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第2章
2話
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「それにしてマスター! 若い方が多いんですね~♪」
「ルルムもそう思う?」
「はーい。なんかこう、ちょっと違和感があるよーな? そんな気がしますねっ!」
ここでルルムと同じ感覚になるとは意外だった。
ひょっとすると、以前の記憶が少しだけ残っているのかもしれない。
(たしかに違和感がある・・・)
まわりを歩く人々はみんな若い。
老人どころか、自分と同じような中年すら見かけない。
全員が自分よりもかなりの年下だ。
そういえば・・・とゲントはふと思い出す。
(あの城にいた臣下たちも随分と若かった気がするな)
「さっきから気になってたんですけどぉ・・・。なんかジロジロと見られてません??」
「うん。実は俺もそれは気になってたんだ」
ゲントがしゃべると、まわりの人々の視線が飛んでくる。
ひとり言をブツブツと呟いている危ないおっさんと思われているのかもしれない。
(いや、それだけが理由じゃないか)
フェルンから聞いた話をゲントはさらに思い出す。
魔素に支配されたこの異世界では、35歳以上で生きている者は稀なのだ。
(40歳の自分はさぞ物珍しい存在に違いない)
「きっとマスターがかっこいいからですね~っ☆ 皆さん気づいちゃったみたいですよぉ~!?」
が、ルルムだけはなぜか誇らし気だ。
ひどい勘違いである。
(・・・にしても。みんなふつうに生活してるんだな)
そこは意外と言えば意外だった。
フェルンの話によれば、1000年周期論を信じている者は半分いるということで。
もっと悲観的になっている人たちが多いのかとゲントは思っていたわけだが、そういうわけでもないらしい。
(まあ、内心どう思ってるかわからないけど・・・)
顔に出していないだけで、ひょっとしたら不安になっているのかもしれない。
〝平和は1000年と続かない〟
大聖文書に記されたそんな一節は、果たして正しいのか、間違っているのか。
そんなことをゲントが考えていると――。
「マスターぁ~! なんかいい匂いがしますよぉー♪」
匂いに釣られるようにして、店先へと吸い込まれていくルルム。
「あ、ちょっと・・・」
ゲントもルルムのあとについて行く。
見ると店先には、おいしそうな小籠包がずらりと並んでいた。
「じゅるり・・・」
ルルムは指を咥えてよだれを垂らしながら、頬を赤く染めて懇願してくる。
「マスターぁ・・・。あれが食べたいですぅ・・・」
「さっき宿屋で朝食食べたばかりじゃなかったっけ?」
「でもでもぉ~~!! おいしそーなんですよぉ~~・・・」
ルルムは姿は視えないというのに、どうやら食事はできるみたいなのだ。
フェルンにバレないように、ゲントは朝食のパンやらリンゴやらを渡していた。
というかお金が一銭も無いわけで。
お願いされたところで買うこともできない。
「これ、取っちゃダメですか・・・? 気づかれないですよねっ!?」
「ダメです」
「ううっ~~。わかりましたぁ・・・我慢しますぅ・・・」
姿の視えないルルムなら、たしかに簡単に取れてしまうのだろうけど。
さすがに大人として、ゲントはそれを見過ごせなかった。
(けど・・・たしかにそうだよな。このまま無一文ってわけにもいかないか)
名残惜しそうに指を咥えるルルムを見ながら、ゲントは思う。
100万yenを稼ぐためにも、ひとまず働くほかない。
ゲントは働くことを特に苦とは考えていない。
大学時代のバイトから通算すれば、かれこれもう20年以上も働いていることになる。
もはや生活の一部なのだ。
(ただ、ここフィフネルで家電の売り込みをするわけにもいかないよな)
今の自分ができそうなことで、ゲントが思い当たるのはひとつしかなかった。
「よし! 冒険者ギルドへ行こう」
「ふぇ? 冒険者ギルド・・・ですかぁ?」
異世界作品の定番といえば、やはり冒険者だからだ。
(一般職よりも稼ぎがいいって話だしね)
「冒険者になって稼ぎができれば、小籠包も好きなだけ食べられるから」
「そうなんですかぁ~? じゃあぜひ冒険者になりましょうっ!! マスターにお力をお貸しいたしますよぉ~~♪」
が、そうは言いつつも若干心配もあった。
魔力総量もMQも、ゲントはゼロなのだ。
こんな自分が行って、果たして冒険者になれるのか。
(ひとまず、行ってみてから考えようか)
一般職で仕事を探すのはそれからでも遅くない。
***
それからエコーズの地図を確認して、ゲントたちは町の広場までやって来る。
その中央に大きな館があった。
(あれか)
魔術師のローブを羽織った若者たちが館を出入りしている。
間違いない冒険者だ、とゲントは思った。
フェルンの話によれば、五ノ国では各領の領都にはかならず、一箇所の冒険者ギルドが設けられているのだという。
領主が自ら運営を行い、国からダンジョンのモンスター討伐を一任されているという話だ。
「中へ入ってみよう」
「りょーかいですっ~♪」
そのまま2人で館の中へと足を踏み入れる。
からん、からん。
親切にもビギナー向けの貼り紙が入口の近くに張り出されていた。
