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人外に愛されすぎて困っています!!
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私には今とてつもなく大きな悩みがある。
私の名前は、ユーリシア。普段は省略して、基本シアと名乗っている。よく“目が死んでいる”だの、睨んでもいないのに“ヤダ、あの人こっち睨んでる”だの言われるが若干表情が分かりにくいだけの至って普通の顔の18歳だ。特筆するべき点は、この白銀の髪と少し、面倒くさがりなことくらいだろうか。
私は、周りを全て森で囲まれたサンコルディアという街に住んで、ギルドで魔物退治(通称:ハンター)の仕事をしている。
ただ、この町は普通ではない。魔界との境目よりほどなく近いこの街の周辺では、強い魔物しか出ない。S~Fで分けられる魔物のランクで言うと、よっぽどの熟練でしか倒せないようなSやらAやらの化け物級がゴロゴロといる。
そして、魔物には人型とその他がいるのだが、人型――魔族と呼ばれている――の方が普通の魔物と比べても、比べ物にならない位に強い。
その魔族を警戒して町では、魔族用に特殊な結界を張っていて、魔族は入れないようになっている。人と魔族では根本的な魔力の質が違うらしい。
けれど、その魔族全てと私たち人間が敵対しているわけではない。魔族の一部には、人間の魔力や血肉が欲しいがために、人間と契約を持ち掛けてくる者もいる。そのような者たちと契約をするものを魔女や魔法使いという。彼らの契約している魔族だけは、特別に街に入れるようになっている。
…魔女や魔法使いでも一定期間契約した後、その魔族に裏切られて、非業の死を遂げる者も少なからずいるわけだが…従えている間はかなり強い存在ではある。
何故、魔族の話を今したのかというと、私は暫く前から変な魔族にずっと…本当に四六時中ずっと付きまとわれているのだ…。…あることがきっかけで一緒に共同生活を送ることになってしまったが故に。
始まりはそう、三カ月前の任務の日だった。私は、その日幽霊(ファントム)系のAランクモンスターを狩る任務が入っていて、森を暫く言った所にある廃墟になった教会に赴いていた。
そこでは2匹のファントムがいたが、後ろからこそっと近づいて、不意打ちで私が得意な氷漬けにして片づけてやった。そこまでは問題なかったのだ…そこまでは。問題はその後、帰ろうとした時だった。私が帰ろうと立ち上がった瞬間ものすごい勢いでソレが私に突っ込んできた。私はそのまま地面に倒れる…が衝撃は余りなかったような気がする。
「――っ!?」
私は何が何だかわからず私に突っ込んできて、今も離れようとしない黒いそれをはがそうと、全力で暴れる。すると
「捕まえた」
低い男の声が私の鼓膜をくすぐった。正直、情けないけれど恐怖で声が中々でなかった私は、声を絞り出す。
「……な、にが」
すると、それは、その黒いもの――これは服だったようだ――から顔を出した。
正直、見た瞬間は息が止まるかと思った。それほどまでに美しかったのだ。それ…その男は漆黒の髪の毛に、金色の獣の様な瞳、それに近くで見るとまつげがとても長い。正直、今までここまで美しい人間を見たことがない…。
「やっと捕まえた。俺の運命」
「は?」
その男の発言に対して、恐怖も忘れて疑問符が出てしまった。訳が分からない。
「そうか、まだ名前も言っていなかったか。俺の名はオニキス。これから末永くよろしくな、俺の運命。」
そのまま彼は私の胸元が空いたデザインの服の丁度心臓辺り(胸に何気なく手を置かれている)に顔を近づけ、ふんふんと私の匂いを嗅いでいる。…正直どんなに顔が綺麗でも、ドン引きだ。
「……………………………はい?」
「そうか、はい、か。それじゃあ、早速俺と伴侶の契りを――」
そう言って、その男は私に口付けようと顔を近づけてくる。私は内心焦った。かなり焦った。
「!?!?ちょ、ちょっと待ってくださいっ!!」
「なんだ?どうかしたか?」
「どうかしたどころじゃありません!何で貴方は、知り合い…知り合いでもおかしいけどいきなり出てきてキスしようとしてくるんですか!!?」
「??俺の運命だから?」
あ、駄目だこの人。直感的にそう感じたその瞬間私は彼を物理的に制裁していた。
バコッ鈍い音があたりに響く。そのまま彼…オニキスとやらは気絶した。そのまま道具として持ってきていた紐でそいつの体をその辺の木に縛る。
数分すると流石に目が覚めた様だ。
