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1章
第17話
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「――って、ことはなんだ? そのエメラルドっていうお師匠様を助けるために、筆頭冒険者を目指していると」
「はい。その通りです」
「400年以上の時を生きる魔女だなんて……正直、信じられないですね」
「でも、大賢者様なら、《不老不死》なんてそんな魔法の1つくらいは扱えたかもしれないねぇ。にしても……。大賢者様が列挙した魔法を再現するための発動具ねぇ……。こりゃとんでもない物だ」
「まだ発見されてねぇ魔法が扱えたから、リーディングホークも倒せたわけだな! なるほど、ゼノって名前は、やっぱ大賢者ゼノから由来してたわけか。ハハッ!! 色々とてめぇのことが分かったぞ!」
「なので、俺はべつに規格外ってわけじゃないんです。ただ、大賢者様の力を借りているってだけの話で」
「ゼノくん。普通はそんなこと、誰もできないと思うよ?」
「え?」
「そうですよ。そんな当たり前みたいに言わないでください。あなたのやってることは、十分に規格外です」
ティナはそう口にしながら、リチャードと顔を合わせて小さく頷く。
それについては、ダニエルも同意のようだ。
「ゼノ。未発見魔法なんてものを扱えるてめぇなら、いずれ筆頭冒険者になれるに違いねーが、まずは実績が必要だな。こればっかは、俺様もどうしてやることもできねーんだ。周りの冒険者の目もあるからな」
「もちろんです。今後も定期的にクエストの受注ができれば、嬉しいんですけど」
「なぁに、心配するな! てめぇに任せたいクエストなら、今後、山のように生まれそうだからよ。な?」
「ですねぇ。ゼノくんなら、あっという間にうちのギルドの有名人になると思いますよん」
「というか、今回の件ですでに有名人になってますね」
「ティナ。てめぇが威張って言うことじゃねーだろ!」
「ご、ごめんなさいっ……」
3人が自分の事情を分かってくれたことに、ゼノはまずホッとする。
また、結果的にマスクスの冒険者ギルドに登録してよかった、とゼノは心から思った。
相手が相手なら、冷たく追い返されても、まったく不思議ではなかったからだ。
「さてと」
そこでダニエルは一度立ち上がると、ゼノに向かってこう口にする。
「さっきの件だが」
「さっき……ですか?」
「おう。べリー草の採取クエストが達成できたのは、ラヴニカの冒険者パーティーに助けられたおかげとか、てめぇ言ってただろ?」
「あ、はい」
「だが、実際に採取したのはてめぇ1人だな? リーディングホークだってそうだ。ゼノ。全部、てめぇが1人でやったことだ」
「いや、でも……」
「それに相手方だって、んなことでいちいち恩を感じられてたら重いと思うぞ? 胸を張っていーんだよ。自分が達成したクエストに後ろめたさは感じるなッ!!」
ドンッ!
両手をテーブルにつきながら、ダニエルがしゃがれ声で言い放つ。
「ゼノくん。ダニエルさんは、ただ理由付けが欲しいだけだから。あまり気にしないでねぇ」
「ですね。ギルマスがこう改まって言う時は、大体決まってます」
「うぉぉいッ!! 俺様がこれから言おうとしてることを先行して話すんじゃねーッ!」
「?」
一体彼が何を言おうとしているのかが分からず、ゼノは首をかしげる。
そんなゼノに目を向けながら、ダニエルは高々とこう宣言した。
「おっし! というわけで、てめぇを我がギルドのCランク冒険者に任命する!」
「は? え……Cランク!?」
「おうッ! 今のてめぇにぴったりのランクだな!」
「へぇ~。この飛び級は、うちのギルドの最高記録だねぇ」
「たった1回のクエストでCランク認定……。いろいろ飛ばしちゃって、ちょっとやり過ぎなんじゃ……」
疑問の声を上げるティナの背中をダニエルはバシッ!と叩く。
「なに言ってんだ! うちのギルド始まって以来の大物だぞ!?」
「い、いきなり背中叩かないでください……。まぁ、ギルマスの言うことも分かりますけど……」
「本当は、もっと高ランクにしてやりてーんだがな。他のヤツらもいる手前、大々的には贔屓できねーんだよなぁ。ま、ゼノなら、すぐにドカッとクエストをこなしてくれるだろうから。あっという間にSランクになるんだろうけどよ!」
「あ、あの……。本当に俺がCランクでいいんですか?」
「男に二言はねーぞ、ゼノッ! 他のヤツらに見せつけてやれ。てめぇがどこまでできるのかをな!」
ランクが上がれば、受けられるクエストも広がり、貰える報酬も多くなる。
Fランク冒険者でいるよりはもちろんいいと言えたが、あまりに突然の通達に、ゼノの理解は上手く追いつかない。
(Cランク冒険者っていったら、ジェシカさんと同じランクじゃないか。俺なんかに務まるのか……?)
