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2章-1
第8話
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北方の安全な島へと転移させられたウェルミィたちはそこでひっそりと生活を送ることになった。
この間も父さんの言いつけを守り、限られた範囲で俺を探し続けてくれたみたいだ。
が。
それも長くは続かない。
島で暮らすようになってから2年後。
モンスターの大群が押し寄せてくるようになったらしい。
「その際に神聖騎士隊の仲間たちが多く命を落とすことになりました」
「さっきヤッザンのおっさんが隊長が城に残ったとか言ってたけど、それはマキマのことじゃないよな?」
「はい。現在の神聖騎士隊の隊長はわたしですが、当時はわたしの父が隊長を務めておりました」
「え……マキマの親父さんだったのか?」
「ジェイサー隊長は本当に勇敢な戦士でありましたぞ」
思わぬ返答に俺は驚く。
「幼いころに母を亡くしたわたしを父はかわいそうに思って。それでずっとわたしのことを気にかけてくれたんです。わたしが将来は父のようになりたいと言うと剣術や武術をすべて教えてくれました。当時のわたしはまだ成人を迎えてなくて正式な騎士隊のメンバーではありませんでしたが、父はそんなわたしの想いを知って騎士隊に置いてくれていたんです」
「そうだったのか」
てことはマキマも俺やウェルミィと同じように魔族に親を殺されたってことじゃないか?
(なんかすごく強いな)
弱音も見せずに話し続けるマキマを見て俺はそんなことを思った。
モンスターの襲撃を受けて、十人ほどいた隊員も残ったのはふたりだけだったらしい。
そのことをマキマが口にするとウェルミィもヤッザンのおっさんも顔を伏せてしまう。
それだけ壮絶だったんだ。
こうして再会できたことがどれだけ奇跡か、俺は改めてそれを認識する。
結果、ウェルミィたちは島から離れることになったようだ。
「そのあとわたしたちは北西のアドステラー大陸にあるコスタ王国へと向かうことになりました」
このコスタ王国ってのは人族が暮らす国の中で魔族の襲撃を免れた唯一の国なんだという。
仲間たちの近辺調査によってこの国が無事だってことは、北の島に移り住んだ当初から分かってたらしい。
にもかかわらず島に留まり続けてきたのには理由がある。
「魔族による侵攻が開始される前はエアリアル帝国とコスタ王国は敵対関係にあったんです」
「なるほど」
だから助けを求めず北の島に留まり続けていたようだ。
「最初は不安でした。もともと敵対してたわけですし。追い出されてしまうのではないかと心配してました」
けど。
緊急事態ってこともあってか、三人は王国内に留まることを許される。
もちろん敵国の皇族出身ってこともあって肩身の狭い思いをしたみたいだ。
この間にマキマは成人を迎え、父親と同じく〈剣聖〉のジョブを授かったらしい。
そのときらしいな。
マキマが神聖騎士隊の隊長に正式に就いたのは。
「それから何度かコスタ国王にルーデウスさまの行方を探してほしいとお願いしたのですが……。割ける人員がないという理由でそれが受け入れられることはありませんでした」
かといってウェルミィを残して、マキマとヤッザンだけで探索するわけにもいかず。
結局、なにもできないまま月日が過ぎることになる。
「国王もほんとひどいって! お兄さまが見つかればこの状況も変わるかもしれないって分かってたはずなのにぃ~!」
「まあまあ、ウェルミィさま。迎え入れていただけただけでも感謝しませんと。結果的にこうしてルーデウスさまとも再会することができたわけですからな!」
「それはそうかもだけどぉ……」
