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「――ってことなの。あの男、ほんっとにありえなくない!!?」
「……まさか、俺はこの愚痴を聞かされるためだけに呼ばれたのか?」
「そうよ!レミーは私の親友でしょ!!傷ついた私を慰めるのは当然だと思わないの?」
「お前の生死に関わる重要な話だと言われて来たはずだったのだが――」
「生死に関わります~!それくらいにセンシティブな話題なんです~」
「クロエ……もう、酔っているな?」
「酔ってないし!」
クロエはあの場から逃げた後。行き場のない感情を背負ったままに、王宮での勤務が終わった親友・ジェレミーを捕まえて街の酒場まで来ていた。
先程のリオンの前での弱々しい態度はなんだったのか。初っ端から度数の強い酒を煽りながら、リオンに対する不満や愚痴、罵り全てを吐き出す。酒場内はクロエ以外にもベロベロに酔って大声を上げている客が多く、クロエがどれだけ怒りで金切り声を上げようとも、全て掻き消え、誰も気にすることはない。
ここに連れてこられて3時間ほど経っただろうか。言葉が尽きることなく喋り続けるクロエに呆れながらも、ジェレミーはそれを全て聞いていた。
泣いているのかと思ったのだ。仕事終わりにクロエに会った時、彼女は深い絶望をその瞳に浮かべていた。普段、誰にも弱みを見せることなく、肉体的にも精神的にも強くあり続ける。かなり長い付き合いではあるが、今までここまで弱ったクロエは見たことが無かった。だからこそ、その姿に驚いた。
今もこんな風にリオンに対する不満や悪口を言ってはいるが、時折瞳が潤み、何かを堪えるように唇を噛みしめる――泣きそうな表情になることにもジェレミーは気づいている。それを指摘せず、黙って彼女の言葉を聞き続けるのは彼なりの優しさだ。
「……なんであんな男を好きになっちゃったんだろう。あんな言う程簡単に恋心を消すなんてこと出来る筈ないでしょう。人を好きになった事がないのかしら。あんな態度だから機械人間だなんて裏で言われるのよ」
今度は先程までの勢いは何処へやら。風が吹けば消えてしまいそうなほどに弱々しい声音でクロエは呟く。
既に机から溢れそうなほどの酒瓶を積み上げている部分を見ないふりをすれば、溜息が出そうな程に壮絶な色気を彼女は放っている……当の本人は全て無意識だから質が悪い。その様子を近くの席から見ていた酒場の男達が近寄ってこようとしていたが、ジェレミーはそれらを眼光だけで牽制した。
ジェレミーは見るからに使い古され、盛り上がった筋肉がついている筋肉質な男である。彼に睨まれ、怯んだ酔っ払いはすぐに遠くへ消えていく。
ジェレミーは思う。彼女は相手があまりにも悪すぎた、と。
彼女の外面を見て、近付いてくる男は実際のところいくらでもいる。20代という年以上の色気を備えながらも、どことなく清廉で儚いという独特の雰囲気に惹きつけられる人間は今までにもたくさんいたのだ。それでも彼女はずっとあの男しか見えていなかった。要はその辺の有象無象など目に入ってすらいなかったのだ。そんな心を寄せていた相手から拒絶された彼女の悲しみは計り知れないだろう。
クロエ曰く親友を何年も続けている彼は、一見無関心で冷たいようにも見えるが、これでも彼女の事を友人としてきちんと好いているし、心配もしているのだ。
そんな男の気遣いなど露知らず。クロエは悶々と自問自答し続けていた。
あの時の事を思い出せば思い出すほどに心が痛むと同時に、リオンのあの嫌な態度とどこからバレたのかは分からないが、気づかれる程に隠すことが出来ていなかったらしい自身の恋心に対して怒りがわいてくる。
しかもあの時リオンは『既に想い人がいる』と言っていた。
その上で自身を好きな女……しかも今はともかく、昔はあまり仲のよろしくなかった同僚の好意の矢印が向けられている。きっと彼から見たら、クロエは一人、舞台で珍妙な踊りを続ける道化師のように見えたに違いない。冷静に自身の行動を振り返ってみると恥ずかしさも湧いてくる。リオンにかけた好意の混じった言葉や表情、それら全てが恥ずかしい。色んな感情が心の中で凝縮されて、ぐちゃぐちゃになっていた。
「はぁ。それにあんな最悪な振られ方して、この後リオンとどうやって接すれば良いの?絶対気まずい。もう、仕事辞めたい」
