俺とシロ(second)

マネキネコ

文字の大きさ
上 下
47 / 82

43. エネルギーチャージ

しおりを挟む
 あの ”うなぎの日” から3日がたった8月27日。

 最初のダンジョンであるカンゾーの覚醒かくせいまで、残すところ10日となったわけだけど。

 せっかく月が満ちてきているで、10日程サーメクスへ帰ることにした。

 (サーメクスとは時間の流れがちがうので、日本には5日後に帰ることになります)

 帰省きせいに同行するメンバーは、俺・シロ・メアリー・マリアベル・チャト・キロになる。

 今回は地球組が含まれていないので気楽なもんだな。

 慶子けいこは近々アパートを引き払ってこちらに引っ越してくるみたいで、自分の部屋の清掃そうじと、こちらに運んだ荷物を整理するそうだ。

 俺がいるので、すでに引っ越し作業は終わっているのだが……。

 「あら、インベントリーって、こんなにいっぱい入るのね。使いでがありそうね。フフフフフッ」

 「…………」

 あれは絶対、なにかたくらんでいる顔だった。

 紗月さつきの方はもうすぐ学校が始まるので、いろいろとやる事があるみたいね。

 しげるさんいわく、宿題が山のように残っていて、頭を抱えていたらしい。

 これはまぁ、単にラノベの読み過ぎだよな。(物理的に!)

 「これさえなければ……」

 東京から運んできたフリーラック (本棚) をうらめしそうにながめる紗月。

 (マリアベルが気をきかせて、マンションから運んでくれたのだ)

 気持ちはわかるが、剛志さんが貸してくれたラノベには何の罪もないぞー。

 かえでも学校の準備があるとかで、今朝方東京へ帰っていった。

 確りLv.7まで上げているところはスゴイよな。この短期間でよく頑張ったとおもう。

 厚手のチタンで作った食器とおはしを、おみやげに持たしておいた。

 うまく力加減ができるように、しっかり練習してね。

 茂さんには今回も、例の地震予測じしんよそくメモを渡しておく。

 もしも、俺がいない間に先方 (自衛隊) がたずねてきても、その時はメモのみを渡して、話し合いなんかは俺が戻ってからセッティングしてもらえるようにとお願いした。

 それから、

 ダンジョンへもぐる際は単独行動は絶対にけること!

 どうしても相手が見つからない場合は、フウガを連れていくようにとしっかり念を押した。

 ちょっと自信がついた頃が一番危ないんだよね。

 明日が満月なのだが、天候てんこうが悪そうなので今夜のうちにサーメクスへ渡ることにする。

 上空には月が出ているのだから、たとえ曇っていたとしても問題はないだろうが。

 まあ、気分的なものだよね。

 夕食を済ませたあと、各自準備をして表に出た。

 お見送りしてくれる茂さんたちに5日後に戻ってくることを告げ、俺たちはツーハイム邸へ転移した。

 ――・―― 

 一瞬で視界しかいが切り替わり、朝のツーハイム邸リビングへ3週間ぶりに戻ってきた。

 「よぉシオン。今戻ったぞ」 

 「ただいまー!」

 「え、え~と。お帰りなさいませ? ゲン様、メアリー様」

 俺とメアリーが帰ってきたあいさつ・・・・・・・・・をすると、シオンはかなりあせっているようだ。

 同じ時間に戻れるようになっているからな。

 見送ったかと思えば次の瞬間には戻ってくるのだから、シオンたちにしてみれば『一瞬早着替え』を見せられているような感覚になるのかな。

 ただ、戻ってくる場所は同じでなくてもいいみたいだから、こんどから別の場所に出てきてもいいけど……。

 まあ、そのうちれてくれるだろう。





 メアリーとマリアベルは、次の出発日を確認したうえで王都へ転移していった。

 キロも俺の側から消えている。所定しょていの配置に戻ったのだろう。

 「本当に行ってらしたのですね、こちらでは一瞬の出来事なのですが。それで、さっきられた異世界のお二方ふたかたとフウガはあちらの世界、ということになるのですね」

 「おう、そういうことだ。理解が早くて助かるよ」

 シオンとすこし立ち話をしたあと、俺は今日のノルマ (仕事) をこなすためシロを連れて執務室しつむしつへと向かった。

 ………………

 急いで仕事を片付け、昼食を取るとすぐにナツのログハウスへ転移した。

 部屋に顔を出すと、ナツにくっついていたハルは俺目がけて突進してきた。

 「パパきたー、抱っこー!」

 せがんでくるを両手を広げて迎えいれる。

 ヒョイッと持ち上げて腕抱きにした。

 するとハルはキャッキャしながら俺の顔をぺたぺたさわって喜んでいる。

 ――めちゃくちゃ可愛い!

