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2章-2
第24話
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===========================
〈ティム・ベルリ〉
年齢:15歳 種族:人族
職業:勇者
準位職:贈与士 AP 100,000
レベル ∞
HP ∞
MP ∞
攻撃力 ∞
守備力 ∞
魔法力 ∞
ちから ∞
みのまもり ∞
きようさ ∞
すばやさ ∞
[スキルポイント] ∞
[所持ルビー] ∞ルビー
[所持アイテム] ほしにくの実×∞、ほしにくの種×∞
[固有スキル]
【煌世主の意志】
【智慧の頂】
[EXスキル]
【オートスキップ】
===========================
いちど光のウィンドウを起動させてステータスを確認しておく。
「こっちは問題ない。はじめよう」
「承知しました。ではなんでもよろしいので【智慧の頂】を使ってわたしに力を与えていただけますか?」
「了解だ」
どうやら【波紋の呼吸】には、相手がスキルを使用してる間に体の一部に触れなければならないっていう条件があるようだ。
===========================
分け与える対象【 マキマ 】
分け与える力【 HP 】
入力内容を受理しました。
こちらの内容で実行してよろしいですか?(Y/N)
===========================
今後のことを考えてマキマには上限いっぱいまでHPをあげることにした。
「そっちの準備はいいか?」
「問題ありません」
俺の手に触れるのを待ってから実行を確定する。
同時にマキマが唱えた。
「スキル操作! 【波紋の呼吸】!」
すると。
マキマの体は黄金色の輝きに包まれる。
これまで見たことのない発光の仕方だ。
どうやらいろいろと変化があったみたいだな。
マキマは「ステータスオープン」と唱えて光のウィンドウを立ち上げると素早く操作してから頷く。
「やりましたティムさま! 【智慧の頂】が追加されてます。HPも相当な数値上昇しました。成功です!」
「オーケー。じゃあ次は……」
そう言いかけたそのとき。
ジュドォオオオーーン!!
爆音とともに衝撃波が突き抜ける。
俺はマキマをかばって攻撃をその身に受けた。
「ティムさまっ!?」
「……っ、へーきだ……」
「ですが!」
マキマの前に出て紋章剣を構える。
その先に漆黒の両翼をはばたかせた魔王の姿が見えたからだ。
「ハハハッ! なかなか面白そーなことしてるじゃねぇかぁ~! オレサマも混ぜてくれよ」
「……ジャイオーン……」
「涙が出るねぇ~。てめぇらの時間を稼ぐためにお仲間全員でオレサマに挑んでくるなんてよぉ~」
「!」
魔王の後方には傷だらけの状態で倒れている仲間の姿があった。
「霧丸ッ! ガンフー! ドワタン……みんなっ……!?」
「ブライさま!」
「安心しろ。そいつらの息の根はまだ止めてねぇーから。だってよぉ~かわいそーじゃねぇか? これからてめぇらの希望の星である勇者さまがよ。オレサマに跡形もなく消し飛ばされようとしてるってのにそれが拝めないなんてよぉ~! ヒャッハハ!」
みんな苦しそうにしてるけどたしかにまだ息はあるようだった。
(くそ……。あとちょっとだってのに)
ジャイオーンはニヤニヤと笑みを浮かべながら俺たちに近づいてくる。
「いったいコソコソとなにしてたかは知らねーが……。そういうのはよくねぇぜ? 戦いってのは正々堂々とやるもんだろ?」
その直後。
突如、漆黒の触手が地面を突き破って飛び上がってくる。
ギュルギュルギュルルルーーー!!
「きゃっ!?」
「マキマ! ……っ、《勇猛七乱武》!」
とっさに紋章剣で〈剣技〉を振り抜くも巨大な触手はびくともしない。
なんで……どうして攻撃が通らないんだ?
