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結局。荷物をまとめたり、街の人達に世話になったお礼を言いに行っていたら、3日経過していた。
しかしイルハルトはこんなにも出発が遅れたというのに、文句の一つも言わずに何かを考えこんでいる様子だった。否、考え込んでいる内容は私には分かっていた。この間言っていた私の戸籍として使う名前の事だろう。
イルハルトはここ暫く色んな名前を呟いては、あれも違う、これも違うと考えこんでいるのである。大体がろくでもない名前なので、正直怖い。
そんな彼に代わって、予め渡された予定表という名の任務が大量に貼られたスクラップブックに従って、王都までの間にある村の一つに到着していた。
「イルハルト!」
「はっ!君でしたか。ん?ここはどこでしょう」
「……貴方が渡してきた本にあった村です。ここで行方不明者の捜索をするのでしょう?」
声をかける前から石に躓きそうなレベルでボケっとしているなとは思ってはいたが、予想以上にイルハルトは夢の中だったようだ。彼が引き受けた任務だろうに、任務をこなすべき人間がこんな状態で大丈夫なのだろうか。少々心配になりながらも周囲を見回す。
村……と言っても人の気配の一つもない不気味な場所だった。数年前に最後の村人が亡くなり、廃村になったという理由で今は誰も住んでいない場所だ。そう、誰もここにはいない。しかしここ最近この近辺で近くの街から通りがかった人間が20名程行方不明になっているのだという。失踪したと考えられる場所からは、血痕や魔物の痕跡といったものが何一つ見つかっておらず、その辺を闊歩していた魔物に襲われたわけではないということが既にわかっている。
今回はその人達の捜索・原因の調査、出来れば原因を解消することという依頼だった。
「さて、僕は村の南側、君は……そういえば正規所属じゃないのでまだ割り振っちゃいけないんでしたね」
「さっさとこの村から出たいので、許可があれば手伝いますが?」
「……助かります」
イルハルトと別れた後。私は村の北側、かつては牧場であったであろう場所に来ていた。
黄昏時。段々と陽が落ちていき、暗くなる時間になんだか胸騒ぎを覚える。私自身がホラーというジャンルに分類されるもの――例えば幽霊やゾンビなどといったもの――に対して恐怖心を覚えるといった質ではなかったが、この廃村は不気味だと感じた。
そんな気持ちでいたせいだろうか。木製の柵の向こう、古びた畜舎の中からカタリと物音が聞こえた。
誰もいない場所なのだ。通常であれば、風が吹いて何か物が倒れただけだと考える。しかし今日は無風な上に、ここは失踪者が出ていると言われる場所。
喉の奥で息を呑んで、足音を立てないように細心の注意を払う。近づけば近づくほどに、なんとも言えない臭い匂いと何かが細かく動く気配。絶対に中に何かがいると確信して、畜舎の扉を開けた。
開いた瞬間、最初に感じたのは鼻を塞いで嘔吐きたくなるほどの腐臭だった。
そして視覚が中のものを認識した瞬間、全てを察した。畜舎の中に居たのは、亡者の群れだった。ざっと数えただけでも、15体はいる。
皮膚は腐ってドロドロになり、一部が溶けている。そして目は空洞。それぞれ腕やら指、その他腹の一部などが欠損している。
一瞬、その亡者たちの醜悪さに固まったが、亡者が扉前に立つ私を認めたと同時に襲ってきた。条件反射でそれらを避けて、攻撃を回避する。
そのままレイピアを軽く振るって、襲ってきた亡者の腕を切り落とす――が、次の瞬間、ゴムで吊り上げられたかのように亡者の腕が戻った。
「燃やすしかない、か」
亡者。それは禁忌とされる魔法によって、生きた人間の精神と魂を穢し続け、最終的には裂界と呼ばれる闇の世界へと堕とす魔法。裂界へその穢れ切った魂を送ることによって、術者は永遠に動き続ける便利なお人形を手に入れられるという魔法だ。他人の魂を犠牲にして、自分にとって便利なものを作り上げる。そんな最低最悪な魔法。
穢された彼らの魂は未来永劫裂界に囚われ、『魂を消滅させてほしい』と願う程の苦しみに苛まれ続けるという。
依頼書にあった顔写真や時計などの所持品、そういう部分の特徴が一致するので今回の依頼にあった行方不明者達がこの亡者になっているということは、すぐに分かった。だからこそ、私は依頼者や彼らの遺族のためにも、バラバラにしたとしてもせめて死体は残しておきたかったのだが、それは無理なようだった。
