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33. 東京へ
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こちらに来てくれた幹部自衛官の2人に、ダンジョンのあらましや仕組みなどについて、俺はできる限りわかり易く説明していった。
ただ、
『なぜ、そのようなことを知っているのか?』
『いったい何処からの情報なのだ?』
などといった質問には、『残念ながらお答えすることが出来ません』と、それだけで対応した。
だって、異世界から来ただとか、女神さまからお願いされたとか言っても、胡散臭さが増すばかりだよね。
まあ、2人とも訝しげにはしていたが、この場において過度に追及されることはなかった。
………………
…………
……
「ダンジョン……。にわかに信じがたいが、このメモの信憑性が高いのも事実。ここは、お二人の言を信じて対応いくしかないだろう」
「神にお仕えする宮司さんが嘘を吐いてるとも思えません。お話しされたとおりであれば、こちらのダンジョンが覚醒するまでもう一月とありません。人員の配置も含め、早急に対策を講じる必要があるでしょう」
荒木さんと吉田さんは2人でそのように話していた。
「また、近いうちにお伺いするとは思いますが」
そう言いながら玄関先で着帽すると、ビシッと敬礼を決めて帰っていかれた。
いやぁー、自衛官さんカッコイイ!
そして今回も、2週間分の地震予測メモはお渡ししている。
これで、ある程度信じてもらえたら良いのだが。
最悪、監視される可能性もあるよなぁ。
東京に行くなら、監視がつく前に行動した方が良いかもしれない。
よし、明日行こう!
そんなわけで、夕食時にみんなに話をしてみた。
「あんたバカァ?」
どこかで聞いたような台詞がマリアベルから飛んできた。
(赤いプラグスーツは着ていない)
「あの~、お盆の時期ですから、飛行機も新幹線も多分いっぱいで乗れませんよ」
くっ、――。
紗月にまでダメ出しされてしまった。
だが、そこに救世主があらわれた。
「あ、でも、ありじゃない。帰省とは真逆の行動なんだし」
おお~! さすがは慶子さま。心の妻よ~。
というわけで、試しにネットで確認したところ、
新幹線で行った場合だが。明日の朝一でなら、まだ十分に空席があるとのことでした~。
―― 東京行きが決定しました ――
それで今回、東京へ向かうメンバーだが、俺・シロ・マリアベル・チャト・メアリー・紗月・キロの5人と2匹になった。
シロとチャトはこちら (神社) で待機してもらい東京に着いてから召喚を行なうものとした。
慶子の方は、今回の東京行きはパスするそうだ。
お盆なので娘のところに顔を出したあと、孫たちと一緒に食事をする予定だとか。
フウガもこちらに残り、神社を含めた拠点の警戒と、旅先での情報収集をしてくれるそうだ。
茂さんが慣れた手つきでスマホを操作し、ホテルなどの予約をとってくれている。
池袋駅前のビジネスホテルに2泊。それと帰りの新幹線の指定席だな。
すると手配が終わった茂さんが、俺たちが東京に行っている間もダンジョン探索を続けていいかと尋ねてきた。
俺はすこし迷ったのだが、早朝だけならと許可を出すことにした。
もちろん、ダンジョン内においてはフウガと共に行動することを条件にだ。
ヒールポーションも多めに持たせたし、まあ大丈夫だろう。
都合がついたら一緒に潜ってやってくれと、慶子にもお願いしておいた。
回復要員が居れば、心強いからね。
そして次の日。
早朝から俺たちは家を出た。
本来は必要としないデイバッグを背負っているのは、単にカモフラージュのためである。
(この方が外国人観光客っぽいからね)
メアリーとキロの小さなデイバックにはクッションが入っている。椅子に座ったときの尻尾対策だな。
見えない尻尾のせいで、座ったときに違和感がでてしまうのだ。
お見送りに出ているのはフウガとチャトのみ、シロと茂さんは張りきって『朝ダンジョン』中である。
まあ、油断してケガなどしないように頑張ってほしいところだ。
紗月が母屋の戸締りを確認して、いよいよ出発!
