26 / 31
24.精神世界①
しおりを挟む
魔力探知をしながら、真っ暗な闇の中をクレアの魔力がより濃い方向へと二人、歩いていく。
特に交わす言葉がなかったこともあり、会話なくただただ歩みを進めていると、少しだけ明るい場所を見つける。どこまで進んでも変わらないかと思われたこの場所、そこにやっと現れた変化に歩を進めるスピードが自然と上がっていく。
「っ眩し――」
そうしてそこに辿り着き、突然眩い光に覆われたかと思うと、エストとクリストファーはいつの間にか四季折々の花が咲き誇る庭園に立っていた。植えられている花は季節の統一性がなく、大きさもエスト達の膝よりも下のものから、数メートルあるものまでさまざまだ。
この規模からしてどこかの貴族の屋敷のものだろう。この中で一番目を惹くものがあった。丁度正面にあるラクサの木――既にこの国から全て刈り取られたはずのものだった。
それに目を奪われていると、クリストファーが呆然としたように呟く。
「これは……うちの、公爵家の庭園です」
「まさか、転移させられたのか?しかしそんな魔法を使われたような気配は――」
「いえ、ラクサの木がまだある様子からして、これは『今』ではない」
他人の精神になど入った事のないエストは戸惑うが、クリストファーは冷静だった。
何が起こっているのかは分からないが、取り敢えずは進んでみない事には埒が明かないという考えに至った二人は、また魔力探知を使いながら、クレアの魔力を辿っていく。すると、ラクサの木から少し離れた所、木や他の花たちが咲いているのを見渡せる東屋に人がいるのを見つけた。
公爵家とは言っても、今の状況で必ずしもここが安全とは限らない。それはどちらも思った事だったようで、二人は会話一つしていないのに、まるで示し合わせたかのように気配を消して、息を潜める。その人物達に見つからないように距離を縮めると、二人の会話が聞こえて来た。
「姉様!今日のお菓子はカリンに手伝ってもらって私が作ったものなの」
「あら、この可愛いお菓子を貴女が?」
「うん。姉様に喜んでもらいたくて、姉様が好きなあのラクサの花をモチーフにして作ったんだ」
「ありがとう、クレア。とても嬉しいわ」
まだ少女と呼ばれるくらいの年齢の女性が二人、微笑み合っている。少し幼さが残る方の女の子は姉であろう少女を慕い、姉であろう少女の方はその女の子を微笑ましく見守っている。
二人共、幸せそうだった。エストはその二人を見て、自分とかつての兄を無意識の内に重ね合わせていた。
「ロザ、リア……?」
「ロザリア――ということはあの少女達はクレアとその姉・ロザリアということか?……まさか、過去に飛んだというわけではないよな?」
「それは違うと思います。咲いている花の種類の乱雑さからしても、ここは現実ではない、未だクレアの精神の中。そしてこれはきっと過去の――クレアの心の中の風景でしょう」
髪の色が今とは全く違ったこともあり、エストはすぐに気が付くことが出来なかったが、クリストファーは確信していた。これは過去の風景である。
だってずっと……クレアが姉であるロザリアを失ってからも、クリストファーはロザリアの分までクレアを見守ってきたのだ。そんなことを話している内に目の前の少女たちの姿はいつの間にか掻き消え、場面が変化する。
「あ――くれ、あ、ああああ、があ、ああぁぁあああぁ」
「ねえ、さま……?」
今度はベッドの上に横たわり、苦痛の叫びを上げるロザリアとそれを愕然とした表情で見つめる幼いクレアが目の前に現れた。
クリストファーが思わず、といった様子で苦しむロザリアに駆け寄る。しかしロザリアの身体に触れようと手を伸ばしたところで、ロザリアの身体は透けるようにその部分だけ霧のように霞んで、掴めない。
どうやら此方から向こうに干渉することは出来ないようだ。それに、向こうからはこちらの姿が見えていないらしい。
幼いクレアはあまりの悲惨な光景に恐ろしさを覚えていたのだろう。足はがくがくと震え、進もうとしても一歩も進めない。呆然と立ち尽くすのみだった。
そしてロザリアの身体の皮を内側から破るように花が開花する。あの忌まわしくも美しい花が――。
「姉様!!ロザリア姉様!!!」
「ロザリア!!ロザリア!!!!なんで――」
クリストファーが叫ぶ声が幼いクレアの声と重なる。自身の妹の『死』は情報として知っていても、見ることはなかったのだろう。クリストファーは普段の落ち着いた温厚な彼からは想像も出来ない程に取り乱してしまっている。
干渉できないと分かっていながらも、ロザリアから花を切り離そうと魔法を使おうと魔法陣を形成するクリストファーをエストが止める。