「な、ここは…?あいつは、どこに…?」
若干混乱しているようなので、声を掛ける。
「目が覚めましたか。この、変態」
「!?変態…だと。どうしてそんな酷いことを言うんだ!俺の運命!!…もしや、俺は紐で体も縛られているしそういうプレ「そんなわけがないでしょう!?」
この変態は、起きて早々とんでもないことを言い始めたので思わず遮ってツッコむ。
私もさすがに状況が呑み込めなさ過ぎて、混乱していたので、あまり期待できない彼に分からない事を片っ端から聞いて言った。
すると、驚くべきことが判明する。この変態は、魔界から来た悪魔という魔族で、先程用事があって魔界から人間界に出てきた所私の魔力を感じた時、運命的なものを感じたそうだ。
…まさかの人外!!?いや、人間でもこの変態行為はどうかと思うけど…。大体事情も分かり敵意もない事が分かったので、私はそのままその変態をリリースしてやることにした。さようなら、変態…正直、同じ空気すら吸っていたくもないから、どっかいってね。
しかし、その変態は何処へも去らない。こいつが帰らないなら私が帰ってやる…ということで、そのまま街までの道を歩き出す。…のだが、何故かその変態も私についてくる。仕方がないので、私は振り返り、
「なんでついてくるんですか?」
そう聞いた。すると、その変態はその美形をだらしなく破顔して、
「??俺たちの愛の巣に案内してくれようとしてくれているんじゃないのか?」
と、言い切る。
(キッモ!!)
口には出さなかったが、心は素直にそう思ってしまった。
「そんなわけないじゃないですか!!もうこれ以上ついてこないでください!」
「嫌だ!!ついてく!!!」
はっきりと拒否しても、即答してついてくる変態。しかし、私は、そこで早々に面倒くさくなってしまった。…私の悪い癖だ。
そして、そのまま街に再び歩き始める。
(…どうせ、街には結界で入れないだろうし)
しかし、私の予想は、簡単に裏切られることになる。
街まで後数百メートルの所で変態の様子が変わった。…別に形が変わったとかそういうのではない。変態が変態したなどという寒いダジャレがうかんでしまったが。
急に「…結界か」と呟いて、先ほどまでと纏っている魔力の質が変わったのだ。
そして、そのまま、街の結界を超えて、街に入ってくる。
(…嘘、なんで……?)
私は、その変態が街で平然と歩いている姿に呆然としてしまった。……やばいものに憑かれてしまったかもしれない。そう私は後悔した瞬間に私は行動した。一気に魔力を練りこみ、私は地面に氷の鏡を発生させ、呪文を唱える。
「リーブ」
その瞬間氷が私の全身を包み、次の瞬間には、私の家についていた。…いつもの私の最低限の生活用品しか置いていない我ながら殺風景な部屋だ。
「……疲れた」
ここで、ようやく落ち着ける。この魔法はかなりの魔力を使うのだ。しかも、あの変態をあそこに置いてきたので、私は数日…多くて数週間ここから出ない方が良い……ギルドの依頼の報告は、其の後でいい。それ位しないときっと、あのやばい変態魔族は諦めないだろう。そう判断し、私はそのままベッドで深い眠りに落ちた。
***
私はふと、肌寒い感じと甘い疼き、そして少しの息苦しさから目が覚める。そして、目が覚めた瞬間、驚愕する。
なんと、あの変態が至近距離にいるのだ。しかも、その変態はあろうことか自分の服を脱ぎ捨てて、上半身裸で私を押し倒している状態だ。
「貴方、どうして………な!!!!??」
今、声を上げながら、変態男の体を押そうとした瞬間に気づいた。…私も裸だ……しかも、全裸。それだけではない。この変態あろうことか、何故かもう既にビチャビチャになっている私のアソコ(実は、私はこの歳まで律儀にも処女を守り続けていた。…相手がいなかったわけでは…ない。……はず)に指を挿れている。
「俺の運命は中々にお転婆だな。…俺からいきなり逃げ出すなんて」
彼は見惚れる程妖艶な笑顔で呟いた。そして続ける。
「そんなお転婆には、お仕置き…が必要だな」
そこから、私の地獄の時間が始まる。
彼は、いきなり、私に深いキスをし始めると同時に、アソコに挿れている指を緩く動かしながら、私を抑えるついでに空いたほうの手で、むき出しになっていた胸を柔らかくもみ始める。
「…んん、……は、あぁ」
「やっぱり、反応があったほうがいいな」
(…この変態なんかとんでもないこと言ってる気がするけど、やばい。なんか、キスが、触られている全てが異様に気持ちイイ……しかも、これファーストキスなのに、流されかけてる!!!)
