は、ほとんど席に居ないから、これからは藤崎さんっていう人と
やりとりをしてくださいって言われたの。

でね、レオンくんが言うには、この藤崎さんっていう人、もしかしたら、
レオンくんやハヤトくんと同じで、私の元守護天使じゃないかって。
だから、アトランティーナに聞いてみようって思ったんだけど、どうなの?」

「レオンは、なんで、藤崎さんが、自分達と同じ、
ミウの元守護天使だと思ったの?」

「名刺交換をしたんだけど、藤崎さんの名前が【弦夜】だったのね。
それで、ピンと来たんだって。もし、レオンくんが思っている、
私の元守護天使なら、大天使ハニエルっていう月の女神みたいな大天使がいて、
その大天使ハニエルの下にいた天使なんだって。月のことをこよなく愛していて、
上弦か下弦の月の夜に生まれてきたから、名前が弦夜。もう少し話せるように
なったら、名前の由来を聞いてみると良いですよって。

それで、もし、レオンくんの言う通りなら、企画の提案は、新月の日にした方が
良いって言われて、調べたら13日後が新月なのね。
だから、10日くらいで企画をまとめようって話になったの」

「さっすが、レオンね!その通りよ!仕事、デキそうな雰囲気、
醸し出してたでしょ?普段は、力が抜けてて、ちょっと心配になることも
あるんだけど、いざ仕事ってなると、物凄いポテンシャルを発揮するの。
弦夜が担当になったのね。それは、ますます楽しみじゃない。
良い企画、立てないとね」

「なんか、芳村部長が藤崎さんに私のことを

<なかなか斬新なアイデアをお持ちの方だから、一緒に企画を詰めて、
実現に向けて取り組んでくれるかな?>

って言ってたんだよね。マジで、プレッシャーかけられたよ(苦笑)

それにしても、藤崎さん、やっぱり、そうなんだ!ってことは、
私のことも知ってるってこと?」

「今日、気づいたかどうかは、分からないけど、知っているわよ」

「じゃ、芳村部長も元々は、人間じゃないの?」

「彼は、私が手配した人じゃないから分からないわね。人間になってから、
仕事で意気投合して、いつか一緒に仕事しましょうって話になって、
クライアント契約を結んだから」

「えっ、それなのに、真田部長に引き継いじゃったの?」

「ええ。だって、サナト・クマラよ!何の問題もないでしょ」

「え~っ!芳村部長は、アトランティーナと仕事がしたかったんじゃないの!?
それなのに、契約したと思ったら、真田部長でしょ?ガッカリしちゃうよ。
だから、ちっちゃな案件だけで、話が終わっちゃってたんだね。なるほどね」

