HSP小説

(1)セミが鳴り止まない暑い、ある夏の日。私は自分への見る目が変わった。
私は高校2年。男子バレー部のマネージャーをしている。今日は自分たちの学校で他校との練習試合がある。練習試合開始は8時。でもマネージャーとして早めに学校についてビブス、ドリンク、体育館の試合の準備。などやることは山ほどある。だから私は1時間早く学校について準備をする。残念な事にマネージャーは私1人。
「1人ぼっちできつい。やめたいな」
と思ったことは今までもあったが選手の活躍の貢献できていると感じる事ができてからはその気持ちは吹っ飛んだ。だから今もこうやって男子バレー部のマネージャーを続けて来れている。

 (2)
今日の練習試合は5勝1敗。1敗したものの競った試合だったので選手たちもいい経験になったようだった。そして体育館の片付けを終え、家に帰る。
「疲れた。、、」
この一言しか出ない。でもマネージャーはきついもの。自分は当たり前の事をしているだけと自分に言い聞かせた。男子バレー部は部員30人と学校の中でも部員1番多い部活動だ。その全員分のドリンク。ビブスを用意してスコアと選手のミス、癖などをノートにメモする。まるで海で縦横無尽に動き回るマグロのようだ。家に帰るとすぐにお風呂に入る。ここでふと私は思った。
「どの部活のマネージャーもこんなにきついのかな?」
疑問を持ちながら風呂を出て、タオルで頭を拭きながら居間で考え込んでいると、、
「何でそんな怖い顔してんの?笑」
と兄が話しかけてきた。
「お兄ちゅんのサッカー部のマネージャーって練習試合の時は何時に学校にきてる?」
「何だよ急に。8時ぐらいじゃね。ドリンクもビブスも俺たちがやってる。マジで動かんのよ笑」
「えっ!?!?」
私は驚きを隠せなかった。8時試合の準備も終わらせて、選手のアップをみてノートを取っている時間だ。
「こんな差があったんだ。じゃあ私のやってる事ってズゴイ事なのかな?」
今までは自分が普通だと思って行動してきたが、周りをみたらそんな事はないらしい。自分はすごい人。素直に嬉しかった。
 (3)
 あの日の夜の兄との会話をきっかけに私はよりマネージャーの仕事に熱心の取り組むようになった。なぜなら自分は普通ではない事がわかったから。
「私はすごい人」
と心の中で言いながら今日もドリンクを作り、ノートをとる。
24h.ポイント 0pt
0
小説 195,571 位 / 195,571件 児童書・童話 3,594 位 / 3,594件

あなたにおすすめの小説

王さまとなぞの手紙

村崎けい子
児童書・童話
 ある国の王さまのもとに、なぞの手紙が とどきました。  そこに書かれていた もんだいを かいけつしようと、王さまは、三人の大臣(だいじん)たちに それぞれ うえ木ばちをわたすことにしました。 「にじ色の花をさかせてほしい」と―― *本作は、ミステリー風の童話です。本文及び上記紹介文中の漢字は、主に小学二年生までに学習するもののみを使用しています(それ以外は初出の際に振り仮名付)。子どもに読みやすく、大人にも読み辛くならないよう、心がけたものです。

しにがみさんとりくくん

ななもりあや
児童書・童話
おりのなかに閉じ込められ死んだりくの目の前に現れたのは、顔は怖いけどとても優しい死神でした

お姫様の願い事

月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。

デシデーリオ

ねこうさぎしゃ
児童書・童話
田舎の領主の娘はその美貌ゆえに求婚者が絶えなかったが、欲深さのためにもっと条件のいい相手を探すのに余念がなかった。清貧を好む父親は、そんな娘の行く末を心配していたが、ある日娘の前に一匹のネズミが現れて「助けてくれた恩返しにネズミの国の王妃にしてあげよう」と申し出る……尽きる事のない人間の欲望──デシデーリオ──に惑わされた娘のお話。

【完結済み】破滅のハッピーエンドの王子妃

BBやっこ
児童書・童話
ある国は、攻め込まれ城の中まで敵国の騎士が入り込みました。その時王子妃様は? 1話目は、王家の終わり 2話めに舞台裏、魔国の騎士目線の話 さっくり読める童話風なお話を書いてみました。

ぬいぐるみと家族の思い出

きんばら いつき
児童書・童話
まんまるなぬいぐるみから見た、ある家族の思い出です。 少しほっこりするお話がメインです。

キコのおつかい

紅粉 藍
児童書・童話
絵本風のやさしい文体で、主人公の女の子・キコのおつかいが描かれています。冬支度のために木の実をとってくるようにお母さんに言いつけられたキコ。初めてのひとりでのおつかいはきちんとできるのでしょうか?秋という季節特有の寒さと温かさと彩りを感じながら、キコといっしょにドキドキしたりほんわかしたりしてみてください。

地獄の鬼の子

つなざきえいじ
児童書・童話
地獄の鬼の仕事は、罪人を懲らしめる事。 では、地獄の鬼の子供は? ※小説家になろうの方にも投稿してます。