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第10話
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「♪」
「お兄ちゃん、今日は上機嫌だね。なんかいいことあったー?」
「え?」
「さっきからずっと鼻歌歌ってるじゃん。【テネブラエ呪城】はまだクリアできてないんでしょ?」
「あ、はは……ちょっとね」
「ふーん?」
テーブルに並べられた質素な夕食につい目がいく。
今はこんな食事しかさせてあげられないけど……。
「ノエル。もっとおいしい物、食べさせてあげるから」
「急にどうしたの?」
「いや、いつも同じ料理で申し訳ないなって思って」
「ノエルはこれで十分満足だよ~。パンもオートミールも大好きだし♪ あとお兄ちゃんが作ってくれるエンドウ豆のスープも!」
「うん、ありがとう。必ずお兄ちゃんダンジョンクリアしてみせるから」
◇
その後、いつものようにノエルを寝かしつけてから、僕は自室へ戻ってステータスを確認していた。
「<アブソープション>を使うにはMPを1消費するから……。そうだな。今日はMPにLPを振り分けてみようかな」
LPの項目をタップすると、今あるLPをMPに変換するように指で指示する。
『【MP】にLPを1振り分けました。現在、あなたの【MP】最大値は2です』
アナウンス画面を確認してから、改めてステータスに目を移した。
-----------------
ナード
LP1
HP50/50
MP1/2
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:8,500アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣2体
状態:
-----------------
「よし、ちゃんと増えてる。これで明日からはスライムを2体倒せるぞ」
スライムを2体倒せるってことは、LPも2手に入るということなわけで。
「ふふふ……」
思わずにやけが止まらない。
みんながどれだけ求めても手に入れられないLPを、僕はいとも簡単に増やしてしまっている。
ちょっとした優越感が込み上げてきた。
「でも、これくらいいいよね。だって、これまで散々悪魔の子って、バカにされてきたわけだし」
そうやって倍々に増やしていけば、いつかはLPも100に届くかもしれない。
そこでようやく、みんなと同じスタートラインに立つことができる。
(僕の逆転劇はそこから始まるんだ)
未来に思いを馳せて、この日もぐっすりと眠ることができた。
◇
3日目。
この日は、城下町の道具屋でマジックポーションを買ってからダンジョンへと向かう。
-----------------
◆マジックポーション
・効果= MPを30回復する
・買値1,000アロー/売値300アロー
-----------------
「1,000アローはけっこうな出費だよね……」
お金は、ノエルの生活費のためにいくらか貯めているけど、それを切り崩すわけにはいかない。
食費に毎日300アローもかけてる場合じゃないかな。
(うん、贅沢はしていられない)
E級ダンジョンの初回クリア報酬を手に入れたら、それなりの大金が入るんだし。
せめて【グラキエス氷窟】をクリアするまでは、僕の食費は100アローで切り詰めてみよう。
「――確認しました。ナード・ヴィスコンティさん、今日もお気をつけてどうぞ」
「はい、ありがとうございます」
警護兵にお辞儀をすると、城門と結界を越えてシルワ平原へと足を踏み入れる。
このやり取りも慣れてきた。
最初、警護兵を前にすると緊張感があったけど、案外フランクに話すことができて、そんなに緊張するような人たちじゃないってことが分かる。
冒険者は、国の結界を維持するために命がけでダンジョンへ行っているわけで、彼らから感謝されることはあっても敵視されることはない。
そりゃ門限を破れば、それなりの対応をされるんだろうけど、少なくともルールをちゃんと守っていればとても友好的だ。
(冒険者は、街の人たちから尊敬される職業なんだ)
学校の授業で習ったそんな当たり前のことを思い出すと、ちょっとだけ嬉しい気持ちになってくる。足取りも自然と軽くなっていた。
◇
前回、前々回と同じ要領で【グラキエス氷窟】へと足を踏み入れる。
さすがに3日目となると、少しだけ余裕も生まれてきた。
だいたい道筋も覚えたし、氷柱を上手く避けつつ、1つ下のフロアへと降りる。
「げっ……」
1体目のスライムは通路のど真ん中にいた。
すぐに、こちらの存在に気付いたスライムが、僕目がけて突進してくる。
でも、距離はまだ十分にあった。
両手を前に出すと、スライムに向けて唱える。
「〝アブソープション〟!」
すると、スライムは光とともに、僕の手のひらへと吸い込まれていく。
「……ふぅ。ちょっと焦ったけど、なんとかなったぁ」
水晶ディスプレイを立ち上げて、LPが1増えているのを確認してから、さらに奥へと進む。
2体目のスライムも通路の真ん中にいた。
先手必勝だ。
こちらを襲いかかってくる前に、黒い物体に目がけて<アブソープション>を唱える。