最寄りの駅までカンゾー (ダンジョン) の転移で飛び、そこからは地下鉄に乗って博多駅へと向かった。
みどりの窓口にて新幹線の往復キップを購入し、帰りの指定席の予約も確認した。
人も疎らなホームに上がると、ちょうど新幹線が入ってきた。
「ゲンパパ、すご~い! これに乗るの!?」
手をいっぱいに広げて興奮しているメアリーを宥めながら、俺たちは新幹線のぞみの2号車へと乗り込んでいく。
3列シートを2つ使い、前の席には俺とマリアベルが座り、後ろの席にはメアリー・紗月・キロが並んで座った。
当然メアリーが窓側だな。
「正座するのはやめなさい!」
紗月にそう言われると、窓に向かって正座していたメアリーはしぶしぶ座り直していた。
そして新幹線は東京へ向け静かに走りだす。
さて、ここで気になるのがメアリーとキロの獣耳と尻尾であるが。
こちらはなんとか、光学迷彩を駆使して耳と尻尾だけを隠すことができるようになった。
さらに、念を入れて夏用のキャスケット帽をバフッとかぶっているので、万一魔法が解けたとしても安心だな。
デカい尻尾は…………。まあ、誰かが後ろに立ってカバーするしかないよな。
「ねぇ……、やっぱりこっちって薄いのかしら。一晩寝ても全回復してない感じよね」
隣りに座っているマリアベルが、両掌を眺めながらしみじみとこぼしている。
主語が抜けていて分かりずらいが、どうやら『魔素が薄いのでMPの回復が遅い』と言ってるようだ。
「だろ、向こうの1/3ぐらいだからな。何もしなければ、まる2日程で回復するぞ」
「じゃあ、私みたいな専門職はやりくりが大変よね」
専門職とは魔法職のことを言っているのだろう。たぶん。
「そこは毎日 (ダンジョンに) 入ることもないと思うぞ。みんなに付き合うのも適度でいいんじゃないか」
「まっ、今は付いて見てるだけだし、問題ないわね」
………………
「ところでマリア、その後家族との連絡はどうなっているんだ?」
「うん、お母さんに連絡した。いろいろと質問されちゃったけど……。まだ半信半疑みたいなのよね」
「まあ、そうだろうなぁ。 俺も慶子に会ったとき、すぐには信じてもらえなかったからな」
「信じてくれるかしら……。みんな元気だと良いなぁ」
東京までは5時間ちょっと。弁当やお菓子を食べ、おしゃべりをしながら過ごした。
お昼前には東京駅に到着した。
キップはそのままに改札を抜け、こんどはJR山手線へと乗り換える。
ほらほら、そこのキャスケット帽をかぶったお二人さん、あまりキョロキョロしなーい。
あ~、紗月もかよ。
人が多くてビックリするよね。
お盆だから、まだまだ少ないほうだけど。
ホームへ続く階段を上り、山手線内回りの上野・池袋方面の電車に乗った。
あとは池袋駅で降りるだけ。
――東京に来たんだなぁ。
俺的に行きたいところと言えば、まず秋葉原だろう、浅草だろう、巣鴨なんかも捨てがたいよな。
しかし今回はマリアが優先だからね。
おみやげに辛子明太子も買ってあるぞ。
そのお店で新発見!
