僕とシロ

マネキネコ

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44. 10階層

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 休み明けての翌日。今日も今日とて、放課後はみんなが僕の部屋に集合してしまう。

 僕のプライベートはどこにいってしまったのだろう。――教えてシロえも~ん。

 僕がシロをガン見していると、シロは不思議そうに首を横にひねっていた。――可愛い。

 今日は、ダンジョン・サラ での戦利品せんりひんを確認する予定だ。

 みんなから預かったかごを取り出して、それぞれに渡していく。

 籠の中味は倒したモンスターの魔石とドロップした駄菓子だがしになる。

 だが、アンの籠だけ量がやたらと少ない。まあ、お察しだろうから深く追及ついきゅうはしないのだが。

 「さー出したぞ。昨日は行けなかったダイアナには ”暖かい気持ち” をたのむな」

 「おう、そうだな。じゃあ、このうまか棒とこのキャベシ太郎、あとヤンクドーナツもな」

 「ジミー……、ありがとう」

 「おう、たんと食え。プリン出た時はたのむぜ」

 「わたしは……ごめん。だいぶ食べちゃったの。これ、少ないけど」

 「アン……、ありがとう。嬉しい」

 「そして、僕とクロナからはコレ。チューブ入りゼリー10本だ! 」

 「わぁ、すごい。こんなにありがとう」





 するとみんなは、やいのやいの言いながら駄菓子の交換会こうかんかいを始めてしまった。

 低階層のドロップ品としては、魔石2 : 駄菓子1 ぐらいの割合だったと思う。

 それにモンスターの数も多めだし、1~2階層で十分稼げるため、初心者にはやさしいダンジョンとなっているようだ。

 なるほど、女性冒険者が多いはずである。

 しかし、おかまいなしに男たちが突っ込んで行けば……。

 と、思ってしまいがちだが。

 いくら成人男性が頑張ってモンスターを狩ったとしても、ドロップ率が極端きょくたんに落ちてしまうということだ。

 「なーカルロ、これ何だと思う」

 ジミーが僕に見せてきたのは、小さい長方形の袋に入った緑色の粉。

 中にはご丁寧ていねいに細いストローが一緒にはいっている。

 そう、あれを鼻で吸って…… //  ちが~う、”メ○ンフレッシュソーダ” だな。――なつかしい。

 「おお、それな。中に入っているストローでそのまま吸い込むんだ。シュワシュワでうまいぞー」

 「おわ、ホントにシュワシュワだ。すげー」

 そして僕は、昨日の駄菓子の中でジミーが喜びそうなものを見つけておいたのだ。

 「ところで、ジミーくん。これなーんだ!」

 「ん、んん、それプリンなのか? やけに小さくないか。どれどれ」

 ジミーは僕からプリンちゃんチョコをうばい取り、匂いをいでいる。

 「おほーこのかぐわしい匂いはまさにプリン。これくれるのか?」

 俺がうなずくと、ジミーは大きな口をあけプリンちゃんチョコをパクっと頬張ほおばるのであった。




    ▽




 そして30日、ダンジョン・サラ の攻略は順調に進み、俺達は10階層まで到達した。

 10階層に出没しゅつぼつするモンスターはウルフ、ホブゴブリン、ホーンラビットそしてゴブリンライダーである。

 このゴブリンライダーはゴブリンがブラックウルフに騎乗きじょうした形となる。

 機動力が格段かくだんに上がるため、ゴブリンだとなめてかかると大きな痛手をこうむることになるのだ。

 こちらは、いつもの学園組6名にエマが加わる布陣ふじんだ。

 ん、ああ、エマね。

 あれから、毎回の参加だ。最初のを入れて7回こちらのダンジョンにもぐったことになる。

 レベルアップも早く、ただいまのところLv.6に到達している。

 これはもちろん、女神さまの加護とシロのお陰だよな。

 得物えものも、短槍たんそうだが最初使ってた物より少し長いヤツを使い始めたのだ。

 この短槍も通常の物ではない。ミスリル合金より更に上の ”ミスリルマジック合金” で出来ているのだ。

 つまり、魔力をまとわせたり、通したりできる夢の超合金なのである。

 この短槍により、魔法の発動もスムーズに行えているはずだ。

 それに例の ”シルバーマジックリング” も装備そうびしているため、魔法を連発してもMPが枯渇こかつしにくくなっているのだ。

 お陰で今では、あの厄介やっかいなゴブリンライダーすら 楽に蹴散けちらす程に成長をげている。

 そして、今も交戦中であるが、シロとの連携れんけいもスムーズになっており全く危なげない。





 余りにも、みんなでスカスカ倒して進むものだから、まだ昼前だというのに10階層奥の大扉おおとびらの前に到着してしまった。

 そのまま扉まで行こうとしていたジミーを止め、ブリーフィングを行なうことにした。

 みんなが集まり車座くるまざに座る。そして各々おのおのに飲み物を配りひと息いれた。

 この大扉前のホールはモンスターが出なくなっているのだ。

 まず、決めなくてはならないのは、ボス部屋に入るメンバーの構成だ。

 8階層のコロシアムもそうだが、フロアボスに挑戦ちょうせんできるのは6名までになっている。

 これには、使い魔は数に入らないが、従魔じゅうまは頭数としてカウントされるようである。

 だから僕らの場合、どうしても二手に別れる必要があるわけだ。

 今のメンバーは 僕、(シロ)、クロナ、ポンタ、ジミー、カミラ、アン、ダイアナ、そしてエマちゃんの8名計算となる。

 そして、いろいろ名前を呼びながら組み合わせを考えているところで、

 「カルロ兄さま、エマはクロにゃんと組みたいです。ダメですか?」

 なんだ? クロナの呼び方クロにゃんに変えたのかぁ。……あ、いや、それは良いのだが、クロナとかぁ。

 それからも、みんなで協議きょうぎした結果。


 先発隊:シロ、ピーチャン、クロナ、ポンタ、エマ

 後発隊:僕、ジミー、カミラ、アン、ダイアナ


 という構成で、ボス戦にいどむことになったのである。






―――――――――――――――――――――――――――――――――――
駄菓子の交換なんて、すごくワクワクしてた記憶がある。遠足の時もしてたな~。バナナはどうだったか忘れたけどね。あと、プロ野球スナックなんてのもあって、特製カードホルダーを持っている友達がうらやましかったなぁ。さて次回は10階層ボス戦です。どうぞ、お楽しみに。
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