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若竹白夜
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「なあ誰こいつ。そもそも、なんで俺がこいつの分の饅頭買ってんだよ」
白鳳学院の悪魔。若竹白夜は、何故自分が可愛がっている後輩が、突然連れてきた初対面の人物に奢ってやらなければいけないのかと不満を漏らした。
「知らないのシロ先輩。あの有名なムーミン先輩なのに」
あの有名なと言われても、どこのどいつだよというツッコミしか言えない。
ビジネスにおいて情報収集は命だ。戦前ならば財閥と言っていいほど大きなグループ企業を経営する家に生まれた彼は、常に様々な分野や人の情報収集を怠ったことはない。けれども例外として自分の肉親が経営するクソみたいなシステムのこの学院に関してのみ、白夜は微塵も興味を示さなかった。勝ち組と言われるS組に所属する生徒の大半は、虎の威を借る狐であり、注意を払うような人物がいなかったからだ。
この目の前でえんどう饅頭を頬張っているS組の男子生徒もまた、彼にとっては同様に思えた。
「知らねえよ。誰だよ。俺が知ってんのは、白いカバみたいな妖精だけだって」
そもそもその名前で連想するのは、フィンランドの妖精しか思いつかない。饅頭を一心不乱に食っているこいつの家は、実は深い渓谷にでもあるのだろうか。やたらと尖がった帽子と鼻をもつ旅人と友人で、焚火の前でそいつが吹くオカリナを聞いたりしているのだろうか。
しかし、どうあっても目の前の男子生徒がそうだとは思えなかった。何故ならば彼はのっぺりした顔――そこがその妖精の可愛いポイントでもあるのだが――でもないし、児童向けのキャラクターとしては必須であるずんぐりむっくりした体形でもないからだ。
むしろ筋の通った鼻筋の、けれどどこか幼さを感じさせる端正な顔立ちだ。ちなみにお約束の展開で例えるならば、髪は染めずに緩くパーマのかかった隙のない爽やかな、でも前髪にボリュームを出すことで今時感を前面に押し出した完全マッシュで、彼もまた漏れなくツーブロックでありネープレスなのだが、正面から見るとツーブロックに見えず、側面からみて初めて、あ、ツーブロックだったんだと気づくような控えめのツーブロック。そんなツーブロックを連呼しすぎてゲシュタルトが崩壊しそうなほど難しい髪形が似合うイケメンだった。
ちなみにこれまでの登場人物から想像し、彼の髪色は名前が梅だから赤だと思った人もいるかもしれない。梅は梅でも彼は優等生なので、そんなチャラチャラした色には見向きもしない。どちらかといえば年寄り臭い好みから、梅エキスを好みそうなのでイメージカラーは黒が似合いだ。
「可哀想なんだから買ってあげたっていいと思うんだけど。変な宇宙人に絡まれて、首根っこ掴まれて学校中引き回されてたんだし」
はて。かの渓谷には宇宙人が生息していただろうか、と白夜は首を傾げた。が、すぐに梅干しのように耳まで顔を真っ赤にして、フィンランドの妖精(仮)が食堂のテーブルに突っ伏した事に驚き、それどころではなくなってしまった。
ええ。ちょっとこの妖精、怖いんですけど。と白夜は視線で後輩である千秋茅に訴えたが、自由奔放という言葉が、これほど似合う人間はいないだろうというくらいマイペースな彼は、まるでこうなる事を予想していたのか妖精の手から、梅昆布茶の入った湯飲みと饅頭の乗った皿を彼が突っ伏す前に素早く奪い、好物だという饅頭をひとつくすねて頬張ることに夢中になっていた。
あ、やばい。これ美味いわ。止まんないかもと言いながら、むしゃむしゃと食べ進める彼を見た白夜は、大きなため息を吐き、それからどうして自分の周りには変人が集まるのだろうかと嘆いた。きっと星か幸春がこの場にいたならば、え、それ、白鳳学院の悪魔だなんて通り名をつけられるような、誰よりも強烈な個性を持ってるシロ先輩が言っちゃうの、と突っ込んだことだろうが、残念なことに彼以外にツッコミ役がこの場にはいなかった。
「……いや、なんか知らねえけど。悪かったなムーミン。ほら、饅頭食えよ。食べたかったんだろ」
