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20.正体
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「ルネ……ルネ?聞いてるのか?」
「っごめんなさい。ぼけっとしていました」
今日二人がいるのはエストの部屋ではない。エストのリハビリも兼ねて、彼の希望で王宮の中心にある庭園に来ていた。遠くには護衛であるセーレを筆頭とした騎士達が控えており、少し視線が痛いが、ここ数日でこの視線にも既に慣れたせいか特に気にならなかった。
ここ暫く、王宮内の空気自体がピリピリとしている。既に貴族ではないクレア――即ちルーネストには何が原因かまでは分からなかったが、雰囲気的に何かを警戒しているのだなという事は察せられた。
けれどきっとルーネストには関係のないことだろう。セーレ達護衛はこの国でも指折りの兵だ。よほどの事が起きない限りはエストを守りきることが出来る。
それにエストの体調は既にかなり回復してきている。今現在は大量の魔力を消費して体調を崩さないように、と出力できる魔力を制御するための道具を付けられてはいるが、もうすぐそれも取り外すことが出来るだろう。別れの日も近い。
しかしそんな中、ルーネストはエストとの会話にも上の空だった。昨日、ケントとあの会話をしてから、ルーネストの頭の中ではずっと自分の行動に対する疑問が飛び交っていたのだ。
本当にあの日、あの薬を飲んだ自分の行動は合っていたのか。
もしかしたら違う方法――別の形でエストの隣に立てるような方法があったのではないか。だって今、ルーネストはクレアとは”違う”方法でエストと共に居る。
本当に自分はあの方法でしかエストを守ることが出来なかったのか……。あの時の自分は何も知らなさ過ぎた。浅慮だったのではないか。
エストと共に過ごせば過ごすほどに自分の行動が間違っていたような気持ちになる。
「ここは綺麗な場所だろう?」
「ええ。どの花も瑞々しく、美しく咲いていて、良く手入れされているのですね」
「俺のお気に入りの場所なんだ」
初耳だった。クレアは季節の花が咲き誇る美しいこの場所を好んで、よく訪れていたが、エストもこの場所を好きだというのは初めて知った。
「いや、正確には俺の大切な人が好きだった場所だから、俺もこの場所が好きになったという方が正しいな」
「大切な人、ですか……?」
「ああ。ルネ、お前を見ていると、俺はその大切な人の事を思い出すんだ」
そう、エストは庭園の中心にあるかなり前に刈り取られたラクサの切り株を見つめながら、語り始めた。
ずっと後悔している事があるのだ、と。
「その大切な人……いや、正確には大切な人だった。その彼女に出会った当初、俺は酷い態度を取った。兄の立場を継いで、王太子になってからはずっと俺とそのパートナーになる立場を利用するために近づいてくる女ばかりだったから、婚約者として宛がわれた彼女も同じだろうと思い込んでしまっていたんだ……でも違った」
そこまで言ったところで、エストがルーネストの瞳に視線を移し、合わせる。
「彼女は他の女のように権力を振るうでもなく、高価なものを強請るでもなく、むしろ俺が厭味を吐いてもどことなく悔しそうな顔をするだけで何も言い返してこない。そんな彼女の事が気になって、調べてみたんだ。そしたら俺と同じく彼女も姉を失っていた。それどころか彼女は姉を亡くしてからずっと自分を責め続けて、周りからも迫害を受けていたんだ」
「彼女を見ていると苦しかった。まるで昔の自分を見ているようで……。最初は見ていられないという感情だけだった。でも一緒に過ごせば過ごすほどに彼女の聡明さ、元来の優しさや心根の美しさに触れている内に段々と惹かれている自分がいることに気が付いた」
『段々と惹かれていた』その言葉に心臓が止まりそうになった。しかしエストはそんな様子には気が付かずに言葉を重ねていく。
「間抜けだろう?最初に拒絶したのは俺なのに、共に過ごす内にいつの間にか彼女を好きになっていたなんて。しかも更に馬鹿なことに、俺は彼女が何も言わずに隣に居てくれることに対して調子に乗っていた。自分の気持ちを、言葉を伝えようとしなかったんだ。そうしているうちに彼女は帰らぬ人となってしまった」
それが俺の後悔だ。そう、エストが言葉を締める。
ここまで聞いてやっとわかった。自分たちはずっとすれ違っていたことに――。
