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第三章:ポッシェ村
43.クラウスの悩み②(クラウス視点)
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なんとなく守らなければならない存在だと思っていたのが、好意に変化したのはとあるタイミングからだった。
一度、授賞式に対するあまりにも雑な態度のフィーアに怒ってしまったことがある。彼女は最優秀賞と皇族賞を取っている故に受賞者としての挨拶をしなければならないのに、式に対しては態度が最悪だったからだ。
このままでは授賞式で恥をかくどころか、要らぬ敵を作ってしまうかもしれない。厳しく指導していたのは、それが理由だった。しかし厳しくし過ぎてしまったのかもしれない。いつの間にかフィーアを激昂させてしまっていた。
そして気まずい沈黙が流れる……が、それを打ち破ったのはサミュエルだった。
しかしながら正直言うと有難かった。あの雰囲気を俺自身どうすればいいのか分からなかったからだ。彼女を怒らせたくなんてなかったのに、言い過ぎて怒らせてしまった。しかし俺は咄嗟に言い訳出来る程に口が上手くないし、何よりもそんなことはしたくない。怒りを宥めようにも、心配であることを伝えようにも、俺はそんなことを出来る程に素直な性格ではない。
それになによりも、俺は他人……特に女に対して機嫌を取りたいだったり、慰めたい、怒るよりも笑顔でいて欲しいだなんてことは考えたことがなかった。
だから何を言えば怒りを鎮めてもらえるのかが分からなかったのだ。
それ故にこの授賞式の責任者に呼ばれているというのは、俺が冷静になるための時間を確保するのにちょうど良かった。
******
「ああ、この部門の発表は15時からだから、魔道具と舞台の入れ替えを――」
仕事をしている時はフィーアの事を考えずにいられた。しかし終わってみれば……。
「はあー、やっちまった。流石にあれは俺が押し付けすぎた。もっとアイツが興味を持てるような話を入れながら教えてやらないと駄目だったんだよな」
冷静になってから一人でそんなことをごちる。
フィーアは元々魔道具や魔法にしか興味のない人間だ。それに産まれも俺と違って貴族というわけではない。ただの一般人の女の子なのだ。そんな人間に急にこの業界特有のルールや作法、しきたりを詰め込もうとしても、反発心しか生まないだろう。
どうやって謝ればいいだろうか。どうしたら彼女は素直に聞き入れてくれるだろうか。どうすれば彼女がこの場所で敵を作らずに全てを乗り越えられるだろうか。
そんなことを考えて歩いていると、急に俺自身の名前が呼ばれたので、思わず身を隠した。
「にしても、クラウスのやつも情けないよな~。去年も一昨年も最優秀賞貰ってたくせに、今年はぽっと出の女に賞とられてやんの。所詮、公爵家のお貴族様は本物には勝てないってわけだ」
「それな~~。てかどうせ、今までのアイツの魔道具とか受賞した賞も公爵家の力で買ってたんじゃねーの?だって次期公爵様だぜ?テキトーに名声買うくらいはするだろ。情けねえの、はははっ」
「あー。それありうるわ。そもそもお坊ちゃんがあんな大層な賞をもらってること自体おかしいんだわ」
そこまで聞いて、いつも通りの事だと肩の力を抜いた。
俺は公爵家の嫡男ではあるが、魔道具の分野という本来俺が携わるべきものと別の場所にいることもあり、この場所では味方がいない。そもそもカッシュメイス公爵家は武人の家系だ。それ故に騎士としてサミュエルの元にいるが、魔道具の開発をしているのはこの分野の人間からはあまり良い顔をされていない。特に王都の魔道具研究員には俺は目の上のたん瘤だった。
