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121.マルゴー到着
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スラミガ帝国の海軍を撃退してから10日。
朝食を済ませた僕はスパンク温泉に渡り、ここ クルーガー王国の王太子であるアースレット様が見えるのを静かに待っていた。
これから、アースレット様と共にローザン王国へ向け出立することになっているからである。
今回はあちらの王宮にお世話になるので同行は従魔のシロ、使い魔のピーチャン、クロナ、そして侍女としてリンが同行することになっている。
だが、何故なのか分からないがクロナもメイド服を着用しているのだ。侍女 (メイド) 枠で付いてくるということなのかな?
それに、リンとお揃いでバリっと高級なメイド服である。いつの間に準備したのだろう……。
僕としてはシロだけでも良かったのであるが、『今は伯爵の身分ですから』と半ば強引に付けられたのである。
馬車や身辺警護には こちらの王宮から騎士などが派遣されているので、それら一行に便乗させていただく形となっている。
そして昨日のことだが、警護を含めたクルーガー王国の馬車隊が『王都北の迷宮都市』(ダンジョン・イエヤス) に入ったと連絡を受けたのである。
無事、迷宮都市にて合流を果たした僕とアースレット様は、馬車に乗り込み一路ローザン王国の王都であるマルゴーを目指していた。
「いやー、助かっているよ。この暑さの中、こんな快適に馬車の旅ができるなんて本当に驚きだよ」
「そうですよね、この暑い時期、お昼の移動は地獄ですからねぇ。いつもなら、馬上の騎士さんはグッタングッタンで大変だったでしょうね」
「うんうん、今日は都入りだから軽装という訳にはいかないからね。彼らはすごく感謝していたよ」
「いえいえ、お礼には及びませんよ。職務についている時に喋ることはかないませんが、皆さん顔見知りなのですから」
「それに、近衛騎士にとっても他国王都への入場は まさに晴れ舞台ですし。ピシッとかっこよく行ってもらいたいですよね」
と、『ピシッ!』とサムズアップしている僕を見たアースレット様は、
「ハハハハハッ、晴れ舞台かい。そうだね、彼らはここまで50日も頑張ってきた訳だし。今日はいい見せ場になるだろうね」
王都マルゴーへの入場は、今朝から我々に合流していた『ローザン王国騎士団』に先導される形でスムーズに行われた。
王都へ入ると、町の人達が沿道に出て手をふり歓迎してくれているようだ。きっと、前触れが出ていたのであろう。
僕たちは、できる限り笑顔で窓から手を振ってそれに答えていた。
そうして馬車は 王都の中央に位置する貴族街へと入った。
ここまで来れば王城もすぐそこである。城壁や尖塔がチラチラと目に入ってくる。
ここで僕たちは、アースレット様一行と別れ、貴族街のホテルに部屋をとることになっている。
アースレット様はそのままに王城へ入り、王宮にて部屋が用意されているのだ。
まあ、諸々の準備に10日ほど掛かるようである。
僕たちは呼び出しが掛かるまで のんびりと王都マルゴーの散策でもしようかと思っている。
ホテルに入ると 僕たちが宿泊する部屋はすでに準備されていた。
ここで掛かる宿泊代、飲食代、その他サービス料に至るまで全てローザン王国が面倒みてくれるようだ。
そして、形ばかりであるが護衛騎士も2名付けて頂いている。
僕の護衛に関していえば、シロとピーチャン そしてクロナは言わずもがな、もう一人の侍女であるリンですら こちらの騎士様より遙かに強い。
今のリン姉にかかれば、ねずみ10匹など一瞬なのだ。
用意されていた部屋は3階にある特別室で、かなり広くて豪華である。
リビングのソファーに腰掛け お茶を頂きながら一休みしたあと、僕たちは持ち込んだ荷物の整理などを行なっていた。
しばらくして、この客室リビングに来客があった。――転移でだが。
「お邪魔するわよ、よく来たわね。と言っても10日ぶりだけど」
