33 / 84
3章
第33話 3rdダンジョン Ⅴ
しおりを挟む
準備があるってことで、いったんドローンカメラの範囲から外れると。
ワデアさんが訊ねてくる。
「それではエデンさま。これからいかがいたしますの?」
「ひとまず中層階を目指そうかなって思います」
「ち、中層階ですのっ?」
「はい。そこから深層階へ降りちゃいましょう。『赤羽ダンジョン』は、地下25階まであるみたいなんで。少しだけ急ぎめで進めるとベストですね」
「え、え、えっ・・・?」
あれ。
なんかワデアさんの反応がよくない。
なにか変なこと言っちゃったかな。
「マズかったでしょうか?」
「い、いえ・・・。エデンさまはいつもそのようにして進んでおりますの?」
「普段はだいたい30分くらいで中層階に到達してますかね」
「ハイっ!?」
「深層階まで降りられるダンジョンだと、最下層までだいたい1時間を目標にしてます」
「たったの1時間!?」
「門限があるんで。たまに遅くなっちゃうこともあるんですけど。そのときは紫月に謝ったりして」
ん?
なんだろう。
なぜか首をぶんぶんと横に振るワデアさん。
「エデンさまっ! すごすぎますわ!」
「?」
「ふつうそんな早く到達できませんことよ!? というよりも! そもそも中層階に到達できるダンチューバーすらほとんどおりませんわっ!」
「え、そうなんですか?」
「当り前ですわっ! そこに至るまでさまざまな困難が待ち受けてますのよっ? エネミーはわんさかおりますし、遺物だって拾えるかは運ですわよね? たとえば、ものすっご~く運がよくて。順調にレッドキューブを揃えながら降りられたとしても。たった30分で中層階に到達なんてぜったい無理ですわぁっ! ハァハァ・・・」
ワデアさんは顔を赤くさせながら迫ってくる。
だいぶ興奮してるみたい。
(そうだったんだ。知らなかったな)
まあでも。
これまでの僕は、敵に一切見つからずダンジョンを進めてたわけで。
たしかにちょっとズルいかも。
それに今日はひとりで潜ってるわけじゃない。
当然、ワデアさんのペースに合わせるべきだ。
(今は暗殺者のスタイルでもないしね)
今日はふだんよりもダンジョン攻略には時間がかかるはず。
「ごめんなさい。ワデアさんのことも考えず、先走るようなこと言っちゃって」
「いえ、エデンさまを責めてるわけではないんですのっ。あまりにも当たり前のようにお話されてましたので・・・つい。本当にすごいことですのよ? 1時間で深層階の最下層に到達なんて・・・そんな離れ業できるダンチューバーは、日本全国探してもエデンさま以外いないはずですわっ!」
ワデアさんの興奮はまだ収まらないみたいだ。
ただ、ここであれこれ話してても。
あまり意味はないわけで。
「そろそろ出発しましょうか。もし早く進みすぎてるようでしたら、遠慮なく声かけてください」
「ええ、お心遣いありがとうございますわっ。そうしていただけると助かりますの。なるべくエデンさまに置いていかれないよう、精一杯ついてまいりたいと思いますわっ」
基本的には僕がエネミーを倒すって決めて。
ワデアさんと一緒に通路を進みはじめる。
いよいよダンジョン配信開始だ。
ワデアさんが訊ねてくる。
「それではエデンさま。これからいかがいたしますの?」
「ひとまず中層階を目指そうかなって思います」
「ち、中層階ですのっ?」
「はい。そこから深層階へ降りちゃいましょう。『赤羽ダンジョン』は、地下25階まであるみたいなんで。少しだけ急ぎめで進めるとベストですね」
「え、え、えっ・・・?」
あれ。
なんかワデアさんの反応がよくない。
なにか変なこと言っちゃったかな。
「マズかったでしょうか?」
「い、いえ・・・。エデンさまはいつもそのようにして進んでおりますの?」
「普段はだいたい30分くらいで中層階に到達してますかね」
「ハイっ!?」
「深層階まで降りられるダンジョンだと、最下層までだいたい1時間を目標にしてます」
「たったの1時間!?」
「門限があるんで。たまに遅くなっちゃうこともあるんですけど。そのときは紫月に謝ったりして」
ん?
なんだろう。
なぜか首をぶんぶんと横に振るワデアさん。
「エデンさまっ! すごすぎますわ!」
「?」
「ふつうそんな早く到達できませんことよ!? というよりも! そもそも中層階に到達できるダンチューバーすらほとんどおりませんわっ!」
「え、そうなんですか?」
「当り前ですわっ! そこに至るまでさまざまな困難が待ち受けてますのよっ? エネミーはわんさかおりますし、遺物だって拾えるかは運ですわよね? たとえば、ものすっご~く運がよくて。順調にレッドキューブを揃えながら降りられたとしても。たった30分で中層階に到達なんてぜったい無理ですわぁっ! ハァハァ・・・」
ワデアさんは顔を赤くさせながら迫ってくる。
だいぶ興奮してるみたい。
(そうだったんだ。知らなかったな)
まあでも。
これまでの僕は、敵に一切見つからずダンジョンを進めてたわけで。
たしかにちょっとズルいかも。
それに今日はひとりで潜ってるわけじゃない。
当然、ワデアさんのペースに合わせるべきだ。
(今は暗殺者のスタイルでもないしね)
今日はふだんよりもダンジョン攻略には時間がかかるはず。
「ごめんなさい。ワデアさんのことも考えず、先走るようなこと言っちゃって」
「いえ、エデンさまを責めてるわけではないんですのっ。あまりにも当たり前のようにお話されてましたので・・・つい。本当にすごいことですのよ? 1時間で深層階の最下層に到達なんて・・・そんな離れ業できるダンチューバーは、日本全国探してもエデンさま以外いないはずですわっ!」
ワデアさんの興奮はまだ収まらないみたいだ。
ただ、ここであれこれ話してても。
あまり意味はないわけで。
「そろそろ出発しましょうか。もし早く進みすぎてるようでしたら、遠慮なく声かけてください」
「ええ、お心遣いありがとうございますわっ。そうしていただけると助かりますの。なるべくエデンさまに置いていかれないよう、精一杯ついてまいりたいと思いますわっ」
基本的には僕がエネミーを倒すって決めて。
ワデアさんと一緒に通路を進みはじめる。
いよいよダンジョン配信開始だ。
205
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう
なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。
だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。
バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。
※他サイトでも掲載しています