だが、そんなゼノの心境などお構いなしにダニエルは言葉を続ける。
「それと、てめぇはマスクスへ来たばかりらしいな。どこで寝泊まりしてる?」
「えっと……昨日は宿屋に泊まりましたけど」
「そりゃいけねーな、金だって毎日かかるじゃねーか。しばらく、うちのギルドで活動するって約束するんなら、空きの宿舎をタダで貸してやるぞ。どうだ?」
「え、いいんですか!?」
寝泊まりする場所についてはゼノも考えていたことだ。
それをタダで貸してもらえるのなら、願ってもない申し出であった。
「将来の投資と思えば安いもんよ! 俺様には分かる。ゼノがうちのギルドを背負って立つ冒険者になるってな! むしろ、こっちが感謝したいくらいだ!」
「さすがダニエルさん。なかなか、いやらしい手を使いますねぇ」
「あぁん? リチャードッ! てめぇは余計なこと言わなくていーんだよ!!」
「ハ、ハイっ……すみません……」
「というわけだ。これからうちのギルドをよろしく頼むぞ!」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ダニエルが差し出してきた巨大な手を、ゼノはしっかりと握り返す。
こうしてゼノは、マスクスの冒険者ギルドに、正式に冒険者として認められるのだった。
◆
その後。
約束通り、ティナから銀貨2枚の報酬を受け取ると、ゼノはリチャードに案内される形で、これから自分が住む宿舎へと向かっていた。
賑やかな市街を抜けてしばらく歩き続けると、周りを木々に囲まれた閑静な避暑地が現れる。
冒険者ギルドから徒歩で15分ほどの距離だ。
すでに陽は傾き、木々の間からはオレンジ色の眩い光が差し込んでいた。
「あった。あれだよ」
そこでリチャードは立ち止まると、目の前の木造建築物を指さす。
どうやら、これが貸し宿舎ということらしい。
「おぉー! でかいですね!」
2階建ての宿舎は、ゼノが想像していたよりも大きかった。
庭に足を踏み入れてそこから宿舎を見上げてみると、外廊下越しに部屋がいくつか並んでいるのが確認できた。
「元々、冒険者パーティー用に貸し出していた宿舎なんだよねぇ。けど、ちょっと前に他のギルドへ移っちゃってね。ちなみに、食堂や浴場も用意されてるよん」
「食堂や浴場も……!?」
リチャードがそう言うように、数人で暮らすためにデザインされた宿舎のようだ。
「こんな所を俺が1人で借りちゃってもいいんですか?」
「もちろんさ。今は誰も使ってないから、好きに使うといいよん。あと、これが鍵ねぇ。部屋の数分あるから」
「ありがとうございます!」
ゼノが鍵の束を受け取るのを確認すると、リチャードは申し訳なさそうにこう続ける。
「それと、僕からも謝っておかないと。ごめんねぇ、ティナちゃんが迷惑をかけて」
「迷惑だなんて、そんな……。さっきもギルドで言いましたけど、俺、ティナさんにはすごく感謝してるんです」
「そっか。ゼノくんがそう言ってくれて、僕も嬉しいよ。本当は悪い子じゃないんだよねぇ。ちょっと偏った考え方を持っているってだけでさ。あと、ダニエルさんの態度も大目に見てくれるかい? あの人もあれで、いざっていう時には頼りになるから。ちょっと、ブレーキが効かない時もあるけどねぇ」
「いえ。ダニエルさんのおかげでこうして宿舎も借りられているので。すごくリーダーシップのある方だなって思いました」
「いやぁ、ホントにゼノくんはいい子だ。これからうちのギルドのことをよろしくねぇ」
「はい。精一杯がんばります」
宿舎を後にしたリチャードの背中が見えなくなるのを確認すると、ゼノはひとまず自分の部屋を決めることにした。
いくつも部屋があったため少し悩んだが、最終的に1階奥の角部屋を自分の部屋とすることに決める。
部屋の中には、ベッドやソファー、テーブルや化粧台などの家具がすでに用意されていた。
バタン!