「んなことしたって無駄だぜぇ? そいつはオレサマの分身みたいなもんだからなぁー。てめぇの攻撃なんぞビクともしねぇーから。まぁこれでそこの女もオレサマを倒さないと助けられなくなったな! そいつだけじゃねぇ。雑魚のお仲間全員がそうだ!」
そうだ。
みんなの傷はジャイオーンを倒さない限り治すことができないんだ。
「てことはよぉ。てめぇはもうこいつらを救うことができねぇーってことだなぁ? ハハハッ!」
「……」
「その女には特等席を与えてやろうと思ってな? 愛しの勇者さまが肉片と化す瞬間をその目に焼きつけてもらおうってわけよ! このオレサマを出し抜こうとしたんだからこれくらい当然だよなぁオイ」
「汚いぞ。正々堂々って言うならマキマは解放しろ」
「ハァ? オレサマはてめぇに倣ってこうしてるだけだぜ? 先に姑息なことしようとしてきたのはてめぇらの方だろーが! 調子に乗んじゃねーぞオラッ!」
「っ!」
ジャイオーンが繰り出してきた〈拳技〉を紋章剣でなんとか防ぐ。
「てめぇ、オレサマのおもちゃだから生かされてるってことを忘れたのか? すぐにでもぶっ殺してもいいんだぞ? 謙虚さがねぇーぜ。まだまだ絶望が足りねぇみたいだな!」
そう言って魔王は両翼を広げて浮上する。
「気が変わった。ここでてめぇら全員、いや……街ごとすべてぶっ壊してやる! そんで絶望の中で野垂れ死ね! このジャイオーンさまに存在を消される恐怖を存分に味わいながらな! ヒャッハハ!」
ふたたびジャイオーンの体が闇のオーラに包まれていく。
「よっしゃ! もう少しで極意も使えそうだぜぇ~!」
それを見てさっきのトラウマが甦った。
もうあんな思いはしたくない。
(みんなあいつに殺される……)
やっぱり俺なんかが世界を救うなんて無理なのか?
一瞬そう弱気になるも。
「ティム……さまっ……!」
その声でハッと我に返る。
触手に囚われながらマキマはまっすぐに視線を向けていた。
彼女だけじゃない。
倒れた仲間たちの目も死んでいない。
みんなまだ俺のことを信じてくれてるんだ。
それが分かると闘志が舞い戻ってくる。
(……そうだ。俺がジャイオーンを倒すしかないんだ)
闘志はかつて感じたことのない強固な信念となって俺の中で激しく燃え上がった。
「マキマ! 俺に【波紋の呼吸】を渡してくれ!」
「っ……はい……!」
精一杯もがきながらマキマは頷く。
さっき上限いっぱいまでHPを渡したのが役に立ってるのかもしれない。
マキマにはまだ少しだけ余裕があった。
光のウィンドウを起動させるとゆっくりと操作していく。
だが。
「またコソコソとなにか企んでんじゃねーぞ!」
「ぅっ!?」
ジャイオーンはマキマの動きに気づく。
触手をパワーアップさせてさらに力を込めはじめた。
「まずはその女から肉片に変えてやるぜ!」
けど、マキマの操作の方が寸秒早かった。
贈与を受理したっていう確定画面が表示された瞬間。
俺の体は淡い光に包まれていく。
「……っ、なにしやがった!」
驚く魔王をしり目に俺は立ち上がった光のウィンドウに視線を向ける。
===========================
対象者が【智慧の頂】を使用したため、
EXスキル【波紋の呼吸】を獲得しました。
===========================
ぱんぱかぱーん!
続けざま久しぶりに気の抜けるファンファーレが鳴り響いたかと思えば。
こんなアナウンス画面に切り替わった。
===========================
【煌世主の意志】を感知しました。
EXスキル【波紋の呼吸】は、究極スキル【全能再現】へと超覚醒します。
===========================
は?
