どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ

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2章-1

第1話

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 あれからさらに一週間が経過した。

(うんうん。みんな熱心に働いているな。いいことだ)

 俺は街を見て回りながら感心してた。
 今はそれぞれができることを最大限に発揮して日々生活を送っている。

 オーガ族が森の木々を伐って農園を耕し、刀鎧始祖族エルダードワーフが街を整備して、蒼狼王族サファイアウルフズが家畜を育てながら日々の食事を振舞う。
 そんな持ちつ持たれつの関係ができあがっていた。

 中でもドワタンたちが来てくれた意味はでかい。
 刀鎧始祖族へと進化したことでモノづくりは本当にお手のものとなったようだ。

 霧丸から街の開発計画について聞いたドワタンはさらに人員が必要だってことで腕利きの仲間を50人ほど連れてきてくれた。
 キングも息子がやる気を見せたことが余程うれしかったのか、人員の派遣については問題なく許可してくれたみたいだし。
 
 もちろんタダで手伝ってもらってるわけじゃない。
 俺はそれ相応の報酬を刀鎧始祖族に渡していた。

 みんなの活躍もあって急ピッチで区画が整備されていく。
 
 居住スペースが新たに確保されたことで洞窟に残ってたオーガ族の多くが住みはじめ、街はさらに活気づいていた。


 住居のほかにもいくつかの建物が建てられた。
 
 街の入口に大きな見張り台を作って、その近くに駐屯所が建設された。
 そこでは辺境調査団が交代制で見張りを続けてくれている。

 俺たちの国には結界が無いから辺境調査団の果たす役割は大きい。
 モンスターによる襲撃を未然に防いでくれてるわけだし。

 リーダーのルーク軍曹は本格的な監視場所が用意されたことでかなり喜んでたな。

 次に作ったのは武器屋と防具屋。

 ここでは刀鎧始祖族から購入した大量の武器と防具を用意している。
 もちろん購入はタダだ。

 壊れた場合や新しいものに変えたりする場合に利用してもらってる。

 ほかにも客人が来たときのための宿屋に酒場なんてものも作った。
 働く上で息抜きはぜったい必要だからな。
 
 だから夕方には酒場はかなりの仲間たちで賑わう。
 
 蒼狼王族も、オーガ族も、刀鎧始祖族も。
 種族の壁も関係なくみんなでわいわい飲み明かしている。

 俺はその光景を見るのが好きだった。




  
「あ、ティムはんや! ティムは~ん!」

 ドワタンが手を振りながらドワ太とドワ助と一緒に駆け寄ってくる。

「みんなご苦労さま。ほんと助かってるよ」

「ヘヘッ。しっかり恩は返させてもらってますで~! 仲間たちもティムはんのお役に立てるちゅーことで喜んどりますわ」

「でもいちばんうれしそうなのはアニキなんですよぉ~」

「ここのところずっと笑顔ッスからねー」

「当たり前やないかい。こんな貴重な仕事任せてもらえるちゅーのは幸せなことやで! ほんまおおきに! ティムはん!」

 いちど頭を下げると三人は仲良く仕事に戻っていく。

(ドワタン。案外才能があるのかもな)

 刀鎧始祖族のみんなはドワタンのことを慕って一生懸命働いてるし、そういうリーダー気質のところは父親譲りなのかもしれない。

 そんなこともあってドワタンは新しく幹部に加わってもらった。

 部外者の自分が幹部だなんてとんでもないってドワタンは断ってたけど、街への貢献度で考えたらお願いしないわけにはいかない。

 結局、顧問役幹部って形で納得してもらう。
 これから物事を決める際に意見を言ったりしてもらう予定だ。

  
 ドワタンたちが仲間に加わって変わったことはもうひとつある。
 例によってAPがまた増えてたんだ。

===========================

〈ティム・ベルリ〉

年齢:15歳 種族:人族
職業ジョブ:村人 
準位職:贈与士ギフター AP 25,000

レベル ∞
HP ∞
MP ∞
攻撃力 ∞
守備力 ∞
魔法力 ∞
ちから ∞
みのまもり ∞
きようさ ∞
すばやさ ∞

[スキルポイント] ∞
[所持ルビー] ∞ルビー
[所持アイテム] ほしにくの実×∞、ほしにくの種×∞

[固有スキル]
【命中率0%】
智慧の頂グレイトミラクル

[EXスキル]
【オートスキップ】

===========================

 仲間が増えるに従ってこの数値が上昇するのはもう疑いようがない。

(あとはこれがなにを意味するか分かればいいんだけど)

 ガンフーやドワタンに訊いてもAPがなにを表す数値かやっぱり分かってなかったし。
 
 まぁなにか不便してるわけじゃないから……べつにいっか。
 そのうち分かるときが来るさ。

 そんな風に気長に考えることにする。





「おぉ、もう領主館バロンコートの前か」

 街をぐるっとまわってしまったようだ。
 みんなが一生懸命働く姿に感心しっぱなしであっという間の一周だった。

「さまざまな種族が手を取り合って共存するってのはほんと気持ちのいいことだよなぁー」

 俺はその場で大きく伸びをする。
 
 モンスターが各地に出現しはじめた『死の大暴乱デスエスケープ』の時代はこんな風に多くの種族が手を取り合って共闘したって話だけど。

(ダンジョンにモンスターを閉じ込めたあともこうして手を取り合っていれば、魔族の登場にも対処することができたんじゃないかな)

 みんなは支配者オーバーロードの俺がいるからひとつにまとまってるって言うけど。
 俺からすれば、みんながお互い助け合ってるからひとつにまとまっているって感じだ。
 
 自分の存在なんて大したもんじゃない。
 やっぱり俺は種族の仲を取り持つ橋渡し役にすぎないんだ。

(魔族に反旗を翻すなんて大それたこと言ったけど)

 正直な話、当初の約束どおりルーデウス村が見つかれば俺は街から去るつもりだった。
 
 でもあいかわらず村についての情報はなにも得られなくて。
  
 ルーク軍曹から調査結果を聞くたびに落ち込むから最近じゃもう調査自体をやめてもらってる。


 自由市国ルーデウス。
 いつかかならず見つけ出すってそう思って名づけたはずなのに。

 村のみんなはいっこうに姿を見せる気配がない。
 これだけ街が活気づいたにもかかわらずだ。
 
(父さん、母さん、ヨル……。いったいどこに消えてしまったんだ?)

 だが。
 このあと俺は思いがけない報告を受けることになる。

 それはルーデウス村に関する重要な報告だった。
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