しかしながら、サミュエルの下で本来の公爵としての役割もこなしているから直接こいつらは文句を言えない。せいぜい出来ても裏でコソコソ噂話をしたり、ちょっとした嫌がらせをしてくる程度だ。
「な。王室直下の研究室で働いてる俺達魔道具師が十年以上研究してるにも関わらず、もらえない賞だもんな。そんな俺らですら取れないソレをその辺プラプラしてるやつがって……そりゃ賄賂使ってるに決まってんだろ」
「本当、お貴族様はムカつくよな。金でなんでも買いやがって。っと、あ!そうだ。さっき、アイツの研究室行の材料が積まれてるの見たな。いくつか高そうなの盗んでやるか」
「賛成!!どうせアイツはコネだし、外面のために頼んでるだけだろ。どうせ使わずに腐らせるだけだろうし、勝手にとっても分かんねーだろーな。高いパーツあるかなー、あるよな!!」
どんなことを言われていても、無視するしかない。こんなものに傷付いたり、心を動かすだけ無駄だ。
そうは分かっていても、嫌な気持ちにはなる。どれだけ頑張っても、俺の事を、俺の魔道具を認めてくれる人間は少ない。実の両親ですら、俺の魔道具開発についてはあまり良い顔をしていないのだ。あとサミュエルについても、俺の事を使える駒程度にしか思っていないから、認めてくれているとはまた少し違う。
誰の後ろ盾も得ることが出来ない分野。サミュエルの紙のように軽い後ろ盾などほぼないようなものだから。基本的にはこうやって根拠のないコネだのの噂を流されるだけだ。
好きなものを創りたいから創っているだけなのに、誹謗中傷を受ける。慣れている。慣れている筈だった。
「あれ?君って……最近、クラウスに粉かけられてる子じゃん」
自分を落ち着けていると、話の風向きが変わる。
俺に粉をかけられている?そんなやついるか!と思いながらも、まさかと考え直して、死角になる位置からそこにいる人間を確認すると、今まさに探していた人物がそこに立っていた。
フィーアにだけは正直、俺の噂を聞かれたくはなかった。あれだけ彼女に敵をつくらないようにと厳しく教え込んでいて、俺自身が敵だらけだなんて恥ずかしいし、情けなさ過ぎるだろう。考えられる中で最悪な状況だった。
フィーアはどんな反応をするだろう。俺は完全に嫌われてしまっただろうし、あいつらがしていた噂話に乗ったりしたら嫌だ、立ち直れないかもしれないなんて後ろ向きなことを考えてしまう。
しかしその考えは一瞬でひっくり返されることになる。
フィーアは彼女に手を伸ばしてきた男の腕を一瞬で氷漬けにして言ったのだ。
「知っていますか?魔道具作りの基礎。魔道具っていうのは中身に魔法式を組み込むので、作成者の魔法技術に依存するんです。しかも作っても、全く同じ精度の魔法を使えるものは作り出せない。出来たとしても、作成者の魔法より5割減だと言われているんです」
これはつい最近俺が教えたことだ。フィーアには魔法に関する上級の知識はあっても、基礎中の基礎の常識的な部分が飛んでいた。だから彼女が作った魔道具がどれだけすごいのかを彼女自身に自覚させるためにも教え込んだのだ。きちんと聞いて、覚えていたようで、少し嬉しくなる。
しかしその後の言葉で俺は情けなくも、彼女に抱いていた好意の感情が恋に昇華した。
「その程度の魔法も解くことが出来ないだなんて、貴方達もたかがしれていますね。クラウスだったら、一瞬でそんな魔法解けますよ。だって彼は陰口を叩いて、妬んで、全てを立場や金、そして他人のせいにする貴方達と違って、魔道具に対して誰よりも真摯に、真剣に向き合って、その才能に胡坐をかくことなく努力し続けている人ですから」
フィーアは俺の事を、俺の努力を認めてくれていた。
それだけじゃない。俺のために、俺が既に諦めている事に対して怒ってくれたのだ。それがただ嬉しかった。
そうか、俺は誰かに自分の好きな事で正面から認めて欲しかったのか。初めてそれをしてくれた彼女に、元々軽いその性格や振る舞いにも好意を持っていた彼女に、一気に恋に落ちてしまったのだ。
一度、授賞式に対するあまりにも雑な態度のフィーアに怒ってしまったことがある。彼女は最優秀賞と皇族賞を取っている故に受賞者としての挨拶をしなければならないのに、式に対しては態度が最悪だったからだ。
このままでは授賞式で恥をかくどころか、要らぬ敵を作ってしまうかもしれない。厳しく指導していたのは、それが理由だった。しかし厳しくし過ぎてしまったのかもしれない。いつの間にかフィーアを激昂させてしまっていた。
そして気まずい沈黙が流れる……が、それを打ち破ったのはサミュエルだった。
しかしながら正直言うと有難かった。あの雰囲気を俺自身どうすればいいのか分からなかったからだ。彼女を怒らせたくなんてなかったのに、言い過ぎて怒らせてしまった。しかし俺は咄嗟に言い訳出来る程に口が上手くないし、何よりもそんなことはしたくない。怒りを宥めようにも、心配であることを伝えようにも、俺はそんなことを出来る程に素直な性格ではない。
それになによりも、俺は他人……特に女に対して機嫌を取りたいだったり、慰めたい、怒るよりも笑顔でいて欲しいだなんてことは考えたことがなかった。
だから何を言えば怒りを鎮めてもらえるのかが分からなかったのだ。
それ故にこの授賞式の責任者に呼ばれているというのは、俺が冷静になるための時間を確保するのにちょうど良かった。
******
「ああ、この部門の発表は15時からだから、魔道具と舞台の入れ替えを――」
仕事をしている時はフィーアの事を考えずにいられた。しかし終わってみれば……。
「はあー、やっちまった。流石にあれは俺が押し付けすぎた。もっとアイツが興味を持てるような話を入れながら教えてやらないと駄目だったんだよな」
冷静になってから一人でそんなことをごちる。
フィーアは元々魔道具や魔法にしか興味のない人間だ。それに産まれも俺と違って貴族というわけではない。ただの一般人の女の子なのだ。そんな人間に急にこの業界特有のルールや作法、しきたりを詰め込もうとしても、反発心しか生まないだろう。
どうやって謝ればいいだろうか。どうしたら彼女は素直に聞き入れてくれるだろうか。どうすれば彼女がこの場所で敵を作らずに全てを乗り越えられるだろうか。
そんなことを考えて歩いていると、急に俺自身の名前が呼ばれたので、思わず身を隠した。
「にしても、クラウスのやつも情けないよな~。去年も一昨年も最優秀賞貰ってたくせに、今年はぽっと出の女に賞とられてやんの。所詮、公爵家のお貴族様は本物には勝てないってわけだ」
「それな~~。てかどうせ、今までのアイツの魔道具とか受賞した賞も公爵家の力で買ってたんじゃねーの?だって次期公爵様だぜ?テキトーに名声買うくらいはするだろ。情けねえの、はははっ」
「あー。それありうるわ。そもそもお坊ちゃんがあんな大層な賞をもらってること自体おかしいんだわ」
そこまで聞いて、いつも通りの事だと肩の力を抜いた。
俺は公爵家の嫡男ではあるが、魔道具の分野という本来俺が携わるべきものと別の場所にいることもあり、この場所では味方がいない。そもそもカッシュメイス公爵家は武人の家系だ。それ故に騎士としてサミュエルの元にいるが、魔道具の開発をしているのはこの分野の人間からはあまり良い顔をされていない。特に王都の魔道具研究員には俺は目の上のたん瘤だった。
しかしながら、サミュエルの下で本来の公爵としての役割もこなしているから直接こいつらは文句を言えない。せいぜい出来ても裏でコソコソ噂話をしたり、ちょっとした嫌がらせをしてくる程度だ。
「な。王室直下の研究室で働いてる俺達魔道具師が十年以上研究してるにも関わらず、もらえない賞だもんな。そんな俺らですら取れないソレをその辺プラプラしてるやつがって……そりゃ賄賂使ってるに決まってんだろ」
「本当、お貴族様はムカつくよな。金でなんでも買いやがって。っと、あ!そうだ。さっき、アイツの研究室行の材料が積まれてるの見たな。いくつか高そうなの盗んでやるか」
「賛成!!どうせアイツはコネだし、外面のために頼んでるだけだろ。どうせ使わずに腐らせるだけだろうし、勝手にとっても分かんねーだろーな。高いパーツあるかなー、あるよな!!」
どんなことを言われていても、無視するしかない。こんなものに傷付いたり、心を動かすだけ無駄だ。
そうは分かっていても、嫌な気持ちにはなる。どれだけ頑張っても、俺の事を、俺の魔道具を認めてくれる人間は少ない。実の両親ですら、俺の魔道具開発についてはあまり良い顔をしていないのだ。あとサミュエルについても、俺の事を使える駒程度にしか思っていないから、認めてくれているとはまた少し違う。
誰の後ろ盾も得ることが出来ない分野。サミュエルの紙のように軽い後ろ盾などほぼないようなものだから。基本的にはこうやって根拠のないコネだのの噂を流されるだけだ。
好きなものを創りたいから創っているだけなのに、誹謗中傷を受ける。慣れている。慣れている筈だった。
「あれ?君って……最近、クラウスに粉かけられてる子じゃん」
自分を落ち着けていると、話の風向きが変わる。
俺に粉をかけられている?そんなやついるか!と思いながらも、まさかと考え直して、死角になる位置からそこにいる人間を確認すると、今まさに探していた人物がそこに立っていた。
フィーアにだけは正直、俺の噂を聞かれたくはなかった。あれだけ彼女に敵をつくらないようにと厳しく教え込んでいて、俺自身が敵だらけだなんて恥ずかしいし、情けなさ過ぎるだろう。考えられる中で最悪な状況だった。
フィーアはどんな反応をするだろう。俺は完全に嫌われてしまっただろうし、あいつらがしていた噂話に乗ったりしたら嫌だ、立ち直れないかもしれないなんて後ろ向きなことを考えてしまう。
しかしその考えは一瞬でひっくり返されることになる。
フィーアは彼女に手を伸ばしてきた男の腕を一瞬で氷漬けにして言ったのだ。
「知っていますか?魔道具作りの基礎。魔道具っていうのは中身に魔法式を組み込むので、作成者の魔法技術に依存するんです。しかも作っても、全く同じ精度の魔法を使えるものは作り出せない。出来たとしても、作成者の魔法より5割減だと言われているんです」
これはつい最近俺が教えたことだ。フィーアには魔法に関する上級の知識はあっても、基礎中の基礎の常識的な部分が飛んでいた。だから彼女が作った魔道具がどれだけすごいのかを彼女自身に自覚させるためにも教え込んだのだ。きちんと聞いて、覚えていたようで、少し嬉しくなる。
しかしその後の言葉で俺は情けなくも、彼女に抱いていた好意の感情が恋に昇華した。
「その程度の魔法も解くことが出来ないだなんて、貴方達もたかがしれていますね。クラウスだったら、一瞬でそんな魔法解けますよ。だって彼は陰口を叩いて、妬んで、全てを立場や金、そして他人のせいにする貴方達と違って、魔道具に対して誰よりも真摯に、真剣に向き合って、その才能に胡坐をかくことなく努力し続けている人ですから」
フィーアは俺の事を、俺の努力を認めてくれていた。
それだけじゃない。俺のために、俺が既に諦めている事に対して怒ってくれたのだ。それがただ嬉しかった。
そうか、俺は誰かに自分の好きな事で正面から認めて欲しかったのか。初めてそれをしてくれた彼女に、元々軽いその性格や振る舞いにも好意を持っていた彼女に、一気に恋に落ちてしまったのだ。
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