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第1章
26話
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==================================
【魔法学院における教育課程】
〇初等科
10歳~11歳
〇中等科
12歳~13歳
〇高等科
14歳~15歳
==================================
五ノ国では、人々が成人してから日常的に魔法が使えるようにと、魔法学院という教育機関を各国各領に設けているのだという。
五ノ国で暮らす者ならば、誰でも無償で学ぶ権利があるとの話だ。
「MQはある程度の年齢を迎えると、それ以上は上がりづらくなるからね。だから、人々は若いうちから魔法学院に通って、『学問の書』で魔法の理解を高めてるんだよ」
「へぇ」
そこでMQを高め、平均以上の魔力総量を持つ者は、冒険者としてやっていくことができるらしい。
そのほかの者は卒業して成人を迎えると、一般職に就いて町で働くことになるようだ。
「冒険者は一般職に比べて高給取りだからね。そういう理由もあって、魔法学院では冒険者を目指す者が多いんだ」
「そうだったんですね」
「それで。カンベルには最高峰の魔法学院があってね? そこの学長は国王に匹敵するくらいの魔力総量を誇ってるみたいなんだよ。MQをさらに高めるためのアドバイスをしてもらえるかもしれないから」
「MQが高くなれば、それだけ高度な魔法が発動できるようになるんでしたっけ?」
『召喚の書』に記されたレベル10の召喚魔法なら、今度こそクロノを呼び出せるかもしれないとフェルンは考えているようだ。
「うん。私の年齢だとそろそろMQが上がらなくなってくる。だから急がないと」
「けど、どの国でも『召喚の書』の発動は承認されていないんですよね?」
フェルンによれば、『召喚の書』の使用は危険だからという理由でどの国でも承認されていないのだという。
なお、どの領でも発動が禁止されておらず、一般の人々が日常的に使える新約魔導書は『学問の書』と『交信の書』の2冊だけらしい。
「・・・そうなんだけど。ひとつ経験して思ったんだ。五ノ国の外なら、それも関係ないんじゃないかって」
どうやらフェルンは黒の一帯があった場所なら、国王らの優先権を気にせず、自由に魔法を使うことができるんじゃないかと気づいたようだ。
「まぁ、簡単に戻れる場所でもないだろうし。ダンジョンから魔境へは繋がってなくて、一方通行みたいだから。でも諦めずに探すよ。きっと行き方はあるはずだからね」
「影ながら応援してます」
「ありがとう」
「それと・・・。あとはグレン王のことについても調べてみようと思う。どうしても『時空の書』を使ったことが引っかかってるんだ」
「たしかに・・・。なんで使えたのかよくわかりませんね」
グレン王が『時空の書』を所有していること自体は問題ない。
フェルンの話によれば、盟主国であるザンブレクには『暁光の書』以外にも、『時空の書』、『結界の書』、『物質の書』、『操作の書』という4冊の旧約魔導書がクロノから分け与えられていたというからだ。
問題は禁書であるそれがどうして使えたのか。
『時空の書』が使えたということは、ほかの旧約魔導書も使えるかもしれないということだ。
これまでの1000年間。
五ノ国のバランスが保ってこられたのは、旧約魔導書が使用できなかったからでもある。
それが今、崩れてしまうかもしれない。
フェルンが一番気にしているのはそこのようだ。
「それ以外にも気になることがあるからね。あの時、グレン王の様子はどこかおかしかった。私が伝え聞いてきた国王像と、かなり相違があったんだ。たとえ召喚に失敗したとしても、あんな風に人命を弄ぶような御方じゃないはずなんだよ」
暴君でないとすれば、グレン王の行動はたしかに引っかかった。
「だからさ、ゲント君。お互いのチャンネルを交換しておこう」
「チャンネル?」
「そう。なにかわかればすぐに連絡できるから」
どうやらチャンネルというのは、『交信の書』の魔法を使う際に使用するものらしい。
