僕とシロ

マネキネコ

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107.王都マルゴー

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 あれから、王都マルゴーに行くことは決まったのだがそれほど急いでいる訳でもない。

 僕は一旦カルロていに戻ってきた。

 1日、やしきでゆっくり過ごした後 次の日に王城へ向かった。

 その時に、『ローザン王国』及び『ザルツ島』に関する報告書を王太子のアースレット様に直接お渡しすると共に補足説明もおこなっていた。

 「うん、なるほどね。だいたいの流れは分かったよ。『東の海』はだいぶ落ち着いたということだね。」

 「はい、今のところは。……これで、あきらめてくれるといいのですが、こればかりは」

 「だね、もう一度ぐらいは来そうだよね。次は本腰ほんごし入れて大艦隊なんて事にならなければいいけど」

 「よし! 今回はこんなところだね。報告書は後でゆっくり目を通すことにするよ。他は何かあるかい」

 「……それが、じつはですね……」

 …………

 「なるほど、ダンジョンの発見を……。でも、それは今後『東の海』の安定には欠かせないのだろう。それなら、クルーガー王国うちにとっても利はあるのか」

 「それでですね、近々あちらの王宮ヘ参内さんだいすることになっておりまして…………」

 「なるほど、よく話してくれたね。3日程待っててよ、ローザン王国に『親書』を出すから持っていってくれるかい」





 クルーガー王国の王宮にて親書を預かった僕は、再びローザン王国へ渡ってきた。

 そして今、ダンジョン・シンゲン を経由けいゆして ダンジョン・イエヤス へ辿り着たどりついたところだ。

 ここでも転移台座てんいだいざの他、基本的なことを取り決めていきダンジョン内の利便性りべんせいを向上させていく。

 そうすることで、ダンジョンの来場者は増えるし 管理もしやすくなるのだ。

 ん、何故こんな時にやっているのか? ――ひまなのだ。

 この迷宮都市でアンリエッタと待ち合わせをしているのだが、こちらに来るのが少々早かったのだ。

 彼女もモコモコが居るのだし、一気に ”転移” や ”快適な空の旅” も出来るのだが、彼女の立場がそれを許さない。

 『行きました』という事実が有るなら、『無事に帰りました』という事実も必要になるのだ。

 窮屈きゅうくつであろうがこればかりは仕方ないのである。

 そして翌日、無事に到着したアンリエッタにねぎらいの言葉をかけ、王都まで同行することになった。





 ローザン王国の王都マルゴーに入った。王都の門、貴族街の門、王城の各門すべて顔パス。

 まあ、先触さきぶれを出しているからでもあるが、これはなかなか気持ちが良い。

 そして、王都でもアンリエッタの人気ぶりは凄い。

 沿道えんどうや広場では みんな笑顔で手を振っている。

 これが王都の門をくぐって貴族街に入るまでずっと続くのだ。

 王城に到着してからはアンリエッタと僕たちは別行動になった。

 ただ、親書を預かっている僕は『勅使ちょくし』と同じ扱いになるようで丁重にもてなされている。

 こうなってくると親書をたくされたことに正直感謝しかない。まさか、これを見越してのことだったとか……アースレット様なら十分考えられるな。

 今度、また王宮に何か持っていってやるか。

 彼はマヨラーだから、僕が秘蔵している『明太マヨネーズ』をプレゼントしてもいいかもな。

 このあと特に予定が入っていないので、通された客室でシロやピーチャンをもふりながら のんびりと過ごすことにした。





 こうして豪華ごうかな部屋で一晩過ごした僕たちに、朝食をとった後呼び出しがかかった。

 メイドの案内で応接室に通されて待つことしばし。

 すると、ほどなく扉が騎士が2名現れて両脇に別れる。

 その後をグレーの髪に口髭くちひげを生やした初老の男性が続き、同年ぐらいの女性がすぐ後ろを追う。そして最後に入ってきたのはアンリエッタであった。

 僕はソファーから立ち上がって皆さんをおむかえしていた。

 そして、そのまま貴族礼へ移ろうとしたのだが、急に近よってきた初老の男性は僕の手をとり、

 「ありがとう、ありがとう、カルロ殿。君にもらった『エリクサー』のお陰でこの通り元気になることができたよ。アンリエッタから話を聞いてから ずっと君に会いたいと思っていたのだよ」

 その男性は、少し興奮こうふんしているようで声もうわずっていた。

 「陛下へいか、もうそのあたりで……。カルロ様が困っておいでですよ。それに親書をたずさえた方に失礼があってはなりません」

 「ん、おお、そうであったな。儂としたことが……すまぬカルロ殿」

 「いえいえ、私も 陛下がお元気になられたことはとても嬉しく思っています。まずは、ご挨拶をさせて頂きたいのですが」

 それから、しっかりと貴族礼を取り挨拶と自己紹介をおこなった。

 そして、陛下と呼ばれていた男性は ルシード・ジ・ローザン国王陛下。隣の女性は マシェリ・ローザン第一王妃。この二人が共にアンリエッタの両親ということになる。

 それぞれが自己紹介も終わり、落ち着いたところで 僕はふところに入れていたクルーガー王国からの親書を手渡した。





 すると、ルシード国王は受け取った親書の封蝋ふうろうを割り中の文章に目を通していく。

 そして親書を読み終わると、その内容を熟考じゅくこうするように目を閉じてしまった。

 「フフフッ! ハ―ハハハッ! いやいや、失礼。カルロ殿はよほど ヴァルサン国王に気に入られているようだね」

 「ここに書いてあるぞ、『絶対渡さない』とね! おもしろい、実におもしろいよ。アンリエッタがれこむのも無理はないねぇ」

 「お父様、何てことを。私はカルロ様に惚れてなど……」

 僕は王宮にあがって親書を受け取って来ただけで、ヴァルサン国王と話もしていないし中の内容も知らない。いったい何て書いてあったのだろうか。






―――――――――――――――――――――――――――――――――――
まあ、内容はともかく「親書」を託されるというのはかなり名誉な事なのです。「勅使」とは天皇が派遣する使者のことをいうのですが、国王が出す親書もそう変わらないだろうと思います。
※第1部 資料1.★ローザン王国・ザルツ島★を新たに追加! 今回のダンジョンの配置等がまるっと分かります。U•ɷ•)ฅ


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