明日からはまるで見計らったようにクロエは久しぶりの連休であるが、問題はその後だ。クロエはこのシュヴァルツェフィールド王国の黒騎士団・白騎士団と並ぶ部隊である聖騎士団の団長なのである。黒騎士のトップであり、合同任務も多いリオンとは週の殆どを共に過ごさなければならない。こんな感情のままで今まで通りに接することが出来るなんて思えなかった。休日明けの仕事の事を考えたくない。それ故に昔から誇りを持ち続けている自身の仕事を辞めたいだなんて、マイナスな言葉が口から出て来てしまう。
「いや、逆にあの男は迷惑だのなんだの言っておきながら結局のところ、そんなこと気にしないだろうな」
「っそれは……確かに。あの人、精神攻撃得意な上に性格悪いし。迷惑だから諦めろだのなんだのって言ってたけど、諦めなかったら諦めなかったで、気にしないどころか私の感情とか利用すらしてきそう」
「ふむ。利用どうこうに関しては否定できないな」
「アハハ。レミーから見ても、あの人の評価って最悪なのね」
「あそこまで性格が悪い男は俺も見たことがない。だから正直、お前のその心は一生理解できない気がする。……今回はむしろ良い機会だったんじゃないのか?」
「……良い機会。そう、かもね」
良い機会と言われて、正直複雑な気分だった。
まだ夢を見ていたかったという子供のような甘ったれた気持ちと、振られずに何も知らないよりはよかったのかもしらないとも思う大人びた気持ち、どちらも心の中に混在していた。
ほろ酔い時独特の気持ちよさで一時は忘れていたが、思い出すと一気に汚い感情がわいてくる。もしも何も言われずに、気づくこともなく、リオンがその『好きな人』と共に幸せそうに過ごす場面に遭遇してしまったら――?
そう考えると、足元の地面が崩れていくかのように不安定な感覚に陥る。
彼との未来を望んでいない、望める筈がないなどと思っておきながら、その時に自分が正常な行動を取れていたという自信がなかった。
全てを知らされた今でさえ、そんな場面を見てしまったら、クロエは正気ではいられないだろう。もしかしたら取り乱して、罵ってしまうかもしれない。理性で抑えきれなくなって、彼とその『好きな人』を傷つけてしまうかもしれない。醜い自分になってしまうことが怖かった。それほどまでにリオンと過ごす内に蔓延ったこの恋心と呼ばれるものは根深く、自分勝手で、制御不可能だった。
恋は盲目とはよく言ったものだ。あまりに自分本位で気持ちが悪い。そう自嘲する。
彼と自分では釣り合わない、見ているだけで、仕事として――仲間として共にいられるだけで良い、満足だとずっと言い聞かせて来たが、いざ好きな人がいると知ったら、こんな感情を抱いてしまう。
リオンにも自身のこの汚さ、恋心の醜悪さがバレていたのかもしれない。だからあんな釘の刺され方をしたのだろう。『さっさと諦めろ』、と――。
これから来るであろう未来が怖い。まだ見ぬ、しかしほぼ確定的な将来が恐ろしくて仕方がなかった。
「はあ……出来るのなら、ここから消えたい。いなくなってしまいたい」
悲痛な声だった。心の酷く柔らかい部分を酷く傷つけられた上に、この先の未来に一切の希望を見いだせない。何を考えていても暗い思考に陥ってしまう。
先程まではジェレミーと冗談半分にリオンの事を言い合っていたのに、今度は絶望の淵にいる。酒を飲み過ぎたせいか、心拍が上がり、感情の起伏が普段とは比べ物にならないくらいに激しくなっていた。今更ながら見回すと、机どころか床まで埋め尽くし始めた酒瓶に一瞬後悔の気持ちが襲ってくるが、すぐにこの先起こることに比べたら大したことはないと思い直す。
長年かけて作り上げて来た今の立場を全て捨ててしまいたい。そう考えてしまう程にクロエは落ち込んでしまっている。
「クロエ、お前、そこまで思い詰めていたのか」
「…………うん。ちょっとこのままここにいるのは辛いかもしれない」
ジェレミーからの質問に対して、震えながら深呼吸を一つ。そして頷いた。
いつもであれば、いくら落ち込んでいても、最後の最後の段階で『うそうそ。冗談!』などと言って、本心を隠すことが多いクロエだったが、今回はそんなことすらも出来ない程に心が疲弊していた。
よくこうやってジェレミーを酒と愚痴に付きあわせるクロエだったが、初めてここまで落ち込んでいる姿を見せたせいだろう。先程までクロエを前向きな思考にさせようと、出来るだけ前向きになれる、プラス思考なことを言って、彼なりに慰めようとしていたジェレミーだったが、今は困惑した顔を見せていた。
「……ふう。ごめん!ちょっと困らせたみたい。さっき言ったことは忘れ――」
「分かった。ならついて来い」
「へあ?」
「お前の悩みを解決できる手段に心当たりがある」
