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あれからどうやって部屋に帰ったのかは分からない。記憶が抜け落ちて、いつの間に寝たのか朝を迎えてしまっていた。
そしてここ最近の習慣で染み付いてしまっていた早朝出勤をする。無意識のうちに少しでもオルフェに会う確率を減らそうとしたのかもしれない。
そして職場で溜まっていた書類仕事に手を付け始めた――。
***
新しい魔法薬に関する資料をまとめたり、国内で起きた魔法を使用した事件に関する調査書類のチェックなどなど今日もより取り見取りの仕事は滞りなくこなし、昼食を経て午後。退勤直前に同僚であるメイに話しかけられた。どうやら留学を祝って、仲間内で私を送り出すパーティーを開いてくれるらしい。日時は8日後。出発する3日前。
いくらオルフェの事で悩んでいるとはいえ、彼女らの気持ちは嬉しい。微笑みを作って予定が空いている旨を伝える。メイは『分かった。伝えておく』と返事をした……のだが、中々立ち去らない。
その様子を見てどうしたのか、と尋ねようと口を開こうとした直後、先程とは打って変わってメイは不安そうな表情になった。
「エルカ、アンタ何か悩み事があるんじゃないの?」
「……どうして、そう思ったの?」
あまり表面上に出さないようにしてはいたが、そんなにも悩みがあるのかと心配されるほど私は分かりやすかったのだろうか、装えていなかったのだろうかと不安に思う。
「んー。なんとなくかな。なんか最近のアンタったら留学決まって嬉しいはずなのに、元気がないように見えたから……それに――」
「それに?」
「あのアンタの恋人のオルフェウス?って人、いつもアンタが帰った後にここに訪ねてきて、いない事を確認して残念そうに帰っていくんだよね。だからアンタらの間で留学の事に関して何かあったんじゃないかって心配になって」
「まず、私とオルフェは何度も言ってる通り恋人じゃないわ。それと何かあったのかと言えば……あったのかなとは思う」
今まで何度も否定し続けて来ていたが、未だに私達の仲を勘違いしているメイにきちんと訂正を入れておく。すぐに『はいはい』といった感じで流されたが。
でもオルフェがいつも訪ねてきているとは知らなかった。いや、いつも狙いすましたかのように職場を出たらすぐに捕まっていたので、その辺を考えるとここに私の居場所を聞きに突撃してきていてもそんなに違和感はないが。
無言で促すように視線を合わせてくるメイに対して言葉を続ける。
「なんていうか、私……いまいちあの人の言う”好き ”だの”愛してる”だのって言葉が信用できないんだよね」
「どうして?」
「私には彼に好意を持たれるほどの価値はない。彼はきっと勘違いしているだけよ。面白い玩具を見つけたから、それでもう少し遊んでいたいからっていう気持ちを好意と勘違いしているだけ。彼にとってきっと私は――体のいい玩具なのよ」
ここ数日で出した答えだった。だって私には何もない。姉の様な華が咲いたような美しさもおしとやかさも、全てを包み込むような包容力も、素直さや優しさだって持ち合わせてはいない。同じ様に好意を返してもらえるはずなどない。
所詮、こんな自分は誰かの一番になることなんて出来ないのだ。だからきっとこれは、オルフェに遊ばれているだけ。あの悲しそうな表情も子供がお気に入りの玩具を目の前で取り上げられたような感情から来ているのだろう。
「……うっわ。これは重症だわ」
「え?私別に怪我なんてしてないけど?」
「違うって!!アンタ本当に自分にそういう意味での自信がないのね……これは男の方が可哀そうだわ」
彼女が何を言っているのか分からない。何故オルフェが可哀そうだという話になるのだろうか。あの男は性格極悪、守銭奴、サボり魔などなど顔は良いが内面は明らかに不良物件である。
なにせ私は以前からずっと色んな場所に引きずり回されて、迷惑もかけられて嫌だと思っていた――筈だ。
「流石に可哀そうだから言うけどね、あの人ってエルカに会う時だけは物凄く優しそうな瞳をするの。それはもう、宝物を見ているみたいな溶けそうで、幸せそうな瞳」
玩具で遊べるからそんな瞳になるんじゃないの?……分からない。
「それに他の女に話しかけられてもテキトーな態度をとるくせにアンタから話しかけられると、まるで態度が違う。犬になったのかと錯覚するほどに嬉しそうなのよ?私なんてこの前あのイケメンから耳と尻尾が生えているようにすら見えたわ」