彼らを亡者に変えた術者に怒りが沸く。こんな2桁にも及ぶ人間達の魂を、循環の和の外に無理矢理引きずり出したのだ。
「ごめんなさい。これ以上苦しまないよう、一瞬で灰にします」
ライターの魔道具に、魔力を込める。湧き上がってくる怒りのままに魔法を発動させた――。
***
「イルハルト!いるなら返事をしてください!!」
亡者がこの辺にいるということは、術者もほぼ確実に近くにいる。
術者は亡者を魔法で更に改造していたような人間だ。確実に禁忌とされている強力な魔法を使える。あの腑抜けた状態のイルハルトでは危ないだろう。
実のところ、私は今、探索系の魔道具を持っていない。
だから、『魔法』というものを使えない私には魔物や魔法使いと言ったものの気配を探ることが出来ないのだ。探すとなれば、地道に探すしかない。
いっそのこと術者がこちらの方に来ればいいと思い、声を上げ続けたが、一向にイルハルトは見つからなかった。
そうして南に進み続けること数分。
魔法探知を出来ない私でも違和感を覚える、怪しい気配を纏った洞窟に辿り着いた。ここが村の最南端だ。ここに来るまで、イルハルトの返事がなかった上にそれ以外の気配も感じられなかった。この場所が一番怪しいのだ。
少しだけ期待をして、もう一度イルハルトと声を掛けるが返事はなかった。
「入るしかない、か」
周囲を警戒しながらも、小走りで洞窟内を進んでいく。中は一本道で、迷うことはなかった。
そして探していた姿を見つけるーーが、即座に彼が危険に晒されていることを理解した。
「イルハルト!」
数体の亡者に囲まれているせいか、彼はまだ気づいていなかったが、術者が魔法をイルハルトにかけようとしていた。その場所からズラそうと、イルハルトにタックルの要領で突撃し、押し倒す。そして後ろ手に亡者を火の魔道具で灰に変えた。
「俺の玩具がっ!なんて酷いやつなんだ!!」
「……助かりました。後は僕が処理します」
「失礼ですが、今の貴方に出来るんですか??」
「ええ、大丈夫です。僕の悩みはたった今!解決したので!!」
押し倒した状態のサーシャごと腹筋の力で立ち上がったイルハルトは、そのまま彼女を地に降ろす。
術者に対しては一瞬で地に伏すほどの重力魔法を、亡者に対しては腰に装備していた剣で腕や足を切り落とすと同時にその部分を炎の魔法で瞬時に燃やしていく。彼は火属性魔法がそこまで得意じゃないと言っていたので、きっと燃やす範囲を分散させながら亡者の再生に対応しているのだろう。何故あんな危機的状況に彼が追い込まれていたのか分からない程鮮やかに亡者を眠らせた後、術者を気絶させたうえで拘束していた。
全てが片付いた後。
先程私が倒した亡者の遺品……彼らの身体を燃やしたと言っても、炎の範囲指定をして遺品の損傷は最小限にしていたので残っていたものと、イルハルトが倒した亡者の遺品を拾い集めて一緒の鞄にまとめる。
きっと彼らの魂は未来永劫戻ってくることはないが、別れや弔いは遺族が済ませるだろう。
そして、術者の魔法封じを完了させたイルハルトがウキウキした表情で私の元に戻って来た。
「さて!君の名前が決まりましたよ!聞きたいですか!?聞きたいですよね!!!」
「はあ、まあ。気にならないことはないですが、酷い名前だったら拒否しますからね」
念のため釘を刺しておくが、きっとイルハルトのこの態度からして、拒否することは至難の業だろう。今回は受け入れるほかないのかもしれないと、少し諦めにも似た境地に至った。
「君の名前は……ステラ、です!よろしくお願いしますね、ステラさん」
その名前が耳に入ったと同時に、息を呑んだ。
なんて因果なのだろうか。自身の恋敵であろう相手と同じ名前だなんて。イルハルトの素性を聞いた時も思ったが、私は正直、気持ちが悪い程の偶然を感じていた。
「いやー、君に助けられた時、この洞窟の大穴から丁度見える星空の色と大気に少し透けた君の髪の毛が重なったんです。それで、瞳の色が星のようだと感じました。もうこの名前以外あり得ません!!気に入りましたよね!!?いやいや、気に入ったに決まっている」
イルハルトはこの洞窟の最奥であるこの場所の真上に空いている大穴を指さしながら、楽しそうに解説している。その様子からして既にこの名前と決めてしまったようで、もう聞く耳がなさそうだった。
