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第4話
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「はぁ……」
酒場を出てから数時間。
僕は広場のベンチに座ってずっと通りを過ぎる人たちの姿を眺めていた。
結界越しに覗ける空は、いつの間にかオレンジに染まり始めている。
いつもなら、ノエルの顔を見たくてすぐにアパートへ帰るところだけど、今日はどうしても合わせる顔がなくて帰れずにいた。
「これからどうしよう……」
ダンジョンの攻略が終わったらアイテムはすべてセシリアに渡していたから、僕の持ち物といえば、首にぶら下げたビーナスのしずくくらいだ。
このビーナスのしずくっていうのは、冒険者育成学校を卒業すると貰える記念品みたいな物で、しずくが入ったエンドパーツの部分に触れると、水晶ディスプレイが目の前に立ち上がる仕組みになっている。
水晶ディスプレイは、自分のステータスを確認する以外にも、魔法やスキルを習得するのに使ったりする。
まあ僕にとっては、ステータスを確認する以外に使い道はないけど。
-----------------
[ナード]
LP1
HP26/50
MP1/1
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
-----------------
改めてそこに表示されたステータスを見て絶望する。
もう一度大きなため息が漏れた。
「なんでこんなひどいステータスなんだよ。こんなのあんまりだ……」
本当にごく稀に、LP1のステータスを授与される人がいるって授業で習ったことがある。
そういう人は悪魔の子って呼ばれて、周りから忌み嫌われるようになる。
理由は単純だ。LP1だと、冒険者として何もできないから。
魔法やスキルを覚えることはおろか、ソロで入れるダンジョンもE級に限られてしまう。
LPとはライフポイントのことで、人族と魔族に課せられた生命の源って言われている。
HPが0になっても蘇生魔法で蘇ることは可能だけど、LPが0になった場合、蘇生することはできない。
人の場合、生まれながらにしてLP1を持った状態で生まれてくるんだけど、15歳になって成人の儀式を迎えると、エデンの神様からステータスを授与されて、新たなLPが追加される。
僕の場合はまったく増えなかったわけだけど、平均してLPは100くらいが与えられるもの。この値に冒険者を目指す者たちは一喜一憂するんだ。
なぜなら、このLPは1ヶ月に1ポイントずつ減っていくから。
増えることは絶対にあり得ない。
歳を重ねるごとにLPは減っていくもの。それがこの世界の掟だ。
だから、成人の儀式で授与されるLPの値にみんな躍起になっていたりする。
何もせずにLPをそのまま放置しておくと、20代の前半頃にはほとんどの人がLP1になっている。
でも、それ以上は寿命を迎えるまで下がることはない。
人がLP0になる状態っていうのは、寿命を迎えるか、肉体を粉々に破損されて再生不可能な状態となるかのどちらかだ。
このLPは、魔法やスキルを習得するのに使えて、ステータスの数値を上昇させることも可能だったりする。
だから、LPをそのまま放置しておくなんて、そんな勿体ないことはみんなしない。
どうせ減るものなのだから、その前にある程度使おうって思うのが普通だよね。
成人の儀式を終えた冒険者は、すぐに魔法やスキルを習得して、ダンジョンに入って魔光石を採取し、それを換金してお金を稼ぐ。
若いうちにどれだけ財産を築くことができるか、それによって今後の人生が決まると言ってもいいかもしれない。
なぜかというと、LPの値によって入れるダンジョンが制限されてしまうからだ。
LP1の場合、ソロで入れるダンジョンはE級のみって決められてしまっている。
ちなみに、習得できる魔法は、火・雷・風・水の四属性を司る【属性魔法】と、回復魔法や付与魔法が使える【無属性魔法】の2種類が存在する。
一方、スキルは【攻撃系スキル】と【補助系スキル】の2種類に分かれる。
【攻撃系スキル】は、<体術><片手剣術><両手剣術><槍術><爪術><斧術><弓術>の7種類に分類されて、武器を使用するには、まずはじめにこれらの基本スキルを習得する必要がある。
【補助系スキル】は、魔獣の防御力や魔法防御力を下げたりするいわゆるデバフ系のスキルや、そのほかにも《分析》や《投紋》などのスキルも存在する。
ユニークスキルだけは特別で、LPを使っても手に入らなかったりする。
成人の儀式で1人1つだけ受け取れる決まりになっていて、これはその人だけが所持できるスキルだから他の者が習得することはできない。
