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6.
しおりを挟む少し出力を高めに出していた魔法2つが合わさり、周囲が軽い蒸気で包まれる。それと同時に、床がびちゃびちゃになった……。
「成功、した?」
「……お前、やっぱすげーわ。流石、あの家の出なだけあるな」
「あの家?」
「ん?ああ、そうか。なんでもない。気にするな」
クレイヴ先生が何かを口走りかけたが、そんなことは気にならなかった。
それよりも私の中にあったのは、何か探していたものが見つかったような晴れやかな気持ちと異常なまでの高揚感。一つの魔法では、ただの一つの物質しか生み出せない。しかしそれを合わせた瞬間、全く別の不思議な現象が引き起こせる。それはきっと人智を超えたものもーー。
魔法単体ではなんとも思わなかったのに、それを掛け合わせるというより高度になった瞬間、変化した。私の心にまで魔法がかかったようだと、らしくないことを考えた。
正直、魔法の融合が成功した瞬間、楽しかったのだ。
もう一度、今度は同時に魔法を発動する。一瞬にして更に多くの量の水で床が満たされた。
「見つかったか?楽しいこと」
「はい。私、もっといろんな魔法を試したいです」
「……さっきまでとは別人だな」
予感がする。きっと私はこの『複合魔法』に出会うために生まれてきたのだろう。
これで母に良い報告ができる。きっと彼女であれば、私以上に、まるで自分のことのように喜んでくれるだろう。この学院に入れるくらいの魔力レベル、そして素質を併せ持って生まれられたことにすら感謝の感情が湧き上がってくる。
そして私はあの死にかけた切っ掛け、そしてこのクライヴ先生と『複合魔法』に出会わせる切っ掛けを作ってくれたーー怒りの対象であったはずのオーランドにすら今は感謝していた。
だからこそ、彼の望み通り私はこの『複合魔法』にこれから時間を捧げよう。そう決意した。
「成功、した?」
「……お前、やっぱすげーわ。流石、あの家の出なだけあるな」
「あの家?」
「ん?ああ、そうか。なんでもない。気にするな」
クレイヴ先生が何かを口走りかけたが、そんなことは気にならなかった。
それよりも私の中にあったのは、何か探していたものが見つかったような晴れやかな気持ちと異常なまでの高揚感。一つの魔法では、ただの一つの物質しか生み出せない。しかしそれを合わせた瞬間、全く別の不思議な現象が引き起こせる。それはきっと人智を超えたものもーー。
魔法単体ではなんとも思わなかったのに、それを掛け合わせるというより高度になった瞬間、変化した。私の心にまで魔法がかかったようだと、らしくないことを考えた。
正直、魔法の融合が成功した瞬間、楽しかったのだ。
もう一度、今度は同時に魔法を発動する。一瞬にして更に多くの量の水で床が満たされた。
「見つかったか?楽しいこと」
「はい。私、もっといろんな魔法を試したいです」
「……さっきまでとは別人だな」
予感がする。きっと私はこの『複合魔法』に出会うために生まれてきたのだろう。
これで母に良い報告ができる。きっと彼女であれば、私以上に、まるで自分のことのように喜んでくれるだろう。この学院に入れるくらいの魔力レベル、そして素質を併せ持って生まれられたことにすら感謝の感情が湧き上がってくる。
そして私はあの死にかけた切っ掛け、そしてこのクライヴ先生と『複合魔法』に出会わせる切っ掛けを作ってくれたーー怒りの対象であったはずのオーランドにすら今は感謝していた。
だからこそ、彼の望み通り私はこの『複合魔法』にこれから時間を捧げよう。そう決意した。
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