ベッドに飛び込むようにしてゼノは倒れ込む。
「う~んっ! こんなふかふかのベッドを使っていいなんて、なんて贅沢なんだっ……!」
俄然、やる気が漲ってくる。
今なら何だってできそうな、そんな感覚がゼノにはあった。
「明日からは、どんどんクエストを達成していこう。それでいつか、王国の筆頭冒険者になるんだ」
そんなことを考えていると……。
「……ん」
突然、急激な眠気が襲ってくる。
今日は朝からずっと動きっぱなしだったから仕方ない。
そのままウトウトすると、ゼノはすぐに眠りに落ちていく。
◆
そんな宿舎の外で。
ゼノが入った部屋を見上げる少女の姿があった。
「……なるほどです。これからここが貴方の住いになるわけですね」
少女はそう口にすると、陽が落ちて暗くなり始めた木々の中を、ゆっくりと引き返して行くのだった。
「はい。その通りです」
「400年以上の時を生きる魔女だなんて……正直、信じられないですね」
「でも、大賢者様なら、《不老不死》なんてそんな魔法の1つくらいは扱えたかもしれないねぇ。にしても……。大賢者様が列挙した魔法を再現するための発動具ねぇ……。こりゃとんでもない物だ」
「まだ発見されてねぇ魔法が扱えたから、リーディングホークも倒せたわけだな! なるほど、ゼノって名前は、やっぱ大賢者ゼノから由来してたわけか。ハハッ!! 色々とてめぇのことが分かったぞ!」
「なので、俺はべつに規格外ってわけじゃないんです。ただ、大賢者様の力を借りているってだけの話で」
「ゼノくん。普通はそんなこと、誰もできないと思うよ?」
「え?」
「そうですよ。そんな当たり前みたいに言わないでください。あなたのやってることは、十分に規格外です」
ティナはそう口にしながら、リチャードと顔を合わせて小さく頷く。
それについては、ダニエルも同意のようだ。
「ゼノ。未発見魔法なんてものを扱えるてめぇなら、いずれ筆頭冒険者になれるに違いねーが、まずは実績が必要だな。こればっかは、俺様もどうしてやることもできねーんだ。周りの冒険者の目もあるからな」
「もちろんです。今後も定期的にクエストの受注ができれば、嬉しいんですけど」
「なぁに、心配するな! てめぇに任せたいクエストなら、今後、山のように生まれそうだからよ。な?」
「ですねぇ。ゼノくんなら、あっという間にうちのギルドの有名人になると思いますよん」
「というか、今回の件ですでに有名人になってますね」
「ティナ。てめぇが威張って言うことじゃねーだろ!」
「ご、ごめんなさいっ……」
3人が自分の事情を分かってくれたことに、ゼノはまずホッとする。
また、結果的にマスクスの冒険者ギルドに登録してよかった、とゼノは心から思った。
相手が相手なら、冷たく追い返されても、まったく不思議ではなかったからだ。
「さてと」
そこでダニエルは一度立ち上がると、ゼノに向かってこう口にする。
「さっきの件だが」
「さっき……ですか?」
「おう。べリー草の採取クエストが達成できたのは、ラヴニカの冒険者パーティーに助けられたおかげとか、てめぇ言ってただろ?」
「あ、はい」
「だが、実際に採取したのはてめぇ1人だな? リーディングホークだってそうだ。ゼノ。全部、てめぇが1人でやったことだ」
「いや、でも……」
「それに相手方だって、んなことでいちいち恩を感じられてたら重いと思うぞ? 胸を張っていーんだよ。自分が達成したクエストに後ろめたさは感じるなッ!!」
ドンッ!
