どうやら貴方の隣は私の場所でなくなってしまったようなので、夜逃げします

皇 翼

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7.

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「お疲れ様、あなた」
「お疲れ様です、エルマンさん。……やっぱり私も明日からは働き――」
「だめだ!お前さんは倒れていたんだ。まだ体調も不安定な可能性がある」
「そうよ。ミアータはゆっくりしていていいの」

エルマンさんや村長、村の男性陣は毎日疲労困憊状態で帰って来る。
力仕事は毎日やらなければ、食糧危機に村全体が陥ってしまう。暫く世話になって見て分かったが、ここは人工的な意味でも、年齢的な意味でも、自給自足的な意味でも、色んな意味で限界集落だった。
でも皆親切で良い人ばかりなので、若い女、しかも外で倒れていたような体調が悪いであろう人間は働くことはないという。
マルグリットさん達含めた女性達も毎日忙しくしている。
彼女らはそれぞれ限られた食材で毎日料理を作り、くたびれた服を限られた素材で直し、身体に鞭を打ちながら井戸から生活に必要な水を運ぶ。

そんな中、1カ月もお世話になっておきながらも何もしないという状況を非常に歯痒く感じていた。

「久々に作ろうかな……」

だからこそ決意出来た。
私の家であるスペランツァ侯爵家は魔道具開発の名門。幼いころから魔法の基礎を叩き込まれ、魔道具の研究を続けてきた。……カイデンに褒めてもらいたくて、必死に努力した。
だが、その努力はもう必要ない。それなら――今力になりたいと私が望んでいるこの村のために使えばいい。
やはり出来ることはするべきだ。私は端材やもう使わないとマルグリットさんに聞いた村中の道具を集めて、それらに必要な魔法陣を組み込んでいく。
今私が作れる最高効率の魔道具。これであれば、例え幼子でも、この村の人達のように魔力が少なくなった高齢の人達でも簡単にこの魔道具を使えるだろう。
お披露目する日を遠く想像しながらも、私は昼間に働けない分ありったけの時間をそこに注ぎ込んだ――。
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