 世には ”親バカ” という言葉があるが、今ならわかるような気がするなぁ。

 「ハル、パパとお散歩いくかぁ?」

 「いくー、おそといくー!」

 俺はハルを抱いたまま町なかを散歩していく。

 もちろんシロも一緒だ。

 そうやって町をり歩いていると、いろんな人から頭を下げられたり声を掛けられたりするのだ。

 それに対しては俺も手を上げ気軽に応えていく。

 「「ハルちゃ~ん、かわいい!」」 

 中にはこうしてハルにも女の子たちから声が掛かったりするのだが。

 それらにハルは、すまし顔をしたまま小さな手を上げて応えている。

 ――いっちょ前である。

 俺のまねをしているのだろうが、その姿が何とも微笑ほほえましいのだ。

 そうして俺らは孤児院こじいんがやっている屋台をめぐっていき、買い食いしながら町をまわっていくのだった。





 次の日も仕事を片付けたあと、午後からハルと温泉施設おんせんしせつで遊んでいる。

 ハルはシロとも仲良しで、シロの背中に乗っては温泉の中を遊覧ゆうらんしたり、滑り台すべりだいで一緒に滑ったりして遊んでいる。

 今日はみんなを寄せて、こちらで夕食会だな。

 日本から持ち込んだ冷凍れいとう紅鮭べにしゃけがあるんだ。いまは塩ぬきをしているところだが。

 そして大きな土鍋にカセットコンロとくれば。

 そう、今日の晩ご飯は白みそを使った【石狩鍋】である。

 えっ、塩鮭を使っているから三平汁だって?

 ……こまけー事はどうだっていいんだよ。ここは日本じゃないんだし。

 ほかほかご飯に日本酒もあるんだぞー。最強かよ! ガンツも呼べよ!

 朝の焼き鮭に、鮭のクリームシチューなんてのもどうよ。よだれがとまらないなぁ、こりゃ。

 ひさしぶりに、おばば様も呼んでやっか。

 うん、おばば様か? 

 おばば様は元気良すぎるくらい元気にしているぞ。

 10日に一度くらいは王妃おうひさま共々お見えになってるな。

 アランさん? (メアリーのお父さんです)

 王都に来てる時は、妻のアストレアさんとよく見えらるな。

 もちろんメアリーも一緒について来る。

 最近は下の弟妹たち (人族) もよく見るようになったな。みんな王都の学校に通っているようだ。

 そして国王様だが。

 たまにしかお見えにならないけど、ほとんどが夜なんだよねぇ。

 しかも、決まってお一人で。

 その折には近衛騎士このえきしが2名程はついてはくるのだが……。

 この時ばかりは、俺も一人で対応するようにしている。

 だいたいが愚痴ぐち聞き係になるんだけどね。

 おしのびで夜の町にり出すこともしばしば。

 ――なんかな~。

 話しを聞いてみると、国王といってもいろいろと大変みたいだねぇ。

 国王様…………乙です。

 無茶やらかさなければ、もうしばらくはこの国も安泰あんたいかな。

 ついでにいうと、三ヶ所あるダンジョンも今のところは大きな問題もなく順調だ。

 ミスリルの相場そうばも、ここ10年でかなり下がって落ち着いたし。

 一般市場いっぱんしじょうにも出回るようになって一安心というところかな。

 この間ガンツと一緒にんだときも、その話題が出て、

 「やれやれようやくじゃわい。これでこころおきなく剣が打てるのう。ガハハハハハッ!」

 豪快ごうかいに笑っていたっけ。





 それはそうと、いよいよダンジョンの覚醒だな。(地球のことです)

 三もあると正直いって不安なのだ。

 不測ふそく事態じたいおちいった際はどのように対処たいしょすべきか?

 スタンピードが発生した際の対応もしかり。

 あちらの銃火器がモンスターに対してどの程度・・・・有効なのかを確認しておかないとだな。

 ダンジョン内では銃やライフルでは役に立たない可能性もあるな。

 口径こうけいの大きい機関銃や対戦車砲、グレネードランチャーあたりなら何とかいけるのか? 

 車両の乗り入れが不可能なら、どうやって弾薬だんやくを運ぶ?

 それに魔法とは違う、銃火器による遠隔攻撃えんかくこうげきではレベルアップができない可能性もあるし。

 日本政府との連携れんけいはどうすればいいのか?

 ここは交渉窓口こうしょうまどぐち自衛隊じえいたい一本に絞って、日本政府との折衝せっしょうは自衛隊に取りなしてもらう方が無難だろうか。

 まあ、折衝というけれど、こちらから要望を出すことってないんだけどね。

 そのうち、【ダンジョン省】みたいな機関や、冒険者ギルド的な組織できるかもしれないし。

 それまでは窓口が一つの方が、混乱も少なくて済みそうなんだが。

 あとは……、

 まわりの国が黙ってないよね。特に日本国内に基地があるアメリカあたりは……。

 どうしたもんかね。

 逆に、何もしない方が自然にながれていく?

 俺は影からそっと支える感じでいいのかな。

 ダンジョンの扱いについてはどうなるんだろう?