「2体目も討伐できたぞぉ……」
まさか、こんな簡単にスライムを倒せるようになるなんて。
(いや、実際には倒してるわけじゃないんだけど)
でもこの際細かいことはどうでもいい。
LPが増えているんだ。今はそれだけで十分。
周りに魔獣がいないことを確認すると、ビーナスのしずくに触れて水晶ディスプレイを表示させる。
そのままLPの項目をタップすると、今あるLPをすべてMPに変換するように指示した。
-----------------
[ナード]
LP1
HP50/50
MP0/4
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:マジックポーション×1
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:7,500アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣4体
状態:
-----------------
最大MPが4になった。
「ちょっともったいないけど、使っちゃおうかな」
ショルダーバッグからマジックポーションを取り出すと、それを体にふりかける。
MPは全回復。
これでさらにスライムを4体倒せる。
マジックポーションのもったいない使い方だけど、効率的にはこれが一番いい。
【グラキエス氷窟】のクエスト受注日数は10日間だ。
今回は運良くE級ダンジョンが空いていたわけだけど、次も同じように空いているとは限らない。
チャンスがあるのなら、増やせるうちにLPを増やしておかないと。
「よぉーし。先へ進もう!」
気合を入れると、僕はさらにダンジョンの奥へ向けて歩みを進めた。
◇
「〝アブソープション〟」
そう唱えると、手のひらにスライムが吸い込まれていく。
あれから下の階へ降りて、さらに4体のスライムの討伐に成功した。
そのため、現在のLPは5。
途中でマジックポーションを拾うことができれば、さらにスライムを倒すこともできるんだけど。
でも、僕の幸運値は1だし。その可能性は限りなく低い。
「今日はここら辺で引き上げようかな」
[冒険者の鉄則 その3]
熱くなって深追いはしないこと。
これより下の階には、どんな魔獣が潜んでいるか分からない。
MP0のまま挑んでも、このステータスじゃ勝ち目はないだろうし。
一晩寝れば、HPもMPも全回復するんだ。
また、明日もマジックポーションを買ってからここへ来よう。
◇
この日の夜、僕はパン1つで夕食を済ませた。
ノエルが心配そうにしてたけど、お腹の調子があまりよくないって、適当にごまかして自分の部屋へ引き上げた。
たしかにお腹はまだ空いているけど、今はそれよりも優先すべきことがあるから。
「えっと、今あるLPを全部MPに変換して……」
水晶ディスプレイを弾いて、LPをすべてMPに振り分けるように指示する。
『【MP】にLPを4振り分けました。現在、あなたの【MP】最大値は8です』
-----------------
[ナード]
LP1
HP50/50
MP0/8
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:7,400アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣8体
状態:
-----------------
最大MPは8。これでスライムは8体倒せる。
それはつまり、LPがさらに8増えるってことなわけで。
「それをすべてMPに振り分けて、最大MPを16にする……っと」
マジックポーションを買ってからダンジョンへ向かえば、明日は最大でスライムを24体倒せる計算だ。これでLPも一気に増えるね。
「思ってたよりも、簡単にLP100が到達できちゃうかも」
ちょっと順調すぎて怖いくらいだ。
こういう時こそ、思い出さなきゃいけない鉄則がある。
[冒険者の鉄則 その4]
常に冷静に物事を対処すべし。
浮かれている時こそ、冷静さを失っちゃいけない。
<アブソープション>がなければ、今の僕はスライムにやられちゃうほど弱いんだから。
その事実を肝に銘じなくちゃ……。
「明日のためにも、しっかりと睡眠は取らないとね」
スライムを24体倒すってなると、さらに下の階へ降りていく必要が出てくる。
気力や体力を回復させる意味でも、この日は早く眠りにつくことにした。
◇
「毎度~! 今後もご贔屓に!」
店主にお辞儀をしてから道具屋を後にする。
マジックポーションも1つ買ったし、準備は万全だ。
「でも、お金はだいぶ減ってきちゃったな」
マジックポーションは購入できて、あと6日分。
攻略期限を考えるとギリギリの計算だ。
「それまで僕の空腹が持つかが心配だけど……」
食費を切り詰めるくらいなんとかなるって思っていたけど、案外空腹ってキツい。
想像していた以上にダンジョンの攻略って、お腹が空くものみたいだ。
「でも、E級ダンジョンをクリアするまではガマンだ。気合入れてがんばろう!」
両手で顔を叩いて鼓舞すると、今日も僕は【グラキエス氷窟】へと入って行く。
「お兄ちゃん、今日は上機嫌だね。なんかいいことあったー?」
「え?」
