女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう

サイダーボウイ

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第1章

18話

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「奥義其の8――〈鬼炎地走撃〉!」

 グガドオオーーン!!

 魔剣を地面に向けて振り抜くと、燃え盛る炎の刃が大地を削りながら、リザードロードの集団にぶち当たる。

==================================

[奥義名]
鬼炎地走撃

[威力/範囲]
C+/全

[消費SP]
9%

[効果]
力を最大限に開放して戦場を焼き尽くす斬撃。
敵全体にクリティカル率の高い小ダメージを与える。

==================================

「「「グォッゴォォォォォォ~~!?」」」

 あっという間に敵の群れを殲滅することに成功した。

「これで1000体越えだ!」

『やりましたね、マスター! お見事ですっ~♪』

 魔剣を下ろしてゲントはふぅと息を吐く。
 その表情は明るい。

(よしよし。いい感じ)

 なぜなら、まったく疲れない体となっていたからだ。



 ***



 あれからさらに1時間近く。
 スキルの検証を行いながらゲントは戦っていた。

 そこでわかったことがいくつかある。

 まずは轟斬猛怒ベルセルクモードの性能だ。
 
 どうやらこれは〝モンスターからイメージした奥義を引き抜く〟という性能を有していたようだ。

 だから、モンスターによってそれぞれ引き出せる奥義が異なる。
 これまでに同じ奥義が引き抜けたことはなかった。

 また、ここからがすごい。

 試してみたところ、奥義以外にもモンスターから力を引き抜くことができたのだ。

「ステータスオープン」

 ゲントは魔晄に呼びかけると、光のパネルを立ち上げる。

==================================

【トウマ・ゲント】 

Lv. 356

HP 35600/35600
MQ 0

魔力総量 0
魔力 0

魔法攻撃力 0
魔法防御力 0

火属性威力 0
水属性威力 0
風属性威力 0
雷属性威力 0
光属性威力 0

筋力 2413
耐久 2205
敏捷 2330
回避 2446
幸運 2387

SPゲージ 890/3560

クラスF
堕威剣邪

[ユニークスキル]
【抜剣覚醒】

[奥義]
〈吹雪ノ太刀〉
〈昇り烈翔閃〉
〈熱界・天十字〉
〈烈風おろし〉
〈乱閃の投刃〉 

[アビリティ]
《攻め立て》
《天刻の拍動》
《鬼人強走》
《風纏い》
《勇空》
《天駆》
《気力絶倫》
《傾奇者》
《ロックオン》
《不屈》
《筋肉共鳴》
《慧眼の睨み》

==================================

(まさかアビリティも奪えるなんてね)

 つまるところ、轟斬猛怒は、魔剣をモンスターに突き刺して引き出したい能力をイメージすると、それが実際に引き抜けてしまうという規格外の性能を有していたのだ。

 だから現状、奥義とアビリティが自在に奪えてしまっている。

 特にアビリティが手に入るようになったのは大きい。

 今のゲントは、グレイトグリズリーから引き抜いた《気力絶倫》のおかげで、まったく疲れない体を手に入れていた。

==================================

[アビリティ名]
気力絶倫

[レア度]
A

[種類]
永続

[効果]
体力と気力が大幅に上昇する。
どれだけ動いてもまったく疲れない効果を得る。

==================================

 また、アビリティはインスタントと永続の2種類があるようだ。
 インスタントは1回しか使えないが、永続はずっとその効果が続く。

(《気力絶倫》はレア度A。当たりだったみたいだ)

 まるで10代の頃に戻ったようだ、とゲントは体を動かしながら思う。

 これならいくらでも戦えると、どんどん気力がみなぎってくる。

 だが、轟斬猛怒もすべてが万能というわけではない。

 使用した奥義はもう一度使うことができないのだ。
 インスタントと同じで1回限定なのである。

 それに奥義の使用にはSPゲージを消費するため、むやみやたらと使うことはできない。
 なお、このSPゲージは時間とともに回復していくようだ。

(奥義を使用するタイミングはある程度見極める必要があるかな)

 ゲントは突き刺していた魔剣を手に取る。

「さてと」

 これでだいたいモンスターを殲滅したことになる。

 しばらくその場であたりを見渡していると、遠くから人影が手を振りながらやって来るのがわかった。

「ゲント君っ~!」

「あ、フェルンさん」

 フェルンは特に傷を負った様子もなく、無事にモンスターを倒し終えたようだ。
 さすがは天才魔術師だ。

 けれど、そんな彼女も目の前の光景を見て驚く。


「すごいじゃないか!? まさか・・・これをキミがひとりで?」

 目の前には、黒い煙を上げたモンスターが山のように積み重なっていた。
 その光景がフェルンには信じられないようだ。

「ゲント君・・・。キミ、いったいどんな力を使ったんだ・・・?」

「ちょっといろいろとです」

「いろいろって・・・」
 
 フェルンの目には魔剣が視えていない。
 だからこそ、なおさら不思議に思えてならないのだろう。

 むしろ不気味と感じているに違いない。

「さっきはあの場を任せっきりにしてすみませんでした」

「いや・・・。私の方はいいんだよ。だいたい片付いたから」

 反則みたいな手を使って敵を倒していたゲントと違い、フェルンは正攻法であれだけのモンスターの軍勢をすべて倒してしまったようだ。

 それを聞いてゲントは改めて彼女の強さを認識する。

「さすがフェルンさんです」

「私なんかよりもキミの方がよっぽどすごいって・・・」

「そんなことないですよ」

「だって・・・本当にどうやって倒したんだ? こんな多くの・・・」

 魔力ゼロのゲントのどこにそんな力が隠されているのか。
 彼女は単純にそのことが気になるようだ。

「それは――」

 ゲントがそう口にしかけた時。



 ドッゴオオオオォ~~ン!!!



 突如、大地を突き破って巨大な物体が顔を出す。

(なんだ? あれは・・・)

 フェルンも得体の知れないその物体に目を奪われていた。

 さらなる爆音とともにその巨大な物体が完全に姿を現す。
 その正体は、ゴーレムのようなモンスターだった。
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