ただコスタ王国にもそれなりの事情があったようだ。
人族の国の中で唯一襲撃を免れたってこともあって、世界各地から人族の生き残りが押し寄せてきてその対応に日々追われてたらしい。
多くの難民を受け入れることで国内の整備に追われ、割ける人員がないってのはどうやら本当だったみたいだ。
そんな状況だったためか。
魔族に対して反旗を翻そうって雰囲気は王国内にはなかったという。
「誰も彼も。日々をやり過ごすのに精一杯という感じでした」
マキマがどこか心痛な表情で言う。
たしかに。
いつ魔族による襲撃があるか分からない中で生活するのはなかなかしんどそうだ。
(まぁそんなこと言ったら今も同じような状況にあるわけだけど)
そのような日々が1年以上続き。
やがて。
転機が訪れることになる。
「偶然にもブライさまと王国の中で再会したんです」
「じいさんと?」
そういえばこれまでの話の中にじいさんの名前が出てこなかったな。
「そのころのワシは北東のジャムルフィン大陸にあるヘルメス公国という国で指南番をやっておった。じゃが、魔族たちの侵略によって公国はすぐに崩壊し、難を逃れてひそかに暮らしておったのじゃ」
ブライのじいさんいわくそんな生活が2年ほど続いたらしい。
「だいたい姫さまたちと同じような時期にワシもコスタ王国へ流れ着いたのじゃ。いろいろと大陸を放浪してる中でたまたま見つけてのぅ。まさか人族の国が魔族の侵攻を免れておったとは夢にも思わんかったわ」
「うちもまさかブライ爺と再会できるなんて思ってなかったよぉ~。1年以上も王国内で暮らしてたのに気づかなかったなんて!」
「ワッハハ! 顔を見たときは本当に驚きましたなぁー!」
「ですが、ブライさまと再会できて希望を持つことができました」
全員の顔がぱっと明るくなる。
それを見ただけでも四人の強い絆を感じることができた。
「じいさんとはみんな顔見知りだったのか?」
「フォッフォッ、顔見知りもなにも。生まれたときからルーデウスさまも姫さまも知っておるのじゃ。ふたりともまことにかわいらしい子でのぅ~」
詳しく話を聞けば、じいさんはもともと父さんの家庭教師だったようだ。
父さんの幼いころから知ってるって言うんだから、かなり昔からエアリアル帝国と関係があったってことが分かる。
だから、この場にいる皆のことは家族のように知ってるようだった。
じいさんの指導のおかげで父さんは帝国史上最強の大魔術師と謳われるようになったのだとか。
(すごいじいさんなんだなぁ)
そして。
この出会いが状況を大きく好転させることになる。
この間も父さんの言いつけを守り、限られた範囲で俺を探し続けてくれたみたいだ。
が。
それも長くは続かない。
島で暮らすようになってから2年後。
モンスターの大群が押し寄せてくるようになったらしい。
「その際に神聖騎士隊の仲間たちが多く命を落とすことになりました」
「さっきヤッザンのおっさんが隊長が城に残ったとか言ってたけど、それはマキマのことじゃないよな?」
「はい。現在の神聖騎士隊の隊長はわたしですが、当時はわたしの父が隊長を務めておりました」
「え……マキマの親父さんだったのか?」
「ジェイサー隊長は本当に勇敢な戦士でありましたぞ」
思わぬ返答に俺は驚く。
「幼いころに母を亡くしたわたしを父はかわいそうに思って。それでずっとわたしのことを気にかけてくれたんです。わたしが将来は父のようになりたいと言うと剣術や武術をすべて教えてくれました。当時のわたしはまだ成人を迎えてなくて正式な騎士隊のメンバーではありませんでしたが、父はそんなわたしの想いを知って騎士隊に置いてくれていたんです」
「そうだったのか」
てことはマキマも俺やウェルミィと同じように魔族に親を殺されたってことじゃないか?
