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第2章
6話
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「「「オゴォッ、オゴォッ!!」」」
突如、モンスターの群れが通路の奥から出現した。
「ルルム頼む」
『らっじゃ~~ですっ!』
羽をぱたぱたとさせて、ルルムは宙でくるりと一回転する。
黒い稲妻を発した暗黒の妖気に包まれると、ルルムはあっという間に葬冥の魔剣へと姿を変えた。
『今日もやっちゃいましょっ~! マスター♪』
ゲントは魔剣の柄をしっかりと握り締め、敵集団に剣先を向ける。
その刹那――。
(!)
チュドーーン!!
目の前に魔法陣を展開させた骸骨の群れが攻撃魔法を撃ち込んできた。
寸前のところでゲントはそれを回避する。
『ええぇっ!? ほんとに魔法使ってきましたよぉ~~!?』
「うん」
やはり、このダンジョンの中でなにか異変が起きているようだ。
ゲントは魔晄に呼びかけると、すぐに相手のステータスを確認する。
==================================
[モンスター名]
ヘドロゴス
[危険度]
B級
[タイプ]
特異型
[ステータス]
Lv. 45
HP 9500/9500
MQ 120
魔力総量 20万1800
==================================
敵は、表面を骸骨の装甲で覆っており、その肉体は青白く白骨化していた。
動くたびに腐敗した肉が通路にこぼれ落ち、おぞましい恰好をしている。
危険度はB級。
戦ってきたモンスターの中でもけっこう強い部類に入る。
(でも、やっぱり魔導書や詠唱文の詠み上げは必要ないんだな)
魔境で遭遇した敵もそうだったが、どうやらモンスターはヒト族とは異なる手段を使って魔法が発動できるらしい。
これはわりと厄介な要素と言える。
無詠唱で発動が可能ということは、不意打ちで攻撃魔法を放たれる危険があるからだ。
《風纏い》のアビリティのおかげで、基本的にどんな攻撃も避けられるわけだが。
一撃でも攻撃を受けたら後がないゲントにとって、イレギュラーな事態はできるだけ排除しておきたかった。
その意味でも魔法を仕掛けてくるモンスターは慎重を期すべき相手だと言える。
「「「オ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッ!!」」」
ヘドロゴスの群れは、ふたたび無詠唱で火魔法を撃ち込んでくる。
ゲントはそれを1回2回と素早く避けた。
『マスター? どーして戦わないんですかぁ?』
「ちょっといろいろ確認しておきたくてね」
これからどんなモンスターが出現するかわからない以上、目の前の敵の行動を詳しく把握しておく必要がある。
チュドーーン!!
(やっぱりそうだな)
鋭く放たれる火炎の渦をそのあとも何度か回避しながら、ゲントはある確信を抱いた。
モンスターから少し距離を取ったところでルルムが訊ねてくる。
『あのぉ・・・マスター。なにかわかったんです?』
「ヘドロゴスは火魔法しか使ってこない――いや、使えないみたいなんだ」
『ふぇ?』
「フェルンさんの話を思い出してほしい。ここロザリアでは、国王さまによって『水の書』、『風の書』、『雷の書』、『光の書』の発動が禁止されてるはずだよね?」
『あっ、はい! たしかそんなこと仰ってましたっ~!』
「ヘドロゴスもその制限は受けてしまってるってわけさ」
つまり、このダンジョンに潜んでいるという叡智の占領者よりも、ロザリアの国王に優先権が行っているということだ。
五ノ国の国王らは、各領における新約魔導書の承認否認の管理をすべてその土地の領主に一任している、とフェルンが話していたことをゲントは思い出す。
もっと的を絞って言えば、ダンジョンに出現するモンスターの魔法発動に関する承認否認は、国王ではなくすべて領主が行っているということだ。
これらの状況を整理すると、以下のことがわかってくる。
==================================
①『フルゥーヴ伝承洞』に出現するモンスターは、ロザリア国王が行使する優先権によって、『水の書』、『風の書』、『雷の書』、『光の書』の魔法が使えない。
②しかし、テラスタル領における領主の魔法制限は受けていない。
③なぜなら、このダンジョンにはテラスタル領の領主よりも魔力総量の高い叡智の占領者が潜んでおり、その者が『フルゥーヴ伝承洞』に出現するモンスターの魔法発動を承認しているからである。
④だから、ヘドロゴスは『火の書』の魔法だけ使用して攻撃を仕掛けてくる。
==================================
このような思考整理も営業マンとして培ってきた問題解決能力の賜物と言えた。
そこでようやくゲントは目の前の敵に集中する。
「奥義其の16――〈円転閃殺〉!」
==================================
[奥義名]
円転閃殺
[威力/範囲]
C+/全
[消費SP]
13%
[効果]
敵の視界を暗転させ、強烈な回転斬りを見舞う走破の如き連撃。
敵全体にクリティカル率の高い中ダメージを与える。
==================================
ズガァァァ!!