思わず目を疑った。
そこには見たことのないスキルが表示されていたからだ。
すぐに追加された項目をタップする。
===========================
◆究極スキル【全能再現】
[効果]
万物の根源たるあらゆる異能をコピーし、自身のものとすることができる。
ただし異能をコピーするには相手が使用している間、体の一部に触れなければならない。
===========================
マジか。
ブライのじいさんどんだけ先見の明があるんだよ。
(とにかく……。こいつでなんとかなりそうだな)
紋章剣を握りしめたままマキマに声をかける。
「マキマありがとう。成功だ! このままジャイオーンを倒して助けるからもう少し辛抱してくれ!」
「……っ、ティムさま……。魔王はまだ極意を隠し持ってるかもしれません……。注意してくださいっ……」
「分かった」
「あとのことは……よろしくお願い、します……」
そんな彼女の言葉を背中で聞きながら、俺は上空で闇のオーラをためるジャイオーンを見上げた。
「てめぇら……さっきからなに企んでやがる」
「話す必要はないかな」
「んだと?」
「あんたはここで俺に倒される運命にあるんだからさ」
「ハハハッ! こりゃおもしれーぜ! なに調子に乗ってんだぁ~? てめぇはさっきオレサマのスピードでボロカスにされただろーが!」
「そうだったっけ? ぜんぜん覚えてないけど」
それを聞いて魔王は明らかに怒りの感情をあらわにする。
「いいだろう。さっきはジャマが入ってぶっ殺し損ねたがそこまで死にたいってんならもう容赦しねぇ……。最大限の絶望を与えて殺してやるッ!」
まずは挑発に乗せることに成功したぞ。
実はさっきの話の中でマキマに言われてたんだ。
敵は戦いに関してぜったいの自信を持ってるから。
そのことで自分が見下されたら挑発に乗ってくる可能性が高いって。
(頭に血が上ってるってことはそれだけ隙が生まれやすいってことだし。あとはヤツが極意を使ってくれれば……)
そんなことを考えてると。
相手は〈拳技〉の《メテオストライク》をいきなり繰り出してきた。
バゴバゴバゴゴゴォォォーーーンッ!!
「っ……《浮遊術》!」
上空に舞い上がってなんとかギリギリのところで回避する。
これは地上で戦ったら仲間に被害が及ぶ可能性があるための選択だった。
「ハッ! 運よく避けやがったな! だがそれもどこまで通じるかだなぁ、オイッ! 《メテオストライク》!」
ジャイオーンは闇のオーラをためながら片手で〈拳技〉を放ってくる。
これが両手だったら間違いなく詰んでいた。
紋章剣を盾代わりにして攻撃を防ぐも相手の力に押されてふたたび劣勢に立たされていく。
「オラオラオラオラッ! 勇者ってのはんな攻撃で死ぬのかよぉ!? あぁん!」
「くっ……」
まだだ。
もっと近くまで引き寄せないと……。
【全能再現】の発動条件は【波紋の呼吸】と同じだ。
体の一部に触れなくちゃならないからギリギリまで接近する必要があった。
その危険な賭けの結果。
「!」
「クックック! 捕まえたぜぇ~? これでてめぇはもう逃げられねぇ!」
魔王にまた首を掴まれてしまう。
「このままもぎ取ってもいいんだけどよぉ? んな勿体ないことできないよな? ここまでオレサマの手を煩わせたんだからよ。それ相応の最期を与えてやらねぇーと」
そこでジャイオーンの目が据わるのが分かった。
今度こそ間違いなく決着をつけようとしている……。
そんな目だ。
「勘違いすんなよ? てめぇらはこれまで遊ばれてただけだ。ゴミ屑がいくら束になって向かってきたところでゴミ屑には変わりねぇ! どうあがいてもオレサマに勝つなんて不可能なんだよ!」
「……っ……」
「けどまぁ楽しめた方かもな。ほかの九極の連中に横取りされなくて本当によかったぜ。勇者はきちんとぶっ殺したってニズゼルファさまにはオレサマから報告してやるから光栄に思うんだな」