両手をテーブルにつきながら、ダニエルがしゃがれ声で言い放つ。
「ゼノくん。ダニエルさんは、ただ理由付けが欲しいだけだから。あまり気にしないでねぇ」
「ですね。ギルマスがこう改まって言う時は、大体決まってます」
「うぉぉいッ!! 俺様がこれから言おうとしてることを先行して話すんじゃねーッ!」
「?」
一体彼が何を言おうとしているのかが分からず、ゼノは首をかしげる。
そんなゼノに目を向けながら、ダニエルは高々とこう宣言した。
「おっし! というわけで、てめぇを我がギルドのCランク冒険者に任命する!」
「は? え……Cランク!?」
「おうッ! 今のてめぇにぴったりのランクだな!」
「へぇ~。この飛び級は、うちのギルドの最高記録だねぇ」
「たった1回のクエストでCランク認定……。いろいろ飛ばしちゃって、ちょっとやり過ぎなんじゃ……」
疑問の声を上げるティナの背中をダニエルはバシッ!と叩く。
「なに言ってんだ! うちのギルド始まって以来の大物だぞ!?」
「い、いきなり背中叩かないでください……。まぁ、ギルマスの言うことも分かりますけど……」
「本当は、もっと高ランクにしてやりてーんだがな。他のヤツらもいる手前、大々的には贔屓できねーんだよなぁ。ま、ゼノなら、すぐにドカッとクエストをこなしてくれるだろうから。あっという間にSランクになるんだろうけどよ!」
「あ、あの……。本当に俺がCランクでいいんですか?」
「男に二言はねーぞ、ゼノッ! 他のヤツらに見せつけてやれ。てめぇがどこまでできるのかをな!」
ランクが上がれば、受けられるクエストも広がり、貰える報酬も多くなる。
Fランク冒険者でいるよりはもちろんいいと言えたが、あまりに突然の通達に、ゼノの理解は上手く追いつかない。
(Cランク冒険者っていったら、ジェシカさんと同じランクじゃないか。俺なんかに務まるのか……?)