「ちょ、まってっ!!ストップ!!!」
「?どうした?気持ちよくなってきたんじゃないのか?」
「な!?(何故、バレているー!)そうじゃなくて!なんで、こんなことになってるの!!?」
「だから、お仕置きと言っただろう」
「私は、貴方にお仕置きされるような立場になった覚えはありません」
「あぁ、それか。お前が寝ている間に俺のコアの一部を飲ませたんだ。もう、お前と俺はひとつだ」
「はぁ!!?なにを勝手にっ!」
「お前を放したくないんだ。……さっきから拒否しようとしているお前にはわるいが、このまま俺のものになってもらう」
私はそこでブチギれた。
私はその男にそのまま――アソコにはまだ指がはいっているっ!!――頭突きをお見舞いし、指を強制的にアソコから抜かせた後(その時に若干反応してしまいそうになったのは秘密だ)私は、恥じらいもクソもなくゲロった。そう、全てを。
ついでに、男はよっぽど痛かったのか、プルプルして床に倒れている。
そして、殆ど消化されている夜ご飯――小籠包美味しかったな――以外に真っ黒の異物を見つけた。
(これかああああああぁぁぁぁぁぁ!!!)
そして、そのままそれを男の口にぶち込む。出さないように息もできない位に口を押えてやりながら。
ゴクリッ
それを飲み込んだのを確認して、私は溜息を吐き、そのまま地味に咽ている上半身裸のままの男を家の外に放り出した。
***
「……………」
「どうした?」
「…………………なんでまたここにいるわけ?」
「そりゃ、愛ゆえに?」
そう、次の朝私は任務の報告に行ったのだ。そして、家の外に既にあの変態がいないことに安心して、ルンルン気分で、ギルドへの報告を済ませ帰ってきた。
しかし、戻ったらあの変態が戻ってきていたのだ。もう一度言おう。あの変態が戻ってきていやがったのだ。
そして、私にいつもの癖が出る。
「……はぁ、もう面倒くさいからなんでもいいや…」
「おぉ、ついに俺を受け入れてくれたか!……そういえばまだ名前を聞いていなかったな。…俺の運命…お前の名は?」
「……シア」
「よろしくな!!シア。俺のことは親しみを込めてオニキスと呼んでくれ」
こうして、私と変態改めオニキスの共同生活が始まるのだった。
其の後も相変わらず、このオニキスにつけ回され、貞操の危機に晒され~のしたり、はたまたこいつのライバルだかなんだかが現れて一悶着あったりするのだが、それはまた別の話。
テキトーな人物解説:
主人公:シア(本名:ユーリシア)(18)
白銀髪に緑の瞳の一見冷たい印象の少女。だが、中身はかなりのツッコミ属性。
Eカップの隠れ巨乳。冷静な見た目に似合わず実は、超ドジ。
可愛いもの好き。(顔が怖いので子供とかには怖がられて、実は陰で泣いている)
ただし、モフモフしたものには好かれる。
基本、目が死んでいる。
今は、ギルドで依頼を受ける日々。ランクはS。氷系の魔術が特に得意で、弓と矢を生成して、戦う。小時間だが、トキを凍らせて、時間を止めることも可能。ギルドでは、“氷姫”と呼ばれている。
オニキス(悪魔)(200くらい)
若干寝癖がついたような黒髪に金瞳。まつ毛が長い。言わずもがな超美形。一人称「俺」。
かなりのストーカー基質。
セリフ:
「お前の魔力を初めて感じた時、運命を感じたんだよ。お前……シアに」
朝一番の挨拶は、「シア、愛している。俺と伴侶の契りを交わしてくれ」
シアにはかなり甘いが他人にはかなり厳しい。(おまだれ状態)
私の名前は、ユーリシア。普段は省略して、基本シアと名乗っている。よく“目が死んでいる”だの、睨んでもいないのに“ヤダ、あの人こっち睨んでる”だの言われるが若干表情が分かりにくいだけの至って普通の顔の18歳だ。特筆するべき点は、この白銀の髪と少し、面倒くさがりなことくらいだろうか。
私は、周りを全て森で囲まれたサンコルディアという街に住んで、ギルドで魔物退治(通称:ハンター)の仕事をしている。
ただ、この町は普通ではない。魔界との境目よりほどなく近いこの街の周辺では、強い魔物しか出ない。S~Fで分けられる魔物のランクで言うと、よっぽどの熟練でしか倒せないようなSやらAやらの化け物級がゴロゴロといる。