目にも留まらぬ速さでゲントが剣技を繰り出すと、ヘドロゴスの群れは一瞬のうちにして消え去るのだった。
突如、モンスターの群れが通路の奥から出現した。
「ルルム頼む」
『らっじゃ~~ですっ!』
羽をぱたぱたとさせて、ルルムは宙でくるりと一回転する。
黒い稲妻を発した暗黒の妖気に包まれると、ルルムはあっという間に葬冥の魔剣へと姿を変えた。
『今日もやっちゃいましょっ~! マスター♪』
ゲントは魔剣の柄をしっかりと握り締め、敵集団に剣先を向ける。
その刹那――。
(!)
チュドーーン!!
目の前に魔法陣を展開させた骸骨の群れが攻撃魔法を撃ち込んできた。
寸前のところでゲントはそれを回避する。
『ええぇっ!? ほんとに魔法使ってきましたよぉ~~!?』
「うん」
やはり、このダンジョンの中でなにか異変が起きているようだ。
ゲントは魔晄に呼びかけると、すぐに相手のステータスを確認する。
==================================
[モンスター名]
ヘドロゴス
[危険度]
B級
[タイプ]
特異型
[ステータス]
Lv. 45
HP 9500/9500
MQ 120
魔力総量 20万1800
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敵は、表面を骸骨の装甲で覆っており、その肉体は青白く白骨化していた。
動くたびに腐敗した肉が通路にこぼれ落ち、おぞましい恰好をしている。
危険度はB級。
戦ってきたモンスターの中でもけっこう強い部類に入る。
(でも、やっぱり魔導書や詠唱文の詠み上げは必要ないんだな)
魔境で遭遇した敵もそうだったが、どうやらモンスターはヒト族とは異なる手段を使って魔法が発動できるらしい。
これはわりと厄介な要素と言える。
無詠唱で発動が可能ということは、不意打ちで攻撃魔法を放たれる危険があるからだ。
《風纏い》のアビリティのおかげで、基本的にどんな攻撃も避けられるわけだが。
一撃でも攻撃を受けたら後がないゲントにとって、イレギュラーな事態はできるだけ排除しておきたかった。
その意味でも魔法を仕掛けてくるモンスターは慎重を期すべき相手だと言える。
「「「オ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッオ゛ッ!!」」」
ヘドロゴスの群れは、ふたたび無詠唱で火魔法を撃ち込んでくる。
ゲントはそれを1回2回と素早く避けた。
『マスター? どーして戦わないんですかぁ?』
「ちょっといろいろ確認しておきたくてね」
これからどんなモンスターが出現するかわからない以上、目の前の敵の行動を詳しく把握しておく必要がある。
チュドーーン!!
(やっぱりそうだな)
鋭く放たれる火炎の渦をそのあとも何度か回避しながら、ゲントはある確信を抱いた。
モンスターから少し距離を取ったところでルルムが訊ねてくる。
『あのぉ・・・マスター。なにかわかったんです?』
「ヘドロゴスは火魔法しか使ってこない――いや、使えないみたいなんだ」
『ふぇ?』
「フェルンさんの話を思い出してほしい。ここロザリアでは、国王さまによって『水の書』、『風の書』、『雷の書』、『光の書』の発動が禁止されてるはずだよね?」
『あっ、はい! たしかそんなこと仰ってましたっ~!』
「ヘドロゴスもその制限は受けてしまってるってわけさ」
つまり、このダンジョンに潜んでいるという叡智の占領者よりも、ロザリアの国王に優先権が行っているということだ。
五ノ国の国王らは、各領における新約魔導書の承認否認の管理をすべてその土地の領主に一任している、とフェルンが話していたことをゲントは思い出す。
もっと的を絞って言えば、ダンジョンに出現するモンスターの魔法発動に関する承認否認は、国王ではなくすべて領主が行っているということだ。
これらの状況を整理すると、以下のことがわかってくる。
==================================
①『フルゥーヴ伝承洞』に出現するモンスターは、ロザリア国王が行使する優先権によって、『水の書』、『風の書』、『雷の書』、『光の書』の魔法が使えない。
②しかし、テラスタル領における領主の魔法制限は受けていない。
③なぜなら、このダンジョンにはテラスタル領の領主よりも魔力総量の高い叡智の占領者が潜んでおり、その者が『フルゥーヴ伝承洞』に出現するモンスターの魔法発動を承認しているからである。
④だから、ヘドロゴスは『火の書』の魔法だけ使用して攻撃を仕掛けてくる。
==================================
このような思考整理も営業マンとして培ってきた問題解決能力の賜物と言えた。
そこでようやくゲントは目の前の敵に集中する。
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==================================
[奥義名]
円転閃殺
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13%
[効果]
敵の視界を暗転させ、強烈な回転斬りを見舞う走破の如き連撃。
敵全体にクリティカル率の高い中ダメージを与える。
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ズガァァァ!!
目にも留まらぬ速さでゲントが剣技を繰り出すと、ヘドロゴスの群れは一瞬のうちにして消え去るのだった。
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