まだ沢山買ってあるから元気を出せと言う白夜は、面倒見のいい好青年にしか見えないが、仮に彼が殺人を犯したとしても目撃者さえいなければ。いや、多少の目撃者がいたとしてもだ。罪を隠蔽できるほどの有り余る権力と金を持っていると言われている。それもそのはずで政財界に親族が多数おり、白夜が罪を認めようが認めまいが、一族が本人の意思などお構いなしに全てをなかったことにするだろう。
そんな良家の子息の中でもトップクラスにいる彼が、なぜ肉親が経営する学校で最底辺のクズ組に所属しているかというと、彼がそれを望んだからという事もあるが、何よりも素行が悪いの一言で片づけられる。
よくある金持ちのお坊ちゃまが家庭環境や世間の冷たさに打たれ、あっという間にひねくれた人格に育つという。なんかドラマや小説等々でよく描かれている。とにかく典型的な不良への道のりを順調に歩んできた結果。彼はとてつもなく喧嘩が強い――身代金目的の誘拐を警戒し、合気道に柔道。剣道や空手といった複数の武道を幼少より習っていた――のに加え、身内があまりにも凄すぎて本人はそう思われることを好んではいないが、途方もないくらいに強いバックボーンを持つ不良になってしまった。こうなりゃもう無双し放題だ。ゆえにクズ組や勝ち組を問わず、彼を恐れた学生達から悪魔と呼ばれている。
「僕、そんな変な名前じゃない。そんなカバみたいな名前やだあ。梅平睦月だって言ってるのにい」
頭をテーブルに伏せたまま、フィンランドの妖精ムーミンこと梅平睦月は、駄々をこねる子供のように器用に椅子に座りながら地団太を踏んで訴えた。宇宙人に首根っこを引き摺られ連れまわされたからか、彼は乙女ゲームの攻略キャラである品行方正な生徒会役員の梅平睦月とは程遠い姿になっていた。
その姿を饅頭を頬張りながら冷めた目で見ていた茅は、自分が彼がこうなる原因を作ったというのにも関わらず、我関せずといった態度を貫き、とどめとばかりにこう言い放った。
「わあ。宇宙人にキャトルミューティレーションされちゃうと、こうも人格って変わるもんなんだね。おっかねえなあ」
なんで話を聞いてくれないのお。もうこの変人不良やだあと、睦月は我慢の限界からか、ついに泣き喚いた。もし彼が茅に気に入られていなければ、言い終えた瞬間に彼は首を絞められていたかもしれない。
茅が他人にあだ名を付けるということは、その人物を気に入っているという証拠だった。ただし彼のネーミングセンスは素晴らしいとはお世辞にも言えず、まともなあだ名を持つものは星と幸春くらいなものだ。まあ白夜も犬みたいなあだ名だが、かろうじてまともな部類ではある。だって高校生にもなってあだ名がムーミンとか死にたくなるではないか。むしろ、いじめに近いかもしれない。
「馬鹿か。情緒不安定なのに刺激しちゃだめだろうが。よしよしムーミン。あれかフィンランドに帰るか。帰りたかったらファーストクラスで飛行機、手配してやるぞ。それともあれか。焚火の前でオカリナが聞きたいか。夜になるまで待ってくれたら、校庭でキャンプファイヤーして吹いてやるからよ。元気出せよ」
いや、むしろシロ先輩の方が刺激してんじゃねえの。それってかなり人のこと馬鹿にしてるよね。そう茅は思ったが、黙っている方が面白そうなので何も言わないでおこうと決めた。
現に睦月は、ムーミンじゃないって言ってるのにい。なんなのこの人達。日本語が通じないよお。ニョロニョロに前髪燃やされてハゲてしまえだなんて叫びながら、ことさらに地団太を踏んで不満を訴えていた。
もはや彼が、この学院の鬼のように厳しい生徒会会計ですと言っても誰も信じないだろう。だってさっきから、やだちょっととか、あの梅平君が壊れただとか言う言葉がちらほらと聞こえているのだから。
ここが勝ち組専用の食堂だということを睦月は忘れているらしい。午後の授業が終わった生徒達が、続々とアフタヌーンティーを楽しもうとやって来ていた。
明日の校内新聞は半端なく面白いことになるだろうな。こりゃあ楽しみだと茅は上機嫌で鼻歌を歌った。
「ちょっとお。君達のせいで『鬼の会計が壊れた』って皆に噂されてるんだけど、どうしてくれるのお。校内新聞にも鬼の会計、食堂で地団太を踏むって書かれてるんだけどお。もう最悪だよお」
「え、だって事実だし」