私は溜息を一つ吐いて、これからの事を少し憂いた。
しかしイルハルトはこんなにも出発が遅れたというのに、文句の一つも言わずに何かを考えこんでいる様子だった。否、考え込んでいる内容は私には分かっていた。この間言っていた私の戸籍として使う名前の事だろう。
イルハルトはここ暫く色んな名前を呟いては、あれも違う、これも違うと考えこんでいるのである。大体がろくでもない名前なので、正直怖い。
そんな彼に代わって、予め渡された予定表という名の任務が大量に貼られたスクラップブックに従って、王都までの間にある村の一つに到着していた。
「イルハルト!」
「はっ!君でしたか。ん?ここはどこでしょう」
「……貴方が渡してきた本にあった村です。ここで行方不明者の捜索をするのでしょう?」
声をかける前から石に躓きそうなレベルでボケっとしているなとは思ってはいたが、予想以上にイルハルトは夢の中だったようだ。彼が引き受けた任務だろうに、任務をこなすべき人間がこんな状態で大丈夫なのだろうか。少々心配になりながらも周囲を見回す。
村……と言っても人の気配の一つもない不気味な場所だった。数年前に最後の村人が亡くなり、廃村になったという理由で今は誰も住んでいない場所だ。そう、誰もここにはいない。しかしここ最近この近辺で近くの街から通りがかった人間が20名程行方不明になっているのだという。失踪したと考えられる場所からは、血痕や魔物の痕跡といったものが何一つ見つかっておらず、その辺を闊歩していた魔物に襲われたわけではないということが既にわかっている。
今回はその人達の捜索・原因の調査、出来れば原因を解消することという依頼だった。
「さて、僕は村の南側、君は……そういえば正規所属じゃないのでまだ割り振っちゃいけないんでしたね」
「さっさとこの村から出たいので、許可があれば手伝いますが?」
「……助かります」
イルハルトと別れた後。私は村の北側、かつては牧場であったであろう場所に来ていた。
黄昏時。段々と陽が落ちていき、暗くなる時間になんだか胸騒ぎを覚える。私自身がホラーというジャンルに分類されるもの――例えば幽霊やゾンビなどといったもの――に対して恐怖心を覚えるといった質ではなかったが、この廃村は不気味だと感じた。
そんな気持ちでいたせいだろうか。木製の柵の向こう、古びた畜舎の中からカタリと物音が聞こえた。
誰もいない場所なのだ。通常であれば、風が吹いて何か物が倒れただけだと考える。しかし今日は無風な上に、ここは失踪者が出ていると言われる場所。
喉の奥で息を呑んで、足音を立てないように細心の注意を払う。近づけば近づくほどに、なんとも言えない臭い匂いと何かが細かく動く気配。絶対に中に何かがいると確信して、畜舎の扉を開けた。
開いた瞬間、最初に感じたのは鼻を塞いで嘔吐きたくなるほどの腐臭だった。
そして視覚が中のものを認識した瞬間、全てを察した。畜舎の中に居たのは、亡者の群れだった。ざっと数えただけでも、15体はいる。
皮膚は腐ってドロドロになり、一部が溶けている。そして目は空洞。それぞれ腕やら指、その他腹の一部などが欠損している。
一瞬、その亡者たちの醜悪さに固まったが、亡者が扉前に立つ私を認めたと同時に襲ってきた。条件反射でそれらを避けて、攻撃を回避する。
そのままレイピアを軽く振るって、襲ってきた亡者の腕を切り落とす――が、次の瞬間、ゴムで吊り上げられたかのように亡者の腕が戻った。
「燃やすしかない、か」
亡者。それは禁忌とされる魔法によって、生きた人間の精神と魂を穢し続け、最終的には裂界と呼ばれる闇の世界へと堕とす魔法。裂界へその穢れ切った魂を送ることによって、術者は永遠に動き続ける便利なお人形を手に入れられるという魔法だ。他人の魂を犠牲にして、自分にとって便利なものを作り上げる。そんな最低最悪な魔法。
穢された彼らの魂は未来永劫裂界に囚われ、『魂を消滅させてほしい』と願う程の苦しみに苛まれ続けるという。
依頼書にあった顔写真や時計などの所持品、そういう部分の特徴が一致するので今回の依頼にあった行方不明者達がこの亡者になっているということは、すぐに分かった。だからこそ、私は依頼者や彼らの遺族のためにも、バラバラにしたとしてもせめて死体は残しておきたかったのだが、それは無理なようだった。
彼らを亡者に変えた術者に怒りが沸く。こんな2桁にも及ぶ人間達の魂を、循環の和の外に無理矢理引きずり出したのだ。
「ごめんなさい。これ以上苦しまないよう、一瞬で灰にします」
ライターの魔道具に、魔力を込める。湧き上がってくる怒りのままに魔法を発動させた――。
***
「イルハルト!いるなら返事をしてください!!」
亡者がこの辺にいるということは、術者もほぼ確実に近くにいる。
術者は亡者を魔法で更に改造していたような人間だ。確実に禁忌とされている強力な魔法を使える。あの腑抜けた状態のイルハルトでは危ないだろう。
実のところ、私は今、探索系の魔道具を持っていない。
だから、『魔法』というものを使えない私には魔物や魔法使いと言ったものの気配を探ることが出来ないのだ。探すとなれば、地道に探すしかない。
いっそのこと術者がこちらの方に来ればいいと思い、声を上げ続けたが、一向にイルハルトは見つからなかった。
そうして南に進み続けること数分。
魔法探知を出来ない私でも違和感を覚える、怪しい気配を纏った洞窟に辿り着いた。ここが村の最南端だ。ここに来るまで、イルハルトの返事がなかった上にそれ以外の気配も感じられなかった。この場所が一番怪しいのだ。
少しだけ期待をして、もう一度イルハルトと声を掛けるが返事はなかった。
「入るしかない、か」
周囲を警戒しながらも、小走りで洞窟内を進んでいく。中は一本道で、迷うことはなかった。
そして探していた姿を見つけるーーが、即座に彼が危険に晒されていることを理解した。
「イルハルト!」
数体の亡者に囲まれているせいか、彼はまだ気づいていなかったが、術者が魔法をイルハルトにかけようとしていた。その場所からズラそうと、イルハルトにタックルの要領で突撃し、押し倒す。そして後ろ手に亡者を火の魔道具で灰に変えた。
「俺の玩具がっ!なんて酷いやつなんだ!!」
「……助かりました。後は僕が処理します」
「失礼ですが、今の貴方に出来るんですか??」
「ええ、大丈夫です。僕の悩みはたった今!解決したので!!」
押し倒した状態のサーシャごと腹筋の力で立ち上がったイルハルトは、そのまま彼女を地に降ろす。
術者に対しては一瞬で地に伏すほどの重力魔法を、亡者に対しては腰に装備していた剣で腕や足を切り落とすと同時にその部分を炎の魔法で瞬時に燃やしていく。彼は火属性魔法がそこまで得意じゃないと言っていたので、きっと燃やす範囲を分散させながら亡者の再生に対応しているのだろう。何故あんな危機的状況に彼が追い込まれていたのか分からない程鮮やかに亡者を眠らせた後、術者を気絶させたうえで拘束していた。
全てが片付いた後。
先程私が倒した亡者の遺品……彼らの身体を燃やしたと言っても、炎の範囲指定をして遺品の損傷は最小限にしていたので残っていたものと、イルハルトが倒した亡者の遺品を拾い集めて一緒の鞄にまとめる。
きっと彼らの魂は未来永劫戻ってくることはないが、別れや弔いは遺族が済ませるだろう。
そして、術者の魔法封じを完了させたイルハルトがウキウキした表情で私の元に戻って来た。
「さて!君の名前が決まりましたよ!聞きたいですか!?聞きたいですよね!!!」
「はあ、まあ。気にならないことはないですが、酷い名前だったら拒否しますからね」
念のため釘を刺しておくが、きっとイルハルトのこの態度からして、拒否することは至難の業だろう。今回は受け入れるほかないのかもしれないと、少し諦めにも似た境地に至った。
「君の名前は……ステラ、です!よろしくお願いしますね、ステラさん」
その名前が耳に入ったと同時に、息を呑んだ。
なんて因果なのだろうか。自身の恋敵であろう相手と同じ名前だなんて。イルハルトの素性を聞いた時も思ったが、私は正直、気持ちが悪い程の偶然を感じていた。
「いやー、君に助けられた時、この洞窟の大穴から丁度見える星空の色と大気に少し透けた君の髪の毛が重なったんです。それで、瞳の色が星のようだと感じました。もうこの名前以外あり得ません!!気に入りましたよね!!?いやいや、気に入ったに決まっている」
イルハルトはこの洞窟の最奥であるこの場所の真上に空いている大穴を指さしながら、楽しそうに解説している。その様子からして既にこの名前と決めてしまったようで、もう聞く耳がなさそうだった。
私は溜息を一つ吐いて、これからの事を少し憂いた。
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