『辛子明太子マヨネーズ』なる物を見つけてしまった。即10本キープすることにした。
これは牛丼のトッピングにもってこいだろう。ピリ辛うまうまだー。
実際にスキ屋のメニューの中にもあるしな。(高菜明太マヨ牛丼)
池袋駅に到着した俺たちは、そのまま乗り継ぎは行わずに 一旦駅から離れた。
お腹を空かせたまま会いに行くわけにもいかないしな。
駅に程近い、サンシャイン通りに入ってすぐにある、ピザチェーンのシ○ーキーズに入り昼食を済ませた。
はじめて飲んだジンジャーエールにメアリーが騒いでいた。
そうか、メアリーのやつ 炭酸飲料は初めてだったか……。
それなら俺の子供の頃にあそんだ、究極の『缶コーラ遊び』を教えてあげられるな。ヒッヒッヒッ。
「あんた、また何か悪いこと考えてるでしょう? 顔がキモいわよ」
マリアベルである。
キモいはちょっと言い過ぎでしょうよ。キモいは。
食事を終えて店を出る。
この辺なら ”つけ麺” なんかも食べたくなるよな~。
また、ひとりで食べに来てみようかな。
会計を済ませて少し遅れて店を出てみると、紗月とメアリーが何処ぞのナンパ野郎に声を掛けられていた。
この辺ではよく見る光景である。
面白いので後ろから見ていても良かったのだが、怪我をされても困るしな。相手に。
――仕方がない。
俺は紗月とメアリーの前に割り込むと、2人のナンパ野郎に話しかけた。
「ねーねー、君たち悪いんだけどこの子たちは俺の連れなんだよね~。他を当たってくれるかなー」
「なに、この外国人。邪魔なんだよね~」
「一人じゃ、こんなに相手できないっしょ。だーかーらー俺らがこーして遊んであげよーてぇわけ~」
そして、男が紗月の腕を掴もうと手を伸ばしてきたので、俺は男の手首を掴み軽く握ってやった。
「あたたたたたたたっ。なっ、何すんだよ!」
「ちょっと、こっちに来てねー」
店の入口から外れ、男二人を道路の脇へ連れていく。
「君たちさ~。これあげるから、そこのゲーセンにでも行って遊んでおいでよ」
俺はポケットから100円玉を2枚取り出し、男たちの目の前で半分に折り曲げて手渡した。
「「…………」」
「次は、君たちがこうなるよ」
俺が威圧をかけながら微笑むと、男たちは顔を真っ青にしてふらふらとゲーセンの方へ消えていった。
――やれやれ。
時計を見れば、午後1時50分。
ビジネスホテルのチェックインは確か3時からだったかな。
みんなで話してみたところ、
部屋にはまだ入れないと思うけど、手続きは出来るかもしれない。とのこと。
場所も駅前だし、ここから近いということなので俺たちはビジネスホテルへ向かうことにした。
8月13日 (木曜日)
次の満月は8月28日
ダンジョン覚醒まで24日・84日
ただ、
『なぜ、そのようなことを知っているのか?』
『いったい何処からの情報なのだ?』
などといった質問には、『残念ながらお答えすることが出来ません』と、それだけで対応した。
だって、異世界から来ただとか、女神さまからお願いされたとか言っても、胡散臭さが増すばかりだよね。
まあ、2人とも訝しげにはしていたが、この場において過度に追及されることはなかった。
………………
…………
……
「ダンジョン……。にわかに信じがたいが、このメモの信憑性が高いのも事実。ここは、お二人の言を信じて対応いくしかないだろう」
「神にお仕えする宮司さんが嘘を吐いてるとも思えません。お話しされたとおりであれば、こちらのダンジョンが覚醒するまでもう一月とありません。人員の配置も含め、早急に対策を講じる必要があるでしょう」
荒木さんと吉田さんは2人でそのように話していた。
「また、近いうちにお伺いするとは思いますが」
そう言いながら玄関先で着帽すると、ビシッと敬礼を決めて帰っていかれた。
いやぁー、自衛官さんカッコイイ!
そして今回も、2週間分の地震予測メモはお渡ししている。
これで、ある程度信じてもらえたら良いのだが。
最悪、監視される可能性もあるよなぁ。
東京に行くなら、監視がつく前に行動した方が良いかもしれない。
よし、明日行こう!
