僕とシロ

マネキネコ

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25. 使い魔

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 僕たちは今、学園の中庭に集まり先生の指導の下、使い魔の召喚しょうかんをおこなっていた。

 名前の呼ばれた生徒は召喚陣に向かい、”サモン・サーヴァント” の呪文じゅもんとなえていく。

 呼び出されしものは、ヘビ、カブトムシ、ねずみ、かえる、ネコなどと多彩たさいである。

 契約けいやくの際は先生から針を借り、自分の血を落としながら、その使い魔(精霊)との間にパスを開いていく。

 このパスが大きくなるほど、使い魔(精霊)との結びつきが深くなり、意思の疎通いしのそつうもとれるようになるのだ。

 そしてまれにだが、上位精霊じょういせいれいへと進化する個体もいるという。





 使い魔召喚はどんどん進んでいき、ジミーの番になった。呼ばれたジミーはティルク先生より手鏡てかがみを受けとる。

 そして、”サモン・サーヴァント” の呪文を唱えた。

 「鏡よ、鏡よ、鏡さんみんなに会わせてくださいな。サモン・サーヴァント!」

 呪文を唱えたと同時に光りだす召喚陣。そして光の中から一匹の小動物が姿を現した。

 ジミーの召喚に答えてくれたのは、体長28㎝のまっ白なフェレットだった。

 それを鏡越しに見ていたジミーであったが、手鏡をティルク先生にもどすと、代わりに針を受けとった。

 そして、名前を言いながら自分の血を一滴、使い魔の頭にたらすのだ。そうすることで、使い魔とのパスがつながるのである。

 ジミーがフェレットを抱えてこちらに戻ってきた。

 「キャー、かわいい!」、「おねがーい、さわらせてー」

 と周りの女子に騒がれながら、僕の隣りにやってきた。

 「カルロ、こいつが来てくれたぞ。マジ可愛いわー」

 「がんばって、魔力を上げた甲斐かいがあったな。おめでとう。それで名前は何にしたんだ?」

 「おう、こいつはテンだ。いい名前だろう」

 このフェレット、名前はテンだという。けしててんではない。……てるけど。





 それからも、どんどん消化していって、いよいよ僕に順番が回ってきた。

 僕はティルク先生から、手鏡を受けとると召喚陣に背を向ける。

 もし、必要としなかったり、手にあまるような使い魔(精霊)が来た場合、直接見てなければキャンセルもいたって簡単なのだ。

 そして、このとき僕は魔力を極力おさえて、サモン・サーヴァントの呪文を詠唱えいしょうした。

 「鏡よ、鏡よ、鏡さんみんなに会わせてくださいな。サモン・サーヴァント!」

 なぜ魔力を抑えたのか、もちろん目立たないようにである。まともに呼べば、何が来るのか分かったものではない。

 僕は光っている魔法陣の中央を鏡越しに見つめた。

 そして、光の中から姿を現したのは、手に乗るぐらいの小さな鳥であった。

 ヒヨコではない。ニワトリになっても空は飛べないしな。

 色はあざやかなブルーだな。ちょうどインコのような……。

 いや、インコだよな。元の世界にいたような ”セキセイインコ” によくにている。

 僕は、この鳥に「ピーチャン」と名付け、使い魔とした。





 クラス全員の使い魔(精霊)召喚が終わると、この日は解散かいさんとなり僕はりょうの自室へと帰って来た。

 もちろん、他の3名も一緒だ。

 今回、使い魔と契約したのは僕とジミーだけだ。

 クラス単位でも12名程だ。儀式には基本的には全員が参加するのだが、最初から必要としていなかったり、相性あいしょうの問題であったりとキャンセルする理由は様々である。

 その内の何名かは、呼び出し自体が失敗に終わっている。こういった者は希望すれば、来年にまた使い魔召喚の儀式に参加することができる。

 そして、その使い魔であるが……。

 ピーチャンはどうもシロが気に入ったらしく、頭の上にうずくまるように鎮座ちんざしている。

 シロも嫌がるふうでもなく、平然とピーチャンを乗せている。――なんか可愛い。





 一方、ジミーの使い魔であるフェレットのテンは、何故かダイアナにつかまり盛大にモフられている。

 まあね、ダイアナの前に連れてくればこうなるよな。

 それに、ダイアナはモフり方が上手じょうずなんだとおもう。現に抱かれているテンは目を細め、とても気持ちよさそうだ。

 なので、ジミーがいくら呼ぼうが、叫ぼうが、テンはダイアナから離れようとしないのだ。

 そのジミーが、僕に視線を向けうったえてくるのだが、……これは仕方がないだろう。





 ピーチャンは呼べば、すぐ来てくれる。

 てのひらを広げるとそこに乗ってくるし、それ以外はぼくの右肩にとまりにくる。

 今は掌の上にいるので、そのまま鑑定してみた。


 ピーチャン Lv.1

 種族    チルチット
 状態    通常
【契約者】  カルロ・アストレア
 HP    25/25
 MP    15/15
 筋力    10
 防御    8
 魔防    12
 敏捷    15
 器用    8
 知力    10
 幸運    75

【スキル】   風魔法(2)

【進化 2】   不可(チルチタス)


 ほうほう、種族名がチルチットか。さすがにこちらには、セキセイインコはいないよね~。性別はってないけどメスかな。

 くちばしの上のろうまくがピンクだから多分そうだろう。念話できるようになったら直接聞いてみよう。

 パラメーターは人間と比べてどうかは分からないが、いきなりコロッとやられる事もないのかな。

 魔法は風魔法が使えるようだ。空を飛ぶのだから当然そうなるよな。

 しかし精霊せいれいだけに、魔法適性まほうてきせい魔力操作まりょくそうさというスキルは無いようである。

 そして、よく分からないが ”幸運” の項目がある。

 これはどうなんだろう。ドロップ品が良くなったり、宝箱が出やすくなるとかだろうか?

 この辺は自分にある訳ではないので、検証けんしょうするのはなかなか難しいだろう。





 鑑定が終わったので、

 「行っていいぞ」

 と手を上げてやるが、ピーチャンは飛び上がるとすぐに僕の肩に乗って来た。

 おお、なかなか可愛いヤツめ。

 僕は人差し指でピーチャンの背中をやさしく撫でてあげた。

 その光景をうらやましそうに見ているジミーなのだが。

 それをよそに、フェレットのテンはダイアナのひざの上でふんぞり返っていた。






―――――――――――――――――――――――――――――――――――
おお、ピーチャン優秀! 進化も示唆されている? もしかして、チルチット、チルチタスと進んでいくと、あるのか? メガ進化! ジミーは……乙。さて次回、学園でちょっとした事件が……。それがまた……。
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