「食堂でフィンランドに帰りたいって、良く飽きねえなって思うくらい延々と泣いてたじゃねえか」
翌日クズ組に泣きながら睦月が駆け込んできたが、茅は鼻で笑って、白夜は態となのかそうじゃないのか一部事実を捻じ曲げて答え、それを聞いた睦月は更に泣き叫んだのだった。
白鳳学院の悪魔。若竹白夜は、何故自分が可愛がっている後輩が、突然連れてきた初対面の人物に奢ってやらなければいけないのかと不満を漏らした。
「知らないのシロ先輩。あの有名なムーミン先輩なのに」
あの有名なと言われても、どこのどいつだよというツッコミしか言えない。
ビジネスにおいて情報収集は命だ。戦前ならば財閥と言っていいほど大きなグループ企業を経営する家に生まれた彼は、常に様々な分野や人の情報収集を怠ったことはない。けれども例外として自分の肉親が経営するクソみたいなシステムのこの学院に関してのみ、白夜は微塵も興味を示さなかった。勝ち組と言われるS組に所属する生徒の大半は、虎の威を借る狐であり、注意を払うような人物がいなかったからだ。
この目の前でえんどう饅頭を頬張っているS組の男子生徒もまた、彼にとっては同様に思えた。
「知らねえよ。誰だよ。俺が知ってんのは、白いカバみたいな妖精だけだって」
そもそもその名前で連想するのは、フィンランドの妖精しか思いつかない。饅頭を一心不乱に食っているこいつの家は、実は深い渓谷にでもあるのだろうか。やたらと尖がった帽子と鼻をもつ旅人と友人で、焚火の前でそいつが吹くオカリナを聞いたりしているのだろうか。
しかし、どうあっても目の前の男子生徒がそうだとは思えなかった。何故ならば彼はのっぺりした顔――そこがその妖精の可愛いポイントでもあるのだが――でもないし、児童向けのキャラクターとしては必須であるずんぐりむっくりした体形でもないからだ。
むしろ筋の通った鼻筋の、けれどどこか幼さを感じさせる端正な顔立ちだ。ちなみにお約束の展開で例えるならば、髪は染めずに緩くパーマのかかった隙のない爽やかな、でも前髪にボリュームを出すことで今時感を前面に押し出した完全マッシュで、彼もまた漏れなくツーブロックでありネープレスなのだが、正面から見るとツーブロックに見えず、側面からみて初めて、あ、ツーブロックだったんだと気づくような控えめのツーブロック。そんなツーブロックを連呼しすぎてゲシュタルトが崩壊しそうなほど難しい髪形が似合うイケメンだった。
ちなみにこれまでの登場人物から想像し、彼の髪色は名前が梅だから赤だと思った人もいるかもしれない。梅は梅でも彼は優等生なので、そんなチャラチャラした色には見向きもしない。どちらかといえば年寄り臭い好みから、梅エキスを好みそうなのでイメージカラーは黒が似合いだ。
「可哀想なんだから買ってあげたっていいと思うんだけど。変な宇宙人に絡まれて、首根っこ掴まれて学校中引き回されてたんだし」
はて。かの渓谷には宇宙人が生息していただろうか、と白夜は首を傾げた。が、すぐに梅干しのように耳まで顔を真っ赤にして、フィンランドの妖精(仮)が食堂のテーブルに突っ伏した事に驚き、それどころではなくなってしまった。
ええ。ちょっとこの妖精、怖いんですけど。と白夜は視線で後輩である千秋茅に訴えたが、自由奔放という言葉が、これほど似合う人間はいないだろうというくらいマイペースな彼は、まるでこうなる事を予想していたのか妖精の手から、梅昆布茶の入った湯飲みと饅頭の乗った皿を彼が突っ伏す前に素早く奪い、好物だという饅頭をひとつくすねて頬張ることに夢中になっていた。
あ、やばい。これ美味いわ。止まんないかもと言いながら、むしゃむしゃと食べ進める彼を見た白夜は、大きなため息を吐き、それからどうして自分の周りには変人が集まるのだろうかと嘆いた。きっと星か幸春がこの場にいたならば、え、それ、白鳳学院の悪魔だなんて通り名をつけられるような、誰よりも強烈な個性を持ってるシロ先輩が言っちゃうの、と突っ込んだことだろうが、残念なことに彼以外にツッコミ役がこの場にはいなかった。
「……いや、なんか知らねえけど。悪かったなムーミン。ほら、饅頭食えよ。食べたかったんだろ」