確かに彼は昔よりも態度が明らかに柔らかい。でもこれも遊びの一環なんじゃないの?……これも分からない。
「それに前、アンタに他の男が話しかけていた時の態度と言ったら――はぁ。怖いわ」
分からない。知らない。
「誰が何と言おうと、アンタはあの人に好かれているの。見ていてこっちが恥ずかしくなるくらいに、大切に思われているのよ」
「大切?そんなの、所詮メイの主観でしょ!?あの人と……オルフェと接したことなんて殆どないくせにっ!!勝手な事言わないでよ」
職場の前にいることなど忘れて、思わず叫ぶようにメイを責めてしまう。涙声になってしまうことが情けない。彼女は何も悪くないのに。私の事を想って言ってくれただけなのに……。メイの顔が見れなくて、顔を俯かせる。
分からない。知らない――知りたくない。傷つきたくない。
そんな感情が心を支配しているのだ。
「……アンタの意志は分かった」
呆れられてしまったのだろうか。不安になるが、顔を上げられなかった。しかしそんな私に構うことなく彼女は言葉を続けた。
「でもね、もしこのままあの人と向き合わずに留学に行って、アンタに後悔はないの?ここですれ違ったまま向き合わなかったら、一生気持ちを伝えられないかもしれない」
伝える気なんて更々ないから、別に良い。
「帰ってくる頃には立場が変わって、気軽に言葉すら交わせなくなっているかもしれない」
それはそれで、このぐちゃぐちゃになった気持ちにも諦めがつくだろうから構わない。
「それどころかもしかしたらもう、会えないかもしれない」
「え――」
その言葉が気になって、思わず顔を上げてしまう。
「なんだか爵位を与えるとかっていう話が出てるみたいよ、あの人。アンタも知っている通り、かなり優秀だから」
なんだ優秀って……。一瞬耳を疑ったが、言われてみれば優秀――なのかもしれない。そうだと認められていなければ、魔獣討伐だなんて高難易度の任務は回ってこない筈なのである。
「まあ、さっきから言ってるのは『かもしれない』というよりもほぼ確定事項ね。この機会を逃したら、アンタ達はもう会わない可能性が高いわ。それなら、伝えてスッキリした方が良くない?でも結局伝えたかったのはこれ!エルカ……後悔だけはしないようにね」
そこまで言って、メイは私に背を向けて職場に戻って行く。
取り残された私の足は動こうとしない。立ち尽くしたままだった。
そしてここ最近の習慣で染み付いてしまっていた早朝出勤をする。無意識のうちに少しでもオルフェに会う確率を減らそうとしたのかもしれない。
そして職場で溜まっていた書類仕事に手を付け始めた――。
***
新しい魔法薬に関する資料をまとめたり、国内で起きた魔法を使用した事件に関する調査書類のチェックなどなど今日もより取り見取りの仕事は滞りなくこなし、昼食を経て午後。退勤直前に同僚であるメイに話しかけられた。どうやら留学を祝って、仲間内で私を送り出すパーティーを開いてくれるらしい。日時は8日後。出発する3日前。
いくらオルフェの事で悩んでいるとはいえ、彼女らの気持ちは嬉しい。微笑みを作って予定が空いている旨を伝える。メイは『分かった。伝えておく』と返事をした……のだが、中々立ち去らない。
その様子を見てどうしたのか、と尋ねようと口を開こうとした直後、先程とは打って変わってメイは不安そうな表情になった。
「エルカ、アンタ何か悩み事があるんじゃないの?」
「……どうして、そう思ったの?」
あまり表面上に出さないようにしてはいたが、そんなにも悩みがあるのかと心配されるほど私は分かりやすかったのだろうか、装えていなかったのだろうかと不安に思う。
「んー。なんとなくかな。なんか最近のアンタったら留学決まって嬉しいはずなのに、元気がないように見えたから……それに――」
「それに?」
「あのアンタの恋人のオルフェウス?って人、いつもアンタが帰った後にここに訪ねてきて、いない事を確認して残念そうに帰っていくんだよね。だからアンタらの間で留学の事に関して何かあったんじゃないかって心配になって」
「まず、私とオルフェは何度も言ってる通り恋人じゃないわ。それと何かあったのかと言えば……あったのかなとは思う」
今まで何度も否定し続けて来ていたが、未だに私達の仲を勘違いしているメイにきちんと訂正を入れておく。すぐに『はいはい』といった感じで流されたが。
でもオルフェがいつも訪ねてきているとは知らなかった。いや、いつも狙いすましたかのように職場を出たらすぐに捕まっていたので、その辺を考えるとここに私の居場所を聞きに突撃してきていてもそんなに違和感はないが。
