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53. 翠眼
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僕とクロナは別の応接室に通され事実確認と状況の説明を求められた。
もちろんロイド様にである。
カラコンも今は外して、クロナは翠眼に戻っている。
ロイド様は、クロナがジジの娘ということが分かってテンションが高くなっている。
そこに持ってきての翠眼である。
ロイヤル・グリーンを目の前にしてさらに興奮、ソファーから立ち上がりうろうろし始めた。
おそらく、至急連絡すべきかとか、奴隷のままでは不味いとか、いろいろ頭に廻っているのだろう。
僕はシロやピーチャンを撫でながら、そんなロイド様を見守っていた。
結局この日は事情を聞かれただけで、そのまま学園の方に帰ってきた。
また後日、呼び出しを掛けるので それまでにこの命令書を持ってクロナの奴隷解放を行なうようにお願いされた。
次の日に行った奴隷解放の手続きは、王宮からの命令書があったため何事も無くスムーズに事が運んだ。
これにより、3年に渡るクロナの奴隷生活は幕を下ろすことになった。
しかし、クロナの様子が少しおかしい。前にも増して僕にくっ付いて来るようになった。
授業中もシロと廊下で待っているのだ。
やはり、奴隷から解放された今。
何の制約も無くなり自由になったわけだが、それが返って不安材料になっているようだ。
なるほど、僕の側に居られる理由がなくなってしまうのだからな。
そこで、僕はクロナと従者の契約を交わすことにした。
契約は3年間の自動更新とし、給金も40日おきに支払われる。
しっかり、契約書も交わしお互いサインを書き込んだ。
これで良し! のはずだったが、相変わらずのベッタリである。――なぜに?
まあ、猫がじゃれついているようで可愛いので放置しているのだが。
そして、いく日か過ぎたあと王宮より連絡がはいった。
「なあ、クロナ。何着ていく? ドレスなら今の流行りはわからないけど何着か出せるぞ」
「いいえ、私はカルロ様の従者です。この素敵なメイド服さえあれば、どこへ行こうと恥ずかしくありません」
「そうか。だが、ここのところ冷えてきたからな寒くないようにだぞ」
「はい、それもポンタが調節してくれるのでぜんぜん平気です」
今日は王宮より迎えの馬車が来ているので、それに乗り王城へと向かう。
いつもより幾分豪華な馬車なのだ。しかも、馬に乗った護衛騎士が2名随伴している。
これって、クロナだからだよね。
ホントにメイド服で大丈夫なのだろうか? 不安になってきた。
やがて馬車は王城に入りいくつか門を通ったあと王宮殿のまえに停車した。
ここまでくれば、通いなれた隣家のようなものだ。クロナと共に案内にしたがって進んでいく。
もちろん、シロとピーチャンも一緒だ。
ただ、ピーチャンが少しデカくなったような気もするが目の錯覚だろうか……?
すると、案内されたのはかなり豪華な応接室。部屋に飾られた絵画や美術品はどれも高そうである。
お茶を出されて待つことしばし、3回ノックのあと扉が開かれた。
ソファーに腰掛けていた僕とクロナは立ち上がる。そして、僕が貴族礼を取ろうとしたのだが、
「よいよい、知らんなかでもあるまいに。今回は非公式じゃ座ってくれ」
そう、国王様に言われはしたが、僕とクロナは揃って深く腰を折りあいさつを済ませた。
ここにお見えになられたのは、ロイド様の案内でヴァルサン国王陛下と第一王妃のカトリーヌ様であった。
お三方が目のまえのソファーに腰を下ろされる。それを見て僕とクロナも着席した。
国王様はクロナの方をじっと見やり、しばらくすると顔をほころばせ、
「おうおう、やはりジジによく似ておる。なるほどそなたも翠眼であったか」
それからは、暮らし向きはどうであったか、村の様子はどうであったかなど和やかに話しが進んでいった。
そして、病気を患ってからの話になると、国王様の目から涙が吹き出してしまい隣においでの王妃様にハンカチを借りる一幕もあった。
そして最後に国王様はクロナにお聞きになったのだ。
「其方はこれからどうしたいんじゃ? お城に住みたいのならそれも良し、何なりと申してみよ」
するとクロナは、国王様と僕の顔をかわるがわる見つめ、
「わたしはカルロ様についていきます。離れたくないのです!」
…………
「そうかそうか、カルロ殿そういうことじゃ。セイラに続きクロナのことも頼めるかのう」
「はい、お任せください。国王陛下のお言葉、しかと承りました」
そして、国王陛下は王妃様と共に部屋を退室された。
クロナのお母さんであるジジさんが、なぜ城を出てあのようなところで生活を送っていたのか。
結局は何も分からなかった。
まあ、それに王室の恥になる事なのだろう。
僕もそんなに聞きたい訳でもないし、これで良かったのだろう。
僕にとっては、クロナはクロナ。出路などはどうでも良いのだ。
そして学園に戻り、のんびり楽しい学園ライフを続けて行く。
あれから1年と少しが過ぎ、僕はようやく13歳になった。
何がようやくなのか? それは冒険者になれるのだ。
これで、堂々と表からダンジョンに入れるし、人の目を気にしないで済む。
まあ、Dランク以上にならないと王都からの転移陣は利用できないが、僕達の実力ならランクもすぐに上がっていくであろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ついにクロナ奴隷解放です。そして、カルロの爵位ですが王国からは男爵を頂いておりますが、領地を持たない法衣男爵(文官扱い)です。それでも、王都に邸やしきを構えなくてはならないのですが、成人(15歳)してからで良いようです。
もちろんロイド様にである。
カラコンも今は外して、クロナは翠眼に戻っている。
ロイド様は、クロナがジジの娘ということが分かってテンションが高くなっている。
そこに持ってきての翠眼である。
ロイヤル・グリーンを目の前にしてさらに興奮、ソファーから立ち上がりうろうろし始めた。
おそらく、至急連絡すべきかとか、奴隷のままでは不味いとか、いろいろ頭に廻っているのだろう。
僕はシロやピーチャンを撫でながら、そんなロイド様を見守っていた。
結局この日は事情を聞かれただけで、そのまま学園の方に帰ってきた。
また後日、呼び出しを掛けるので それまでにこの命令書を持ってクロナの奴隷解放を行なうようにお願いされた。
次の日に行った奴隷解放の手続きは、王宮からの命令書があったため何事も無くスムーズに事が運んだ。
これにより、3年に渡るクロナの奴隷生活は幕を下ろすことになった。
しかし、クロナの様子が少しおかしい。前にも増して僕にくっ付いて来るようになった。
授業中もシロと廊下で待っているのだ。
やはり、奴隷から解放された今。
何の制約も無くなり自由になったわけだが、それが返って不安材料になっているようだ。
なるほど、僕の側に居られる理由がなくなってしまうのだからな。
そこで、僕はクロナと従者の契約を交わすことにした。
契約は3年間の自動更新とし、給金も40日おきに支払われる。
しっかり、契約書も交わしお互いサインを書き込んだ。
これで良し! のはずだったが、相変わらずのベッタリである。――なぜに?