 探索して資源しげんを求めていくのか。

 はたまた、周りを完全封鎖ふうさして放置ほうちするのか。

 どちらにしろ、決めるのは地球の者なんだよな。

 そうすると、こちらとしては情報収集じょうほうしゅうしゅうに重点を置いておけば、それでいいかな。

 あちらで動いているフウガに、配下のかげを3人程つけて様子を見てみますかね。

 必要であれば、現地にて諜報員ちょうほういんを増やしてもいいわけだし。





 そして10日間、(地球時間では5日)

 こちらでゆっくりと骨休めをし、ハル成分・ナツ成分・タマ成分を十分に補給した俺は元気いっぱいアース (地球) へ旅立つのであった。

 今回、日本へ渡るメンバーは、俺・シロ・メアリー・マリアベル・チャト・キロ、それに影の軍団ぐんだんから選抜せんばつした3人となった。

 母屋おもやの裏へ転移してきた俺たちは、いつものように腕時計うでどけいの時刻を合わせる。

 この行為がなんとも潜入せんにゅうスパイのようで、俺的には気に入っていたりするのだが。

 初めは戸惑とまどっていたメアリーも、時刻をあわせると俺に向かって無言で頷いている。

 只今の時刻、午後2時30分。(9月1日)

 俺たちはさっそく転移台座てんいだいざへと進み、連れてきた影たちの登録を済ませていく。

 この者たちの恰好かっこうといえば、忍者顔負けの黒装束くろしょうぞく。頭の上からつま先まで ”まっくろくろすけ” である。

 今の日本では、例え夜でも目立ってしまう恰好だよな。

 服は明日にでも買いそろえるとして、

 今日のところは、そこのユニ○ロで買ったカラフルなジャージでも着せておこうか。

 黒いジャージは一着しかないので争奪戦そうだつせんになってしまいそうだが、そこはいたしかたない。

 地下秘密基地ちかひみつきちへの案内はキロに任せ、俺たちは表へまわり玄関の引き戸を開けると母屋おもやに入った。

 「ただいま帰りました!」

 「「ただいま~」」 「ワン!」 「にゃ~お!」

 全員に浄化をかけてから家にあがり、居間いまの方へ顔を出す。

 「やぁおかえり。むかえにも出れなくて悪いねぇ」

 茂さんは居間のテーブルに書類しょるいを広げ、整理せいりの真っ最中だったようだ。

 「いえいえ、そのままお続けください。こちらこそ、今回もお世話になります」

 いそがしそうにしている茂さん。邪魔じゃましても悪いだろうと、

 「また、夕方にでもみんなで顔を出しますね~」

 それだけ言うと、俺とシロは地下秘密基地へと引きあげた。

 メアリーとマリアベルは紗月の部屋へ向かったようだ。

 向こう (クルーガー王国) で買ったおみやげを渡しにいったのだろう。

 ………………

 俺がシロを連れて基地のリビングに入ると、慶子がお茶をしながらテレビを見ていた。

 「あら、帰ったのね。ハルちゃんは元気だったのかしら?」

 「おう、ただいま慶子。ハルはすこぶる元気だったぞ。今日は来ていないのかと ばぁば (慶子) を探してたから、こんど顔を見せてやってくれ」

 「まぁ本当に! こんどお菓子をいっぱい持っていってあげるわ」

 「それは喜ぶだろうな。それとすすめてくれた冷凍紅鮭、めちゃくちゃ好評だったよ。ありがとなー」

 慶子に帰還きかんのあいさつをしていると、キロがすぐさまお茶をれてくれた。

 しばらくすると、新人の指導をしていたフウガがこちらに顔を出し、

 俺が不在だった間の報告を上げてくれた。






9月1日 (火曜日)  
次の満月は9月27日
ダンジョン覚醒まで5日・65日

しおりを挟む
😊お読み頂きまして ありがとうございます♪😊

只今改稿作業中につき公開していない部分がございます。
感想 3

あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

転生墓守は伝説騎士団の後継者

深田くれと
ファンタジー
 歴代最高の墓守のロアが圧倒的な力で無双する物語。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

俺とシロ

マネキネコ
ファンタジー
【完結済】(全面改稿いたしました) 俺とシロの異世界物語 『大好きなご主人様、最後まで守ってあげたかった』 ゲンが飼っていた犬のシロ。生涯を終えてからはゲンの守護霊の一位(いちい)として彼をずっと傍で見守っていた。そんなある日、ゲンは交通事故に遭い亡くなってしまう。そうして、悔いを残したまま役目を終えてしまったシロ。その無垢(むく)で穢(けが)れのない魂を異世界の女神はそっと見つめていた。『聖獣フェンリル』として申し分のない魂。ぜひ、スカウトしようとシロの魂を自分の世界へ呼び寄せた。そして、女神からフェンリルへと転生するようにお願いされたシロであったが。それならば、転生に応じる条件として元の飼い主であったゲンも一緒に転生させて欲しいと女神に願い出たのだった。この世界でなら、また会える、また共に生きていける。そして、『今度こそは、ぜったい最後まで守り抜くんだ!』 シロは決意を固めるのであった。  シロは大好きなご主人様と一緒に、異世界でどんな活躍をしていくのか?

処理中です...