ただ、成人の儀式当日、お互いがお互いのユニークスキルの交換を望む場合は、大司祭様に頼んで一度だけ交換してもらうことは可能みたい。
けど、その費用は数千万アローするって言われていて、滅多なことがない限り行う人はいないみたいだけど。
僕も<アイテムプール>なんてハズレスキル、できれば交換したかった。
でも、そんな高額な費用とてもじゃないけど払えないし、そもそも僕のユニークスキルと交換したがる人なんていないだろうし……。
それほど僕のユニークスキルはハズレもいいところだった。
「……はぁ。<アイテムプール>か……」
なんでこんなハズレスキルを授与されちゃったんだろう。
こんなもの、魔法ポーチと全然性能は変わらないよ……。
そう心の中で愚痴りながら、ほとんど無意識のうちに水晶ディスプレイを下へスクロールさせていた。
「……ん?」
その時、水晶ディスプレイに見たことのないアナウンス画面が表示されていることに気付く。
『【鉄血の戦姫】を抜けました。<バフトリガー>がONのままです。OFFにしてよろしいですか(Y/N)?』
「<バフトリガー>?」
初めて見るその文字に僕は首をかしげる。まったく初めて見るスキルの名前だった。
え……てか、ちょっと待って……! なにこれ!?
ユニークスキルの項目に表示されている内容に、僕は目を見開く。
-----------------
ユニークスキル:
<アイテムプール>
<バフトリガー【ON】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:9,900アロー
所属パーティー:無所属
討伐数:
状態:
-----------------
「ユニークスキルが……増えてる!?」
これまでユニークスキルは<アイテムプール>の1つだけだった。
それが2つになってる……?
いやいやいや、こんなのっておかしいでしょ!
ユニークスキルは、1人1つしか所持できないっていう絶対的な決まりがある。
2つ持つことができるなんて話は聞いたことがない……!
僕は、おそるおそる<バフトリガー>の項目をタップしてみた。
すると、その性能が表示される。
-----------------
◆バフトリガー
・タイクーンのステータスを上昇させる
・【状態】をランダムに上昇させる(1日/1回)
-----------------
「【状態】をランダムに上昇させる?」
気になるのは下段に表示された内容だ。
その言葉を見て、思い浮かぶことが1つあった。
ダンジョンに入る際、よくセシリアが口にしていたんだ。今日も【状態】が変わっている、って。
それをセシリアは<豪傑>の性能だって考えていたみたいだけど……。もしかして違った?
(このユニークスキルが影響を与えていたのかな?)
ただ、その効果は微々たるものだったはず。
セシリアのステータスを直接見たことはないけど、ほとんどは<豪傑>の性能だったに違いない。
だって、<豪傑>は超がつくほどのレアスキルって言われているから。
補足すると、このタイクーンっていうのは、パーティーのリーダーのことを指す。
基本的に、換金した報酬の6割と初回クリア報酬はタイクーンが持っていき、余りを残りのメンバーで分け合うというのが冒険者の掟だ。
だから、パーティーメンバーは少ない方がその取り分は大きくなったりする。
それで、これほどまでにタイクーンが優遇されるのには理由がある。
入れるダンジョンは、タイクーンのLP値によって左右されるからだ。
ダンジョンに入れるLP値は、冒険者ギルドによって以下のように決められている。
-----------------
・A級ダンジョン(世界に24箇所)=LP200以上
・B級ダンジョン(世界に240箇所)=LP50以上
・C級ダンジョン(世界に400箇所)=LP10以上
・D級ダンジョン(世界に800箇所)=LP5以上
・E級ダンジョン(世界に2,400箇所)=LP1以上
-----------------
世界にはこの他にも、S級ダンジョン、SS級ダンジョンと最上級のダンジョンが存在するみたいだけど、その詳細は謎に包まれている。
というのも、シルワ王国が管理下に置くダンジョンはA級までしかなくて、国を出て他の土地のダンジョンに挑むには、一流冒険者の証が必要で、これを手に入れるのは容易じゃないからだ。
シルワでは、ここ20年くらい一流冒険者の証を手に入れた者は現れていない。
ダンジョンはすべてタイクーンのLP値によって入れるか決まるから、LP値の高いタイクーンは自然と人気になり、組みたがる冒険者は後を絶たない。
20代以降になると、LP1でほとんど固定されちゃうから、高レベルのダンジョンに挑むとなると、必然的にこうなってしまう。
成人になりたての若い冒険者がタイクーンで、ベテランのおっさんが下っ端としてパーティーに加わるなんてことはよくある光景だったりする。
ちなみに、LP1となってしまった冒険者が辿る道は3通りだって言われている。
-----------------
①LP値の高いタイクーンとパーティーを組んで、高レベルのダンジョンに挑んで大金を稼ぐ
②ソロでE級ダンジョンを周回して小銭を稼ぐ
③冒険者は諦めて、他の仕事に就いてお金を稼ぐ
-----------------
僕の場合、最初からずっとLP1なわけで、事情が少し異なるけど。
これは、魔法やスキルをいくつか習得してきた人が前提なわけで。
「……けど。僕、ユニークスキルをもう1つ持ってたんだ」
なんで2つ所持しているのかはさっぱり分からないけど、この際理由なんてなんでもいい。
魔法やスキルを1つも習得していない僕にとって、これはとんでもなく嬉しいことだった。
今は使い道がなくても、そのうち必要となる日が来るかもしれない。
「あ……。もしかして、隠れスキルってやつだったのかな?」
ユニークスキルは、成人の儀式で大司祭様がその名前を口に出すことで、ステータスに反映されるって言われている。
大司祭様がユニークスキルの宣言を忘れて、後で該当者が自分のユニークスキルに気付く(通称隠れスキル)ことも以前には何度かあったみたいだ。
1日であれだけの数の生徒に宣言を出していたわけだし、1つくらい言い漏らしがあったとしてもおかしなことじゃない。
(特に僕の場合は、2つあったわけだし……。見逃しちゃったのかな)
とにかく、<アイテムプール>以外のユニークスキルを所持していた事実は大きな収穫だ。
「ひとまず、今は必要のないものだからOFFにしておこう」
アナウンス画面に戻り、(Y)を選択して<バフトリガー>をOFFにする。
すると、ちょうどそんなタイミングで
「――あれ? キミ。もしかして、ナード君かい?」
「えっ」
大きな紙袋を抱えた30代くらいの女性に声をかけられる。
彼女は、丸ぶちメガネのフレームを少し持ち上げながら顔を近付けてきた。
「あぁ。この水色の髪はやっぱりナード君だ」
「メリアドール先生っ……!?」
とっさにビーナスのしずくから手を離すと、思わずその場から立ち上がる。
「こ、こんなところで奇遇ですねっ! お買い物ですかっ?」
「夕食の食材を買いに市場までね。ナード君こそ、こんな広場のベンチに座ってどうした? なんとなく傷心しているように見えたけど」
「い、いえっ! そんなことはないですよ?」
これといって先生に対してやましさはなかったけど、今日パーティーを追放されたっていう後ろめたさからつい早口となってしまう。
「そうかい?」
メリアドール先生は、紫色のポニーテールを払いのけながら、ちょっとだけ不思議に思っている感じだ。
この美人の女性は、僕が通っていた学校の担任だったお方。
僕も先生には色々とお世話になった。
定期的にノエルの見舞いに来てくれたのは、メリアドール先生だけだったから。
「それと聞いてるぞ、ナード君。セシリア君と組んでいるパーティーの戦績も上々なようじゃないか。私は心配してたんだよ。ナード君が、その……あまりいいステータスを受け取れなくて。冒険者として嫌になっちゃってないかってね。でも、セシリア君がそばにいてくれてよかった。ダコタ君とも、仲直りして上手くやってるんだろう?」
「……」
「ナード君?」
「え? あ、はは……。そうですね」
先生の嬉しそうな顔を見ていると、どうしても本当のことが言い出せなかった。
「それじゃ、僕はこれで……」
「うむ。またそのうちお邪魔させてもらうよ。久しぶりにノエル君の顔も見たいからね」
「は、はい」
「今後のナード君の活躍、楽しみにしてるよ」
手を振る先生に見送られながら、僕は足早に広場を後にした。
酒場を出てから数時間。
僕は広場のベンチに座ってずっと通りを過ぎる人たちの姿を眺めていた。
結界越しに覗ける空は、いつの間にかオレンジに染まり始めている。
いつもなら、ノエルの顔を見たくてすぐにアパートへ帰るところだけど、今日はどうしても合わせる顔がなくて帰れずにいた。
「これからどうしよう……」
ダンジョンの攻略が終わったらアイテムはすべてセシリアに渡していたから、僕の持ち物といえば、首にぶら下げたビーナスのしずくくらいだ。
このビーナスのしずくっていうのは、冒険者育成学校を卒業すると貰える記念品みたいな物で、しずくが入ったエンドパーツの部分に触れると、水晶ディスプレイが目の前に立ち上がる仕組みになっている。
水晶ディスプレイは、自分のステータスを確認する以外にも、魔法やスキルを習得するのに使ったりする。
まあ僕にとっては、ステータスを確認する以外に使い道はないけど。
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[ナード]
LP1
HP26/50
MP1/1
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
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改めてそこに表示されたステータスを見て絶望する。
もう一度大きなため息が漏れた。
「なんでこんなひどいステータスなんだよ。こんなのあんまりだ……」
本当にごく稀に、LP1のステータスを授与される人がいるって授業で習ったことがある。
そういう人は悪魔の子って呼ばれて、周りから忌み嫌われるようになる。
理由は単純だ。LP1だと、冒険者として何もできないから。
魔法やスキルを覚えることはおろか、ソロで入れるダンジョンもE級に限られてしまう。
LPとはライフポイントのことで、人族と魔族に課せられた生命の源って言われている。
HPが0になっても蘇生魔法で蘇ることは可能だけど、LPが0になった場合、蘇生することはできない。
人の場合、生まれながらにしてLP1を持った状態で生まれてくるんだけど、15歳になって成人の儀式を迎えると、エデンの神様からステータスを授与されて、新たなLPが追加される。
僕の場合はまったく増えなかったわけだけど、平均してLPは100くらいが与えられるもの。この値に冒険者を目指す者たちは一喜一憂するんだ。
なぜなら、このLPは1ヶ月に1ポイントずつ減っていくから。
増えることは絶対にあり得ない。
歳を重ねるごとにLPは減っていくもの。それがこの世界の掟だ。
だから、成人の儀式で授与されるLPの値にみんな躍起になっていたりする。
何もせずにLPをそのまま放置しておくと、20代の前半頃にはほとんどの人がLP1になっている。
でも、それ以上は寿命を迎えるまで下がることはない。
人がLP0になる状態っていうのは、寿命を迎えるか、肉体を粉々に破損されて再生不可能な状態となるかのどちらかだ。
このLPは、魔法やスキルを習得するのに使えて、ステータスの数値を上昇させることも可能だったりする。
だから、LPをそのまま放置しておくなんて、そんな勿体ないことはみんなしない。
どうせ減るものなのだから、その前にある程度使おうって思うのが普通だよね。
成人の儀式を終えた冒険者は、すぐに魔法やスキルを習得して、ダンジョンに入って魔光石を採取し、それを換金してお金を稼ぐ。
若いうちにどれだけ財産を築くことができるか、それによって今後の人生が決まると言ってもいいかもしれない。
なぜかというと、LPの値によって入れるダンジョンが制限されてしまうからだ。
LP1の場合、ソロで入れるダンジョンはE級のみって決められてしまっている。
ちなみに、習得できる魔法は、火・雷・風・水の四属性を司る【属性魔法】と、回復魔法や付与魔法が使える【無属性魔法】の2種類が存在する。
一方、スキルは【攻撃系スキル】と【補助系スキル】の2種類に分かれる。
【攻撃系スキル】は、<体術><片手剣術><両手剣術><槍術><爪術><斧術><弓術>の7種類に分類されて、武器を使用するには、まずはじめにこれらの基本スキルを習得する必要がある。
【補助系スキル】は、魔獣の防御力や魔法防御力を下げたりするいわゆるデバフ系のスキルや、そのほかにも《分析》や《投紋》などのスキルも存在する。
ユニークスキルだけは特別で、LPを使っても手に入らなかったりする。
成人の儀式で1人1つだけ受け取れる決まりになっていて、これはその人だけが所持できるスキルだから他の者が習得することはできない。
ただ、成人の儀式当日、お互いがお互いのユニークスキルの交換を望む場合は、大司祭様に頼んで一度だけ交換してもらうことは可能みたい。
けど、その費用は数千万アローするって言われていて、滅多なことがない限り行う人はいないみたいだけど。
僕も<アイテムプール>なんてハズレスキル、できれば交換したかった。
でも、そんな高額な費用とてもじゃないけど払えないし、そもそも僕のユニークスキルと交換したがる人なんていないだろうし……。
それほど僕のユニークスキルはハズレもいいところだった。
「……はぁ。<アイテムプール>か……」
なんでこんなハズレスキルを授与されちゃったんだろう。
こんなもの、魔法ポーチと全然性能は変わらないよ……。
そう心の中で愚痴りながら、ほとんど無意識のうちに水晶ディスプレイを下へスクロールさせていた。
「……ん?」
その時、水晶ディスプレイに見たことのないアナウンス画面が表示されていることに気付く。
『【鉄血の戦姫】を抜けました。<バフトリガー>がONのままです。OFFにしてよろしいですか(Y/N)?』
「<バフトリガー>?」
初めて見るその文字に僕は首をかしげる。まったく初めて見るスキルの名前だった。
え……てか、ちょっと待って……! なにこれ!?
ユニークスキルの項目に表示されている内容に、僕は目を見開く。
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ユニークスキル:
<アイテムプール>
<バフトリガー【ON】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:9,900アロー
所属パーティー:無所属
討伐数:
状態:
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「ユニークスキルが……増えてる!?」
これまでユニークスキルは<アイテムプール>の1つだけだった。
それが2つになってる……?
いやいやいや、こんなのっておかしいでしょ!
ユニークスキルは、1人1つしか所持できないっていう絶対的な決まりがある。
2つ持つことができるなんて話は聞いたことがない……!
僕は、おそるおそる<バフトリガー>の項目をタップしてみた。
すると、その性能が表示される。
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◆バフトリガー
・タイクーンのステータスを上昇させる
・【状態】をランダムに上昇させる(1日/1回)
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「【状態】をランダムに上昇させる?」
気になるのは下段に表示された内容だ。
その言葉を見て、思い浮かぶことが1つあった。
ダンジョンに入る際、よくセシリアが口にしていたんだ。今日も【状態】が変わっている、って。
それをセシリアは<豪傑>の性能だって考えていたみたいだけど……。もしかして違った?
(このユニークスキルが影響を与えていたのかな?)
ただ、その効果は微々たるものだったはず。
セシリアのステータスを直接見たことはないけど、ほとんどは<豪傑>の性能だったに違いない。
だって、<豪傑>は超がつくほどのレアスキルって言われているから。
補足すると、このタイクーンっていうのは、パーティーのリーダーのことを指す。
基本的に、換金した報酬の6割と初回クリア報酬はタイクーンが持っていき、余りを残りのメンバーで分け合うというのが冒険者の掟だ。
だから、パーティーメンバーは少ない方がその取り分は大きくなったりする。
それで、これほどまでにタイクーンが優遇されるのには理由がある。
入れるダンジョンは、タイクーンのLP値によって左右されるからだ。
ダンジョンに入れるLP値は、冒険者ギルドによって以下のように決められている。
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・A級ダンジョン(世界に24箇所)=LP200以上
・B級ダンジョン(世界に240箇所)=LP50以上
・C級ダンジョン(世界に400箇所)=LP10以上
・D級ダンジョン(世界に800箇所)=LP5以上
・E級ダンジョン(世界に2,400箇所)=LP1以上
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世界にはこの他にも、S級ダンジョン、SS級ダンジョンと最上級のダンジョンが存在するみたいだけど、その詳細は謎に包まれている。
というのも、シルワ王国が管理下に置くダンジョンはA級までしかなくて、国を出て他の土地のダンジョンに挑むには、一流冒険者の証が必要で、これを手に入れるのは容易じゃないからだ。
シルワでは、ここ20年くらい一流冒険者の証を手に入れた者は現れていない。
ダンジョンはすべてタイクーンのLP値によって入れるか決まるから、LP値の高いタイクーンは自然と人気になり、組みたがる冒険者は後を絶たない。
20代以降になると、LP1でほとんど固定されちゃうから、高レベルのダンジョンに挑むとなると、必然的にこうなってしまう。
成人になりたての若い冒険者がタイクーンで、ベテランのおっさんが下っ端としてパーティーに加わるなんてことはよくある光景だったりする。
ちなみに、LP1となってしまった冒険者が辿る道は3通りだって言われている。
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①LP値の高いタイクーンとパーティーを組んで、高レベルのダンジョンに挑んで大金を稼ぐ
②ソロでE級ダンジョンを周回して小銭を稼ぐ
③冒険者は諦めて、他の仕事に就いてお金を稼ぐ
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僕の場合、最初からずっとLP1なわけで、事情が少し異なるけど。
これは、魔法やスキルをいくつか習得してきた人が前提なわけで。
「……けど。僕、ユニークスキルをもう1つ持ってたんだ」
なんで2つ所持しているのかはさっぱり分からないけど、この際理由なんてなんでもいい。
魔法やスキルを1つも習得していない僕にとって、これはとんでもなく嬉しいことだった。
今は使い道がなくても、そのうち必要となる日が来るかもしれない。
「あ……。もしかして、隠れスキルってやつだったのかな?」
ユニークスキルは、成人の儀式で大司祭様がその名前を口に出すことで、ステータスに反映されるって言われている。
大司祭様がユニークスキルの宣言を忘れて、後で該当者が自分のユニークスキルに気付く(通称隠れスキル)ことも以前には何度かあったみたいだ。
1日であれだけの数の生徒に宣言を出していたわけだし、1つくらい言い漏らしがあったとしてもおかしなことじゃない。
(特に僕の場合は、2つあったわけだし……。見逃しちゃったのかな)
とにかく、<アイテムプール>以外のユニークスキルを所持していた事実は大きな収穫だ。
「ひとまず、今は必要のないものだからOFFにしておこう」
アナウンス画面に戻り、(Y)を選択して<バフトリガー>をOFFにする。
すると、ちょうどそんなタイミングで
「――あれ? キミ。もしかして、ナード君かい?」
「えっ」
大きな紙袋を抱えた30代くらいの女性に声をかけられる。
彼女は、丸ぶちメガネのフレームを少し持ち上げながら顔を近付けてきた。
「あぁ。この水色の髪はやっぱりナード君だ」
「メリアドール先生っ……!?」
とっさにビーナスのしずくから手を離すと、思わずその場から立ち上がる。
「こ、こんなところで奇遇ですねっ! お買い物ですかっ?」
「夕食の食材を買いに市場までね。ナード君こそ、こんな広場のベンチに座ってどうした? なんとなく傷心しているように見えたけど」
「い、いえっ! そんなことはないですよ?」
これといって先生に対してやましさはなかったけど、今日パーティーを追放されたっていう後ろめたさからつい早口となってしまう。
「そうかい?」
メリアドール先生は、紫色のポニーテールを払いのけながら、ちょっとだけ不思議に思っている感じだ。
この美人の女性は、僕が通っていた学校の担任だったお方。
僕も先生には色々とお世話になった。
定期的にノエルの見舞いに来てくれたのは、メリアドール先生だけだったから。
「それと聞いてるぞ、ナード君。セシリア君と組んでいるパーティーの戦績も上々なようじゃないか。私は心配してたんだよ。ナード君が、その……あまりいいステータスを受け取れなくて。冒険者として嫌になっちゃってないかってね。でも、セシリア君がそばにいてくれてよかった。ダコタ君とも、仲直りして上手くやってるんだろう?」
「……」
「ナード君?」
「え? あ、はは……。そうですね」
先生の嬉しそうな顔を見ていると、どうしても本当のことが言い出せなかった。
「それじゃ、僕はこれで……」
「うむ。またそのうちお邪魔させてもらうよ。久しぶりにノエル君の顔も見たいからね」
「は、はい」
「今後のナード君の活躍、楽しみにしてるよ」
手を振る先生に見送られながら、僕は足早に広場を後にした。
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このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
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竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
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ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
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異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
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蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
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なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
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