ジャイオーンは勝利を確信したように笑うと漆黒の両翼を広げて闇のオーラを解き放つ。
「オレサマのスピードで木っ端みじんに撃ち砕かれながら地獄へ落ちやがれ! 極意――」
今だ。
俺は大声で叫んでいた。
〈ティム・ベルリ〉
年齢:15歳 種族:人族
職業:勇者
準位職:贈与士 AP 100,000
レベル ∞
HP ∞
MP ∞
攻撃力 ∞
守備力 ∞
魔法力 ∞
ちから ∞
みのまもり ∞
きようさ ∞
すばやさ ∞
[スキルポイント] ∞
[所持ルビー] ∞ルビー
[所持アイテム] ほしにくの実×∞、ほしにくの種×∞
[固有スキル]
【煌世主の意志】
【智慧の頂】
[EXスキル]
【オートスキップ】
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いちど光のウィンドウを起動させてステータスを確認しておく。
「こっちは問題ない。はじめよう」
「承知しました。ではなんでもよろしいので【智慧の頂】を使ってわたしに力を与えていただけますか?」
「了解だ」
どうやら【波紋の呼吸】には、相手がスキルを使用してる間に体の一部に触れなければならないっていう条件があるようだ。
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分け与える対象【 マキマ 】
分け与える力【 HP 】
入力内容を受理しました。
こちらの内容で実行してよろしいですか?(Y/N)
===========================
今後のことを考えてマキマには上限いっぱいまでHPをあげることにした。
「そっちの準備はいいか?」
「問題ありません」
俺の手に触れるのを待ってから実行を確定する。
同時にマキマが唱えた。
「スキル操作! 【波紋の呼吸】!」
すると。
マキマの体は黄金色の輝きに包まれる。
これまで見たことのない発光の仕方だ。
どうやらいろいろと変化があったみたいだな。
マキマは「ステータスオープン」と唱えて光のウィンドウを立ち上げると素早く操作してから頷く。
「やりましたティムさま! 【智慧の頂】が追加されてます。HPも相当な数値上昇しました。成功です!」
「オーケー。じゃあ次は……」
そう言いかけたそのとき。
ジュドォオオオーーン!!
爆音とともに衝撃波が突き抜ける。
俺はマキマをかばって攻撃をその身に受けた。
「ティムさまっ!?」
「……っ、へーきだ……」
「ですが!」
マキマの前に出て紋章剣を構える。
その先に漆黒の両翼をはばたかせた魔王の姿が見えたからだ。
「ハハハッ! なかなか面白そーなことしてるじゃねぇかぁ~! オレサマも混ぜてくれよ」
「……ジャイオーン……」
「涙が出るねぇ~。てめぇらの時間を稼ぐためにお仲間全員でオレサマに挑んでくるなんてよぉ~」
「!」
魔王の後方には傷だらけの状態で倒れている仲間の姿があった。
「霧丸ッ! ガンフー! ドワタン……みんなっ……!?」
「ブライさま!」
「安心しろ。そいつらの息の根はまだ止めてねぇーから。だってよぉ~かわいそーじゃねぇか? これからてめぇらの希望の星である勇者さまがよ。オレサマに跡形もなく消し飛ばされようとしてるってのにそれが拝めないなんてよぉ~! ヒャッハハ!」
みんな苦しそうにしてるけどたしかにまだ息はあるようだった。
(くそ……。あとちょっとだってのに)
ジャイオーンはニヤニヤと笑みを浮かべながら俺たちに近づいてくる。
「いったいコソコソとなにしてたかは知らねーが……。そういうのはよくねぇぜ? 戦いってのは正々堂々とやるもんだろ?」
その直後。
突如、漆黒の触手が地面を突き破って飛び上がってくる。
ギュルギュルギュルルルーーー!!
「きゃっ!?」
「マキマ! ……っ、《勇猛七乱武》!」
とっさに紋章剣で〈剣技〉を振り抜くも巨大な触手はびくともしない。
なんで……どうして攻撃が通らないんだ?
