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番外編
番外編①:立花樹の誕生日Ⅰ
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「はああああ!?お前、婚約者のくせに、知らなかったのかよ!!??」
「えっと……すみません」
季節は小学5年生の冬。私は今、城山椿に烈火のごとく怒られている。それも城山椿にしては珍しく、正論で真正面から。
***
切っ掛けは昼休みに学園の体育の5,6年生合同の授業で城山椿に遭遇し、ペアを組んだ事に起因する。授業内容としては、5年生1人、6年生1人でペアを組んでリレータイムを取るというものだ。上位に入選した者から評定が割り振られていく。お互い一悶着があったと言えど知り合いだったこともあり、最近では会えば話す仲。その実力も知っているので、ペアを組むのは当然と言えば当然だった。
というか実のところ、後輩には結構指導が厳しいらしく彼には恐れからか私の同級生が近づいて行っていなかったので、彼にとっても私の存在は有難かったらしい。流石熱血漢。もうちょっと後輩に優しくしてやれ!!
そしてタイムを測るまでの待ち時間、ふと城山椿から話題が提供されたのだ。『そういえば、お前、樹の誕生日には何をプレゼントするんだ?』と。
「はああああ!?お前、婚約者のくせに、樹の誕生日すら知らなかったのかよ!!??」
「えっと……ノーコメントで」
「おま、お前、普通に考えて、婚約者なんて関係性だったら相手の誕生日は祝うものだろう!それに、プールの時も俺を放ってあんなにもイチャイチャしておいて、それはないだろう!!」
なんだ、イチャイチャって。城山椿には私が見えているのとは別の世界が見えているのかもしれない。そう思えども、今の状態で否定なり、あれでイチャイチャなど初心だと揶揄うなりすれば、怒りに触れてもっと責められることは明白。私は頭の良い女なので、それらを口に出すことはしなかった。ただひたすら城山椿が語る言葉を聞き続ける。
曰く、立花樹の誕生日は冬の12月22日。暦の上では残り10日を切っているらしい。それにへーだのふーんだのでテキトーに返事をする。
正直、それらを聞いた私の心境としては、『そういえば、立花樹の誕生日イベントが発生したのは、冬だったな~』である。全く私には関係ないイベントだ。
しかし流石は攻略対象と言ったところなのか、城山椿は明らかに私がこの話題に興味がない事を見破り、最終的には何故だか城山椿と共に、立花樹の誕生日会を開くことになった――。
本当に何故なんだろうか。
「えっと……すみません」
季節は小学5年生の冬。私は今、城山椿に烈火のごとく怒られている。それも城山椿にしては珍しく、正論で真正面から。
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切っ掛けは昼休みに学園の体育の5,6年生合同の授業で城山椿に遭遇し、ペアを組んだ事に起因する。授業内容としては、5年生1人、6年生1人でペアを組んでリレータイムを取るというものだ。上位に入選した者から評定が割り振られていく。お互い一悶着があったと言えど知り合いだったこともあり、最近では会えば話す仲。その実力も知っているので、ペアを組むのは当然と言えば当然だった。
というか実のところ、後輩には結構指導が厳しいらしく彼には恐れからか私の同級生が近づいて行っていなかったので、彼にとっても私の存在は有難かったらしい。流石熱血漢。もうちょっと後輩に優しくしてやれ!!
そしてタイムを測るまでの待ち時間、ふと城山椿から話題が提供されたのだ。『そういえば、お前、樹の誕生日には何をプレゼントするんだ?』と。
「はああああ!?お前、婚約者のくせに、樹の誕生日すら知らなかったのかよ!!??」
「えっと……ノーコメントで」
「おま、お前、普通に考えて、婚約者なんて関係性だったら相手の誕生日は祝うものだろう!それに、プールの時も俺を放ってあんなにもイチャイチャしておいて、それはないだろう!!」
なんだ、イチャイチャって。城山椿には私が見えているのとは別の世界が見えているのかもしれない。そう思えども、今の状態で否定なり、あれでイチャイチャなど初心だと揶揄うなりすれば、怒りに触れてもっと責められることは明白。私は頭の良い女なので、それらを口に出すことはしなかった。ただひたすら城山椿が語る言葉を聞き続ける。
曰く、立花樹の誕生日は冬の12月22日。暦の上では残り10日を切っているらしい。それにへーだのふーんだのでテキトーに返事をする。
正直、それらを聞いた私の心境としては、『そういえば、立花樹の誕生日イベントが発生したのは、冬だったな~』である。全く私には関係ないイベントだ。
しかし流石は攻略対象と言ったところなのか、城山椿は明らかに私がこの話題に興味がない事を見破り、最終的には何故だか城山椿と共に、立花樹の誕生日会を開くことになった――。
本当に何故なんだろうか。
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