ここに来る時には彼の魔法を媒介としている。彼の魔力が底を尽きたら、これ以上この空間に留まれなくなってしまうのだ。だから彼にここで無駄な魔力を消費させるわけにはいかなかった。
「落ち着け、クリストファー!これは過去の、クレアの心の中の風景なのだろう!?これは既に終わった事だ。気持ちは分かるが、大切なのは今のクレアを救うことだろう」
「っ――――!!」
クリストファーの魔法陣が消え、目の前の風景が段々と薄く透明になっていく。未だ姉を呼び続ける幼いクレアの表情が絶望に歪むのが見えた。
流れるようにまた場面は切り替わっていく。
クレアがずっと亡くなってしまった姉を探しては、もうどこにもいない事を突き付けられ、絶望している姿。貴族にずっと陰口を叩かれ続け、心が徐々に疲弊していく姿。両親や兄に慰められても、心の中ではずっと自分を責め続けて辛い思いをしている姿。
そして見慣れた風景が映し出される。
「俺はお前の様な馬鹿な女と結婚などするつもりなどない。馬鹿と天才とでは釣り合わないからな。だからお前と婚約するのは表面上だけだ。俺が22になり、王位を継承するその時にお前とは婚約を解消させてもらう。分かったな?」
「……最低だな、俺」
そう冷たく言い放つのはかつての自分。彼女の事を何も知らなかった、知ろうともしなかった愚かな自分の姿だった。クリストファーはクレアがこの言葉を浴びせられたことを知っているのか知らないのか、なんとも言えない表情でその場面を見ている。
過去の自分を殴るかのように、過去のエスト自身がいるその部分を殴りつける。しかしそれはまるでホログラムのように通り抜けるだけで何にもならなかった。止めることが出来ない。それが余計に怒りを煽る。
「クソッ!!!そんなことをクレアに言うな!!」
「後悔、しているのですね」
「ああ……クレアを知れば知るほどに、この時の俺を殺したくなってくるくらいに後悔している」
「……きっと助けられますよ。クレアは絶対に戻ってきます」
「すまない、取り乱した。そしてありがとう、クリストファー」
先程までとは立場が逆転していた。今度はエストが激昂し、それをクリストファーが諫める。きっと二人共一人ではこのクレアの精神世界では耐えられなかっただろう。
二人がそこまで言葉を交わしたところで、また風景が変化していった。
特に交わす言葉がなかったこともあり、会話なくただただ歩みを進めていると、少しだけ明るい場所を見つける。どこまで進んでも変わらないかと思われたこの場所、そこにやっと現れた変化に歩を進めるスピードが自然と上がっていく。
「っ眩し――」
そうしてそこに辿り着き、突然眩い光に覆われたかと思うと、エストとクリストファーはいつの間にか四季折々の花が咲き誇る庭園に立っていた。植えられている花は季節の統一性がなく、大きさもエスト達の膝よりも下のものから、数メートルあるものまでさまざまだ。
この規模からしてどこかの貴族の屋敷のものだろう。この中で一番目を惹くものがあった。丁度正面にあるラクサの木――既にこの国から全て刈り取られたはずのものだった。
それに目を奪われていると、クリストファーが呆然としたように呟く。
「これは……うちの、公爵家の庭園です」
「まさか、転移させられたのか?しかしそんな魔法を使われたような気配は――」
「いえ、ラクサの木がまだある様子からして、これは『今』ではない」
他人の精神になど入った事のないエストは戸惑うが、クリストファーは冷静だった。
何が起こっているのかは分からないが、取り敢えずは進んでみない事には埒が明かないという考えに至った二人は、また魔力探知を使いながら、クレアの魔力を辿っていく。すると、ラクサの木から少し離れた所、木や他の花たちが咲いているのを見渡せる東屋に人がいるのを見つけた。
公爵家とは言っても、今の状況で必ずしもここが安全とは限らない。それはどちらも思った事だったようで、二人は会話一つしていないのに、まるで示し合わせたかのように気配を消して、息を潜める。その人物達に見つからないように距離を縮めると、二人の会話が聞こえて来た。
「姉様!今日のお菓子はカリンに手伝ってもらって私が作ったものなの」
「あら、この可愛いお菓子を貴女が?」
「うん。姉様に喜んでもらいたくて、姉様が好きなあのラクサの花をモチーフにして作ったんだ」
「ありがとう、クレア。とても嬉しいわ」
まだ少女と呼ばれるくらいの年齢の女性が二人、微笑み合っている。少し幼さが残る方の女の子は姉であろう少女を慕い、姉であろう少女の方はその女の子を微笑ましく見守っている。