だが、そんなゼノの心境などお構いなしにダニエルは言葉を続ける。
「それと、てめぇはマスクスへ来たばかりらしいな。どこで寝泊まりしてる?」
「えっと……昨日は宿屋に泊まりましたけど」
「そりゃいけねーな、金だって毎日かかるじゃねーか。しばらく、うちのギルドで活動するって約束するんなら、空きの宿舎をタダで貸してやるぞ。どうだ?」
「え、いいんですか!?」
寝泊まりする場所についてはゼノも考えていたことだ。
それをタダで貸してもらえるのなら、願ってもない申し出であった。
「将来の投資と思えば安いもんよ! 俺様には分かる。ゼノがうちのギルドを背負って立つ冒険者になるってな! むしろ、こっちが感謝したいくらいだ!」
「さすがダニエルさん。なかなか、いやらしい手を使いますねぇ」
「あぁん? リチャードッ! てめぇは余計なこと言わなくていーんだよ!!」
「ハ、ハイっ……すみません……」
「というわけだ。これからうちのギルドをよろしく頼むぞ!」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ダニエルが差し出してきた巨大な手を、ゼノはしっかりと握り返す。
こうしてゼノは、マスクスの冒険者ギルドに、正式に冒険者として認められるのだった。
◆
その後。
約束通り、ティナから銀貨2枚の報酬を受け取ると、ゼノはリチャードに案内される形で、これから自分が住む宿舎へと向かっていた。
賑やかな市街を抜けてしばらく歩き続けると、周りを木々に囲まれた閑静な避暑地が現れる。
冒険者ギルドから徒歩で15分ほどの距離だ。
すでに陽は傾き、木々の間からはオレンジ色の眩い光が差し込んでいた。
「あった。あれだよ」
そこでリチャードは立ち止まると、目の前の木造建築物を指さす。
どうやら、これが貸し宿舎ということらしい。
「おぉー! でかいですね!」
2階建ての宿舎は、ゼノが想像していたよりも大きかった。
庭に足を踏み入れてそこから宿舎を見上げてみると、外廊下越しに部屋がいくつか並んでいるのが確認できた。
「元々、冒険者パーティー用に貸し出していた宿舎なんだよねぇ。けど、ちょっと前に他のギルドへ移っちゃってね。ちなみに、食堂や浴場も用意されてるよん」
「食堂や浴場も……!?」
リチャードがそう言うように、数人で暮らすためにデザインされた宿舎のようだ。
「こんな所を俺が1人で借りちゃってもいいんですか?」
「もちろんさ。今は誰も使ってないから、好きに使うといいよん。あと、これが鍵ねぇ。部屋の数分あるから」
「ありがとうございます!」
ゼノが鍵の束を受け取るのを確認すると、リチャードは申し訳なさそうにこう続ける。
「それと、僕からも謝っておかないと。ごめんねぇ、ティナちゃんが迷惑をかけて」
「迷惑だなんて、そんな……。さっきもギルドで言いましたけど、俺、ティナさんにはすごく感謝してるんです」
「そっか。ゼノくんがそう言ってくれて、僕も嬉しいよ。本当は悪い子じゃないんだよねぇ。ちょっと偏った考え方を持っているってだけでさ。あと、ダニエルさんの態度も大目に見てくれるかい? あの人もあれで、いざっていう時には頼りになるから。ちょっと、ブレーキが効かない時もあるけどねぇ」
「いえ。ダニエルさんのおかげでこうして宿舎も借りられているので。すごくリーダーシップのある方だなって思いました」
「いやぁ、ホントにゼノくんはいい子だ。これからうちのギルドのことをよろしくねぇ」
「はい。精一杯がんばります」
宿舎を後にしたリチャードの背中が見えなくなるのを確認すると、ゼノはひとまず自分の部屋を決めることにした。
いくつも部屋があったため少し悩んだが、最終的に1階奥の角部屋を自分の部屋とすることに決める。
部屋の中には、ベッドやソファー、テーブルや化粧台などの家具がすでに用意されていた。
バタン!
ベッドに飛び込むようにしてゼノは倒れ込む。
「う~んっ! こんなふかふかのベッドを使っていいなんて、なんて贅沢なんだっ……!」
俄然、やる気が漲ってくる。
今なら何だってできそうな、そんな感覚がゼノにはあった。
「明日からは、どんどんクエストを達成していこう。それでいつか、王国の筆頭冒険者になるんだ」
そんなことを考えていると……。
「……ん」
突然、急激な眠気が襲ってくる。
今日は朝からずっと動きっぱなしだったから仕方ない。
そのままウトウトすると、ゼノはすぐに眠りに落ちていく。
◆
そんな宿舎の外で。
ゼノが入った部屋を見上げる少女の姿があった。
「……なるほどです。これからここが貴方の住いになるわけですね」
少女はそう口にすると、陽が落ちて暗くなり始めた木々の中を、ゆっくりと引き返して行くのだった。
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