そこでゲントは、この異世界における冒険者ギルドのシステムを知ることになる。
「ルルムもそう思う?」
「はーい。なんかこう、ちょっと違和感があるよーな? そんな気がしますねっ!」
ここでルルムと同じ感覚になるとは意外だった。
ひょっとすると、以前の記憶が少しだけ残っているのかもしれない。
(たしかに違和感がある・・・)
まわりを歩く人々はみんな若い。
老人どころか、自分と同じような中年すら見かけない。
全員が自分よりもかなりの年下だ。
そういえば・・・とゲントはふと思い出す。
(あの城にいた臣下たちも随分と若かった気がするな)
「さっきから気になってたんですけどぉ・・・。なんかジロジロと見られてません??」
「うん。実は俺もそれは気になってたんだ」
ゲントがしゃべると、まわりの人々の視線が飛んでくる。
ひとり言をブツブツと呟いている危ないおっさんと思われているのかもしれない。
(いや、それだけが理由じゃないか)
フェルンから聞いた話をゲントはさらに思い出す。
魔素に支配されたこの異世界では、35歳以上で生きている者は稀なのだ。
(40歳の自分はさぞ物珍しい存在に違いない)
「きっとマスターがかっこいいからですね~っ☆ 皆さん気づいちゃったみたいですよぉ~!?」
が、ルルムだけはなぜか誇らし気だ。
ひどい勘違いである。
(・・・にしても。みんなふつうに生活してるんだな)
そこは意外と言えば意外だった。
フェルンの話によれば、1000年周期論を信じている者は半分いるということで。
もっと悲観的になっている人たちが多いのかとゲントは思っていたわけだが、そういうわけでもないらしい。
(まあ、内心どう思ってるかわからないけど・・・)
顔に出していないだけで、ひょっとしたら不安になっているのかもしれない。
〝平和は1000年と続かない〟
大聖文書に記されたそんな一節は、果たして正しいのか、間違っているのか。
そんなことをゲントが考えていると――。
「マスターぁ~! なんかいい匂いがしますよぉー♪」
匂いに釣られるようにして、店先へと吸い込まれていくルルム。
「あ、ちょっと・・・」
ゲントもルルムのあとについて行く。
見ると店先には、おいしそうな小籠包がずらりと並んでいた。
「じゅるり・・・」
ルルムは指を咥えてよだれを垂らしながら、頬を赤く染めて懇願してくる。
「マスターぁ・・・。あれが食べたいですぅ・・・」
「さっき宿屋で朝食食べたばかりじゃなかったっけ?」
「でもでもぉ~~!! おいしそーなんですよぉ~~・・・」
ルルムは姿は視えないというのに、どうやら食事はできるみたいなのだ。
フェルンにバレないように、ゲントは朝食のパンやらリンゴやらを渡していた。
というかお金が一銭も無いわけで。
お願いされたところで買うこともできない。
「これ、取っちゃダメですか・・・? 気づかれないですよねっ!?」
「ダメです」
「ううっ~~。わかりましたぁ・・・我慢しますぅ・・・」
姿の視えないルルムなら、たしかに簡単に取れてしまうのだろうけど。
さすがに大人として、ゲントはそれを見過ごせなかった。
(けど・・・たしかにそうだよな。このまま無一文ってわけにもいかないか)
名残惜しそうに指を咥えるルルムを見ながら、ゲントは思う。
100万yenを稼ぐためにも、ひとまず働くほかない。
ゲントは働くことを特に苦とは考えていない。
大学時代のバイトから通算すれば、かれこれもう20年以上も働いていることになる。
もはや生活の一部なのだ。
(ただ、ここフィフネルで家電の売り込みをするわけにもいかないよな)
今の自分ができそうなことで、ゲントが思い当たるのはひとつしかなかった。
「よし! 冒険者ギルドへ行こう」
「ふぇ? 冒険者ギルド・・・ですかぁ?」
異世界作品の定番といえば、やはり冒険者だからだ。
(一般職よりも稼ぎがいいって話だしね)
「冒険者になって稼ぎができれば、小籠包も好きなだけ食べられるから」
「そうなんですかぁ~? じゃあぜひ冒険者になりましょうっ!! マスターにお力をお貸しいたしますよぉ~~♪」
が、そうは言いつつも若干心配もあった。
魔力総量もMQも、ゲントはゼロなのだ。
こんな自分が行って、果たして冒険者になれるのか。
(ひとまず、行ってみてから考えようか)
一般職で仕事を探すのはそれからでも遅くない。
***
それからエコーズの地図を確認して、ゲントたちは町の広場までやって来る。
その中央に大きな館があった。
(あれか)
魔術師のローブを羽織った若者たちが館を出入りしている。
間違いない冒険者だ、とゲントは思った。
フェルンの話によれば、五ノ国では各領の領都にはかならず、一箇所の冒険者ギルドが設けられているのだという。
領主が自ら運営を行い、国からダンジョンのモンスター討伐を一任されているという話だ。
「中へ入ってみよう」
「りょーかいですっ~♪」
そのまま2人で館の中へと足を踏み入れる。
からん、からん。
親切にもビギナー向けの貼り紙が入口の近くに張り出されていた。
そこでゲントは、この異世界における冒険者ギルドのシステムを知ることになる。
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