「んなことしたって無駄だぜぇ? そいつはオレサマの分身みたいなもんだからなぁー。てめぇの攻撃なんぞビクともしねぇーから。まぁこれでそこの女もオレサマを倒さないと助けられなくなったな! そいつだけじゃねぇ。雑魚のお仲間全員がそうだ!」
そうだ。
みんなの傷はジャイオーンを倒さない限り治すことができないんだ。
「てことはよぉ。てめぇはもうこいつらを救うことができねぇーってことだなぁ? ハハハッ!」
「……」
「その女には特等席を与えてやろうと思ってな? 愛しの勇者さまが肉片と化す瞬間をその目に焼きつけてもらおうってわけよ! このオレサマを出し抜こうとしたんだからこれくらい当然だよなぁオイ」
「汚いぞ。正々堂々って言うならマキマは解放しろ」
「ハァ? オレサマはてめぇに倣ってこうしてるだけだぜ? 先に姑息なことしようとしてきたのはてめぇらの方だろーが! 調子に乗んじゃねーぞオラッ!」
「っ!」
ジャイオーンが繰り出してきた〈拳技〉を紋章剣でなんとか防ぐ。
「てめぇ、オレサマのおもちゃだから生かされてるってことを忘れたのか? すぐにでもぶっ殺してもいいんだぞ? 謙虚さがねぇーぜ。まだまだ絶望が足りねぇみたいだな!」
そう言って魔王は両翼を広げて浮上する。
「気が変わった。ここでてめぇら全員、いや……街ごとすべてぶっ壊してやる! そんで絶望の中で野垂れ死ね! このジャイオーンさまに存在を消される恐怖を存分に味わいながらな! ヒャッハハ!」
ふたたびジャイオーンの体が闇のオーラに包まれていく。
「よっしゃ! もう少しで極意も使えそうだぜぇ~!」
それを見てさっきのトラウマが甦った。
もうあんな思いはしたくない。
(みんなあいつに殺される……)
やっぱり俺なんかが世界を救うなんて無理なのか?
一瞬そう弱気になるも。
「ティム……さまっ……!」
その声でハッと我に返る。
触手に囚われながらマキマはまっすぐに視線を向けていた。
彼女だけじゃない。
倒れた仲間たちの目も死んでいない。
みんなまだ俺のことを信じてくれてるんだ。
それが分かると闘志が舞い戻ってくる。
(……そうだ。俺がジャイオーンを倒すしかないんだ)
闘志はかつて感じたことのない強固な信念となって俺の中で激しく燃え上がった。
「マキマ! 俺に【波紋の呼吸】を渡してくれ!」
「っ……はい……!」
精一杯もがきながらマキマは頷く。
さっき上限いっぱいまでHPを渡したのが役に立ってるのかもしれない。
マキマにはまだ少しだけ余裕があった。
光のウィンドウを起動させるとゆっくりと操作していく。
だが。
「またコソコソとなにか企んでんじゃねーぞ!」
「ぅっ!?」
ジャイオーンはマキマの動きに気づく。
触手をパワーアップさせてさらに力を込めはじめた。
「まずはその女から肉片に変えてやるぜ!」
けど、マキマの操作の方が寸秒早かった。
贈与を受理したっていう確定画面が表示された瞬間。
俺の体は淡い光に包まれていく。
「……っ、なにしやがった!」
驚く魔王をしり目に俺は立ち上がった光のウィンドウに視線を向ける。
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対象者が【智慧の頂】を使用したため、
EXスキル【波紋の呼吸】を獲得しました。
===========================
ぱんぱかぱーん!
続けざま久しぶりに気の抜けるファンファーレが鳴り響いたかと思えば。
こんなアナウンス画面に切り替わった。
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【煌世主の意志】を感知しました。
EXスキル【波紋の呼吸】は、究極スキル【全能再現】へと超覚醒します。
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は?
思わず目を疑った。
そこには見たことのないスキルが表示されていたからだ。
すぐに追加された項目をタップする。
===========================
◆究極スキル【全能再現】
[効果]
万物の根源たるあらゆる異能をコピーし、自身のものとすることができる。
ただし異能をコピーするには相手が使用している間、体の一部に触れなければならない。
===========================
マジか。
ブライのじいさんどんだけ先見の明があるんだよ。
(とにかく……。こいつでなんとかなりそうだな)
紋章剣を握りしめたままマキマに声をかける。
「マキマありがとう。成功だ! このままジャイオーンを倒して助けるからもう少し辛抱してくれ!」
「……っ、ティムさま……。魔王はまだ極意を隠し持ってるかもしれません……。注意してくださいっ……」
「分かった」
「あとのことは……よろしくお願い、します……」
そんな彼女の言葉を背中で聞きながら、俺は上空で闇のオーラをためるジャイオーンを見上げた。
「てめぇら……さっきからなに企んでやがる」
「話す必要はないかな」
「んだと?」
「あんたはここで俺に倒される運命にあるんだからさ」
「ハハハッ! こりゃおもしれーぜ! なに調子に乗ってんだぁ~? てめぇはさっきオレサマのスピードでボロカスにされただろーが!」
「そうだったっけ? ぜんぜん覚えてないけど」
それを聞いて魔王は明らかに怒りの感情をあらわにする。
「いいだろう。さっきはジャマが入ってぶっ殺し損ねたがそこまで死にたいってんならもう容赦しねぇ……。最大限の絶望を与えて殺してやるッ!」
まずは挑発に乗せることに成功したぞ。
実はさっきの話の中でマキマに言われてたんだ。
敵は戦いに関してぜったいの自信を持ってるから。
そのことで自分が見下されたら挑発に乗ってくる可能性が高いって。
(頭に血が上ってるってことはそれだけ隙が生まれやすいってことだし。あとはヤツが極意を使ってくれれば……)
そんなことを考えてると。
相手は〈拳技〉の《メテオストライク》をいきなり繰り出してきた。
バゴバゴバゴゴゴォォォーーーンッ!!
「っ……《浮遊術》!」
上空に舞い上がってなんとかギリギリのところで回避する。
これは地上で戦ったら仲間に被害が及ぶ可能性があるための選択だった。
「ハッ! 運よく避けやがったな! だがそれもどこまで通じるかだなぁ、オイッ! 《メテオストライク》!」
ジャイオーンは闇のオーラをためながら片手で〈拳技〉を放ってくる。
これが両手だったら間違いなく詰んでいた。
紋章剣を盾代わりにして攻撃を防ぐも相手の力に押されてふたたび劣勢に立たされていく。
「オラオラオラオラッ! 勇者ってのはんな攻撃で死ぬのかよぉ!? あぁん!」
「くっ……」
まだだ。
もっと近くまで引き寄せないと……。
【全能再現】の発動条件は【波紋の呼吸】と同じだ。
体の一部に触れなくちゃならないからギリギリまで接近する必要があった。
その危険な賭けの結果。
「!」
「クックック! 捕まえたぜぇ~? これでてめぇはもう逃げられねぇ!」
魔王にまた首を掴まれてしまう。
「このままもぎ取ってもいいんだけどよぉ? んな勿体ないことできないよな? ここまでオレサマの手を煩わせたんだからよ。それ相応の最期を与えてやらねぇーと」
そこでジャイオーンの目が据わるのが分かった。
今度こそ間違いなく決着をつけようとしている……。
そんな目だ。
「勘違いすんなよ? てめぇらはこれまで遊ばれてただけだ。ゴミ屑がいくら束になって向かってきたところでゴミ屑には変わりねぇ! どうあがいてもオレサマに勝つなんて不可能なんだよ!」
「……っ……」
「けどまぁ楽しめた方かもな。ほかの九極の連中に横取りされなくて本当によかったぜ。勇者はきちんとぶっ殺したってニズゼルファさまにはオレサマから報告してやるから光栄に思うんだな」
ジャイオーンは勝利を確信したように笑うと漆黒の両翼を広げて闇のオーラを解き放つ。
「オレサマのスピードで木っ端みじんに撃ち砕かれながら地獄へ落ちやがれ! 極意――」
今だ。
俺は大声で叫んでいた。
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~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
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小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
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恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
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モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
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「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
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