51 / 90
3章
第13話
しおりを挟む
その後、ゼノは《クリーニング》の魔法を使って、全身泥だらけの自分とアーシャを綺麗にしてから、ダンタリオン落園を後にした。
帰り道。
一旦はアーシャと普通に話せるようになったゼノだったが、また彼女に避けられるようになってしまっていた。
声をかけようとしても、上手く視線を逸らされて、背中を向けられてしまう。
2人の間には、再び気まずい空気が立ち込めていた。
すると、そんなタイミングで。
前を歩くアーシャを気にしながら、モニカが小声で話しかけてくる。
「……あのぉ、ゼノ様。アーシャさんとまだケンカしてるんですか?」
「いや、ケンカってほどじゃないんだけど」
「もぉ~! なんでもいーですけど、アーシャさんとはこれでお別れになるんですから。やっぱり、きちんと仲直りした方がいいと思いますっ!」
「ごめん……そうだよな。ありがとう」
気遣ってくれるモニカに礼を述べると、ゼノは前を歩くアーシャの背中を見た。
◆
夕方前にはマスクスの町へ到着し、冒険者ギルドで〝渦〟討伐のチェーンクエスト達成の報告をすると、館内はちょっとしたお祭り騒ぎとなった。
「すごいですよ、皆さん。本当に〝渦〟討伐をクリアしちゃったなんて……」
「さすが、【天空の魔導団】だねぇ。いやぁ、もうゼノくんだなんて馴れ馴れしく呼べないよねぇ」
ティナもリチャードも、感嘆のため息をつきながら、ゼノたち3人の功績を称えた。
もちろん、ダニエルにしてもそれは同じだ。
彼は、巨大な体躯を折り曲げながらアーシャに礼を述べる。
「んおぉう! アーシャ様、ありがとうございますぅ!! まさか、本当にゼノと一緒に〝渦〟討伐を達成するとは思ってませんでしたぞ! よっ、マスクスの誇りッ!!」
「大げさだぜ。アタシは何もしてねーよ。その……ゼノが、凄かったってだけで」
「でも、これから【天空の魔導団】はもっと忙しくなるねぇ。〝渦〟討伐のチェーンクエストをクリアしたって伝われば、各領のギルドからすぐに依頼が届くだろうし。もう、うちらだけのゼノくんじゃないってことだねぇ……」
「やりましたね、ゼノ様♪ これでまた一歩、王国の筆頭冒険者に近付きましたっ!」
「ああ……」
だが。
そんな風にギルド全体から祝われても、ゼノの意識はアーシャに向いていた。
◆
それからギルドにいる冒険者たちから盛大に祝われ、館の外へ出る頃には、辺りはすっかり陽が傾いてしまっていた。
そして、橙色に染まる広場に、見覚えのある顔がいることにゼノは気付く。
ワイアットだ。
彼は、ギルドから出てきた3人に対して、深々とお辞儀をする。
「お嬢様、お迎えに上がりました」
ついに、別れの時がやって来てしまったようだ。
ゼノはそれに気付くと、拳にぐっと力を込める。
「その……世話になったぜ。2人とも……」
アーシャは、ゼノとモニカに向き直ると、少しだけはにかみながらそう口にした。
「こちらこそ、お世話になりました。それと……いろいろ言ってごめんなさい。アーシャさんのこと……そんなにキライじゃなかったです。多分、アーシャさんがいなかったら、こんな短期間で4つのダンジョンのボス魔獣を倒すなんて偉業は達成できなかったと思います」
普段とは違い、モニカはそう言って礼儀正しく頭を下げる。
「へっ……んだよ、急に。本気か?」
「もちろんですよ。戦闘に関してはすっ~ごく尊敬してました。あっ、あと……料理も!」
「んなこと言うんだったら……アタシも、モニカの〈回復術〉には助けられてたんだぜっ? ヒーラーと一緒にいる機会なんて、これまでなかったからな。アタシも勉強になったぜ。その……ありがとな……」
「んんぅ~~! なんですかぁ! アーシャさんって、実はすごくいい子じゃないですかっ♪ 抱きしめちゃいます♡」
「お、おいっ……くっ付くなって!」
「え~? そぉー言いながらも、イヤじゃないんですよねーわたしのこと♪ ほらぁ、むにぃむにぃ~♡」
「くお~~いぃ!? やめろぉ~くすぐってぇぇ~~!?」
じゃれ合う女子2人に目を向けながら、ゼノも礼を述べた。
「アーシャ。俺からも感謝を伝えさせてくれ。本当に助かったよ、ありがとう」
「――!?」
ゼノがそう口にすると、アーシャは急に顔を真っ赤にして恥ずかしそうにする。
モニカの大きな胸に顔を埋めて表情を隠すと、「おぅ……」と小さく返すのだった。
◆
「それでは、皆様。私たちはこれで失礼いたします」
アーシャがワイアットと共に広場から立ち去ってしまうと、その場にはゼノとモニカだけが残された。
人混みに紛れてしまった2人の背中を見送りながら、ゼノは思った。