無言で促すように視線を合わせてくるメイに対して言葉を続ける。
「なんていうか、私……いまいちあの人の言う”好き ”だの”愛してる”だのって言葉が信用できないんだよね」
「どうして?」
「私には彼に好意を持たれるほどの価値はない。彼はきっと勘違いしているだけよ。面白い玩具を見つけたから、それでもう少し遊んでいたいからっていう気持ちを好意と勘違いしているだけ。彼にとってきっと私は――体のいい玩具なのよ」
ここ数日で出した答えだった。だって私には何もない。姉の様な華が咲いたような美しさもおしとやかさも、全てを包み込むような包容力も、素直さや優しさだって持ち合わせてはいない。同じ様に好意を返してもらえるはずなどない。
所詮、こんな自分は誰かの一番になることなんて出来ないのだ。だからきっとこれは、オルフェに遊ばれているだけ。あの悲しそうな表情も子供がお気に入りの玩具を目の前で取り上げられたような感情から来ているのだろう。
「……うっわ。これは重症だわ」
「え?私別に怪我なんてしてないけど?」
「違うって!!アンタ本当に自分にそういう意味での自信がないのね……これは男の方が可哀そうだわ」
彼女が何を言っているのか分からない。何故オルフェが可哀そうだという話になるのだろうか。あの男は性格極悪、守銭奴、サボり魔などなど顔は良いが内面は明らかに不良物件である。
なにせ私は以前からずっと色んな場所に引きずり回されて、迷惑もかけられて嫌だと思っていた――筈だ。
「流石に可哀そうだから言うけどね、あの人ってエルカに会う時だけは物凄く優しそうな瞳をするの。それはもう、宝物を見ているみたいな溶けそうで、幸せそうな瞳」
玩具で遊べるからそんな瞳になるんじゃないの?……分からない。
「それに他の女に話しかけられてもテキトーな態度をとるくせにアンタから話しかけられると、まるで態度が違う。犬になったのかと錯覚するほどに嬉しそうなのよ?私なんてこの前あのイケメンから耳と尻尾が生えているようにすら見えたわ」
確かに彼は昔よりも態度が明らかに柔らかい。でもこれも遊びの一環なんじゃないの?……これも分からない。
「それに前、アンタに他の男が話しかけていた時の態度と言ったら――はぁ。怖いわ」
分からない。知らない。
「誰が何と言おうと、アンタはあの人に好かれているの。見ていてこっちが恥ずかしくなるくらいに、大切に思われているのよ」
「大切?そんなの、所詮メイの主観でしょ!?あの人と……オルフェと接したことなんて殆どないくせにっ!!勝手な事言わないでよ」
職場の前にいることなど忘れて、思わず叫ぶようにメイを責めてしまう。涙声になってしまうことが情けない。彼女は何も悪くないのに。私の事を想って言ってくれただけなのに……。メイの顔が見れなくて、顔を俯かせる。
分からない。知らない――知りたくない。傷つきたくない。
そんな感情が心を支配しているのだ。
「……アンタの意志は分かった」
呆れられてしまったのだろうか。不安になるが、顔を上げられなかった。しかしそんな私に構うことなく彼女は言葉を続けた。
「でもね、もしこのままあの人と向き合わずに留学に行って、アンタに後悔はないの?ここですれ違ったまま向き合わなかったら、一生気持ちを伝えられないかもしれない」
伝える気なんて更々ないから、別に良い。
「帰ってくる頃には立場が変わって、気軽に言葉すら交わせなくなっているかもしれない」
それはそれで、このぐちゃぐちゃになった気持ちにも諦めがつくだろうから構わない。
「それどころかもしかしたらもう、会えないかもしれない」
「え――」
その言葉が気になって、思わず顔を上げてしまう。
「なんだか爵位を与えるとかっていう話が出てるみたいよ、あの人。アンタも知っている通り、かなり優秀だから」
なんだ優秀って……。一瞬耳を疑ったが、言われてみれば優秀――なのかもしれない。そうだと認められていなければ、魔獣討伐だなんて高難易度の任務は回ってこない筈なのである。
「まあ、さっきから言ってるのは『かもしれない』というよりもほぼ確定事項ね。この機会を逃したら、アンタ達はもう会わない可能性が高いわ。それなら、伝えてスッキリした方が良くない?でも結局伝えたかったのはこれ!エルカ……後悔だけはしないようにね」
そこまで言って、メイは私に背を向けて職場に戻って行く。
取り残された私の足は動こうとしない。立ち尽くしたままだった。
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