俺とシロ(second)

マネキネコ

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14. 女神さまからのお願い

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 ほこらに女神像を安置あんちすると、俺はシロと並んでいのりをささげた。

 シロは隣りで舌だしてハッハッいってるだけだけどな。

 すると周りは白いもやに包まれ、例によって天界てんかいへとまねかれた。

 まぶしい光をともなって女神さまが顕現けんげんされる。

 光が収まると目の前には女神さまが…………。

 ――ぐはっ!

 いやいやいや、あやうく粗相そそうをするところだった。

 (ご褒美なのか? まだ何もしていないけど)

 なんと女神さまが神像しんぞう (フィギュア) と同じ姿で立っておられるのだ。

 かのベ○ダンディーが着ていた ”女神服” をユカリーナ様が身に着けていらっしゃるのだよ。

 おおおっ、なんという神々こうごうしさだ。

 素晴らしい! 素晴らしすぎて涙でてきた。

 ”バニーVer.” にしなくて良かった。いや本当に。

 ――他の神から天誅てんちゅうが下っていたかもしれない。

 「女神さまお久ぶりです。こちらでお会いするのは初めてですね」

 「……ごめんなさい。こちらの都合つごうで勝手に転移させてしまいました」

 「と言うことは、やはり女神さまでしたか。ビックリしましたよ突然とつぜんだったので」

 「まずは私の話をお聞きください。理由は申せませんが、こちらの世界には現在管理神が居りません。それで少し前より ”サーメクス” と ”アース” 両方の管理を私が兼任けんにんするかたちになっています。そして今回、”アース (地球) ” においては不測ふそく事態じたいが起きているのです」

 「んん、それはここのところの地震となんら関係があるのですか?」

 「はい、大いに関係がございます。ここ最近の地核変動ちかくへんどうは ”複数ふくすうのダンジョンの起動きどう” によるものなのです。このダンジョン自体はもともとアース (地球) にそなわっていた機能の一つといえるもので、その星の環境かんきょうを整えるために生み出された存在。それが『ダンジョン』なのです」

 「それでは向こう (サーメクス) のように、ダンジョンができるのですか?」

 「はい、できると言いますか……、今回は眠っていたダンジョンが再稼働さいかどうしはじめたのです」

 「これからは世界規模せかいきぼで起こるということでしょうか?」

 「この現象げんしょう今のところ・・・・・こちら (日本) だけのようですね。海によりへだてられているため、大陸までは波及はきゅうしなかったようです。ですがアース (地球) 全体の魔素濃度まそのうどがかなり低くなっているようですので、いずれか他の地域でも同じようにダンジョンの覚醒かくせいが進んでいくことでしょう」

 「それで俺とシロはこちらに呼ばれたわけですが、何かお手伝いをすることがあるのでしょうか? できる限り協力いたしますが……」

 「そう言っていただけると助かります。本来であればこちらの者たちで対応すべきところなのですが、引き継いだばかりで伝手つてもコネもなくて……」

 なるほど、代わりばなでこちらには何の伝手 (聖女) もなければコネ (教会) もないということか。

 あちら (サーメクス) ならユカリーナ様の教会があったりするからなぁ。

 神意を伝えたりすることも可能なわけだ。

 「わかりました。詳細しょうさいをお聞かせください」

 「今の現状を申しますと…………カクカク・シカジカ・コレコレ…………なのです」

 「簡単にいいますと、ここアース (地球) で生活を営む ”人類” と ”ダンジョン” との橋渡はしわたし役をお願いしたいのです。このまま覚醒かくせいが進みますと大混乱だいこんらんが予想されます。ですから、スムーズな共存きょうぞんがなりますようご協力いただきたいのです」

 「話はわかりました。少し考えてみますね。それで猶予ゆうよは、あとどれ位あるのですか? それと向こう (サーメクス) から助っ人すけっと (協力者) を連れてくることは可能ですか?」