「さっきからずっと鼻歌歌ってるじゃん。【テネブラエ呪城】はまだクリアできてないんでしょ?」
「あ、はは……ちょっとね」
「ふーん?」
テーブルに並べられた質素な夕食につい目がいく。
今はこんな食事しかさせてあげられないけど……。
「ノエル。もっとおいしい物、食べさせてあげるから」
「急にどうしたの?」
「いや、いつも同じ料理で申し訳ないなって思って」
「ノエルはこれで十分満足だよ~。パンもオートミールも大好きだし♪ あとお兄ちゃんが作ってくれるエンドウ豆のスープも!」
「うん、ありがとう。必ずお兄ちゃんダンジョンクリアしてみせるから」
◇
その後、いつものようにノエルを寝かしつけてから、僕は自室へ戻ってステータスを確認していた。
「<アブソープション>を使うにはMPを1消費するから……。そうだな。今日はMPにLPを振り分けてみようかな」
LPの項目をタップすると、今あるLPをMPに変換するように指で指示する。
『【MP】にLPを1振り分けました。現在、あなたの【MP】最大値は2です』
アナウンス画面を確認してから、改めてステータスに目を移した。
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ナード
LP1
HP50/50
MP1/2
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:8,500アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣2体
状態:
-----------------
「よし、ちゃんと増えてる。これで明日からはスライムを2体倒せるぞ」
スライムを2体倒せるってことは、LPも2手に入るということなわけで。
「ふふふ……」
思わずにやけが止まらない。
みんながどれだけ求めても手に入れられないLPを、僕はいとも簡単に増やしてしまっている。
ちょっとした優越感が込み上げてきた。
「でも、これくらいいいよね。だって、これまで散々悪魔の子って、バカにされてきたわけだし」
そうやって倍々に増やしていけば、いつかはLPも100に届くかもしれない。
そこでようやく、みんなと同じスタートラインに立つことができる。
(僕の逆転劇はそこから始まるんだ)
未来に思いを馳せて、この日もぐっすりと眠ることができた。
◇
3日目。
この日は、城下町の道具屋でマジックポーションを買ってからダンジョンへと向かう。
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◆マジックポーション
・効果= MPを30回復する
・買値1,000アロー/売値300アロー
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「1,000アローはけっこうな出費だよね……」
お金は、ノエルの生活費のためにいくらか貯めているけど、それを切り崩すわけにはいかない。
食費に毎日300アローもかけてる場合じゃないかな。
(うん、贅沢はしていられない)
E級ダンジョンの初回クリア報酬を手に入れたら、それなりの大金が入るんだし。
せめて【グラキエス氷窟】をクリアするまでは、僕の食費は100アローで切り詰めてみよう。
「――確認しました。ナード・ヴィスコンティさん、今日もお気をつけてどうぞ」
「はい、ありがとうございます」
警護兵にお辞儀をすると、城門と結界を越えてシルワ平原へと足を踏み入れる。
このやり取りも慣れてきた。
最初、警護兵を前にすると緊張感があったけど、案外フランクに話すことができて、そんなに緊張するような人たちじゃないってことが分かる。
冒険者は、国の結界を維持するために命がけでダンジョンへ行っているわけで、彼らから感謝されることはあっても敵視されることはない。
そりゃ門限を破れば、それなりの対応をされるんだろうけど、少なくともルールをちゃんと守っていればとても友好的だ。
(冒険者は、街の人たちから尊敬される職業なんだ)
学校の授業で習ったそんな当たり前のことを思い出すと、ちょっとだけ嬉しい気持ちになってくる。足取りも自然と軽くなっていた。
◇
前回、前々回と同じ要領で【グラキエス氷窟】へと足を踏み入れる。
さすがに3日目となると、少しだけ余裕も生まれてきた。
だいたい道筋も覚えたし、氷柱を上手く避けつつ、1つ下のフロアへと降りる。
「げっ……」
1体目のスライムは通路のど真ん中にいた。
すぐに、こちらの存在に気付いたスライムが、僕目がけて突進してくる。
でも、距離はまだ十分にあった。
両手を前に出すと、スライムに向けて唱える。
「〝アブソープション〟!」
すると、スライムは光とともに、僕の手のひらへと吸い込まれていく。
「……ふぅ。ちょっと焦ったけど、なんとかなったぁ」
水晶ディスプレイを立ち上げて、LPが1増えているのを確認してから、さらに奥へと進む。
2体目のスライムも通路の真ん中にいた。
先手必勝だ。
こちらを襲いかかってくる前に、黒い物体に目がけて<アブソープション>を唱える。
「2体目も討伐できたぞぉ……」
まさか、こんな簡単にスライムを倒せるようになるなんて。
(いや、実際には倒してるわけじゃないんだけど)