二人共、幸せそうだった。エストはその二人を見て、自分とかつての兄を無意識の内に重ね合わせていた。
「ロザ、リア……?」
「ロザリア――ということはあの少女達はクレアとその姉・ロザリアということか?……まさか、過去に飛んだというわけではないよな?」
「それは違うと思います。咲いている花の種類の乱雑さからしても、ここは現実ではない、未だクレアの精神の中。そしてこれはきっと過去の――クレアの心の中の風景でしょう」
髪の色が今とは全く違ったこともあり、エストはすぐに気が付くことが出来なかったが、クリストファーは確信していた。これは過去の風景である。
だってずっと……クレアが姉であるロザリアを失ってからも、クリストファーはロザリアの分までクレアを見守ってきたのだ。そんなことを話している内に目の前の少女たちの姿はいつの間にか掻き消え、場面が変化する。
「あ――くれ、あ、ああああ、があ、ああぁぁあああぁ」
「ねえ、さま……?」
今度はベッドの上に横たわり、苦痛の叫びを上げるロザリアとそれを愕然とした表情で見つめる幼いクレアが目の前に現れた。
クリストファーが思わず、といった様子で苦しむロザリアに駆け寄る。しかしロザリアの身体に触れようと手を伸ばしたところで、ロザリアの身体は透けるようにその部分だけ霧のように霞んで、掴めない。
どうやら此方から向こうに干渉することは出来ないようだ。それに、向こうからはこちらの姿が見えていないらしい。
幼いクレアはあまりの悲惨な光景に恐ろしさを覚えていたのだろう。足はがくがくと震え、進もうとしても一歩も進めない。呆然と立ち尽くすのみだった。
そしてロザリアの身体の皮を内側から破るように花が開花する。あの忌まわしくも美しい花が――。
「姉様!!ロザリア姉様!!!」
「ロザリア!!ロザリア!!!!なんで――」
クリストファーが叫ぶ声が幼いクレアの声と重なる。自身の妹の『死』は情報として知っていても、見ることはなかったのだろう。クリストファーは普段の落ち着いた温厚な彼からは想像も出来ない程に取り乱してしまっている。
干渉できないと分かっていながらも、ロザリアから花を切り離そうと魔法を使おうと魔法陣を形成するクリストファーをエストが止める。
ここに来る時には彼の魔法を媒介としている。彼の魔力が底を尽きたら、これ以上この空間に留まれなくなってしまうのだ。だから彼にここで無駄な魔力を消費させるわけにはいかなかった。
「落ち着け、クリストファー!これは過去の、クレアの心の中の風景なのだろう!?これは既に終わった事だ。気持ちは分かるが、大切なのは今のクレアを救うことだろう」
「っ――――!!」
クリストファーの魔法陣が消え、目の前の風景が段々と薄く透明になっていく。未だ姉を呼び続ける幼いクレアの表情が絶望に歪むのが見えた。
流れるようにまた場面は切り替わっていく。
クレアがずっと亡くなってしまった姉を探しては、もうどこにもいない事を突き付けられ、絶望している姿。貴族にずっと陰口を叩かれ続け、心が徐々に疲弊していく姿。両親や兄に慰められても、心の中ではずっと自分を責め続けて辛い思いをしている姿。
そして見慣れた風景が映し出される。
「俺はお前の様な馬鹿な女と結婚などするつもりなどない。馬鹿と天才とでは釣り合わないからな。だからお前と婚約するのは表面上だけだ。俺が22になり、王位を継承するその時にお前とは婚約を解消させてもらう。分かったな?」
「……最低だな、俺」
そう冷たく言い放つのはかつての自分。彼女の事を何も知らなかった、知ろうともしなかった愚かな自分の姿だった。クリストファーはクレアがこの言葉を浴びせられたことを知っているのか知らないのか、なんとも言えない表情でその場面を見ている。
過去の自分を殴るかのように、過去のエスト自身がいるその部分を殴りつける。しかしそれはまるでホログラムのように通り抜けるだけで何にもならなかった。止めることが出来ない。それが余計に怒りを煽る。
「クソッ!!!そんなことをクレアに言うな!!」
「後悔、しているのですね」
「ああ……クレアを知れば知るほどに、この時の俺を殺したくなってくるくらいに後悔している」
「……きっと助けられますよ。クレアは絶対に戻ってきます」
「すまない、取り乱した。そしてありがとう、クリストファー」
先程までとは立場が逆転していた。今度はエストが激昂し、それをクリストファーが諫める。きっと二人共一人ではこのクレアの精神世界では耐えられなかっただろう。
二人がそこまで言葉を交わしたところで、また風景が変化していった。
442
お気に入りに追加
5,975
あなたにおすすめの小説