親友と称している男と言えど、困らせるつもりはなかった。だからクロエは再び『いつも通り』に戻るためにも、一度場の雰囲気を仕切り直そうとした……のだが、ジェレミーはそう言って、まだ杯を持っていたクロエを立たせる。そうしてジェレミーは彼女の手を引いて、酒場から連れ出したのだった――。
「……まさか、俺はこの愚痴を聞かされるためだけに呼ばれたのか?」
「そうよ!レミーは私の親友でしょ!!傷ついた私を慰めるのは当然だと思わないの?」
「お前の生死に関わる重要な話だと言われて来たはずだったのだが――」
「生死に関わります~!それくらいにセンシティブな話題なんです~」
「クロエ……もう、酔っているな?」
「酔ってないし!」
クロエはあの場から逃げた後。行き場のない感情を背負ったままに、王宮での勤務が終わった親友・ジェレミーを捕まえて街の酒場まで来ていた。
先程のリオンの前での弱々しい態度はなんだったのか。初っ端から度数の強い酒を煽りながら、リオンに対する不満や愚痴、罵り全てを吐き出す。酒場内はクロエ以外にもベロベロに酔って大声を上げている客が多く、クロエがどれだけ怒りで金切り声を上げようとも、全て掻き消え、誰も気にすることはない。
ここに連れてこられて3時間ほど経っただろうか。言葉が尽きることなく喋り続けるクロエに呆れながらも、ジェレミーはそれを全て聞いていた。
泣いているのかと思ったのだ。仕事終わりにクロエに会った時、彼女は深い絶望をその瞳に浮かべていた。普段、誰にも弱みを見せることなく、肉体的にも精神的にも強くあり続ける。かなり長い付き合いではあるが、今までここまで弱ったクロエは見たことが無かった。だからこそ、その姿に驚いた。
今もこんな風にリオンに対する不満や悪口を言ってはいるが、時折瞳が潤み、何かを堪えるように唇を噛みしめる――泣きそうな表情になることにもジェレミーは気づいている。それを指摘せず、黙って彼女の言葉を聞き続けるのは彼なりの優しさだ。
「……なんであんな男を好きになっちゃったんだろう。あんな言う程簡単に恋心を消すなんてこと出来る筈ないでしょう。人を好きになった事がないのかしら。あんな態度だから機械人間だなんて裏で言われるのよ」
今度は先程までの勢いは何処へやら。風が吹けば消えてしまいそうなほどに弱々しい声音でクロエは呟く。
既に机から溢れそうなほどの酒瓶を積み上げている部分を見ないふりをすれば、溜息が出そうな程に壮絶な色気を彼女は放っている……当の本人は全て無意識だから質が悪い。その様子を近くの席から見ていた酒場の男達が近寄ってこようとしていたが、ジェレミーはそれらを眼光だけで牽制した。
ジェレミーは見るからに使い古され、盛り上がった筋肉がついている筋肉質な男である。彼に睨まれ、怯んだ酔っ払いはすぐに遠くへ消えていく。
ジェレミーは思う。彼女は相手があまりにも悪すぎた、と。
彼女の外面を見て、近付いてくる男は実際のところいくらでもいる。20代という年以上の色気を備えながらも、どことなく清廉で儚いという独特の雰囲気に惹きつけられる人間は今までにもたくさんいたのだ。それでも彼女はずっとあの男しか見えていなかった。要はその辺の有象無象など目に入ってすらいなかったのだ。そんな心を寄せていた相手から拒絶された彼女の悲しみは計り知れないだろう。
クロエ曰く親友を何年も続けている彼は、一見無関心で冷たいようにも見えるが、これでも彼女の事を友人としてきちんと好いているし、心配もしているのだ。
そんな男の気遣いなど露知らず。クロエは悶々と自問自答し続けていた。
あの時の事を思い出せば思い出すほどに心が痛むと同時に、リオンのあの嫌な態度とどこからバレたのかは分からないが、気づかれる程に隠すことが出来ていなかったらしい自身の恋心に対して怒りがわいてくる。
しかもあの時リオンは『既に想い人がいる』と言っていた。
その上で自身を好きな女……しかも今はともかく、昔はあまり仲のよろしくなかった同僚の好意の矢印が向けられている。きっと彼から見たら、クロエは一人、舞台で珍妙な踊りを続ける道化師のように見えたに違いない。冷静に自身の行動を振り返ってみると恥ずかしさも湧いてくる。リオンにかけた好意の混じった言葉や表情、それら全てが恥ずかしい。色んな感情が心の中で凝縮されて、ぐちゃぐちゃになっていた。
「はぁ。それにあんな最悪な振られ方して、この後リオンとどうやって接すれば良いの?絶対気まずい。もう、仕事辞めたい」