「おお、ミルキィか。よくこの部屋だと分かったな」
すると、ミルキィはこの部屋の窓の方を指差している。
僕が、その差された指をなぞり そちらに目をやると。
「ああ~、なるほどね」
窓枠には、邸のピーチャンとアンリエッタの使い魔であるモコモコが 仲良く並んでスイングしているではないか。――とても楽しそうだ。
「で、どうしたんだ。お呼びが掛かるのは、まだ先のはずだが」
「うん、ちょっと見に来ただけ。私じゃ王都の案内も出来ないしね」
「まあ、そうだろうな。姫さまが出てきた日には王都は大混乱になりかねないからな」
「それに、まず廊下にいる騎士に止められるだろうな」
「そういうことね。あ~あ、姫さまもつらいのよねぇ」
これは仕方ないだろう。まだ、クルーガー王国なら話は別なのだが……。
それなら、『ダンジョン探索』なんかはどうだろう。釣り堀はこの国だし、変わった所と言えばあそこだよな。
「なあ、夜ならみんなでダンジョンに行けるぞ」
「ええ~、ダンジョン? ……まあ、それでもいいけど。いつもの所に行くの?」
「いや、行くのは『スイーツ・ダンジョン』だな」
「なに、その甘ったるい名前。どこに……って、ああ!」
「お察しのとーりでごぜーますよ。王女さま」
「ダンジョン・サラ なんだが今はすげーぞ! 鍛えながらスイーツ集めが出来るようになっているからな」
「へ~、そんなことになっているのね。いいわね それ、楽しそうだわ。お姉ちゃんにも声かけておくから。また夜にね」
さてさて、時間もたっぷりあることだし 暫くはお付き合いいたしますかね。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
王都北の迷宮都市に入ったとの連絡はミルキィの指示を受けていたダンジョン・イエヤスによるものです。片道50日とは馬車の旅も大変です。今回は保護対象者が居なかったのでかなり楽だったはずです。馬車の快適空間は結界魔法 (遮熱) によるもので、各個人にも施すことができます。(2時間置き) リン姉も『関係者』ですので、女神さまより加護を授かっておりまーす。
朝食を済ませた僕はスパンク温泉に渡り、ここ クルーガー王国の王太子であるアースレット様が見えるのを静かに待っていた。
これから、アースレット様と共にローザン王国へ向け出立することになっているからである。
今回はあちらの王宮にお世話になるので同行は従魔のシロ、使い魔のピーチャン、クロナ、そして侍女としてリンが同行することになっている。
だが、何故なのか分からないがクロナもメイド服を着用しているのだ。侍女 (メイド) 枠で付いてくるということなのかな?
それに、リンとお揃いでバリっと高級なメイド服である。いつの間に準備したのだろう……。
僕としてはシロだけでも良かったのであるが、『今は伯爵の身分ですから』と半ば強引に付けられたのである。
馬車や身辺警護には こちらの王宮から騎士などが派遣されているので、それら一行に便乗させていただく形となっている。
そして昨日のことだが、警護を含めたクルーガー王国の馬車隊が『王都北の迷宮都市』(ダンジョン・イエヤス) に入ったと連絡を受けたのである。
無事、迷宮都市にて合流を果たした僕とアースレット様は、馬車に乗り込み一路ローザン王国の王都であるマルゴーを目指していた。
「いやー、助かっているよ。この暑さの中、こんな快適に馬車の旅ができるなんて本当に驚きだよ」
「そうですよね、この暑い時期、お昼の移動は地獄ですからねぇ。いつもなら、馬上の騎士さんはグッタングッタンで大変だったでしょうね」
「うんうん、今日は都入りだから軽装という訳にはいかないからね。彼らはすごく感謝していたよ」
「いえいえ、お礼には及びませんよ。職務についている時に喋ることはかないませんが、皆さん顔見知りなのですから」
「それに、近衛騎士にとっても他国王都への入場は まさに晴れ舞台ですし。ピシッとかっこよく行ってもらいたいですよね」
と、『ピシッ!』とサムズアップしている僕を見たアースレット様は、