そんなわけで、夕食時にみんなに話をしてみた。
「あんたバカァ?」
どこかで聞いたような台詞がマリアベルから飛んできた。
(赤いプラグスーツは着ていない)
「あの~、お盆の時期ですから、飛行機も新幹線も多分いっぱいで乗れませんよ」
くっ、――。
紗月にまでダメ出しされてしまった。
だが、そこに救世主があらわれた。
「あ、でも、ありじゃない。帰省とは真逆の行動なんだし」
おお~! さすがは慶子さま。心の妻よ~。
というわけで、試しにネットで確認したところ、
新幹線で行った場合だが。明日の朝一でなら、まだ十分に空席があるとのことでした~。
―― 東京行きが決定しました ――
それで今回、東京へ向かうメンバーだが、俺・シロ・マリアベル・チャト・メアリー・紗月・キロの5人と2匹になった。
シロとチャトはこちら (神社) で待機してもらい東京に着いてから召喚を行なうものとした。
慶子の方は、今回の東京行きはパスするそうだ。
お盆なので娘のところに顔を出したあと、孫たちと一緒に食事をする予定だとか。
フウガもこちらに残り、神社を含めた拠点の警戒と、旅先での情報収集をしてくれるそうだ。
茂さんが慣れた手つきでスマホを操作し、ホテルなどの予約をとってくれている。
池袋駅前のビジネスホテルに2泊。それと帰りの新幹線の指定席だな。
すると手配が終わった茂さんが、俺たちが東京に行っている間もダンジョン探索を続けていいかと尋ねてきた。
俺はすこし迷ったのだが、早朝だけならと許可を出すことにした。
もちろん、ダンジョン内においてはフウガと共に行動することを条件にだ。
ヒールポーションも多めに持たせたし、まあ大丈夫だろう。
都合がついたら一緒に潜ってやってくれと、慶子にもお願いしておいた。
回復要員が居れば、心強いからね。
そして次の日。
早朝から俺たちは家を出た。
本来は必要としないデイバッグを背負っているのは、単にカモフラージュのためである。
(この方が外国人観光客っぽいからね)
メアリーとキロの小さなデイバックにはクッションが入っている。椅子に座ったときの尻尾対策だな。
見えない尻尾のせいで、座ったときに違和感がでてしまうのだ。
お見送りに出ているのはフウガとチャトのみ、シロと茂さんは張りきって『朝ダンジョン』中である。
まあ、油断してケガなどしないように頑張ってほしいところだ。
紗月が母屋の戸締りを確認して、いよいよ出発!
最寄りの駅までカンゾー (ダンジョン) の転移で飛び、そこからは地下鉄に乗って博多駅へと向かった。
みどりの窓口にて新幹線の往復キップを購入し、帰りの指定席の予約も確認した。
人も疎らなホームに上がると、ちょうど新幹線が入ってきた。
「ゲンパパ、すご~い! これに乗るの!?」
手をいっぱいに広げて興奮しているメアリーを宥めながら、俺たちは新幹線のぞみの2号車へと乗り込んでいく。
3列シートを2つ使い、前の席には俺とマリアベルが座り、後ろの席にはメアリー・紗月・キロが並んで座った。
当然メアリーが窓側だな。
「正座するのはやめなさい!」
紗月にそう言われると、窓に向かって正座していたメアリーはしぶしぶ座り直していた。
そして新幹線は東京へ向け静かに走りだす。
さて、ここで気になるのがメアリーとキロの獣耳と尻尾であるが。
こちらはなんとか、光学迷彩を駆使して耳と尻尾だけを隠すことができるようになった。
さらに、念を入れて夏用のキャスケット帽をバフッとかぶっているので、万一魔法が解けたとしても安心だな。
デカい尻尾は…………。まあ、誰かが後ろに立ってカバーするしかないよな。
「ねぇ……、やっぱりこっちって薄いのかしら。一晩寝ても全回復してない感じよね」
隣りに座っているマリアベルが、両掌を眺めながらしみじみとこぼしている。
主語が抜けていて分かりずらいが、どうやら『魔素が薄いのでMPの回復が遅い』と言ってるようだ。
「だろ、向こうの1/3ぐらいだからな。何もしなければ、まる2日程で回復するぞ」
「じゃあ、私みたいな専門職はやりくりが大変よね」
専門職とは魔法職のことを言っているのだろう。たぶん。
「そこは毎日 (ダンジョンに) 入ることもないと思うぞ。みんなに付き合うのも適度でいいんじゃないか」
「まっ、今は付いて見てるだけだし、問題ないわね」
………………
「ところでマリア、その後家族との連絡はどうなっているんだ?」
「うん、お母さんに連絡した。いろいろと質問されちゃったけど……。まだ半信半疑みたいなのよね」
「まあ、そうだろうなぁ。 俺も慶子に会ったとき、すぐには信じてもらえなかったからな」
「信じてくれるかしら……。みんな元気だと良いなぁ」
東京までは5時間ちょっと。弁当やお菓子を食べ、おしゃべりをしながら過ごした。
お昼前には東京駅に到着した。
キップはそのままに改札を抜け、こんどはJR山手線へと乗り換える。
ほらほら、そこのキャスケット帽をかぶったお二人さん、あまりキョロキョロしなーい。
あ~、紗月もかよ。
人が多くてビックリするよね。
お盆だから、まだまだ少ないほうだけど。
ホームへ続く階段を上り、山手線内回りの上野・池袋方面の電車に乗った。
あとは池袋駅で降りるだけ。
――東京に来たんだなぁ。
俺的に行きたいところと言えば、まず秋葉原だろう、浅草だろう、巣鴨なんかも捨てがたいよな。
しかし今回はマリアが優先だからね。
おみやげに辛子明太子も買ってあるぞ。
そのお店で新発見!