明日からはまるで見計らったようにクロエは久しぶりの連休であるが、問題はその後だ。クロエはこのシュヴァルツェフィールド王国の黒騎士団・白騎士団と並ぶ部隊である聖騎士団の団長なのである。黒騎士のトップであり、合同任務も多いリオンとは週の殆どを共に過ごさなければならない。こんな感情のままで今まで通りに接することが出来るなんて思えなかった。休日明けの仕事の事を考えたくない。それ故に昔から誇りを持ち続けている自身の仕事を辞めたいだなんて、マイナスな言葉が口から出て来てしまう。
「いや、逆にあの男は迷惑だのなんだの言っておきながら結局のところ、そんなこと気にしないだろうな」
「っそれは……確かに。あの人、精神攻撃得意な上に性格悪いし。迷惑だから諦めろだのなんだのって言ってたけど、諦めなかったら諦めなかったで、気にしないどころか私の感情とか利用すらしてきそう」
「ふむ。利用どうこうに関しては否定できないな」
「アハハ。レミーから見ても、あの人の評価って最悪なのね」
「あそこまで性格が悪い男は俺も見たことがない。だから正直、お前のその心は一生理解できない気がする。……今回はむしろ良い機会だったんじゃないのか?」
「……良い機会。そう、かもね」
良い機会と言われて、正直複雑な気分だった。
まだ夢を見ていたかったという子供のような甘ったれた気持ちと、振られずに何も知らないよりはよかったのかもしらないとも思う大人びた気持ち、どちらも心の中に混在していた。
ほろ酔い時独特の気持ちよさで一時は忘れていたが、思い出すと一気に汚い感情がわいてくる。もしも何も言われずに、気づくこともなく、リオンがその『好きな人』と共に幸せそうに過ごす場面に遭遇してしまったら――?
そう考えると、足元の地面が崩れていくかのように不安定な感覚に陥る。
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全てを知らされた今でさえ、そんな場面を見てしまったら、クロエは正気ではいられないだろう。もしかしたら取り乱して、罵ってしまうかもしれない。理性で抑えきれなくなって、彼とその『好きな人』を傷つけてしまうかもしれない。醜い自分になってしまうことが怖かった。それほどまでにリオンと過ごす内に蔓延ったこの恋心と呼ばれるものは根深く、自分勝手で、制御不可能だった。
恋は盲目とはよく言ったものだ。あまりに自分本位で気持ちが悪い。そう自嘲する。
彼と自分では釣り合わない、見ているだけで、仕事として――仲間として共にいられるだけで良い、満足だとずっと言い聞かせて来たが、いざ好きな人がいると知ったら、こんな感情を抱いてしまう。
リオンにも自身のこの汚さ、恋心の醜悪さがバレていたのかもしれない。だからあんな釘の刺され方をしたのだろう。『さっさと諦めろ』、と――。
これから来るであろう未来が怖い。まだ見ぬ、しかしほぼ確定的な将来が恐ろしくて仕方がなかった。
「はあ……出来るのなら、ここから消えたい。いなくなってしまいたい」
悲痛な声だった。心の酷く柔らかい部分を酷く傷つけられた上に、この先の未来に一切の希望を見いだせない。何を考えていても暗い思考に陥ってしまう。
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「クロエ、お前、そこまで思い詰めていたのか」
「…………うん。ちょっとこのままここにいるのは辛いかもしれない」
ジェレミーからの質問に対して、震えながら深呼吸を一つ。そして頷いた。
いつもであれば、いくら落ち込んでいても、最後の最後の段階で『うそうそ。冗談!』などと言って、本心を隠すことが多いクロエだったが、今回はそんなことすらも出来ない程に心が疲弊していた。
よくこうやってジェレミーを酒と愚痴に付きあわせるクロエだったが、初めてここまで落ち込んでいる姿を見せたせいだろう。先程までクロエを前向きな思考にさせようと、出来るだけ前向きになれる、プラス思考なことを言って、彼なりに慰めようとしていたジェレミーだったが、今は困惑した顔を見せていた。
「……ふう。ごめん!ちょっと困らせたみたい。さっき言ったことは忘れ――」
「分かった。ならついて来い」
「へあ?」
「お前の悩みを解決できる手段に心当たりがある」
親友と称している男と言えど、困らせるつもりはなかった。だからクロエは再び『いつも通り』に戻るためにも、一度場の雰囲気を仕切り直そうとした……のだが、ジェレミーはそう言って、まだ杯を持っていたクロエを立たせる。そうしてジェレミーは彼女の手を引いて、酒場から連れ出したのだった――。
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