(結局、最後まで気まずいままだったな)
本来ならば、いち冒険者が領主の令嬢と話すような機会はほとんどない。
どこか、アーシャとの距離が大きく開いてしまったようで、ゼノの中には虚無感にも似た感情が込み上げてくる。
「アーシャさん、とっても楽しい子でしたね」
「そうだな」
「最初は、なんかこの子合わないかも……って思っちゃいましたけど。でも、〈斧術〉の腕前は一流ですし。パーティーの戦力だったので、お別れはちょっと寂しいです。〝赤髪の戦斧使いの少女〟が恐れられていた理由がようやく分かりました」
「……」
ゼノは、どこか呆然としたまま、アーシャが消えてしまった方に目を向ける。
そんな姿を見て、モニカが何か気遣うように声をかけてきた。
「ゼノ様……。本当にこれでよかったんでしょうか?」
「え?」
「もちろん、わたしはこうやってゼノ様と2人きりになれて嬉しいですよ? でも、気まずいままゼノ様とアーシャさんが別れてしまうのは……なんて言うか、あまり嬉しくないです」
「……モニカ……」
「今日、何度も言いましたよね? 仲直りした方がいいって。アーシャさんと、今きちんとお別れしておかないと、今後の人生でずっと後悔することになるんじゃないでしょうか?」
ゼノは、彼女の言葉を耳にして静かに頷いた。
(……そうだ。モニカの言う通りだ。俺は、こんな気まずいままアーシャと別れたくない……)
そう思うと、体は自然と反応していた。
くるりと踵を返すと、ゼノはその場から駆け出す。
「ありがとう、モニカ! 先に宿舎へ帰っていてくれっ……!」
「わかりましたっ♪ これが最後のチャンスです! 絶対にアーシャさんを笑顔にしてきてくださ~いっ!」
モニカに手を振りながら、ゼノはアーシャが消えた雑踏へ向けて走っていた。
帰り道。
一旦はアーシャと普通に話せるようになったゼノだったが、また彼女に避けられるようになってしまっていた。
声をかけようとしても、上手く視線を逸らされて、背中を向けられてしまう。
2人の間には、再び気まずい空気が立ち込めていた。
すると、そんなタイミングで。
前を歩くアーシャを気にしながら、モニカが小声で話しかけてくる。
「……あのぉ、ゼノ様。アーシャさんとまだケンカしてるんですか?」
「いや、ケンカってほどじゃないんだけど」
「もぉ~! なんでもいーですけど、アーシャさんとはこれでお別れになるんですから。やっぱり、きちんと仲直りした方がいいと思いますっ!」
「ごめん……そうだよな。ありがとう」
気遣ってくれるモニカに礼を述べると、ゼノは前を歩くアーシャの背中を見た。
◆
夕方前にはマスクスの町へ到着し、冒険者ギルドで〝渦〟討伐のチェーンクエスト達成の報告をすると、館内はちょっとしたお祭り騒ぎとなった。
「すごいですよ、皆さん。本当に〝渦〟討伐をクリアしちゃったなんて……」
「さすが、【天空の魔導団】だねぇ。いやぁ、もうゼノくんだなんて馴れ馴れしく呼べないよねぇ」
ティナもリチャードも、感嘆のため息をつきながら、ゼノたち3人の功績を称えた。
もちろん、ダニエルにしてもそれは同じだ。
彼は、巨大な体躯を折り曲げながらアーシャに礼を述べる。
「んおぉう! アーシャ様、ありがとうございますぅ!! まさか、本当にゼノと一緒に〝渦〟討伐を達成するとは思ってませんでしたぞ! よっ、マスクスの誇りッ!!」
「大げさだぜ。アタシは何もしてねーよ。その……ゼノが、凄かったってだけで」
「でも、これから【天空の魔導団】はもっと忙しくなるねぇ。〝渦〟討伐のチェーンクエストをクリアしたって伝われば、各領のギルドからすぐに依頼が届くだろうし。もう、うちらだけのゼノくんじゃないってことだねぇ……」
「やりましたね、ゼノ様♪ これでまた一歩、王国の筆頭冒険者に近付きましたっ!」
「ああ……」
だが。
そんな風にギルド全体から祝われても、ゼノの意識はアーシャに向いていた。
◆
それからギルドにいる冒険者たちから盛大に祝われ、館の外へ出る頃には、辺りはすっかり陽が傾いてしまっていた。
そして、橙色に染まる広場に、見覚えのある顔がいることにゼノは気付く。
ワイアットだ。
彼は、ギルドから出てきた3人に対して、深々とお辞儀をする。
「お嬢様、お迎えに上がりました」
ついに、別れの時がやって来てしまったようだ。
ゼノはそれに気付くと、拳にぐっと力を込める。
「その……世話になったぜ。2人とも……」
アーシャは、ゼノとモニカに向き直ると、少しだけはにかみながらそう口にした。
