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5章
第76話 ※説明回(スキップ推奨)
しおりを挟む『 2028年度 ライセンス試験講習教本 探索者クラン本部監修 Ⅰ 』
〇第1章 ダンジョン史
[1-1 発生]
2013年、突如として東京都心に複数のダンジョンが出現。
日本各地にもダンジョンの出現が確認される。
調査の結果、 全世界においてこの現象が起こったのは日本のみと断定。
ダンジョンの出入りは、次元の狭間と呼ばれる渦状の空間を介して行われる。
トビラの出現箇所は3パターン。
地下鉄、地下街、地下横断歩道の階段途中に存在。
トビラを潜った先に地下空間が広がっている事を日本政府が確認、後にこれをダンジョンと定義する。
ダンジョンは誰でも自由に入れるため、当初、好奇心半分で足を踏み入れた大人がエネミーの返り討ちに合い、多くの者が命を落とした。
後に高校生が入った場合のみ、『スタイル』と呼ばれる特殊な力を獲得し、ダンジョンに落ちている遺物を扱える事が判明する。
[1-2 確立]
日本政府はダンジョンの探索に特化した組織『探索者クラン』を東京に設立。
後に全国の主要都市に支部を設立する。
ダンジョンに入る際は、探索者クランに探索者として登録することを義務化し、無断でダンジョンの内部に足を踏み入れる事を法律で禁じた。
大人も探索者として登録することは可能だが、スタイルを所有していないと遺物を扱うことができないため、エネミーとは対等に戦えない。
なお、スタイルを所有していなくともエネミーと戦う事はできるが、ダメージがほとんど通らないため無謀と言える。
鍛え上げられた格闘家や軍人でも、スライムを1体倒すだけで大苦戦するという調査報告がある。
そのため、現在ではスタイルを所持している高校生しかダンジョンに近寄らない事が定着化している。
また地下29階より下層はエネミーの強さが格段に上がる事が探索者クランの調査によって分かっており、これより下層へ降りる者は探索者クラン規定のライセンス試験を受けなければならない。
[2-1 配信の義務]
2014年、日本政府は探索者に以下の事を義務化した。
ダンジョンに入る際は、注意喚起を促す目的で動画サイトを通じてライブ配信を行う事。(なお、2028年現在はこの義務化は撤回されている)
探索者クランは配信を自由に行える環境を整備するため、ダンジョン内に小型の基地局を設営。
必要機材である小型ドローン、カメラ、マイク等は、日本政府によって無償の貸し出しが行われている。
配信の様子はボディコンソールと呼ばれる特殊な媒体を介して確認する事ができる。
ボディコンソールは、スタイルを所有している探索者のみが亜空間より呼び出す事が可能。
配信を確認できるほか、ダンジョン内の地図や自身のステータスなどもすべて見る事ができる。
[2-2 ダンチューバーの登場]
最初期、ダンチューバーはガチ勢(冥層を目指す者達の総称)が主流で、スタイルを所持している高校生らは、パーティを組んでとにかく冥層を目指して競った。
しかし、地下へ降りれば降りるほどエネミーも強力となるため、たとえスタイルを所有していても多くの者が命を落とした。
ダンチューバーがエネミーに襲われて命を落とす事故配信は、当初目新しさから話題となる。
だが、あまりにも悲惨な映像が多く流れたため、次第にトラウマと考える視聴者が増え、ガチ勢の配信は敬遠されるようになっていく。
これが現在における娯楽配信の流れを生む結果となる。
当初、エネミーがダンジョンから溢れ出て来て街を襲うのではないかという人々の恐怖心がガチ勢の背中を押していたという背景があった。
しかし、エネミーはダンジョンからは出る事ができないという事実が数年かけて分かる。
ダンチューバーは命をかけて冥層を目指すよりも、浅層階を周回して弱いエネミーを倒し、配信によって金銭を稼ぐというスタンスがやがて主流となっていく。
[3-1 現在]
ダンジョンのエネミーは放っておいても害はないという考えが定着。
人々はダンジョンの事は気にせず日常を送っている。
なお、ダンジョンの出現から15年が経過した今、冥層へ挑もうとする探索者はほとんど見受けられない。
ライセンスの獲得人口も年々減っている。
[3-2 考察]
2028年現在、人類が到達した最深部は地下54階となっている。
これより下層には何があるか不明とされており、識者達の間でも議論が続いている。
似たような状況として深海の例が挙げられる。
ダンジョンも深海同様に未知の領域が多いが、これを気にして日常生活を送る者は少数派なのが現状である。
〇第2章 ダンジョンの攻略
[1-1 総数]
2028年現在、存在が確認されているダンジョンの総数は1013箇所。
東京 154箇所
関東・首都圏 356箇所
大都市部 298箇所
(札幌、仙台、新潟、静岡、名古屋、大阪、京都、神戸、広島、福岡)
その他地域 205箇所
[1-2 定義]
全国に存在する95%のダンジョンは、深層階までしか存在しない事が探索者クランの調査によって確認されている。
残りの5%のダンジョンは、深層階より下へ降りられる事が確認されており、これより下層は『冥層』と定義されている。
冥層まで存在するダンジョンの大部分は、東京の都市部に集中しており、『渋谷ダンジョン』は、探索者クランの下部組織【神を斬獲せし誓い】によって、地下54階まで降りられる事が確認されている。
[2-1 探索の基本]
前提としてダンジョンは1日に1箇所しか入る事ができない。
これは、スタイルが1日につき1箇所のダンジョンでしか呼び出す事ができない事が理由による。
スタイルを所有している探索者のみ、亜空間よりボディコンソールと、遺物やジェムをストックできるホルダーを呼び出す事ができる。(原理については現在でも不明な点が多い)
フロアにある青色の魔法陣を踏むと下層へ。
赤色の魔法陣を踏むと、地上へと帰還する事ができる。
[3-1 ダンジョンの形状]
基本的にダンジョン内部の形状はその階ごとによって異なる。
現在確認されている形状は全10種類。
洞窟タイプ、草原タイプ、森林タイプ、荒野タイプ、砂地タイプ、岩場タイプ、沼地タイプ、氷上タイプ、マグマタイプ、クリスタルタイプ。
天井の高さはそれぞれの階によって異なる。
浅層階における天井の高さは3M~4M、中層階は5~6M、深層階は7~8M、冥層階は10Mほどが平均とされている。
[3-2 運の要素]
ダンジョンを探索するにあたり、考慮しなければならない点が運の要素である。
ダンジョン探索は運の要素が強いと言われる主な理由は下記の通り。
Ⅰ.遺物はランダムで落ちているため、必ずしも望みの遺物を入手できるとは限らない。
Ⅱ.遺物は3個までしかホルダーにストックできないため、探索における自由度が低い。
Ⅲ.ダンジョンを出るとレベルはリセットされ、拾った遺物も持ち帰る事ができない。
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