『辛子明太子マヨネーズ』なる物を見つけてしまった。即10本キープすることにした。
これは牛丼のトッピングにもってこいだろう。ピリ辛うまうまだー。
実際にスキ屋のメニューの中にもあるしな。(高菜明太マヨ牛丼)
池袋駅に到着した俺たちは、そのまま乗り継ぎは行わずに 一旦駅から離れた。
お腹を空かせたまま会いに行くわけにもいかないしな。
駅に程近い、サンシャイン通りに入ってすぐにある、ピザチェーンのシ○ーキーズに入り昼食を済ませた。
はじめて飲んだジンジャーエールにメアリーが騒いでいた。
そうか、メアリーのやつ 炭酸飲料は初めてだったか……。
それなら俺の子供の頃にあそんだ、究極の『缶コーラ遊び』を教えてあげられるな。ヒッヒッヒッ。
「あんた、また何か悪いこと考えてるでしょう? 顔がキモいわよ」
マリアベルである。
キモいはちょっと言い過ぎでしょうよ。キモいは。
食事を終えて店を出る。
この辺なら ”つけ麺” なんかも食べたくなるよな~。
また、ひとりで食べに来てみようかな。
会計を済ませて少し遅れて店を出てみると、紗月とメアリーが何処ぞのナンパ野郎に声を掛けられていた。
この辺ではよく見る光景である。
面白いので後ろから見ていても良かったのだが、怪我をされても困るしな。相手に。
――仕方がない。
俺は紗月とメアリーの前に割り込むと、2人のナンパ野郎に話しかけた。
「ねーねー、君たち悪いんだけどこの子たちは俺の連れなんだよね~。他を当たってくれるかなー」
「なに、この外国人。邪魔なんだよね~」
「一人じゃ、こんなに相手できないっしょ。だーかーらー俺らがこーして遊んであげよーてぇわけ~」
そして、男が紗月の腕を掴もうと手を伸ばしてきたので、俺は男の手首を掴み軽く握ってやった。
「あたたたたたたたっ。なっ、何すんだよ!」
「ちょっと、こっちに来てねー」
店の入口から外れ、男二人を道路の脇へ連れていく。
「君たちさ~。これあげるから、そこのゲーセンにでも行って遊んでおいでよ」
俺はポケットから100円玉を2枚取り出し、男たちの目の前で半分に折り曲げて手渡した。
「「…………」」
「次は、君たちがこうなるよ」
俺が威圧をかけながら微笑むと、男たちは顔を真っ青にしてふらふらとゲーセンの方へ消えていった。
――やれやれ。
時計を見れば、午後1時50分。
ビジネスホテルのチェックインは確か3時からだったかな。
みんなで話してみたところ、
部屋にはまだ入れないと思うけど、手続きは出来るかもしれない。とのこと。
場所も駅前だし、ここから近いということなので俺たちはビジネスホテルへ向かうことにした。
8月13日 (木曜日)
次の満月は8月28日
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