(なんかすごく強いな)
弱音も見せずに話し続けるマキマを見て俺はそんなことを思った。
モンスターの襲撃を受けて、十人ほどいた隊員も残ったのはふたりだけだったらしい。
そのことをマキマが口にするとウェルミィもヤッザンのおっさんも顔を伏せてしまう。
それだけ壮絶だったんだ。
こうして再会できたことがどれだけ奇跡か、俺は改めてそれを認識する。
結果、ウェルミィたちは島から離れることになったようだ。
「そのあとわたしたちは北西のアドステラー大陸にあるコスタ王国へと向かうことになりました」
このコスタ王国ってのは人族が暮らす国の中で魔族の襲撃を免れた唯一の国なんだという。
仲間たちの近辺調査によってこの国が無事だってことは、北の島に移り住んだ当初から分かってたらしい。
にもかかわらず島に留まり続けてきたのには理由がある。
「魔族による侵攻が開始される前はエアリアル帝国とコスタ王国は敵対関係にあったんです」
「なるほど」
だから助けを求めず北の島に留まり続けていたようだ。
「最初は不安でした。もともと敵対してたわけですし。追い出されてしまうのではないかと心配してました」
けど。
緊急事態ってこともあってか、三人は王国内に留まることを許される。
もちろん敵国の皇族出身ってこともあって肩身の狭い思いをしたみたいだ。
この間にマキマは成人を迎え、父親と同じく〈剣聖〉のジョブを授かったらしい。
そのときらしいな。
マキマが神聖騎士隊の隊長に正式に就いたのは。
「それから何度かコスタ国王にルーデウスさまの行方を探してほしいとお願いしたのですが……。割ける人員がないという理由でそれが受け入れられることはありませんでした」
かといってウェルミィを残して、マキマとヤッザンだけで探索するわけにもいかず。
結局、なにもできないまま月日が過ぎることになる。
「国王もほんとひどいって! お兄さまが見つかればこの状況も変わるかもしれないって分かってたはずなのにぃ~!」
「まあまあ、ウェルミィさま。迎え入れていただけただけでも感謝しませんと。結果的にこうしてルーデウスさまとも再会することができたわけですからな!」
「それはそうかもだけどぉ……」
ただコスタ王国にもそれなりの事情があったようだ。
人族の国の中で唯一襲撃を免れたってこともあって、世界各地から人族の生き残りが押し寄せてきてその対応に日々追われてたらしい。
多くの難民を受け入れることで国内の整備に追われ、割ける人員がないってのはどうやら本当だったみたいだ。
そんな状況だったためか。
魔族に対して反旗を翻そうって雰囲気は王国内にはなかったという。
「誰も彼も。日々をやり過ごすのに精一杯という感じでした」
マキマがどこか心痛な表情で言う。
たしかに。
いつ魔族による襲撃があるか分からない中で生活するのはなかなかしんどそうだ。
(まぁそんなこと言ったら今も同じような状況にあるわけだけど)
そのような日々が1年以上続き。
やがて。
転機が訪れることになる。
「偶然にもブライさまと王国の中で再会したんです」
「じいさんと?」
そういえばこれまでの話の中にじいさんの名前が出てこなかったな。
「そのころのワシは北東のジャムルフィン大陸にあるヘルメス公国という国で指南番をやっておった。じゃが、魔族たちの侵略によって公国はすぐに崩壊し、難を逃れてひそかに暮らしておったのじゃ」
ブライのじいさんいわくそんな生活が2年ほど続いたらしい。
「だいたい姫さまたちと同じような時期にワシもコスタ王国へ流れ着いたのじゃ。いろいろと大陸を放浪してる中でたまたま見つけてのぅ。まさか人族の国が魔族の侵攻を免れておったとは夢にも思わんかったわ」
「うちもまさかブライ爺と再会できるなんて思ってなかったよぉ~。1年以上も王国内で暮らしてたのに気づかなかったなんて!」
「ワッハハ! 顔を見たときは本当に驚きましたなぁー!」
「ですが、ブライさまと再会できて希望を持つことができました」
全員の顔がぱっと明るくなる。
それを見ただけでも四人の強い絆を感じることができた。
「じいさんとはみんな顔見知りだったのか?」
「フォッフォッ、顔見知りもなにも。生まれたときからルーデウスさまも姫さまも知っておるのじゃ。ふたりともまことにかわいらしい子でのぅ~」
詳しく話を聞けば、じいさんはもともと父さんの家庭教師だったようだ。
父さんの幼いころから知ってるって言うんだから、かなり昔からエアリアル帝国と関係があったってことが分かる。
だから、この場にいる皆のことは家族のように知ってるようだった。
じいさんの指導のおかげで父さんは帝国史上最強の大魔術師と謳われるようになったのだとか。
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