 「1目のダンジョンの覚醒かくせいが、こちらで言うところの58日後です。2基目、3基目はほぼ同時で118日後ですね。協力者に関しては混乱こんらんを招かない程度でお願いします。まぁ10人程度ていどであれば問題もあまり起こらないでしょう。そして【トラベル!】についてですが、サーメクスからはいつでも転移てんいが可能です。しかしこちら (地球) からになりますと、魔素濃度まそのうどの関係で特定の日以外は難しくなっております。具体的にいいますと『満月まんげつの夜』が目安です。月齢げつれいでいきますと14日~16日の夜にあたります。この時分にシロさんを介して【トラベル!】を行ってください」

 「満月の夜……了解です。どうしたものかと困っていたのです。また覚醒が近くなったら相談にきますね」

 「くれぐれもよろしくお願いいたします。それで今回の報酬ほうしゅうなのですが、事がなったあかつきには何かご褒美ほうびを考えておきますね!」

 女神さまは微笑ほほえみながら帰っていかれた。





 「………………でへっ!」

 ご褒美って……、もう頂いてますがな~。

 ”女神様コスチューム” めっちゃ良かった! あれは反則だよな。

 あれでお願いされては断れるわけがないよなぁ。

 ――はぁぁぁ。

 さて、とりあえず戻りますか。

 「シロ、一旦いったん戻るぞ」

 隣のシロに声をかけ、俺たちは神社に帰ってきた。

 引き戸ひきどを開け、

 「ただいまー!」

 靴を脱ぎ家にあがる。すると、

 ドタドタドタドタドタドタッ!!

 しげるさんが血相けっそうを変えて家の奥より飛びだしてきた。

 両手をそえるようにして、昨日渡した女神像 (白ビキニ&パレオVer.) がにぎられている。

 「すっ、すごっ、凄いんだ。光ったんだよコレが。そしたらふわっとして……」

 「まあまあ話はうかがいますから、とりあえずは中に入りましょう」

 何がどうしたのか要領ようりょうないので、慌てている茂さんをなだめつつ一緒に居間へ入った。

 座布団に腰を下ろし、あちらの紅茶こうちゃをカップに二杯注いで、一つを茂さんに差しだす。

 「うっ、済まない。……………………おおうまいなコレ!」

 「――でしょう」

 ……だいぶ落ち着いてきたかな。

 「それで、何があったんですか?」

 「あ、ああ、済まない。つい取り乱してしまって。実は女神像をこのテーブルの上に置いて観賞かんしょうしていたんだが……」 

 「あまりの出来というか、神々こうごうしさに、……おずかしながら祈りをささげていたんだよ。すると突然とつぜん神像が輝きだして、次の瞬間しゅんかんには身体がふわっと浮いたようになって。その……、力がみなぎっているんだ」

 あぁ~、そうか。

 神社の境内けいだい神域しんいきだからなぁ。

 ちょっと失礼して、――鑑定!

 ……あったな、女神さまの加護かご

 茂さんは日本の神職なのに良いのだろうか?

 いや、さっきユカリーナ様はアース (地球) も兼任けんにんすると言っていたよな。

 すると何も問題ないのか……。

 ――う~ん。

 「ゲンさん。ゲンさ~ん。おーい、おぉーい!」

 「あっすいません。考え事をしてました」

 ううっ、久しぶりにやってしまったな。(汗)

 「えっとですねぇ、つまり茂さんは地球の管理神であるユカリーナ様から加護かごたまわったわけです。おそらくは地球で初めて」

 「ユカリーナ様の加護……?」

 「こうなった以上は仕方ありません。茂さんにもお手伝いしてもらいますからね」

 「え、ええ、お手伝い? 女神様のおてつだい……。よろこんでぇぃ!」

 今だテンションアゲアゲの茂さん、完全にキャラ崩壊ほうかいしているようです。

 なに、その『よろこんでぇぃ!』って言うのは? ――ねぇ?






7月10日 (金曜日)  
次の満月は7月29日
ダンジョン覚醒まで58日・118日

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 上が現在の日付です。下は満月にあたる日付とダンジョンが完全に覚醒 (起動) するまでの日数です。左が1基目、右が2基目・3基目の起動までの日にちになります。φ(ΦωΦ )

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