『交信の書』の魔法は、遠く離れた相手と会話ができるスマホのような役割を果たしているようで、聞けばなかなかに便利な魔法ということがわかった。
チャンネルを知っていることで、お互いに連絡を取り合うことができるようだ。
ゲントの魔力はゼロだが、フェルンから一方的に交信する分には受信ができるらしい。
「ルルムも交換したいですぅ~!」と果敢にアタックするも、当然、サキュバスの少女の姿はフェルンに視えていないので華麗にスルーされる。
「ううぅっ~~。フェルンさん気づいてくれませぇ~ん・・・」
そう落ち込むまでが一連の流れだ。
まあこれもコントみたいなもので、ゲントも慣れたものだった。
お互いに光のパネルを操作してチャンネルの交換を無事に完了する。
「また連絡するよ」
「はい。すみませんが、よろしくお願いします」
ゲントとしては、これといってグレン王の動向が気になるわけではなかったが、フェルンとは近況の報告をしたいという思いがあった。
ほんの短い期間だったが、この異世界で生死をともにした事実は変わらない。
ゲントはフェルンのことを本当の戦友のように感じていた。
「あとそうだ。黒の一帯でのことは誰にも口にしない方がいい。キミの力は強すぎる。変に利用されてしまうとも限らないからね。放っておいても、魔境の浸食が終わったことはいずれ世界に伝わるはずだから」
「わかりました。ご忠告ありがとうございます」
そして。
フェルンは名残り惜しそうにしながらも口にする。
「さて・・・。そろそろ行かなくちゃね。これからひとりでも大丈夫かい?」
「フェルンさんにいろいろとこの世界について教わりましたので。大丈夫です」
「そっか。それを聞いて安心したよ。短い間だったけど、キミとともに行動できて本当によかった。私もいろいろと学ぶことができたから。またいつかどこかでかならずね」
「はい。ぜったいに会いましょう」
にこっと白い歯を覗かせると、フェルンは笑顔で手を振りながら立ち去っていく。
「う゛ううう゛っ~~~。フェルンざんぅ、本当に行っちゃいましだぁぁぁ・・・」
鼻水と大粒の涙をためこんでルルムも大きく手を振る。
ゲントはその横で深々とお辞儀をし、フェルンのうしろ姿を見送るのであった。
【魔法学院における教育課程】
〇初等科
10歳~11歳
〇中等科
12歳~13歳
〇高等科
14歳~15歳
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五ノ国では、人々が成人してから日常的に魔法が使えるようにと、魔法学院という教育機関を各国各領に設けているのだという。
五ノ国で暮らす者ならば、誰でも無償で学ぶ権利があるとの話だ。
「MQはある程度の年齢を迎えると、それ以上は上がりづらくなるからね。だから、人々は若いうちから魔法学院に通って、『学問の書』で魔法の理解を高めてるんだよ」
「へぇ」
そこでMQを高め、平均以上の魔力総量を持つ者は、冒険者としてやっていくことができるらしい。
そのほかの者は卒業して成人を迎えると、一般職に就いて町で働くことになるようだ。
「冒険者は一般職に比べて高給取りだからね。そういう理由もあって、魔法学院では冒険者を目指す者が多いんだ」
「そうだったんですね」
「それで。カンベルには最高峰の魔法学院があってね? そこの学長は国王に匹敵するくらいの魔力総量を誇ってるみたいなんだよ。MQをさらに高めるためのアドバイスをしてもらえるかもしれないから」
「MQが高くなれば、それだけ高度な魔法が発動できるようになるんでしたっけ?」
『召喚の書』に記されたレベル10の召喚魔法なら、今度こそクロノを呼び出せるかもしれないとフェルンは考えているようだ。
「うん。私の年齢だとそろそろMQが上がらなくなってくる。だから急がないと」
「けど、どの国でも『召喚の書』の発動は承認されていないんですよね?」
フェルンによれば、『召喚の書』の使用は危険だからという理由でどの国でも承認されていないのだという。
なお、どの領でも発動が禁止されておらず、一般の人々が日常的に使える新約魔導書は『学問の書』と『交信の書』の2冊だけらしい。