「こちらこそ、お世話になりました。それと……いろいろ言ってごめんなさい。アーシャさんのこと……そんなにキライじゃなかったです。多分、アーシャさんがいなかったら、こんな短期間で4つのダンジョンのボス魔獣を倒すなんて偉業は達成できなかったと思います」
普段とは違い、モニカはそう言って礼儀正しく頭を下げる。
「へっ……んだよ、急に。本気か?」
「もちろんですよ。戦闘に関してはすっ~ごく尊敬してました。あっ、あと……料理も!」
「んなこと言うんだったら……アタシも、モニカの〈回復術〉には助けられてたんだぜっ? ヒーラーと一緒にいる機会なんて、これまでなかったからな。アタシも勉強になったぜ。その……ありがとな……」
「んんぅ~~! なんですかぁ! アーシャさんって、実はすごくいい子じゃないですかっ♪ 抱きしめちゃいます♡」
「お、おいっ……くっ付くなって!」
「え~? そぉー言いながらも、イヤじゃないんですよねーわたしのこと♪ ほらぁ、むにぃむにぃ~♡」
「くお~~いぃ!? やめろぉ~くすぐってぇぇ~~!?」
じゃれ合う女子2人に目を向けながら、ゼノも礼を述べた。
「アーシャ。俺からも感謝を伝えさせてくれ。本当に助かったよ、ありがとう」
「――!?」
ゼノがそう口にすると、アーシャは急に顔を真っ赤にして恥ずかしそうにする。
モニカの大きな胸に顔を埋めて表情を隠すと、「おぅ……」と小さく返すのだった。
◆
「それでは、皆様。私たちはこれで失礼いたします」
アーシャがワイアットと共に広場から立ち去ってしまうと、その場にはゼノとモニカだけが残された。
人混みに紛れてしまった2人の背中を見送りながら、ゼノは思った。
(結局、最後まで気まずいままだったな)
本来ならば、いち冒険者が領主の令嬢と話すような機会はほとんどない。
どこか、アーシャとの距離が大きく開いてしまったようで、ゼノの中には虚無感にも似た感情が込み上げてくる。
「アーシャさん、とっても楽しい子でしたね」
「そうだな」
「最初は、なんかこの子合わないかも……って思っちゃいましたけど。でも、〈斧術〉の腕前は一流ですし。パーティーの戦力だったので、お別れはちょっと寂しいです。〝赤髪の戦斧使いの少女〟が恐れられていた理由がようやく分かりました」
「……」
ゼノは、どこか呆然としたまま、アーシャが消えてしまった方に目を向ける。
そんな姿を見て、モニカが何か気遣うように声をかけてきた。
「ゼノ様……。本当にこれでよかったんでしょうか?」
「え?」
「もちろん、わたしはこうやってゼノ様と2人きりになれて嬉しいですよ? でも、気まずいままゼノ様とアーシャさんが別れてしまうのは……なんて言うか、あまり嬉しくないです」
「……モニカ……」
「今日、何度も言いましたよね? 仲直りした方がいいって。アーシャさんと、今きちんとお別れしておかないと、今後の人生でずっと後悔することになるんじゃないでしょうか?」
ゼノは、彼女の言葉を耳にして静かに頷いた。
(……そうだ。モニカの言う通りだ。俺は、こんな気まずいままアーシャと別れたくない……)
そう思うと、体は自然と反応していた。
くるりと踵を返すと、ゼノはその場から駆け出す。
「ありがとう、モニカ! 先に宿舎へ帰っていてくれっ……!」
「わかりましたっ♪ これが最後のチャンスです! 絶対にアーシャさんを笑顔にしてきてくださ~いっ!」
モニカに手を振りながら、ゼノはアーシャが消えた雑踏へ向けて走っていた。
0
お気に入りに追加
997
あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~
いとうヒンジ
ファンタジー
ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。
理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。
パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。
友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。
その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。
カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。
キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。
最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる