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秘密基地の悪者
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朝の澄んだ空気に、煙を吐き出す。
何か悪いことしてるみたいだ。
いや、悪いことしてたんだった。
ここは、あたしの秘密基地。
昨日までは、2人の秘密基地だった。
ねぇ、知ってる?
あたしは知ってる。
あんたがもうあたしのものじゃなくなったこと。
ていうか、元々あたしのものでは無かったんだったわ。
いやだなぁ、気を抜いたら泣きそうだよ。
ドラマとかだったら、
あたしがヒロインだったら、
こんな時、後ろの扉が勢いよく開いて、
息を切らしたあんたがあたしに駆け寄って、
強く強く抱きしめてくれたりするんだろうか。
分かってるよ。
だって、あんたの恋人はマイだもん。
元々あんた、マイのものなんだもん。
2人が幸せになってくれるなら、それでいいかな。
なんて、今は絶対言えないけど、
いつか言える日がくるのかな。
ちょっとだけ期待してたんだよね。
あんたがあたしと一緒にいたいって言ってくれるの。
マイじゃなくて、あたしを選んでくれるの。
ここからあんたへの思いの丈を叫んだら、
あたしの中から、あんたを好きな気持ち消えてくれるかな。
あと3時間後には、あたし平気な顔で、マイとバイトしてんのかな。
やだなー。
マイのこと、嫌いになりそうだな。
あたし、最低だな。
その時、後ろの扉が開く音がした。
振り向くと、
管理人のおっさんが何か言ってる。
別に飛び降りたりしないよ。
ごめんね。ここ立入禁止なのは、知ってんだ。
ずっと前から知ってたんだ。
立入禁止な2人の間に入ったあたしが悪いんだよね。
おっさんを無視して、空に向かって煙を吐いた。
同時に涙が溢れた。
おっさんに怒られたせいにしよう。
襟足、こめかみの匂い、爪の形、片方だけの八重歯、ちょっと低めの声。
全部全部好きだったな。
何か悪いことしてるみたいだ。
いや、悪いことしてたんだった。
ここは、あたしの秘密基地。
昨日までは、2人の秘密基地だった。
ねぇ、知ってる?
あたしは知ってる。
あんたがもうあたしのものじゃなくなったこと。
ていうか、元々あたしのものでは無かったんだったわ。
いやだなぁ、気を抜いたら泣きそうだよ。
ドラマとかだったら、
あたしがヒロインだったら、
こんな時、後ろの扉が勢いよく開いて、
息を切らしたあんたがあたしに駆け寄って、
強く強く抱きしめてくれたりするんだろうか。
分かってるよ。
だって、あんたの恋人はマイだもん。
元々あんた、マイのものなんだもん。
2人が幸せになってくれるなら、それでいいかな。
なんて、今は絶対言えないけど、
いつか言える日がくるのかな。
ちょっとだけ期待してたんだよね。
あんたがあたしと一緒にいたいって言ってくれるの。
マイじゃなくて、あたしを選んでくれるの。
ここからあんたへの思いの丈を叫んだら、
あたしの中から、あんたを好きな気持ち消えてくれるかな。
あと3時間後には、あたし平気な顔で、マイとバイトしてんのかな。
やだなー。
マイのこと、嫌いになりそうだな。
あたし、最低だな。
その時、後ろの扉が開く音がした。
振り向くと、
管理人のおっさんが何か言ってる。
別に飛び降りたりしないよ。
ごめんね。ここ立入禁止なのは、知ってんだ。
ずっと前から知ってたんだ。
立入禁止な2人の間に入ったあたしが悪いんだよね。
おっさんを無視して、空に向かって煙を吐いた。
同時に涙が溢れた。
おっさんに怒られたせいにしよう。
襟足、こめかみの匂い、爪の形、片方だけの八重歯、ちょっと低めの声。
全部全部好きだったな。
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