まだ沢山買ってあるから元気を出せと言う白夜は、面倒見のいい好青年にしか見えないが、仮に彼が殺人を犯したとしても目撃者さえいなければ。いや、多少の目撃者がいたとしてもだ。罪を隠蔽できるほどの有り余る権力と金を持っていると言われている。それもそのはずで政財界に親族が多数おり、白夜が罪を認めようが認めまいが、一族が本人の意思などお構いなしに全てをなかったことにするだろう。
そんな良家の子息の中でもトップクラスにいる彼が、なぜ肉親が経営する学校で最底辺のクズ組に所属しているかというと、彼がそれを望んだからという事もあるが、何よりも素行が悪いの一言で片づけられる。
よくある金持ちのお坊ちゃまが家庭環境や世間の冷たさに打たれ、あっという間にひねくれた人格に育つという。なんかドラマや小説等々でよく描かれている。とにかく典型的な不良への道のりを順調に歩んできた結果。彼はとてつもなく喧嘩が強い――身代金目的の誘拐を警戒し、合気道に柔道。剣道や空手といった複数の武道を幼少より習っていた――のに加え、身内があまりにも凄すぎて本人はそう思われることを好んではいないが、途方もないくらいに強いバックボーンを持つ不良になってしまった。こうなりゃもう無双し放題だ。ゆえにクズ組や勝ち組を問わず、彼を恐れた学生達から悪魔と呼ばれている。
「僕、そんな変な名前じゃない。そんなカバみたいな名前やだあ。梅平睦月だって言ってるのにい」
頭をテーブルに伏せたまま、フィンランドの妖精ムーミンこと梅平睦月は、駄々をこねる子供のように器用に椅子に座りながら地団太を踏んで訴えた。宇宙人に首根っこを引き摺られ連れまわされたからか、彼は乙女ゲームの攻略キャラである品行方正な生徒会役員の梅平睦月とは程遠い姿になっていた。
その姿を饅頭を頬張りながら冷めた目で見ていた茅は、自分が彼がこうなる原因を作ったというのにも関わらず、我関せずといった態度を貫き、とどめとばかりにこう言い放った。
「わあ。宇宙人にキャトルミューティレーションされちゃうと、こうも人格って変わるもんなんだね。おっかねえなあ」
なんで話を聞いてくれないのお。もうこの変人不良やだあと、睦月は我慢の限界からか、ついに泣き喚いた。もし彼が茅に気に入られていなければ、言い終えた瞬間に彼は首を絞められていたかもしれない。
茅が他人にあだ名を付けるということは、その人物を気に入っているという証拠だった。ただし彼のネーミングセンスは素晴らしいとはお世辞にも言えず、まともなあだ名を持つものは星と幸春くらいなものだ。まあ白夜も犬みたいなあだ名だが、かろうじてまともな部類ではある。だって高校生にもなってあだ名がムーミンとか死にたくなるではないか。むしろ、いじめに近いかもしれない。
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いや、むしろシロ先輩の方が刺激してんじゃねえの。それってかなり人のこと馬鹿にしてるよね。そう茅は思ったが、黙っている方が面白そうなので何も言わないでおこうと決めた。
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もはや彼が、この学院の鬼のように厳しい生徒会会計ですと言っても誰も信じないだろう。だってさっきから、やだちょっととか、あの梅平君が壊れただとか言う言葉がちらほらと聞こえているのだから。
ここが勝ち組専用の食堂だということを睦月は忘れているらしい。午後の授業が終わった生徒達が、続々とアフタヌーンティーを楽しもうとやって来ていた。
明日の校内新聞は半端なく面白いことになるだろうな。こりゃあ楽しみだと茅は上機嫌で鼻歌を歌った。
「ちょっとお。君達のせいで『鬼の会計が壊れた』って皆に噂されてるんだけど、どうしてくれるのお。校内新聞にも鬼の会計、食堂で地団太を踏むって書かれてるんだけどお。もう最悪だよお」
「え、だって事実だし」
「食堂でフィンランドに帰りたいって、良く飽きねえなって思うくらい延々と泣いてたじゃねえか」
翌日クズ組に泣きながら睦月が駆け込んできたが、茅は鼻で笑って、白夜は態となのかそうじゃないのか一部事実を捻じ曲げて答え、それを聞いた睦月は更に泣き叫んだのだった。
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