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プロローグ

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「エルカさん、おはようございます。貴女は今日も妖精の様に可憐で美しい」
「それはどーも。ではさようなら」
「嗚呼、挨拶を返してくれないどころかもう別れを告げている……照れているのですか?でも僕に対して素っ気ない貴女も可愛いくて愛おしい!」
「あの……朝から五月蠅いので黙ってくれない?頭に響く。あと私からさっさと離れてください」
「ところで今日は魔導士と騎士の合同演習ですよ。僕はもうこの演習が決まった時から貴女とペアを組むことが楽しみで、楽しみで……」

朝。王宮魔導士に与えられた寮のエントランス。恋人でもないのにベタベタとくっついてくる彼に流石に非難の声を上げるが、聞く気は全くないらしい。周りからの”またあの二人か~”みたいな生暖かい視線が突き刺さる。

「黙らない、と。あと私、君とペアを組むつもりはな――」
「貴女も同じなのですか……!嬉しいです」
「うわー。遮るそして思考もポジティブー」

この男、もう駄目だ。色々と狂っている。冷たくあしらおうとしても別の言葉を重ねられ、今日の合同演習のペアに至っては彼の頭の中で既に決定事項になってしまっているらしい。

彼――オルフェウス=ノーツグリアはこの城の騎士であり、私は王宮魔導士。本来なら関りなどないはずなのに、あることが切っ掛けでそれはもうウザいくらいのレベルで絡んでくるようになった。正直頭が痛い。

どれだけ逃げようとしても執拗に追って来て、最近ではゾッとするほど甘い言葉を囁く。それも苦痛だった。だって彼の本意が見えない。私は彼のこの言葉が本当だと思えないのだ。何か企んでいるとしか思えなかった。


なにせ最初はこうではなかったのだ。出会った頃はむしろ……。何時からこんなことになってしまったのだろう。
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