ダンジョン配信 【人と関わるより1人でダンジョン探索してる方が好きなんです】ダンジョン生活10年目にして配信者になることになった男の話
天野 星屑
ファンタジー
突如地上に出現したダンジョン。中では現代兵器が使用できず、ダンジョンに踏み込んだ人々は、ダンジョンに初めて入ることで発現する魔法などのスキルと、剣や弓といった原始的な武器で、ダンジョンの環境とモンスターに立ち向かい、その奥底を目指すことになった。
その出現からはや10年。ダンジョン探索者という職業が出現し、ダンジョンは身近な異世界となり。ダンジョン内の様子を外に配信する配信者達によってダンジョンへの過度なおそれも減った現在。
ダンジョン内で生活し、10年間一度も地上に帰っていなかった男が、とある事件から配信者達と関わり、己もダンジョン内の様子を配信することを決意する。
10年間のダンジョン生活。世界の誰よりも豊富な知識と。世界の誰よりも長けた戦闘技術によってダンジョンの様子を明らかにする男は、配信を通して、やがて、世界に大きな動きを生み出していくのだった。
*本作は、ダンジョン籠もりによって強くなった男が、配信を通して地上の人たちや他の配信者達と関わっていくことと、ダンジョン内での世界の描写を主としています
*配信とは言いますが、序盤はいわゆるキャンプ配信とかブッシュクラフト、旅動画みたいな感じが多いです。のちのち他の配信者と本格的に関わっていくときに、一般的なコラボ配信などをします
*主人公と他の探索者(配信者含む)の差は、後者が1~4まで到達しているのに対して、前者は100を越えていることから推察ください。
*主人公はダンジョン引きこもりガチ勢なので、あまり地上に出たがっていません

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

【完結】小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。目指せスローライフ!〜
むらくも航
ファンタジー
ブラック企業で働き、心身が疲労している『低目野やすひろ』。彼は苦痛の日々に、とにかく“癒し”を求めていた。
そんな時、やすひろは深夜の夜道で小犬のような魔物を見つける。これが求めていた癒しだと思った彼は、小犬を飼うことを決めたのだが、実は小犬の正体は伝説の魔物『フェンリル』だったらしい。
それをきっかけに、エリートの友達に誘われ配信者を始めるやすひろ。結果、強さでも無双、可愛さでも無双するフェンリルは瞬く間にバズっていき、やすひろはある決断をして……?
のんびりほのぼのとした現代スローライフです。
他サイトにも掲載中。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
☆10/25からは、毎日18時に更新予定!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる