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第二章:王都
23.一時的な帰還①
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「もしかして、友達いないんですか?」
「…………俺は、既に悪口を裏で言われているのを知っているだろう」
「そうですね、クラウスは確かに仕方がないと思います。でも私に対して、散々友達いないからね~~とかって揶揄ってきていた人がいた気がするんです」
ちらりと先程まで私の事を馬鹿にしていた顔以外の部分は褒められる部分のないこの男を見る。
すると彼は目を逸らして、何もない方向を見つめていた。非常に気まずそうな顔をしながら、頬には珍しく冷や汗がたらりと流れているのが伺えた。
本人にもきちんと自覚があるようで何よりである。ここで開き直って、ウザい態度を取ってたら、平手打ちをかましてた。
「…………酷い人もいたものだね」
「なんかその人ってこの国の王族だったと思うんですけど」
「ごめん。僕もこの王都で話せる人は兄上と両親、それに極一部の部下や君たちくらいしかいない」
「はあ。どうしましょう」
「僕から両親になんとか処置してもらうというのも出来るけど、君はそういう特別扱いみたいなの嫌がるでしょう」
「それは、まあ。なんか負けたみたいですし嫌ですけど」
「……僕達の魔力量じゃ足りない、よね?」
「一応聞いておきますが、二人の魔力量はどれくらいですか?」
この国では魔法という概念が力に直結するせいか、魔法に関することは全て等級付けされる。
これらの知識もポッシェ村に来てから教わった事であったが、この等級分けを知って、私は始めて自分の魔力や魔力量が他人とは桁が違うということを知ったのだ。
そんな私のランクは魔法の威力、即ち質に直結する『魔力』が最高ランクであるSS、そして『魔力量』が2万2千エルクスであった。
当然のことながら、質が上がれば上がるほどに、魔法を使う際の魔力量が低くなる。
初回測定時は、測定用の装置が壊れて、結局人間用ではなく業務用の装置を使ったことをふと思い出す。私で壊れるのであれば、その辺の人間には期待できないだろう。
この国の魔法水準は高い。
しかしながら平均値としては魔力がBランクで魔力量が500エルクス。普通の生活を送っていても問題ないというレベルだ。1000エクルスもあれば、バンバン魔法を使いまくれる……らしい。
けれど、そんな平均を突き破っていたはずの私ですら、予め魔力マーキングなしでかつ超長距離の瞬間移動となるポッシェ村まで行くための魔力は補いきれない。だからほぼ諦め半分で聞いた――のだが。
「僕が魔力がS+ランク、魔力量は2万5千エルクス、クラウスが魔力Aランク、魔力量が1万2千エルクスだよ」
「は!?」
全くの予想外の数値に、口から驚きの声が上がる。
それも当然のことだった。なにせ私が調べた限り、騎士団は魔物との戦いを専門としている者達が所属する場所であり、魔法での攻撃を専門とした魔導士団とは違う。だから基本的には平均より少し上というレベルの魔法を使える者のみが集まる場所なのである。
しかしこの二人の魔法のレベルはそんなものを軽く超えていた。サミュエルに関しては私と同等と言っても良いくらいのレベルである。
「貴方達二人って、騎士団所属ですよね?」
「うん。一応僕、師団長。クラウスはその補助」
「なんでそのランクで騎士やっているんですか??余裕で足りますよ、それ」
一方的に仕掛けられた、この理不尽に打ち勝てる道筋が見えた。
「…………俺は、既に悪口を裏で言われているのを知っているだろう」
「そうですね、クラウスは確かに仕方がないと思います。でも私に対して、散々友達いないからね~~とかって揶揄ってきていた人がいた気がするんです」
ちらりと先程まで私の事を馬鹿にしていた顔以外の部分は褒められる部分のないこの男を見る。
すると彼は目を逸らして、何もない方向を見つめていた。非常に気まずそうな顔をしながら、頬には珍しく冷や汗がたらりと流れているのが伺えた。
本人にもきちんと自覚があるようで何よりである。ここで開き直って、ウザい態度を取ってたら、平手打ちをかましてた。
「…………酷い人もいたものだね」
「なんかその人ってこの国の王族だったと思うんですけど」
「ごめん。僕もこの王都で話せる人は兄上と両親、それに極一部の部下や君たちくらいしかいない」
「はあ。どうしましょう」
「僕から両親になんとか処置してもらうというのも出来るけど、君はそういう特別扱いみたいなの嫌がるでしょう」
「それは、まあ。なんか負けたみたいですし嫌ですけど」
「……僕達の魔力量じゃ足りない、よね?」
「一応聞いておきますが、二人の魔力量はどれくらいですか?」
この国では魔法という概念が力に直結するせいか、魔法に関することは全て等級付けされる。
これらの知識もポッシェ村に来てから教わった事であったが、この等級分けを知って、私は始めて自分の魔力や魔力量が他人とは桁が違うということを知ったのだ。
そんな私のランクは魔法の威力、即ち質に直結する『魔力』が最高ランクであるSS、そして『魔力量』が2万2千エルクスであった。
当然のことながら、質が上がれば上がるほどに、魔法を使う際の魔力量が低くなる。
初回測定時は、測定用の装置が壊れて、結局人間用ではなく業務用の装置を使ったことをふと思い出す。私で壊れるのであれば、その辺の人間には期待できないだろう。
この国の魔法水準は高い。
しかしながら平均値としては魔力がBランクで魔力量が500エルクス。普通の生活を送っていても問題ないというレベルだ。1000エクルスもあれば、バンバン魔法を使いまくれる……らしい。
けれど、そんな平均を突き破っていたはずの私ですら、予め魔力マーキングなしでかつ超長距離の瞬間移動となるポッシェ村まで行くための魔力は補いきれない。だからほぼ諦め半分で聞いた――のだが。
「僕が魔力がS+ランク、魔力量は2万5千エルクス、クラウスが魔力Aランク、魔力量が1万2千エルクスだよ」
「は!?」
全くの予想外の数値に、口から驚きの声が上がる。
それも当然のことだった。なにせ私が調べた限り、騎士団は魔物との戦いを専門としている者達が所属する場所であり、魔法での攻撃を専門とした魔導士団とは違う。だから基本的には平均より少し上というレベルの魔法を使える者のみが集まる場所なのである。
しかしこの二人の魔法のレベルはそんなものを軽く超えていた。サミュエルに関しては私と同等と言っても良いくらいのレベルである。
「貴方達二人って、騎士団所属ですよね?」
「うん。一応僕、師団長。クラウスはその補助」
「なんでそのランクで騎士やっているんですか??余裕で足りますよ、それ」
一方的に仕掛けられた、この理不尽に打ち勝てる道筋が見えた。
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