「それ、サナト・クマラに失礼じゃない?(笑)」

「だって、芳村部長は、キレイで、ちょっとセクシーな阿刀田蘭子部長と
仕事がしたかったワケでしょ!?そりゃ、次の仕事が来ないはずだわ(笑)」

「でも、ミウが繋げてくれたじゃない!さっすが、ミウ!」

「もうっ!そうやって、すぐ誤魔化すんだから!(笑)」

「それで、どんな企画を立てようと思っているの?」

「ロビー・プロモーションを提案しようかなって思ってる」

「良いんじゃない。派手にした方が良いわよ。芳村部長、派手好きだから」

「でも、担当っていうか、窓口は藤崎さんだよ」

「でも、最終的に決めるのは、芳村部長でしょ?弦夜に権限はないはずよ」

「あっ、そっか。藤崎さんは、窓口だもんね。
でも、派手にするとなると金額も上がっちゃうよ」

「金額に見合う内容なら、問題ないんじゃない?
あの会社、そこそこ持ってるから」

「へぇ~、そうなんだ」

「当たり前じゃない!体力がない会社とは、契約なんて結ばないわよ」

「さっすが、阿刀田部長!やるぅ~」

「企業人としては、当然ね」

「フゥ~、カッコイイ」

「もう、茶化すんじゃないわよ。それにしても、また面白い展開になりそうね。
明後日には、テルも参入でしょ?」

「参入っていうか、明後日の昼に来るね。でもさ、お昼食べながら、
英語の勉強って、どうやってするんだろう?」

「ま、そこはミウが心配しなくても大丈夫よ。
テルだって、考えているでしょうから」

「確かに、私が心配することじゃないね」

「な~んか、私まで楽しくなってきちゃったわ!ミウ、チャクラの勉強を始めて
良かったわね。きっと、これからもシンクロニシティーが起こるわよ。楽しみね」

「でもさ、今日は初めてだったから感動したけど、しょっちゅう起こったら、
そのうち、この感動も薄れちゃうのかなぁ?」

「良いじゃない!シンクロニシティーが日常的に起こるなんて、ステキなことよ。
ミウは、起こって欲しくないの?」

「そういうことじゃないけど・・・。
期待が大きくなると起こらなかった時のショックが大きいかなっていう
心配もあったり、なかったり・・・って感じ?」

「期待なんて、しちゃダメよ。期待っていうのはね、【私は信じていません】って
言っているのと同じことなの。だって、信じていたら、期待なんてしないでしょ?
信じているんだもの、そうなるのが当たり前じゃない?当たり前に起こることに
期待なんてしないものじゃない?」

「あっ、確かに!言われてみれば、そうだよね?期待って、ポジティブなことだと
思ってたけど、実はネガティブなことだったんだ!うわぁ、新しい発見!
ありがとう、アトランティーナ!」

「どういたしまして。そうね、期待することは良いことだと思っている人が
多いのかもしれないわね。でも、どう?期待するって、『そうなったら良いなぁ』
ってことでしょ?『そうなったら良いなぁ』って思っていると、宇宙は、永遠に
『そうなったら良いなぁ』って思えるように協力してくれるということだから、
ずっと【そうなる】ことはないということになるわよね?

つまり、期待し続ける限り、永遠に願いが叶うことはないの。
期待は障害物以外の何物でもないってことよ。人生を幸せに送ることを
邪魔する影みたいなものね」

「期待は障害物、人生を幸せに送ることを邪魔する影かぁ・・・。
なんか、ちょっと怖いね(汗)

今まで、っていうか、アトランティーナに言われるまで、気づかなかったよ。
なんとなく、期待することは良いことって思ってた。
これも一つの思い込みなのかもしれないね」

「あっ、思い込みね。世間一般では、良いこととされているみたいだから、
その流れに乗ってしまっているということね。
じゃ、ミウが、その流れを変えていけば良いってことじゃない」

「そうやって、また簡単に言うんだから」

「だって、簡単よ。人生は、いつだってシンプルなの。もう忘れちゃったの?」

「あっ、そうだった(苦笑)これも、すぐに抜けちゃうよね(汗)
うん、分かった!私が流れを変えて見せましょう(笑)」

「楽しみにしているわ(笑)
あっ、そういえば、レオンに<私のこと、可愛いって思う?>って聞いた?」

「はぁ~?そんなこと、聞けるワケないじゃん!」

「じゃ、ミウの良いところはどういうところかは?」

「あっ、それ聞くの忘れた!」

「あら残念。今日なんて、良い機会だったと思うけど」

「そうだよね(汗)でも、今日の件で、また打ち合わせとかもするだろうし、
今度は、忘れずに聞いてみるよ。っていうか、なんで、
私よりアトランティーナの方が楽しみにしてるの?(笑)」

「だって、気になるじゃない。もはや、娘を持つ母親の心境ね(笑)」

「え~っ、そうなの!?アトランティーナがママだったら嬉しいけど、
ママっていうよりは、お姉ちゃんだよね」

「私は、ミウのママであり、お姉ちゃんであり、親友であり、
サポーターであり・・・って、たくさんの役割を持ってるのよ」

「うん、それは分かってるし、私もそう感じてるよ」

「じゃ、レオンとハヤトに聞いてきて!それから、今後は、テルと弦夜にもね」

「それって、課題?」

「はい、そうです」

「マジ!?」

「はい、大マジです(笑)」

「じゃ、忘れないように聞いてきま~す」

「はい、そうしてくださ~い(笑)」


<次回へ続く>
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