まあ、猫がじゃれついているようで可愛いので放置しているのだが。
そして、いく日か過ぎたあと王宮より連絡がはいった。
「なあ、クロナ。何着ていく? ドレスなら今の流行りはわからないけど何着か出せるぞ」
「いいえ、私はカルロ様の従者です。この素敵なメイド服さえあれば、どこへ行こうと恥ずかしくありません」
「そうか。だが、ここのところ冷えてきたからな寒くないようにだぞ」
「はい、それもポンタが調節してくれるのでぜんぜん平気です」
今日は王宮より迎えの馬車が来ているので、それに乗り王城へと向かう。
いつもより幾分豪華な馬車なのだ。しかも、馬に乗った護衛騎士が2名随伴している。
これって、クロナだからだよね。
ホントにメイド服で大丈夫なのだろうか? 不安になってきた。
やがて馬車は王城に入りいくつか門を通ったあと王宮殿のまえに停車した。
ここまでくれば、通いなれた隣家のようなものだ。クロナと共に案内にしたがって進んでいく。
もちろん、シロとピーチャンも一緒だ。
ただ、ピーチャンが少しデカくなったような気もするが目の錯覚だろうか……?
すると、案内されたのはかなり豪華な応接室。部屋に飾られた絵画や美術品はどれも高そうである。
お茶を出されて待つことしばし、3回ノックのあと扉が開かれた。
ソファーに腰掛けていた僕とクロナは立ち上がる。そして、僕が貴族礼を取ろうとしたのだが、
「よいよい、知らんなかでもあるまいに。今回は非公式じゃ座ってくれ」
そう、国王様に言われはしたが、僕とクロナは揃って深く腰を折りあいさつを済ませた。
ここにお見えになられたのは、ロイド様の案内でヴァルサン国王陛下と第一王妃のカトリーヌ様であった。
お三方が目のまえのソファーに腰を下ろされる。それを見て僕とクロナも着席した。
国王様はクロナの方をじっと見やり、しばらくすると顔をほころばせ、
「おうおう、やはりジジによく似ておる。なるほどそなたも翠眼であったか」
それからは、暮らし向きはどうであったか、村の様子はどうであったかなど和やかに話しが進んでいった。
そして、病気を患ってからの話になると、国王様の目から涙が吹き出してしまい隣においでの王妃様にハンカチを借りる一幕もあった。
そして最後に国王様はクロナにお聞きになったのだ。
「其方はこれからどうしたいんじゃ? お城に住みたいのならそれも良し、何なりと申してみよ」
するとクロナは、国王様と僕の顔をかわるがわる見つめ、
「わたしはカルロ様についていきます。離れたくないのです!」
…………
「そうかそうか、カルロ殿そういうことじゃ。セイラに続きクロナのことも頼めるかのう」
「はい、お任せください。国王陛下のお言葉、しかと承りました」
そして、国王陛下は王妃様と共に部屋を退室された。
クロナのお母さんであるジジさんが、なぜ城を出てあのようなところで生活を送っていたのか。
結局は何も分からなかった。
まあ、それに王室の恥になる事なのだろう。
僕もそんなに聞きたい訳でもないし、これで良かったのだろう。
僕にとっては、クロナはクロナ。出路などはどうでも良いのだ。
そして学園に戻り、のんびり楽しい学園ライフを続けて行く。
あれから1年と少しが過ぎ、僕はようやく13歳になった。
何がようやくなのか? それは冒険者になれるのだ。
これで、堂々と表からダンジョンに入れるし、人の目を気にしないで済む。
まあ、Dランク以上にならないと王都からの転移陣は利用できないが、僕達の実力ならランクもすぐに上がっていくであろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ついにクロナ奴隷解放です。そして、カルロの爵位ですが王国からは男爵を頂いておりますが、領地を持たない法衣男爵(文官扱い)です。それでも、王都に邸やしきを構えなくてはならないのですが、成人(15歳)してからで良いようです。
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