「・・・そうなんだけど。ひとつ経験して思ったんだ。五ノ国の外なら、それも関係ないんじゃないかって」
どうやらフェルンは黒の一帯があった場所なら、国王らの優先権を気にせず、自由に魔法を使うことができるんじゃないかと気づいたようだ。
「まぁ、簡単に戻れる場所でもないだろうし。ダンジョンから魔境へは繋がってなくて、一方通行みたいだから。でも諦めずに探すよ。きっと行き方はあるはずだからね」
「影ながら応援してます」
「ありがとう」
「それと・・・。あとはグレン王のことについても調べてみようと思う。どうしても『時空の書』を使ったことが引っかかってるんだ」
「たしかに・・・。なんで使えたのかよくわかりませんね」
グレン王が『時空の書』を所有していること自体は問題ない。
フェルンの話によれば、盟主国であるザンブレクには『暁光の書』以外にも、『時空の書』、『結界の書』、『物質の書』、『操作の書』という4冊の旧約魔導書がクロノから分け与えられていたというからだ。
問題は禁書であるそれがどうして使えたのか。
『時空の書』が使えたということは、ほかの旧約魔導書も使えるかもしれないということだ。
これまでの1000年間。
五ノ国のバランスが保ってこられたのは、旧約魔導書が使用できなかったからでもある。
それが今、崩れてしまうかもしれない。
フェルンが一番気にしているのはそこのようだ。
「それ以外にも気になることがあるからね。あの時、グレン王の様子はどこかおかしかった。私が伝え聞いてきた国王像と、かなり相違があったんだ。たとえ召喚に失敗したとしても、あんな風に人命を弄ぶような御方じゃないはずなんだよ」
暴君でないとすれば、グレン王の行動はたしかに引っかかった。
「だからさ、ゲント君。お互いのチャンネルを交換しておこう」
「チャンネル?」
「そう。なにかわかればすぐに連絡できるから」
どうやらチャンネルというのは、『交信の書』の魔法を使う際に使用するものらしい。
『交信の書』の魔法は、遠く離れた相手と会話ができるスマホのような役割を果たしているようで、聞けばなかなかに便利な魔法ということがわかった。
チャンネルを知っていることで、お互いに連絡を取り合うことができるようだ。
ゲントの魔力はゼロだが、フェルンから一方的に交信する分には受信ができるらしい。
「ルルムも交換したいですぅ~!」と果敢にアタックするも、当然、サキュバスの少女の姿はフェルンに視えていないので華麗にスルーされる。
「ううぅっ~~。フェルンさん気づいてくれませぇ~ん・・・」
そう落ち込むまでが一連の流れだ。
まあこれもコントみたいなもので、ゲントも慣れたものだった。
お互いに光のパネルを操作してチャンネルの交換を無事に完了する。
「また連絡するよ」
「はい。すみませんが、よろしくお願いします」
ゲントとしては、これといってグレン王の動向が気になるわけではなかったが、フェルンとは近況の報告をしたいという思いがあった。
ほんの短い期間だったが、この異世界で生死をともにした事実は変わらない。
ゲントはフェルンのことを本当の戦友のように感じていた。
「あとそうだ。黒の一帯でのことは誰にも口にしない方がいい。キミの力は強すぎる。変に利用されてしまうとも限らないからね。放っておいても、魔境の浸食が終わったことはいずれ世界に伝わるはずだから」
「わかりました。ご忠告ありがとうございます」
そして。
フェルンは名残り惜しそうにしながらも口にする。
「さて・・・。そろそろ行かなくちゃね。これからひとりでも大丈夫かい?」
「フェルンさんにいろいろとこの世界について教わりましたので。大丈夫です」
「そっか。それを聞いて安心したよ。短い間だったけど、キミとともに行動できて本当によかった。私もいろいろと学ぶことができたから。またいつかどこかでかならずね」
「はい。ぜったいに会いましょう」
にこっと白い歯を覗かせると、フェルンは笑顔で手を振りながら立ち去っていく。
「う゛ううう゛っ~~~。フェルンざんぅ、本当に行っちゃいましだぁぁぁ・・・」
鼻水と大粒の涙をためこんでルルムも大きく手を振る。
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