女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう

サイダーボウイ

文字の大きさ
上 下
38 / 77
第2章

12話

しおりを挟む
(ふぅ・・・。なんとかなったな・・・)

 めちゃくちゃとなった黒焦げのフロアを見渡しながら、ゲントはゆっくりとその場から立ち上がる。

「マスターっ!! 大丈夫でしたかぁぁ~~!?」

 羽をぱたぱたとさせながらルルムが一目散に飛び込んでくる。
 その顔は今にも泣きそうだ。

「ううぅぅっ~~! 全身ボロボロじゃないですかぁぁぁ~~っ!?」

「へーきだから・・・。回復素材があるんだ」

『ふぇっ?』

 マジックポーチの中からエメラルドポーションをいくつか取り出すと、ゲントはそれを体にめいっぱいふりかけた。

 ピカーーン!

 全身が輝きに包まれると、あっという間に傷口が癒えていく。

「はぅぅぅっ~~。よかったですぅぅぅ・・・安心しましたぁぁ・・・」

 ホッとしたようにルルムはその場にぺたりと座り込んだ。

「心配しましたよぉ~マスターぁぁ・・・」

「でも上手くいったでしょ?」

「そーですけどぉぉ・・・。内心ずっとヒヤヒヤしてましたよぉ・・・」

「ごめん。けど、いろいろ助かったよ」

「とんでもないですよっ~! 成功してよかったですっ!」

 これは2人で成し遂げたことだった。
 どちらかが欠けても、きっとガノンドロフは倒せなかったことだろう、とゲントは思う。

(本当に上手くいってよかった)

 奥義によって魔法陣を暴走させるというアイデアは、実際のところイチかバチかの賭けだった。

 結果的に魔剣の力をもって魔法陣を暴走させることに成功し、それが連鎖的に大爆発を起こして、ガノンドロフはその爆発に巻き込まれる形で消滅することになった。

 もちろん、その場にいたゲントも巻き添えを受けた。
 しかし、なんとか無事だった。

 ゲントが生きのびることができたのは2つのアビリティのおかげだ。

 ひとつ目は《格闘王》。

==================================

[アビリティ名]
格闘王

[レア度]
B

[種類]
永続

[効果]
百戦錬磨の戦士の力を解放し、超人的な怪力を得る。
また、一定時間クリティカル率が上昇する。

==================================

 爆発が起こる直前。
 ゲントは《格闘王》のアビリティによって、魔剣をフロアの遠くへと飛ばすことに成功する。

 瞬時にルルムがもとの姿に戻ることによって、ゲントは葬冥の魔剣ケイオスヴァレスティの制約から逃れることができた。

 ふたつ目は《踏ん張り》だ。

==================================

[アビリティ名]
踏ん張り

[レア度]
B

[種類]
インスタント

[効果]
10秒間だけ致死量のダメージを受けても力尽きない。
HP1の状態で生き残る。

==================================

 これによってギリギリで生き残ることができたわけだ。
 
 そこでゲントは、立ち上がったままとなっていた光のパネルに目を向ける。

==================================

【RESULT】

☆☆戦闘に勝利しました☆☆

[総合判定]
SS+

[討伐モンスター]
覚醒ガノンドロフ

[タイム]
00:34:11

[獲得EXP]
500,000

[経験値ブースト]
なし

[特殊ボーナス]
《獲得EXP10倍》

[EXP合計]
5,000,000

[入手アイテム]
虹光の大真珠×1
極上ベルナス×1
無結晶琥珀×1

==================================

【LEVEL UP】

☆☆レベルアップしました☆☆

Lv. 993→Lv. 1064

次のレベルまであと 経験値 8,765

==================================

 どうやら今回も大幅にレベルアップしたようだ。
 すでに大台の1000を越えている。

 最後にもう一度だけステータスを確認しておくことに。

==================================

【トウマ・ゲント】 

Lv. 1064

HP 53200/106400
MQ 0

魔力総量 0
魔力 0

魔法攻撃力 0
魔法防御力 0

火属性威力 0
水属性威力 0
風属性威力 0
雷属性威力 0
光属性威力 0

筋力 7001
耐久 6952
敏捷 7020
回避 6875
幸運 7143

SPゲージ 931/10640

クラスF
堕威剣邪

[ユニークスキル]
【抜剣覚醒】

[奥義]
〈居合い重ね〉
〈覇王瞬獄殺〉

[アビリティ]
《攻め立て》
《風纏い》
《勇空》
《天駆》
《気力絶倫》
《慧眼の睨み》
《火事場の馬鹿力》
《ガード強化》
《格闘王》
《氣合》
《怒り》
《血統の一致》
《痛覚無効》

==================================

「どんどんお強くなっていきますねっ~! さすがはマスターですっ!!」

 ステータス画面を覗き見ながら、まるで自分のことにようにルルムは嬉しそうに口にする。

「俺ひとりじゃなにもできないよ。ぜんぶルルムのおかげさ」

「そんな謙遜なさらないでくださいっ~♪ 実際にモンスターを倒されてるのはマスターなんですから☆ しかも! これで『フルゥーヴ伝承洞』にいるモンスターはすべて討伐したわけですしっ♪ ほんとすごいことですよぉ~!」

「たしかに、エコーズの人たちが安心して暮らせるようになって、そこはよかったけどね」

 これで冒険者ギルドも少しは話を聞いてくれるかもしれない、とゲントは思った。

(あ・・・)

 そこでゲントはハッとする。

 脳裏に甦るのはフェルンの言葉だ。

(たしかダンジョン内のモンスターをぜんぶ倒したら、そのダンジョンはしばらくすると次元の彼方に消失するって話だったよな?)

 手短にそのことをルルムに伝える。

「ひぇ~~!? そーなんですかっ!?」

「だから早いとこ脱出しちゃおう」

「わ、分かりましたっ~~!!」
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。 果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

処理中です...