しかし長年猜疑に塗れた心がそれだけではまだ足りないとでも言うかのように、確かめる様な言葉を口にさせる。
「エストさんは……その人を愛していたのですか?」
「ああ、勿論。ずっと伝えられなかったが、俺は彼女を――クレアを愛している」
「そう、ですか」
「聞いてくれてありがとな、ルネ。それと俺はお前と会った直後、お前とクレアを重ねてしまっていた。知らない人間と勝手に重ねてしまってすまなかった。これをお前に聞いてもらえて少しだけスッキリしたよ。でも勘違いするな。今はお前のことは彼女とは全くの別人として見てる。だから……その、良かったらこれからも友人として接してくれると嬉し――」
「あのっ!」
どこかまだ辛そうではあるが、少しだけ明るくなった微笑みでエストがルーネストに対して言葉を掛けようとしたのに耐え切れなくなり、クレアが言葉を発しようとした瞬間の事だ。
正直、何を言おうとしたのかはクレア自身も分からない。しかしそれに遮られたのは事実だった。
護衛をしている騎士達の方から、こちらへ向かって大きく張った声が上がる。
「エスト様!逃げてください!!」
そちらに視線を向けると、倒れた数人の護衛と頭から真っ黒なマントを着た黒ずくめの人物達が向き合っており、護衛達から逃れた黒ずくめの敵であろう人間のうちの5人が此方に向かってきている。
クレアは一瞬で何が起こったのかを理解した。
きっとエストが全快する直前、魔力が制御され、倒れていた時よりも護衛が少なくなったこの時期を奴らは狙っていたのだ。流石にこういうことになれているのだろう、エストが咄嗟に敵に対して氷の攻撃魔法を仕掛けたのを見て、ルーネストもサポートするように同系統の魔法を生成して放つ。強化された氷雪の塊が敵の集団を穿った。
しかしそれでも3人しか仕留められなかった。魔法の感覚が上手く掴めないのだろう。施術後の影響でここ暫く魔法を極力使わないようにしていたことが仇となってしまった。
取り逃した2人の動きを目で追う。片方がルーネストの動きを妨げるように周囲に炎の魔法陣を形成し、ルーネストを取り囲んでいる植物に火を放ったかと思うと、エストの前に立ったもう一人の男が急に――自害した。
それに驚いていると、先程までルーネストを足止めしていた男が黒い琴のようなものを持ち、何かを唱えてポロンと音を奏でた。そして琴にそのまま身体が吸い込まれていく。
【永遠の音色】
名称が咄嗟に脳裏に過った。見覚えのある魔道具だった。エストの部屋で見つけたあの書物『クロシュテイン魔道具全集』に書かれていたものの一つだ。
効果は――供物の分だけ術の対象の魂を穢し、『呪い』を付与する。
そこまで思い出して、エストがいるであろう方向に視線を向ける。
既にエストの足元の地面には漆黒の魔法陣が段々と形成されて始めていた。そこからあふれ出る霧によって構成される黒い手に見えるものに身体を包まれるように取り押さえられ、エストは身動きの取れない状況に陥っている。
まだ魔法陣が完成しきっていないというのに、遠目からでも分かるほどに禍々しい魔力が場に満ち切っていた。人間二人分の魂だ。しかも魔道具で効果が乗算されている。エストの命を奪うのには十分だろう。
現にエスト自身も抜け出そうと魔法陣を形成し、相殺しようとはしているが、全く効果が出ていない。すぐにエストの元に近寄り、魔法で解析・解除を試みるが、外側からでは上手く出来そうになかった。
「エスト!!」
名前を叫ぶが、反応はない。もう魔力を放つような体力も残っていないのだろう。彼の生命力が魔法陣に物凄い勢いで吸い取られているのが分かる。
『後悔だけはしないようにね』
昨日、ケントに言われたあの言葉を思い出した。
きっとここで姉・ロザリアの時のように何もせず、呆然と見つめていただけでは絶対に自分は後悔する。そう、クレアは確信する。
それに幸いなことに今のクレアは様々な魔法を学び、あの時の様な無知で無力な存在ではないのだ。助けるプランがすぐに頭に浮かんだことで、改めて実感してしまった。自分が今まで積み重ねてきたことは無意味ではなかったのだ、と。だってこうやって彼を――大切な人の命を救うことが出来るのだ。
ここでエストを救うことが出来れば、もう戴冠式直前だ。これは相手にとっても最後のタイミング。だからこんな大がかりなことを、わざわざあんな魔道具を使ってまでしてきたのだと推察した。
だからクレアは決意した。あの魔法を使うことを――。例えこの選択によって、このまま自分の身が朽ち果てることになろうとも、きっとあの時のように後悔することはない。
「……愛してる」
身体の中で魔力を練る。もうこれ以外、手段はないのだ。どうせ最後なのだから、あの時直接言えなかった言葉を今度はちゃんと彼の前で自らの口で伝える。
そうしてクレアとエスト、二人の位置は入れ替わった。
「っごめんなさい。ぼけっとしていました」
今日二人がいるのはエストの部屋ではない。エストのリハビリも兼ねて、彼の希望で王宮の中心にある庭園に来ていた。遠くには護衛であるセーレを筆頭とした騎士達が控えており、少し視線が痛いが、ここ数日でこの視線にも既に慣れたせいか特に気にならなかった。
ここ暫く、王宮内の空気自体がピリピリとしている。既に貴族ではないクレア――即ちルーネストには何が原因かまでは分からなかったが、雰囲気的に何かを警戒しているのだなという事は察せられた。
けれどきっとルーネストには関係のないことだろう。セーレ達護衛はこの国でも指折りの兵だ。よほどの事が起きない限りはエストを守りきることが出来る。
それにエストの体調は既にかなり回復してきている。今現在は大量の魔力を消費して体調を崩さないように、と出力できる魔力を制御するための道具を付けられてはいるが、もうすぐそれも取り外すことが出来るだろう。別れの日も近い。
しかしそんな中、ルーネストはエストとの会話にも上の空だった。昨日、ケントとあの会話をしてから、ルーネストの頭の中ではずっと自分の行動に対する疑問が飛び交っていたのだ。
本当にあの日、あの薬を飲んだ自分の行動は合っていたのか。
もしかしたら違う方法――別の形でエストの隣に立てるような方法があったのではないか。だって今、ルーネストはクレアとは”違う”方法でエストと共に居る。
本当に自分はあの方法でしかエストを守ることが出来なかったのか……。あの時の自分は何も知らなさ過ぎた。浅慮だったのではないか。
エストと共に過ごせば過ごすほどに自分の行動が間違っていたような気持ちになる。
「ここは綺麗な場所だろう?」
「ええ。どの花も瑞々しく、美しく咲いていて、良く手入れされているのですね」
「俺のお気に入りの場所なんだ」
初耳だった。クレアは季節の花が咲き誇る美しいこの場所を好んで、よく訪れていたが、エストもこの場所を好きだというのは初めて知った。
「いや、正確には俺の大切な人が好きだった場所だから、俺もこの場所が好きになったという方が正しいな」
「大切な人、ですか……?」
「ああ。ルネ、お前を見ていると、俺はその大切な人の事を思い出すんだ」
そう、エストは庭園の中心にあるかなり前に刈り取られたラクサの切り株を見つめながら、語り始めた。
ずっと後悔している事があるのだ、と。
「その大切な人……いや、正確には大切な人だった。その彼女に出会った当初、俺は酷い態度を取った。兄の立場を継いで、王太子になってからはずっと俺とそのパートナーになる立場を利用するために近づいてくる女ばかりだったから、婚約者として宛がわれた彼女も同じだろうと思い込んでしまっていたんだ……でも違った」
そこまで言ったところで、エストがルーネストの瞳に視線を移し、合わせる。
「彼女は他の女のように権力を振るうでもなく、高価なものを強請るでもなく、むしろ俺が厭味を吐いてもどことなく悔しそうな顔をするだけで何も言い返してこない。そんな彼女の事が気になって、調べてみたんだ。そしたら俺と同じく彼女も姉を失っていた。それどころか彼女は姉を亡くしてからずっと自分を責め続けて、周りからも迫害を受けていたんだ」
「彼女を見ていると苦しかった。まるで昔の自分を見ているようで……。最初は見ていられないという感情だけだった。でも一緒に過ごせば過ごすほどに彼女の聡明さ、元来の優しさや心根の美しさに触れている内に段々と惹かれている自分がいることに気が付いた」
『段々と惹かれていた』その言葉に心臓が止まりそうになった。しかしエストはそんな様子には気が付かずに言葉を重ねていく。
「間抜けだろう?最初に拒絶したのは俺なのに、共に過ごす内にいつの間にか彼女を好きになっていたなんて。しかも更に馬鹿なことに、俺は彼女が何も言わずに隣に居てくれることに対して調子に乗っていた。自分の気持ちを、言葉を伝えようとしなかったんだ。そうしているうちに彼女は帰らぬ人となってしまった」
それが俺の後悔だ。そう、エストが言葉を締める。
ここまで聞いてやっとわかった。自分たちはずっとすれ違っていたことに――。