【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。

殿下が私を愛していないことは知っていますから。
木山楽斗
恋愛
エリーフェ→エリーファ・アーカンス公爵令嬢は、王国の第一王子であるナーゼル・フォルヴァインに妻として迎え入れられた。
しかし、結婚してからというもの彼女は王城の一室に軟禁されていた。
夫であるナーゼル殿下は、私のことを愛していない。
危険な存在である竜を宿した私のことを彼は軟禁しており、会いに来ることもなかった。
「……いつも会いに来られなくてすまないな」
そのためそんな彼が初めて部屋を訪ねてきた時の発言に耳を疑うことになった。
彼はまるで私に会いに来るつもりがあったようなことを言ってきたからだ。
「いいえ、殿下が私を愛していないことは知っていますから」
そんなナーゼル様に対して私は思わず嫌味のような言葉を返してしまった。
すると彼は、何故か悲しそうな表情をしてくる。
その反応によって、私は益々訳がわからなくなっていた。彼は確かに私を軟禁して会いに来なかった。それなのにどうしてそんな反応をするのだろうか。

そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。
木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。
彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。
スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。
婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。
父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。
※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。

婚約者の初恋を応援するために婚約解消を受け入れました
よーこ
恋愛
侯爵令嬢のアレクシアは婚約者の王太子から婚約の解消を頼まれてしまう。
理由は初恋の相手である男爵令嬢と添い遂げたいから。
それを聞いたアレクシアは、王太子の恋を応援することに。
さて、王太子の初恋は実るのかどうなのか。

君に愛は囁けない
しーしび
恋愛
姉が亡くなり、かつて姉の婚約者だったジルベールと婚約したセシル。
彼は社交界で引く手数多の美しい青年で、令嬢たちはこぞって彼に夢中。
愛らしいと噂の公爵令嬢だって彼への好意を隠そうとはしない。
けれど、彼はセシルに愛を囁く事はない。
セシルも彼に愛を囁けない。
だから、セシルは決めた。
*****
※ゆるゆる設定
※誤字脱字を何故か見つけられない病なので、ご容赦ください。努力はします。
※日本語の勘違いもよくあります。方言もよく分かっていない田舎っぺです。

愚か者は幸せを捨てた
矢野りと
恋愛
相思相愛で結ばれた二人がある日、分かれることになった。夫を愛しているサラは別れを拒んだが、夫であるマキタは非情な手段でサラとの婚姻関係そのものをなかったことにしてしまった。
だがそれは男の本意ではなかった…。
魅了の呪縛から解き放たれた男が我に返った時、そこに幸せはなかった。
最愛の人を失った男が必死に幸せを取り戻そうとするが…。

幼馴染だけを優先するなら、婚約者はもう不要なのですね
新野乃花(大舟)
恋愛
アリシアと婚約関係を結んでいたグレイ男爵は、自身の幼馴染であるミラの事を常に優先していた。ある日、グレイは感情のままにアリシアにこう言ってしまう。「出て行ってくれないか」と。アリシアはそのままグレイの前から姿を消し、婚約関係は破棄されることとなってしまった。グレイとミラはその事を大いに喜んでいたが、アリシアがいなくなったことによる弊害を、二人は後に思い知ることとなり…。

愛せないですか。それなら別れましょう
黒木 楓
恋愛
「俺はお前を愛せないが、王妃にはしてやろう」
婚約者バラド王子の発言に、 侯爵令嬢フロンは唖然としてしまう。
バラド王子は、フロンよりも平民のラミカを愛している。
そしてフロンはこれから王妃となり、側妃となるラミカに従わなければならない。
王子の命令を聞き、フロンは我慢の限界がきた。
「愛せないですか。それなら別れましょう」
この時バラド王子は、ラミカの本性を知らなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる