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「はあ、厄介なゴミに絡まれて、酷い目に遭いました。慰めてくれますか?僕のお嫁さん」
「ひっ」
まさかこちらに戻ってくるとは思っておらず、声を掛けられ、抱きしめられたせいで、情けない悲鳴をあげてしまう。
さっき、ゴミのように人間を一人処理しておいて、純真無垢に見える笑顔で私に慰めろと甘えてくる。拒否したらどうなってしまうのだろうか、私もブレラのように酷い目に遭わされる?
きっとこの惨状を見たせいだろう、私以上に周囲は怯え、瀕死状態のブレラに誰も近づこうとしない。国王と王妃も上の方でブレラを助けに行けと騎士たちに命令して喚いているが、誰も助けに行こうとしないのである。だったら自分で行けという話だが、彼らにはそんな勇気はない。
軍神がいるのは私とブレラと同じ魔法陣の上だ。ここに来たら、虫を潰すように殺される。それがさっきの彼の言動で簡単に皆理解できていた。
「はあ、貴女は良い匂いがします。……よくやったと僕の頭を撫でてくれませんか?」
軍神が抱きしめてきたままの状態で、私の髪の毛の匂いを嗅ぐ。
怖い怖い怖い怖い。逃げたい。逃げたい逃げたい逃げたい。でも、魔力が足りなくて、身体を動かすことができない。
「ああ、魔力が足りなくて動けないのですね」
心を読まれたのかと思った。
逃げたいと思っているのも既に読まれているのでは?もうどう行動すれば良いのかがわからない。そんなことを考えすぎて、固まっていたせいだろう。
私は軍神が何をしようとしているのか全く注意を払っていなかった。
「ふふ、僕の愛情、たくさん受け取ってください」
「っん……う、え?」
急に空気が吸えなくなったと思ったら、うなじと腰を手で抑えられ、唇が塞がれていた。
拒否しようにも、魔力切れによる身体の硬直で動くことなどできない。そしたら軍神はそれに対して調子に乗ったのか、唇を合わせるだけだったはずの口付けが深いものに変わってくる。
舌を彼の舌によって、口の中に引き込まれ、それを吸われて軽く牙を立てられる。
「ん、ん゛ん~~!!」
「っはぁ、かわいい」
戻ってきた力で、彼の胸を叩くが、離してもらえる気配はなかった。
瀕死の義妹の横で深く口付けられる。なんて異常な光景なのだろうか。しかし彼はキスに夢中なようで、そんなもの全く気にしていないようだ。
そうこうしているうちに、腰に当てられていた手が背中を撫でるような手つきに変わり、性的な危機感が一気に襲ってきた。
それを皮切りに、身体全体に今までにない量の魔力が漲る。
「拒否してるのに気付け!この変態軍神が!!!!!」
私は気付いたら、怒りで彼を軽く突き飛ばした上で、顎にアッパーを食らわせていた――。
「ひっ」
まさかこちらに戻ってくるとは思っておらず、声を掛けられ、抱きしめられたせいで、情けない悲鳴をあげてしまう。
さっき、ゴミのように人間を一人処理しておいて、純真無垢に見える笑顔で私に慰めろと甘えてくる。拒否したらどうなってしまうのだろうか、私もブレラのように酷い目に遭わされる?
きっとこの惨状を見たせいだろう、私以上に周囲は怯え、瀕死状態のブレラに誰も近づこうとしない。国王と王妃も上の方でブレラを助けに行けと騎士たちに命令して喚いているが、誰も助けに行こうとしないのである。だったら自分で行けという話だが、彼らにはそんな勇気はない。
軍神がいるのは私とブレラと同じ魔法陣の上だ。ここに来たら、虫を潰すように殺される。それがさっきの彼の言動で簡単に皆理解できていた。
「はあ、貴女は良い匂いがします。……よくやったと僕の頭を撫でてくれませんか?」
軍神が抱きしめてきたままの状態で、私の髪の毛の匂いを嗅ぐ。
怖い怖い怖い怖い。逃げたい。逃げたい逃げたい逃げたい。でも、魔力が足りなくて、身体を動かすことができない。
「ああ、魔力が足りなくて動けないのですね」
心を読まれたのかと思った。
逃げたいと思っているのも既に読まれているのでは?もうどう行動すれば良いのかがわからない。そんなことを考えすぎて、固まっていたせいだろう。
私は軍神が何をしようとしているのか全く注意を払っていなかった。
「ふふ、僕の愛情、たくさん受け取ってください」
「っん……う、え?」
急に空気が吸えなくなったと思ったら、うなじと腰を手で抑えられ、唇が塞がれていた。
拒否しようにも、魔力切れによる身体の硬直で動くことなどできない。そしたら軍神はそれに対して調子に乗ったのか、唇を合わせるだけだったはずの口付けが深いものに変わってくる。
舌を彼の舌によって、口の中に引き込まれ、それを吸われて軽く牙を立てられる。
「ん、ん゛ん~~!!」
「っはぁ、かわいい」
戻ってきた力で、彼の胸を叩くが、離してもらえる気配はなかった。
瀕死の義妹の横で深く口付けられる。なんて異常な光景なのだろうか。しかし彼はキスに夢中なようで、そんなもの全く気にしていないようだ。
そうこうしているうちに、腰に当てられていた手が背中を撫でるような手つきに変わり、性的な危機感が一気に襲ってきた。
それを皮切りに、身体全体に今までにない量の魔力が漲る。
「拒否してるのに気付け!この変態軍神が!!!!!」
私は気付いたら、怒りで彼を軽く突き飛ばした上で、顎にアッパーを食らわせていた――。
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