しかし長年猜疑に塗れた心がそれだけではまだ足りないとでも言うかのように、確かめる様な言葉を口にさせる。
「エストさんは……その人を愛していたのですか?」
「ああ、勿論。ずっと伝えられなかったが、俺は彼女を――クレアを愛している」
「そう、ですか」
「聞いてくれてありがとな、ルネ。それと俺はお前と会った直後、お前とクレアを重ねてしまっていた。知らない人間と勝手に重ねてしまってすまなかった。これをお前に聞いてもらえて少しだけスッキリしたよ。でも勘違いするな。今はお前のことは彼女とは全くの別人として見てる。だから……その、良かったらこれからも友人として接してくれると嬉し――」
「あのっ!」
どこかまだ辛そうではあるが、少しだけ明るくなった微笑みでエストがルーネストに対して言葉を掛けようとしたのに耐え切れなくなり、クレアが言葉を発しようとした瞬間の事だ。
正直、何を言おうとしたのかはクレア自身も分からない。しかしそれに遮られたのは事実だった。
護衛をしている騎士達の方から、こちらへ向かって大きく張った声が上がる。
「エスト様!逃げてください!!」
そちらに視線を向けると、倒れた数人の護衛と頭から真っ黒なマントを着た黒ずくめの人物達が向き合っており、護衛達から逃れた黒ずくめの敵であろう人間のうちの5人が此方に向かってきている。
クレアは一瞬で何が起こったのかを理解した。
きっとエストが全快する直前、魔力が制御され、倒れていた時よりも護衛が少なくなったこの時期を奴らは狙っていたのだ。流石にこういうことになれているのだろう、エストが咄嗟に敵に対して氷の攻撃魔法を仕掛けたのを見て、ルーネストもサポートするように同系統の魔法を生成して放つ。強化された氷雪の塊が敵の集団を穿った。
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それに驚いていると、先程までルーネストを足止めしていた男が黒い琴のようなものを持ち、何かを唱えてポロンと音を奏でた。そして琴にそのまま身体が吸い込まれていく。
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効果は――供物の分だけ術の対象の魂を穢し、『呪い』を付与する。
そこまで思い出して、エストがいるであろう方向に視線を向ける。
既にエストの足元の地面には漆黒の魔法陣が段々と形成されて始めていた。そこからあふれ出る霧によって構成される黒い手に見えるものに身体を包まれるように取り押さえられ、エストは身動きの取れない状況に陥っている。
まだ魔法陣が完成しきっていないというのに、遠目からでも分かるほどに禍々しい魔力が場に満ち切っていた。人間二人分の魂だ。しかも魔道具で効果が乗算されている。エストの命を奪うのには十分だろう。
現にエスト自身も抜け出そうと魔法陣を形成し、相殺しようとはしているが、全く効果が出ていない。すぐにエストの元に近寄り、魔法で解析・解除を試みるが、外側からでは上手く出来そうになかった。
「エスト!!」
名前を叫ぶが、反応はない。もう魔力を放つような体力も残っていないのだろう。彼の生命力が魔法陣に物凄い勢いで吸い取られているのが分かる。
『後悔だけはしないようにね』
昨日、ケントに言われたあの言葉を思い出した。
きっとここで姉・ロザリアの時のように何もせず、呆然と見つめていただけでは絶対に自分は後悔する。そう、クレアは確信する。
それに幸いなことに今のクレアは様々な魔法を学び、あの時の様な無知で無力な存在ではないのだ。助けるプランがすぐに頭に浮かんだことで、改めて実感してしまった。自分が今まで積み重ねてきたことは無意味ではなかったのだ、と。だってこうやって彼を――大切な人の命を救うことが出来るのだ。
ここでエストを救うことが出来れば、もう戴冠式直前だ。これは相手にとっても最後のタイミング。だからこんな大がかりなことを、わざわざあんな魔道具を使ってまでしてきたのだと推察した。
だからクレアは決意した。あの魔法を使うことを――。例えこの選択によって、このまま自分の身が朽ち果てることになろうとも、きっとあの時のように後悔することはない。
「……愛してる」
身体の中で魔力を練る。もうこれ以外、手段はないのだ。どうせ最後なのだから、あの時直接言えなかった言葉を今度はちゃんと彼の前で自らの口で伝える。
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