そして、魔物には人型とその他がいるのだが、人型――魔族と呼ばれている――の方が普通の魔物と比べても、比べ物にならない位に強い。
その魔族を警戒して町では、魔族用に特殊な結界を張っていて、魔族は入れないようになっている。人と魔族では根本的な魔力の質が違うらしい。
けれど、その魔族全てと私たち人間が敵対しているわけではない。魔族の一部には、人間の魔力や血肉が欲しいがために、人間と契約を持ち掛けてくる者もいる。そのような者たちと契約をするものを魔女や魔法使いという。彼らの契約している魔族だけは、特別に街に入れるようになっている。
…魔女や魔法使いでも一定期間契約した後、その魔族に裏切られて、非業の死を遂げる者も少なからずいるわけだが…従えている間はかなり強い存在ではある。
何故、魔族の話を今したのかというと、私は暫く前から変な魔族にずっと…本当に四六時中ずっと付きまとわれているのだ…。…あることがきっかけで一緒に共同生活を送ることになってしまったが故に。
始まりはそう、三カ月前の任務の日だった。私は、その日幽霊(ファントム)系のAランクモンスターを狩る任務が入っていて、森を暫く言った所にある廃墟になった教会に赴いていた。
そこでは2匹のファントムがいたが、後ろからこそっと近づいて、不意打ちで私が得意な氷漬けにして片づけてやった。そこまでは問題なかったのだ…そこまでは。問題はその後、帰ろうとした時だった。私が帰ろうと立ち上がった瞬間ものすごい勢いでソレが私に突っ込んできた。私はそのまま地面に倒れる…が衝撃は余りなかったような気がする。
「――っ!?」
私は何が何だかわからず私に突っ込んできて、今も離れようとしない黒いそれをはがそうと、全力で暴れる。すると
「捕まえた」
低い男の声が私の鼓膜をくすぐった。正直、情けないけれど恐怖で声が中々でなかった私は、声を絞り出す。
「……な、にが」
すると、それは、その黒いもの――これは服だったようだ――から顔を出した。
正直、見た瞬間は息が止まるかと思った。それほどまでに美しかったのだ。それ…その男は漆黒の髪の毛に、金色の獣の様な瞳、それに近くで見るとまつげがとても長い。正直、今までここまで美しい人間を見たことがない…。
「やっと捕まえた。俺の運命」
「は?」
その男の発言に対して、恐怖も忘れて疑問符が出てしまった。訳が分からない。
「そうか、まだ名前も言っていなかったか。俺の名はオニキス。これから末永くよろしくな、俺の運命。」
そのまま彼は私の胸元が空いたデザインの服の丁度心臓辺り(胸に何気なく手を置かれている)に顔を近づけ、ふんふんと私の匂いを嗅いでいる。…正直どんなに顔が綺麗でも、ドン引きだ。
「……………………………はい?」
「そうか、はい、か。それじゃあ、早速俺と伴侶の契りを――」
そう言って、その男は私に口付けようと顔を近づけてくる。私は内心焦った。かなり焦った。
「!?!?ちょ、ちょっと待ってくださいっ!!」
「なんだ?どうかしたか?」
「どうかしたどころじゃありません!何で貴方は、知り合い…知り合いでもおかしいけどいきなり出てきてキスしようとしてくるんですか!!?」
「??俺の運命だから?」
あ、駄目だこの人。直感的にそう感じたその瞬間私は彼を物理的に制裁していた。
バコッ鈍い音があたりに響く。そのまま彼…オニキスとやらは気絶した。そのまま道具として持ってきていた紐でそいつの体をその辺の木に縛る。
数分すると流石に目が覚めた様だ。
「な、ここは…?あいつは、どこに…?」
若干混乱しているようなので、声を掛ける。
「目が覚めましたか。この、変態」
「!?変態…だと。どうしてそんな酷いことを言うんだ!俺の運命!!…もしや、俺は紐で体も縛られているしそういうプレ「そんなわけがないでしょう!?」
この変態は、起きて早々とんでもないことを言い始めたので思わず遮ってツッコむ。
私もさすがに状況が呑み込めなさ過ぎて、混乱していたので、あまり期待できない彼に分からない事を片っ端から聞いて言った。
すると、驚くべきことが判明する。この変態は、魔界から来た悪魔という魔族で、先程用事があって魔界から人間界に出てきた所私の魔力を感じた時、運命的なものを感じたそうだ。
…まさかの人外!!?いや、人間でもこの変態行為はどうかと思うけど…。大体事情も分かり敵意もない事が分かったので、私はそのままその変態をリリースしてやることにした。さようなら、変態…正直、同じ空気すら吸っていたくもないから、どっかいってね。
しかし、その変態は何処へも去らない。こいつが帰らないなら私が帰ってやる…ということで、そのまま街までの道を歩き出す。…のだが、何故かその変態も私についてくる。仕方がないので、私は振り返り、
「なんでついてくるんですか?」
そう聞いた。すると、その変態はその美形をだらしなく破顔して、
「??俺たちの愛の巣に案内してくれようとしてくれているんじゃないのか?」
と、言い切る。
(キッモ!!)
口には出さなかったが、心は素直にそう思ってしまった。
「そんなわけないじゃないですか!!もうこれ以上ついてこないでください!」
「嫌だ!!ついてく!!!」
はっきりと拒否しても、即答してついてくる変態。しかし、私は、そこで早々に面倒くさくなってしまった。…私の悪い癖だ。
そして、そのまま街に再び歩き始める。
(…どうせ、街には結界で入れないだろうし)
しかし、私の予想は、簡単に裏切られることになる。
街まで後数百メートルの所で変態の様子が変わった。…別に形が変わったとかそういうのではない。変態が変態したなどという寒いダジャレがうかんでしまったが。
急に「…結界か」と呟いて、先ほどまでと纏っている魔力の質が変わったのだ。
そして、そのまま、街の結界を超えて、街に入ってくる。
(…嘘、なんで……?)
私は、その変態が街で平然と歩いている姿に呆然としてしまった。……やばいものに憑かれてしまったかもしれない。そう私は後悔した瞬間に私は行動した。一気に魔力を練りこみ、私は地面に氷の鏡を発生させ、呪文を唱える。
「リーブ」
その瞬間氷が私の全身を包み、次の瞬間には、私の家についていた。…いつもの私の最低限の生活用品しか置いていない我ながら殺風景な部屋だ。
「……疲れた」
ここで、ようやく落ち着ける。この魔法はかなりの魔力を使うのだ。しかも、あの変態をあそこに置いてきたので、私は数日…多くて数週間ここから出ない方が良い……ギルドの依頼の報告は、其の後でいい。それ位しないときっと、あのやばい変態魔族は諦めないだろう。そう判断し、私はそのままベッドで深い眠りに落ちた。
***
私はふと、肌寒い感じと甘い疼き、そして少しの息苦しさから目が覚める。そして、目が覚めた瞬間、驚愕する。
なんと、あの変態が至近距離にいるのだ。しかも、その変態はあろうことか自分の服を脱ぎ捨てて、上半身裸で私を押し倒している状態だ。
「貴方、どうして………な!!!!??」
今、声を上げながら、変態男の体を押そうとした瞬間に気づいた。…私も裸だ……しかも、全裸。それだけではない。この変態あろうことか、何故かもう既にビチャビチャになっている私のアソコ(実は、私はこの歳まで律儀にも処女を守り続けていた。…相手がいなかったわけでは…ない。……はず)に指を挿れている。
「俺の運命は中々にお転婆だな。…俺からいきなり逃げ出すなんて」
彼は見惚れる程妖艶な笑顔で呟いた。そして続ける。
「そんなお転婆には、お仕置き…が必要だな」
そこから、私の地獄の時間が始まる。
彼は、いきなり、私に深いキスをし始めると同時に、アソコに挿れている指を緩く動かしながら、私を抑えるついでに空いたほうの手で、むき出しになっていた胸を柔らかくもみ始める。
「…んん、……は、あぁ」
「やっぱり、反応があったほうがいいな」
(…この変態なんかとんでもないこと言ってる気がするけど、やばい。なんか、キスが、触られている全てが異様に気持ちイイ……しかも、これファーストキスなのに、流されかけてる!!!)
「ちょ、まってっ!!ストップ!!!」
「?どうした?気持ちよくなってきたんじゃないのか?」
「な!?(何故、バレているー!)そうじゃなくて!なんで、こんなことになってるの!!?」
「だから、お仕置きと言っただろう」
「私は、貴方にお仕置きされるような立場になった覚えはありません」
「あぁ、それか。お前が寝ている間に俺のコアの一部を飲ませたんだ。もう、お前と俺はひとつだ」
「はぁ!!?なにを勝手にっ!」
「お前を放したくないんだ。……さっきから拒否しようとしているお前にはわるいが、このまま俺のものになってもらう」
私はそこでブチギれた。
私はその男にそのまま――アソコにはまだ指がはいっているっ!!――頭突きをお見舞いし、指を強制的にアソコから抜かせた後(その時に若干反応してしまいそうになったのは秘密だ)私は、恥じらいもクソもなくゲロった。そう、全てを。
ついでに、男はよっぽど痛かったのか、プルプルして床に倒れている。
そして、殆ど消化されている夜ご飯――小籠包美味しかったな――以外に真っ黒の異物を見つけた。
(これかああああああぁぁぁぁぁぁ!!!)
そして、そのままそれを男の口にぶち込む。出さないように息もできない位に口を押えてやりながら。
ゴクリッ
それを飲み込んだのを確認して、私は溜息を吐き、そのまま地味に咽ている上半身裸のままの男を家の外に放り出した。
***
「……………」
「どうした?」
「…………………なんでまたここにいるわけ?」
「そりゃ、愛ゆえに?」
そう、次の朝私は任務の報告に行ったのだ。そして、家の外に既にあの変態がいないことに安心して、ルンルン気分で、ギルドへの報告を済ませ帰ってきた。
しかし、戻ったらあの変態が戻ってきていたのだ。もう一度言おう。あの変態が戻ってきていやがったのだ。
そして、私にいつもの癖が出る。
「……はぁ、もう面倒くさいからなんでもいいや…」
「おぉ、ついに俺を受け入れてくれたか!……そういえばまだ名前を聞いていなかったな。…俺の運命…お前の名は?」
「……シア」
「よろしくな!!シア。俺のことは親しみを込めてオニキスと呼んでくれ」
こうして、私と変態改めオニキスの共同生活が始まるのだった。
其の後も相変わらず、このオニキスにつけ回され、貞操の危機に晒され~のしたり、はたまたこいつのライバルだかなんだかが現れて一悶着あったりするのだが、それはまた別の話。
テキトーな人物解説:
主人公:シア(本名:ユーリシア)(18)
白銀髪に緑の瞳の一見冷たい印象の少女。だが、中身はかなりのツッコミ属性。
Eカップの隠れ巨乳。冷静な見た目に似合わず実は、超ドジ。
可愛いもの好き。(顔が怖いので子供とかには怖がられて、実は陰で泣いている)
ただし、モフモフしたものには好かれる。
基本、目が死んでいる。
今は、ギルドで依頼を受ける日々。ランクはS。氷系の魔術が特に得意で、弓と矢を生成して、戦う。小時間だが、トキを凍らせて、時間を止めることも可能。ギルドでは、“氷姫”と呼ばれている。
オニキス(悪魔)(200くらい)
若干寝癖がついたような黒髪に金瞳。まつ毛が長い。言わずもがな超美形。一人称「俺」。
かなりのストーカー基質。
セリフ:
「お前の魔力を初めて感じた時、運命を感じたんだよ。お前……シアに」
朝一番の挨拶は、「シア、愛している。俺と伴侶の契りを交わしてくれ」
シアにはかなり甘いが他人にはかなり厳しい。(おまだれ状態)
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