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プロローグ

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最近巷で流行っている『乙女ゲーム』というものがある。
小さな画面の中にキラキラとした男性キャラクターが出てきて、それとプレイヤー自身のアバターとも言える主人公の『恋愛劇』を楽しむというものだ。
さて、その中でも特に重要なのが選択肢。プレイヤーの選択するセリフや行動によって物語が分岐し、未来が変わってくるのだ。
その行き着く先はイチャイチャで相思相愛なハッピーエンドや、選択肢を誤ってしまった場合にはその真逆であるまるで呪詛のように絡みついてくるバッドエンドなどなど。とにかく色んなエンディングへと分岐する重要な起点。それが選択肢である。

何故、こんな『乙女ゲーム』の話を急に私は思い出したのか。
それは目の前で、『乙女ゲーム』染みたあり得ない事象が起こっているからだ。
そして私はその『選択肢』に失敗した。そのせいで、とんでもない事態に陥ってしまっている。

「……女ぁ、お前の態度はよく分かった。表に出ろ」

目の前には私が選んだ選択肢の結果、怒るを通り越して、理性が消し飛ぶレベルでブチ切れている男。
美形だのイケメンだのと噂されるだけあって、顔は綺麗なのだが、その分迫力も倍増していた。そんなものが私にものすごい圧力の殺意を向けてきている。
美しい容姿の人間が本気で怒ると怖い。それを今まさに体験していた。
何故こんなことになってしまったのだろう。私は今となっては遠くなってしまった過去を思い出した。
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