「ハハハハハッ、晴れ舞台かい。そうだね、彼らはここまで50日も頑張ってきた訳だし。今日はいい見せ場になるだろうね」
王都マルゴーへの入場は、今朝から我々に合流していた『ローザン王国騎士団』に先導される形でスムーズに行われた。
王都へ入ると、町の人達が沿道に出て手をふり歓迎してくれているようだ。きっと、前触れが出ていたのであろう。
僕たちは、できる限り笑顔で窓から手を振ってそれに答えていた。
そうして馬車は 王都の中央に位置する貴族街へと入った。
ここまで来れば王城もすぐそこである。城壁や尖塔がチラチラと目に入ってくる。
ここで僕たちは、アースレット様一行と別れ、貴族街のホテルに部屋をとることになっている。
アースレット様はそのままに王城へ入り、王宮にて部屋が用意されているのだ。
まあ、諸々の準備に10日ほど掛かるようである。
僕たちは呼び出しが掛かるまで のんびりと王都マルゴーの散策でもしようかと思っている。
ホテルに入ると 僕たちが宿泊する部屋はすでに準備されていた。
ここで掛かる宿泊代、飲食代、その他サービス料に至るまで全てローザン王国が面倒みてくれるようだ。
そして、形ばかりであるが護衛騎士も2名付けて頂いている。
僕の護衛に関していえば、シロとピーチャン そしてクロナは言わずもがな、もう一人の侍女であるリンですら こちらの騎士様より遙かに強い。
今のリン姉にかかれば、ねずみ10匹など一瞬なのだ。
用意されていた部屋は3階にある特別室で、かなり広くて豪華である。
リビングのソファーに腰掛け お茶を頂きながら一休みしたあと、僕たちは持ち込んだ荷物の整理などを行なっていた。
しばらくして、この客室リビングに来客があった。――転移でだが。
「お邪魔するわよ、よく来たわね。と言っても10日ぶりだけど」
「おお、ミルキィか。よくこの部屋だと分かったな」
すると、ミルキィはこの部屋の窓の方を指差している。
僕が、その差された指をなぞり そちらに目をやると。
「ああ~、なるほどね」
窓枠には、邸のピーチャンとアンリエッタの使い魔であるモコモコが 仲良く並んでスイングしているではないか。――とても楽しそうだ。
「で、どうしたんだ。お呼びが掛かるのは、まだ先のはずだが」
「うん、ちょっと見に来ただけ。私じゃ王都の案内も出来ないしね」
「まあ、そうだろうな。姫さまが出てきた日には王都は大混乱になりかねないからな」
「それに、まず廊下にいる騎士に止められるだろうな」
「そういうことね。あ~あ、姫さまもつらいのよねぇ」
これは仕方ないだろう。まだ、クルーガー王国なら話は別なのだが……。
それなら、『ダンジョン探索』なんかはどうだろう。釣り堀はこの国だし、変わった所と言えばあそこだよな。
「なあ、夜ならみんなでダンジョンに行けるぞ」
「ええ~、ダンジョン? ……まあ、それでもいいけど。いつもの所に行くの?」
「いや、行くのは『スイーツ・ダンジョン』だな」
「なに、その甘ったるい名前。どこに……って、ああ!」
「お察しのとーりでごぜーますよ。王女さま」
「ダンジョン・サラ なんだが今はすげーぞ! 鍛えながらスイーツ集めが出来るようになっているからな」
「へ~、そんなことになっているのね。いいわね それ、楽しそうだわ。お姉ちゃんにも声かけておくから。また夜にね」
さてさて、時間もたっぷりあることだし 暫くはお付き合いいたしますかね。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
王都北の迷宮都市に入ったとの連絡はミルキィの指示を受けていたダンジョン・イエヤスによるものです。片道50日とは馬車の旅も大変です。今回は保護対象者が居なかったのでかなり楽だったはずです。馬車の快適空間は結界魔法 (遮熱) によるもので、各個人にも施すことができます。(2時間置き) リン姉も『関係者』ですので、女神さまより加護を授かっておりまーす。
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