でもこの際細かいことはどうでもいい。
LPが増えているんだ。今はそれだけで十分。
周りに魔獣がいないことを確認すると、ビーナスのしずくに触れて水晶ディスプレイを表示させる。
そのままLPの項目をタップすると、今あるLPをすべてMPに変換するように指示した。
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[ナード]
LP1
HP50/50
MP0/4
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:マジックポーション×1
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:7,500アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣4体
状態:
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最大MPが4になった。
「ちょっともったいないけど、使っちゃおうかな」
ショルダーバッグからマジックポーションを取り出すと、それを体にふりかける。
MPは全回復。
これでさらにスライムを4体倒せる。
マジックポーションのもったいない使い方だけど、効率的にはこれが一番いい。
【グラキエス氷窟】のクエスト受注日数は10日間だ。
今回は運良くE級ダンジョンが空いていたわけだけど、次も同じように空いているとは限らない。
チャンスがあるのなら、増やせるうちにLPを増やしておかないと。
「よぉーし。先へ進もう!」
気合を入れると、僕はさらにダンジョンの奥へ向けて歩みを進めた。
◇
「〝アブソープション〟」
そう唱えると、手のひらにスライムが吸い込まれていく。
あれから下の階へ降りて、さらに4体のスライムの討伐に成功した。
そのため、現在のLPは5。
途中でマジックポーションを拾うことができれば、さらにスライムを倒すこともできるんだけど。
でも、僕の幸運値は1だし。その可能性は限りなく低い。
「今日はここら辺で引き上げようかな」
[冒険者の鉄則 その3]
熱くなって深追いはしないこと。
これより下の階には、どんな魔獣が潜んでいるか分からない。
MP0のまま挑んでも、このステータスじゃ勝ち目はないだろうし。
一晩寝れば、HPもMPも全回復するんだ。
また、明日もマジックポーションを買ってからここへ来よう。
◇
この日の夜、僕はパン1つで夕食を済ませた。
ノエルが心配そうにしてたけど、お腹の調子があまりよくないって、適当にごまかして自分の部屋へ引き上げた。
たしかにお腹はまだ空いているけど、今はそれよりも優先すべきことがあるから。
「えっと、今あるLPを全部MPに変換して……」
水晶ディスプレイを弾いて、LPをすべてMPに振り分けるように指示する。
『【MP】にLPを4振り分けました。現在、あなたの【MP】最大値は8です』
-----------------
[ナード]
LP1
HP50/50
MP0/8
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:7,400アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣8体
状態:
-----------------
最大MPは8。これでスライムは8体倒せる。
それはつまり、LPがさらに8増えるってことなわけで。
「それをすべてMPに振り分けて、最大MPを16にする……っと」
マジックポーションを買ってからダンジョンへ向かえば、明日は最大でスライムを24体倒せる計算だ。これでLPも一気に増えるね。
「思ってたよりも、簡単にLP100が到達できちゃうかも」
ちょっと順調すぎて怖いくらいだ。
こういう時こそ、思い出さなきゃいけない鉄則がある。
[冒険者の鉄則 その4]
常に冷静に物事を対処すべし。
浮かれている時こそ、冷静さを失っちゃいけない。
<アブソープション>がなければ、今の僕はスライムにやられちゃうほど弱いんだから。
その事実を肝に銘じなくちゃ……。
「明日のためにも、しっかりと睡眠は取らないとね」
スライムを24体倒すってなると、さらに下の階へ降りていく必要が出てくる。
気力や体力を回復させる意味でも、この日は早く眠りにつくことにした。
◇
「毎度~! 今後もご贔屓に!」
店主にお辞儀をしてから道具屋を後にする。
マジックポーションも1つ買ったし、準備は万全だ。
「でも、お金はだいぶ減ってきちゃったな」
マジックポーションは購入できて、あと6日分。
攻略期限を考えるとギリギリの計算だ。
「それまで僕の空腹が持つかが心配だけど……」
食費を切り詰めるくらいなんとかなるって思っていたけど、案外空腹ってキツい。
想像していた以上にダンジョンの攻略って、お腹が空くものみたいだ。
「でも、E級ダンジョンをクリアするまではガマンだ。気合入れてがんばろう!」
両手で顔を叩いて鼓舞すると、今日も僕は【グラキエス氷窟】へと入って行く。
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